過多月経とは?症状・原因・治療方法を知ろう!ストレスとの関連性は?

女性には、毎月定期的に月経・生理が訪れます。月経時・生理時に、自分の経血量を確認していますか?また、経血の量が少し多いなと感じても、月経・生理なので仕方がないかもと思って放置していませんか?

実は、月経の際の経血量が正常時よりも多くなる状態のことを過多月経(月経過多)と言います。このような過多月経によって、月経の訪れる時期には、経血量が多いために外出を極力控えたり、就寝中の経血の漏れが気になって睡眠が浅くなったりと、困っている女性が少なくありません。そして、過多月経が続く場合には、女性に特有の疾患・病気が発症している可能性があります。

そこで今回は、過多月経の症状や原因を確認した上で、過多月経の治療方法などについても、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。

過多月経(月経過多)とは?

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そもそも過多月経(月経過多)とは、どのような状態・症状のことを言うのでしょうか?いくら女性同士と言えども、自分の月経・生理の状況を友人に話したりすることは恥ずかしいものですから、なかなか自分の経血量が他の人のそれと比べて多いのか少ないのかを確認することは難しいのが実情です。

そこで、まずは過多月経の状態・症状について、ご紹介したいと思います。

過多月経(月経過多)とは?

過多月経とは、月経時(生理時)の出血量(経血量)が正常な時に比べて多くなる状態・症状のことで、場合によっては経血の中にレバー状になった血液の塊が混じっていることもあります。

過多月経は月経過多とも呼ばれ、月経不順(生理不順)の症状の一つでもあります。

月経不順(生理不順)について

月経不順(生理不順)は、月経・生理が正常ではない状態・症状の総称です。一口に月経不順と言っても、その状態・症状は様々で、代表的な症状を示すと次のような症状を挙げることができます。

  • 稀発(きはつ)月経:正常な生理周期よりも、生理周期が長くなる症状。
  • 頻発月経:正常な生理周期よりも、生理周期が短くなる症状。
  • 過多月経:経血量が正常な時よりも多くなる症状。
  • 過少月経:経血量が正常な時よりも極めて少なくなる症状。
  • 過長月経:生理期間が正常時(3~7日)よりも長く続く症状。
  • 過短月経:生理期間が正常時よりも短期間(2日以内)で終了してしまう症状。
  • 続発性無月経:妊娠中・授乳中・閉経といった理由が無いのに、3ヶ月以上も月経・生理が訪れない症状。

過多月経の判断基準

人には様々な個性が存在するように、月経時の経血の量についても個人差が生じます。そのため経血量について、どの程度を超えると過多月経となり、どの程度を下回ると過少月経となるという客観的で明確な判断基準は存在しません。

それでも個人差を踏まえて敢えて過多月経の判断基準を示すと、月経時に用いる生理用ナプキンが1時間程度で交換を余儀なくされる状態ならば、過多月経の可能性があると言えるでしょう。

そもそも月経時の経血量は、個人差を踏まえても20mlから140mlの範囲に収まるのが正常と考えられています。このような正常な経血量であれば、生理用ナプキンは1枚で2時間から3時間はもつのが通常です。

ですから、昼間に昼用ナプキンを下着に装着していても1時間程度で交換を余儀なくされたり、就寝中に夜用ナプキンを下着に装着していても下着・パジャマ・シーツに経血が付着してしまう、といった日常生活に影響が及ぶ場合には、過多月経と判断・診断されると言えるでしょう。加えて、経血の中にレバー状になった血液の塊が混じっている状態が2日以上見られたり、経血量増加によって貧血症状(鉄欠乏性貧血症状)が見られる場合は、より過多月経の可能性が高くなると言えます。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄分が不足することが原因となって、血液の中で酸素と結合して全身に酸素を供給する役割を果たすヘモグロビンの生産が不足することにより生じる貧血症状のことです。

鉄欠乏性貧血が生じる原因はいくつか考えられますが、女性に多い原因が月経過多による経血量増加で鉄分が体外に喪失されることです。そもそも女性は、月経・生理の周期性によって定期的に出血をするため、鉄分が不足しやすい傾向にあります。また、女性はダイエットなどで、鉄分の摂取が不足しがちな傾向もありますので、注意が必要です。

過多月経(月経過多)の原因

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このように月経時の経血量が正常な時に比べて多くなる状態・症状のことを過多月経と言いますが、それでは何が原因で過多月経が発症するのでしょうか?そこで、過多月経の原因について、ご紹介したいと思います。

過多月経の種類

過多月経は、過多月経という症状を引き起こす原因に応じて、次のような二つに分類することができます。

  • 機能性過多月経
  • ・質性過多月経

そして、このような二つの分類は、治療法の選択に際して特に重要性を有しています。というのも、一言で過多月経と言っても様々な原因があり、原因が異なれば自ずと治療法も異なってくるからです。

機能性過多月経

機能性過多月経とは、子宮・卵巣など身体の部位に病気などの異常は無いものの、女性ホルモンの分泌に関わる卵巣機能が低下することにより、女性ホルモンのバランスが乱れることが原因となって生じる過多月経のことです。つまり、婦人科系の機能性疾患を原因とする過多月経が、機能性過多月経とされます。

女性ホルモンとは?

女性ホルモンは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の総称です。女性ホルモンは、脳の視床下部が発した指令に基づいて、主に卵巣から分泌されます。

卵胞ホルモンは、女性器や乳房などの女性特有の部位の発達促進や、卵巣において卵胞の成長を促したり、受精卵を着床させるために子宮内膜を厚くさせるなどの作用を有しています。

一方で黄体ホルモンは、主に女性の身体を妊娠準備態勢に移行させる作用を有しており、厚くなった子宮内膜を維持したり、受精卵着床後の妊娠に備えて体内に栄養や水分を溜め込んだりします。

女性ホルモン分泌

女性ホルモンの分泌は、大きく二つの時期に分けられます。月経直後から排卵までの期間は卵胞期と呼ばれ、卵胞ホルモンの分泌量が多くなります。一方で、排卵後から月経直前までの期間は黄体期と呼ばれ、卵胞ホルモンの分泌量は減少して黄体ホルモンの分泌量が多くなります。

排卵後に受精卵が子宮内膜に着床せず妊娠が成立しなければ、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの両方の分泌量が減少します。そして、それまで受精卵の着床に備えて厚くなっていた子宮内膜が剥がれ落ち、体外へと排出されることで月経・生理が起こるのです。

ちなみに、妊娠が成立した場合には、黄体ホルモンの分泌量が多いままとなって妊娠が維持されます。

ホルモンバランスの乱れ

このように女性ホルモンは、卵胞期には卵胞ホルモンの分泌量が多くなり、黄体期には黄体ホルモンの分泌量が多くなるのが通常です。このようなホルモン分泌の周期性は、女性の生理周期の安定を図り、女性が妊娠や出産をするために必要不可欠となります。

しかしながら、何らかの要因によって、卵胞ホルモンまたは黄体ホルモンの分泌量に過不足が生じたり、あるいは卵胞ホルモンと黄体ホルモンの両方に過不足が生じると、ホルモンバランスが崩れることになります。

この点、特に卵胞ホルモン(エストロゲン)が過剰に分泌されると、子宮内膜組織が厚くなりすぎて、月経時の経血量が多くなるとされています。

そして、このような女性ホルモンのバランスの乱れは、過多月経などの月経不順(生理不順)のほかにも、下腹部痛などの生理痛や不正出血などを引き起こします。

ホルモンバランスを乱す要因

女性ホルモンのバランスを乱す要因は、非常に多岐にわたります。その中でも代表的な要因は、次の通りです・

  • 過剰なストレス(過労などの身体的ストレス、精神的ストレス)
  • 生活習慣の乱れ(睡眠不足・偏った食生活・過剰飲酒・喫煙・運動不足など)
  • 血行不良や血流低下

器質性過多月経

器質性過多月経とは、主に子宮に病気・異常が存在することが原因で生じる過多月経のことです。具体的な原因として、次にような婦人科器質性疾患が挙げられます。

  • 子宮筋腫
  • 子宮内膜増殖症、子宮体がん
  • 子宮内膜症、子宮腺筋症
  • 子宮頸管ポリープ、子宮内膜ポリープ
  • 子宮内膜炎
  • 子宮内異物

子宮筋腫

そもそも子宮は、子宮平滑筋という筋肉が層状になった壁が、袋状の構造になってできています。

子宮筋腫とは、この子宮平滑筋から発生して、卵胞ホルモン(エストロゲン)によって大きくなる良性の腫瘍です。子宮筋腫が子宮筋層のどの部分に発生するかによって、次のような三つのタイプに分類されます。

  • 粘膜下筋腫:子宮の内側である子宮内膜に向けて発生・成長した子宮筋腫。
  • 筋層内筋腫:子宮平滑筋の子宮筋層内に発生・成長した子宮筋腫。
  • 漿膜下筋腫:子宮の外側に向けて発生・成長した子宮筋腫。

そして、過多月経は、特に粘膜下筋腫のタイプで発症しやすいとされています。

子宮内膜増殖症・子宮体がん

子宮内膜は、前述したように月経周期(生理周期)に応じて増殖して厚くなったり、剥がれ落ちたりを繰り返しています。そして、卵胞ホルモン(エストロゲン)が過剰分泌されると、子宮内膜が通常時よりも過度に厚く成長する場合があり、これを子宮内膜増殖症と言います。

子宮内膜組織が過度に厚くなると、月経時に子宮内膜が剥がれ落ちる際に出血量が多くなり、過多月経の原因となります。

ちなみに、子宮内膜増殖症の子宮内膜組織の細胞に異型が存在する場合は、子宮がんの一種で子宮体部にがんが生じる子宮体がんへと進展する危険性が高いとされます。

子宮内膜症・子宮腺筋症

子宮内膜症とは、本来子宮内で厚くなる子宮内膜組織が、子宮外の骨盤内で増殖する疾患のことです。子宮内膜組織は卵胞ホルモン(エストロゲン)によって厚く成長しますが、子宮外にあっても子宮内膜組織であることに変わりなく、卵胞ホルモンによって増殖・肥大化します。子宮内膜症は、ひどい月経痛(生理痛)を生じ、不妊症の原因にもなります。

この子宮内膜症が、子宮筋層の中に発生する疾患が子宮腺筋症です。子宮腺筋症では、ひどい月経痛のほかに、過多月経を引き起こします。

子宮内膜ポリープ・子宮頸管ポリープ

子宮内膜ポリープも子宮頸管ポリープも、子宮にできたポリープ・良性腫瘍のことです。子宮筋腫も子宮にできた良性腫瘍ですが、子宮筋腫は子宮平滑筋に由来し、子宮ポリープは子宮内の粘膜細胞が異常増殖することによって発生するという違いがあります。

子宮内膜ポリープとは子宮内膜にできたポリープで、子宮頸管ポリープは子宮頸管にできたポリープです。いずれも、婦人科系の検診・検査で発見されることが多いのが特徴です。

子宮ポリープが小さい内は自覚症状がほとんどありませんが、成長すると月経痛・過多月経を引き起こすほか、不妊症の原因になることもあります。

子宮内膜炎

子宮内膜炎は、子宮筋層や子宮内膜の炎症のことです。主に細菌感染が原因で、下腹部痛や微熱などの症状が現れます。場合によって、不正出血や過多月経が現れることもあるとされています。

子宮内異物

過多月経を引き起こす要因の一つとして、子宮内異物が挙げられます。子宮内異物の具体例が、避妊用リングです。

避妊用リングは、厳密には子宮内避妊用具と呼ばれます。子宮内に小さな避妊器具を挿入して用います。ただし、避妊用リングは体質的に向き不向きが存在し、過多月経・過長月経をもたらす場合があるとされています。

過多月経(月経過多)の治療方法

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このように過多月経は、機能性過多月経と器質性過多月経に分類され、それぞれ原因が異なります。それでは、過多月経が発症した場合に、どのような治療がなされるのでしょうか?

そこで、過多月経の治療法について、機能性過多月経と器質性過多月経に分けて、ご紹介したいと思います。

機能性過多月経の治療法

機能性過多月経の原因は主に女性ホルモンのバランスの乱れにありますから、機能性過多月経の治療はホルモンのバランスの乱れの原因を排除することが第一になります。

その上で、改善が見られなければ婦人科医に相談し、ホルモン剤の利用によってホルモンバランスの安定を図ります。

ホルモンバランスの乱れの原因排除

ホルモンのバランスの乱れの原因は、前述したように過剰なストレス・生活習慣の乱れ・血行不良などにあります。

ですから、ストレスを緩和するためにも、十分な休息・睡眠をとり心身を休める必要があります。また、喫煙や過剰飲酒は控え、栄養のバランスがとれた食事を心がけ、可能であれば有酸素運動など適度な運動を実施しましょう。ストレス緩和・禁煙・適度な運動により、同時に血流改善も期待できます。

婦人科医への相談とホルモン剤投与

ホルモンのバランスの乱れは、その原因を排除することにより多くは改善を図ることができます。しかしながら、それでも目立った改善効果が見られない場合は、専門家である婦人科医に相談しましょう。

経口避妊薬の代表的な存在である低用量ピルは、ホルモン剤の一種であり、ホルモンバランスを整える働きも有しています。このようなホルモン剤を利用してホルモンバランスを安定させるのです。

器質性過多月経の治療法

器質性過多月経の原因は、前述したような様々な婦人科器質性疾患です。それゆえ、基本的には原因となる病気・疾患の治療をすることが、結果的に器質性過多月経の治療にもなります。

大きく薬剤やホルモン剤を投与する薬物療法・ホルモン療法と手術を行う外科的療法に分類されます。

薬物療法・ホルモン療法

薬物療法やホルモン療法は、薬剤やホルモン剤を投与することにより疾患の症状抑制や治療を図るもので、主に婦人科器質性疾患の初期段階の治療法です。

用いられる薬剤・ホルモン剤は多岐にわたり、疾患の種類・症状の進行度合い・副作用・今後の妊娠を望むか否かなど、様々な要素を総合的に判断して利用する薬剤やホルモン剤を決定します。代表的な薬剤・ホルモン剤は、次の通りです。

卵胞・黄体ホルモン混合剤

卵胞・黄体ホルモン混合剤は、その名の通り卵胞ホルモンと黄体ホルモンが混合されたホルモン剤です。経口避妊薬のピルは、卵胞・黄体ホルモン混合剤の一種です。

女性ホルモンの分泌量を抑制することにより、子宮内膜の増殖を抑制し、結果として経血量減少の効果が見られます。一方で、吐き気・頭痛・血栓症などの副作用の可能性もあります。

黄体ホルモン製剤

黄体ホルモン製剤は、子宮内膜の増殖を抑制するほか、子宮の病巣を小さくさせる働きもあります。こちらも、結果として経血量を減少させる効果があります。

GnRHアナログ製剤

GnRHアナログ製剤は、子宮筋腫・子宮内膜症などの病巣を小さくするために用いられます。女性ホルモンの分泌を抑制し、一時的な閉経の状態をもたらすため、経血量の減少などの効果がある一方で、更年期障害に似た副作用が現れることがあります。

ダナゾール製剤

ダナゾール製剤は、主に子宮内膜症の病巣を小さくするために用いられます。ダナゾール製剤は、男性ホルモンに似た作用があるので、女性ホルモンの分泌が減り、一時的な閉経の状態がもたらされます。ただし、ニキビ・体重増加・血栓症などの副作用の可能性があります。

外科的療法

外科的療法は、外科手術により治療を行うもので、婦人科器質性疾患が相当程度に進行している場合に検討されます。近年は、開腹手術よりも、内視鏡を用いた負担の小さな手術方式が一般的となってきています。主な手術法としては、子宮内膜掻把術・子宮内膜焼灼術などがあります。

子宮内膜掻把(そうは)術

子宮内膜掻把術は、簡単に言ってしまうと、麻酔をかけた上で増殖した子宮内膜をかき出す手術法です。ただし、根治は難しく、手術後は薬物療法によるコントロールが必須となります。

子宮内膜焼灼(しょうしゃく)術

子宮内膜焼灼術は、要するに増殖した子宮内膜をマイクロ波で焼いて破壊する手術法です。そのため、マイクロ波子宮内膜アブレーションとも呼ばれます。ただし、将来の妊娠を希望する人には不適応となっています。

まとめ

いかがでしたか?過多月経の症状や原因、過多月経の治療方法などについて、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、月経時・生理時における自分の経血量を他人と比べることは難しく、自分の経血量の状態が正常か異常かを判断することも難しいかもしれません。

しかしながら、一時的な生理不順ではなく過多月経が続く場合には、何らかの子宮の病気が隠れているかもしれません。

ですから、日頃から自分の月経周期や月経時の状態を確認しておくことで、変化が現れた場合を敏感に把握する必要があるでしょう。そして、違和感を感じた場合は、速やかに婦人科医に相談しましょう。

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