鉄欠乏性貧血とは?症状・原因・検査法・治療法を知ろう!効果的な食事は?

体が異常に疲れる、全身的にだるい、少し動いただけで息切れがする、胸が痛いといった症状があることはありませんか?

その場合、鉄欠乏性貧血が疑われます。めまいや立ち眩みでは貧血という可能性は極めて低いですが、気になる人は医師に診てもらいましょう。

貧血には鉄欠乏性貧血以外に、溶血性や骨髄性など、様々な種類があります。独断で決めないようにしましょう。ここでは、鉄欠乏性貧血について、詳しく説明していきます。

鉄欠乏性貧血の原因

血液 赤血球

何らかの原因で出血が起きたり、鉄の摂取量が不足するとその分、ヘモグロビンと鉄も足らなくなります。

まず、その鉄とヘモグロビンの関係と、それらがどういった原因と繋がって鉄欠乏性貧血になるのかを見ていきましょう。

ヘモグロビンと鉄の関係が原因

血液の中には赤血球が存在し、その赤血球の多くにヘモグロビンと鉄が含まれています。ヘモグロビンは、血色素のことを言い、赤血球の大部分を占めています。つまり、赤血球の赤色は、ヘモグロビンということです。

鉄は、血色素(ヘモグロビン)を構成する必須成分の1つになります。血色素が酸素と結合し、全身に酸素が運搬されるためには鉄は必要不可欠ということです。その鉄が不足すると、血色素を十分に合成することができなくなり、貧血につながります。

鉄の摂取不足

偏食や外食をして食事の栄養バランスが乱れていたり、過度なダイエットなどによって摂取する栄養が不足していると貧血の原因になります。また、妊娠すると母体にも胎児にも鉄分が必要となり、鉄の需要量が増加します。授乳を行っていると、更に鉄の喪失量が増えます。

成長期も同様、体が成長していく分、鉄の需要量が増加します。これに対して、鉄の摂取量が間に合わないことがあります。

鉄の吸収障害

代表的なものとして、胃切除術といった、胃などの消化器の疾患に対して切除すると、鉄やヘモグロビンの体内への吸収率が低下し、鉄が不足します。

月経過多

女性の場合は、子供の頃から閉経になるまで、月経による出血が続きます。月経不順がなければ定期的に毎月、数日間の出血が続きます。

そのため、女性の方が男性よりも鉄欠乏性貧血に陥りやすいです。月経過多の場合は、顕著に体内が血液不足になります。

女性特有の病気

女性の場合は、月経以外にも、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮内膜ホリープ等によって大量の不正出血を生じる場合があります。

これが長期的に続くと、鉄欠乏性貧血が起きる可能性があります。特に、⒛歳代後半から発症率が高くなるため、病院で定期健診をすると良いでしょう。

消化器症状からくる出血

月経の出血以外に、病気による出血で血液不足になります。血液不足になるということは、赤血球が大量に減るということなので、鉄不足になります。

例えば、胃・十二指腸の炎症や潰瘍による出血、胃がん・大腸がんといった癌による出血、痔など、これらの消化器出血が起きる胃腸障害が原因となる場合があります。

男性・女性共に、中年以降は胃腸障害が増加する傾向にあるため、注意が必要です。

高齢者の場合

高齢者の鉄欠乏性貧血の原因は、重篤な病気が関係している可能性があります。高齢男性の場合は、何らかの病気による出血が原因であり、高齢女性の場合は、それに加えて閉経が悪い影響を与える場合に起きます。

鉄欠乏性貧血になるほどに鉄不足になるということは、鉄分の摂取不足ではない限り、体内の見えないどこかで長期的・慢性的に出血が起きているということです。

考え得る危険な原因は、「出血」でも述べたような消化管のがんや潰瘍、女性では閉経後の子宮筋腫などが挙げられます。成人にも起こり得る病気ですが、体の細胞が酸化していくと、そういった病気にかかりやすくなります。悪性のものだけではなく、良性の病気でも放置して大量に出血していると貧血になります。

病気によっては初期症状に対して自覚症状は感じられにくく、気づく可能性が低いですが、初期から痛みが伴うものは気づくことができます。また、重度・末期になってから発覚する病気もあります。

遺伝性の有無

遺伝との関連性は明確にされていません。

鉄欠乏性貧血の症状

疲労 疲れ

貧血では自覚しやすい症状として、2大症状があります。

それは、全身の倦怠感と息切れです。その他にも鉄欠乏性貧血の特徴的な症状として、氷食症も挙げられます。それぞれ、どういった症状なのか説明します。

発症率

鉄欠乏性貧血は、様々な種類がある貧血全体の約7割に各当しており、「貧血の代名詞」とも言われています。

特に、女性になりやすいです。多くの女性の内、10人に1人の割合で鉄欠乏性貧血になります。特に、月経過多の若年層の女性は、排出される鉄が多いため鉄欠乏性貧血になりやすい傾向にあります。月経の時には注意が必要です。

また、男性の場合は、痔が原因で起きる場合があります。痔でも出血が起きるためです。

主症状は11つある

鉄欠乏性貧血で見られる主症状は、労作時息切れ、全身が「だるい」と感じるといった全身倦怠感、易疲労性、頭重感、動悸、胸痛、味覚障害、顔面蒼白(血の気がなくなる)、爪がもろくなる(爪の甲が内側へ凹むスプーン状爪になる。爪の甲が反り返るイメージ)、口角炎や舌炎、飲む込みの能力が低下するといった嚥下障害が挙げられます。

貧血が緩徐に進行する場合は、症状がほとんど出現しないことがあります。

全身倦怠感と労作時息切れは鉄欠乏性貧血の2大症状なので、後ほど詳しく説明します。必ずしも全ての症状が起きるわけではありませんが、体内の鉄の量が不足することで、爪の栄養が不足し、爪が割れやすくなることがあります。口角炎や舌炎は、口の端や唇の表面・舌に炎症が起きて荒れたり、ヒビ割れたりすることです。

肌も乾燥して、かさついたり、髪が抜けやすく、枝毛もできやすくなることがあります。味覚障害は、特に酸味が沁みる様な感覚が起きます。

全身倦怠感

貧血になるということは、ヘモグロビンや鉄の量が減るということです。

体を動かすために必要な酸素は、赤血球中のヘモグロビンと結合して全身に行き渡ります。つまり、貧血になるということは、全身が酸素不足にもなるということです。

酸素は呼吸や心臓を動かす、筋肉を動かすと様々な体の機能に必要ですが、酸素不足になるとそれらができなくなります。よって、体が異様に疲れやすいといった全身倦怠感が起きやすくなる可能性があります。

労作時息切れ

息切れといっても、何も活動をしなくても起きる安静時の息切れと、運動時に起きる息切れがあります。鉄欠乏性貧血で特徴となる息切れは、運動時の息切れ、つまり労作時息切れです。

運動をしたり、階段を昇り降りしたりするだけで、その行動に伴って息切れが起きます。この症状が見られる場合は、鉄欠乏性貧血の可能性があります。

氷食症(氷かじり)

氷食症は、鉄欠乏性貧血の特徴的な症状です。「異食症」とも言われます。これは、長期的に鉄が欠乏している状態の人に見られることがあり、比較的他の症状に比べると重度の状態にあります。その文字の如く、「氷をかじりたくなる」という症状です。このような、氷のように硬い物をかじりたくなるという症状が起きる原因は、明確化されていません。

また、氷をかじりたくなるという以外に、「壁紙を食べたくなる」など、食べ物以外の物を食べたくなって口に含んでしまうといった病状も見られることがあります。

詳しくは、氷を食べるのは氷食症という病気?癖がある人は要注意!を読んでおきましょう。

鉄欠乏性貧血の検査・診断

血液検査 採血

まず、血液内科のある病院にて検査を行い、その結果を元に治療を行います。

学校や職場、または個人的に受ける健康診断で異常が見られる場合は、再検査と治療が行われます。

血液検査

健康診断でも行われる血液検査にて鉄欠乏性貧血の状態を検査し、診断していきます。血液検査は、必要不可欠な検査です。鉄欠乏性貧血と診断するものには5つあります。

それは、赤血球数(赤血球の量)、ヘモグロビンの量(濃度)、赤血球の大きさ、血清鉄(血液中の鉄の量)、血清フェリチン(血液中のフェリチンの量)の5つです。フェリチンとは、「貯蔵鉄」の指標となり、体内にどの程度の予備の鉄が蓄積されているかの値を示します。これら以外にも、ヘマトクリット値も調べます。数値が全て低下していると、鉄欠乏性貧血の恐れがあります。

血液検査の費用は、健康保険が適応するため、自己負担額は約1000円~3000円となります。健康保険がどのように適応するかによって変わります。また、簡易な検査で、直ぐに血痂も出るため、フィードバック含めて1時間もかからない程度で検査と診断は終了します。

トランスフェリン飽和率

血液検査の他に、トランスフェリン飽和率も調べます。数値は、「%」で示します。赤血球の主成分の代表的なものは、ヘモグロビンです。

そこに一緒に含まれる鉄は、体内で鉄単独で存在することはできません。鉄は、タンパク質と結合して存在しています。そのタンパク質が、「トランスフェリン」と言われます。体内に蓄積されている鉄が、造血器の気管である骨髄に運搬される場合は、鉄はトランスフェリンと結合して血液中へ運搬されます。

よって、鉄欠乏性貧血を診断するためには、血液中のトランスフェリンが、どの程度鉄と結合しているのか、その飽和度を調べる必要があります。通常、トランスフェリンと結合している体内の鉄は、約0.1%です。

フェリチン濃度

数値は、「ng/ml」で示します。鉄は、生死に関わり、生命維持には不可欠な赤血球の主成分として存在します。よって、血液検査でも述べたように、鉄とフェリチンが結合して貯蔵鉄として体内に蓄積されます。貯蔵鉄は、平均約3~4gあります。

貯蔵鉄が使われるタイミングは、食での鉄不足や出血によって鉄不足になった時です。血液中に放出していきます。貯蔵鉄がある分、体内の鉄が不足気味だからといって、直ぐに鉄欠乏性貧血にはなりません。それになるのは、貯蔵鉄も使い果たした時です。

検査でフェリチン濃度を計測した結果、平均値よりも値が低い場合、鉄欠乏性貧血と診断します。

鉄欠乏性貧血の治療方法

薬物療法

治療は、基本的に鉄欠乏性貧血という鉄不足が発覚する以外の病気がなければ、鉄剤での対応となります。

鉄欠乏性貧血は、貯蔵鉄も全て使い果たしている状態であるため、鉄を食事で補うことは難しいです。そのために、鉄剤の服用を継続することが重要です。

鉄剤の服用と経過

治療開始から毎日1~2錠の鉄剤を服用していきます。鉄剤の鉄量は、100~200㎎です。約1~2週間経過すると、網状赤血球が増加し始めます。約3~4週間では、ヘモグロビンが増加します。約2~4ヶ月間経過すると、赤血球量(ヘモグロビン量)が正常値まで回復します。その人の全身状態にもよって変わるため、個人差はあります。外来で定期的に血液検査を行って、経過を見ていきます。

症状が軽快すると、治ったように勘違いする人も多くいますが、完治はしていません。貯蔵鉄量を回復させるためにも、更に数か月服用し続ける必要があります。

途中で服用を中止すると、直ぐに鉄欠乏性貧血になるため、自己判断で中止することはしないようにしましょう。また、鉄剤の服用を続けると、氷食症の症状も消失します。

なお、鉄剤を経口投与する際に、ビタミンCも同時に摂取すると、鉄の吸収率が上がります。

鉄剤の副作用

副作用は、消化器症状が出現します。主に、嘔気、腹痛、便秘、下痢といった症状です。担当医に相談すると、症状を軽快させる薬を処方してもらうことができます。

鉄剤の内服を継続すると、余分に余って吸収されない鉄が排泄されるため、便は黒くなります。これは、特に体に害はありません。

歯磨きを粗相にすると、歯が黒く変色する可能性があるため、注意が必要です。

鉄剤の経口投与の安全性

内服の鉄剤は、妊娠期間中や授乳期間中であっても服用の継続は可能です。月経過多が原因の鉄欠乏性貧血の場合でも、閉経するまで薬の服用を継続することができます。

薬は、基本的に冷たすぎず熱すぎない水で飲む方法が適切です。しかし、鉄剤の場合は食事中に服用しても問題はなく、お茶と一緒に服用しても問題はないという報告がされています。それほど、鉄剤の安全性は高いです。

静脈注射

鉄剤が飲みにくいという場合は、鉄の静脈注射を施行します。注射する量は、その人の体内で不足している鉄量を計算し、必要な鉄量を注射します。

日常生活での対処方法

レバー サラダ

人の体の鉄の吸収率は約10%と、鉄が吸収されにくいです。体外へ排出される鉄量が1日1mgであるのに対し、10mgの鉄を摂取する必要があります。

特に、女性は定期的に閉経がくるまで月経で大量の血液量が体外へ排出されてしまい、出血量が多いほど慢性的に鉄不足に陥ります。その場合の鉄の必要量は、2~12mgと、通常の何倍にもなります。では、鉄を補うためには生活していく上でどのようにしていくと良いのか、対処方法を紹介します。

食事療法

鉄不足にならないようにすることが大切であり、意識して栄養バランスのとれた食生活を送るようにこころがけましょう。偏食や外食は控え、1日3食欠かさず食事をしましょう。どうしても、外食をしないといけなく、食事の栄養バランスが乱れる時がある場合は、サプリメントで栄養を補うようにしましょう。

また、食事内容の改善によって、腸内環境も改善され、便の通りも良くなり、全体的に健康になることができます。

オススメの食品

食品に含まれる鉄分は、ヘム鉄と非ヘム鉄の2つがあります。ヘム鉄は、肉類や魚介類といった動物性食品に含まれます。特に、レバーなど赤身の濃い肉や魚は鉄分が多く含まれています。非ヘム鉄は、緑黄色野菜や穀類、海草といった植物性食品に含まれます。もちろん、ヘム鉄の食品の方がより効率的に鉄を吸収することができます。一般的に吸収率の良い食品は、レバーです。レバーが良いとされる理由は、貯蔵鉄が肝臓に存在しているためです。

但し、ヘム鉄の食品ばかりを多く摂取していると偏食になり、他に必要な栄養素が不足してしまいます。動物性食品も植物性食品も組み合わせて、それぞれの食事量をバランス良くしましょう。2つを組み合わせると、植物性商品の栄養の吸収量も増加し、ビタミンBやビタミンC、タンパク質といった栄養素を豊富に吸収することができます。これらも、組織を修復するには必要な栄養素となります。

サプリメントに頼り過ぎない

食事療法で、サプリメントでの栄養の補給もオススメしていますが、医師に処方される薬と比較すると、サプリメントの鉄の含有量が少ないです。

体の変化を捉えるのにも長期的な経過観察が必要です。人によっては、毎日サプリメントを飲んで数か月後に何となく変わったような、変わっていないような気がする、といった程度の変化になります。

結局、結果的には鉄剤の薬を経口投与して治療を行った方が適切で早く治せることがあります。

まとめ

食事 健康

ここでは、鉄欠乏性貧血について触れていますが、貧血には様々な種類があり、症状も異なります。

鉄欠乏性貧血は、基本的に全身の倦怠感や労作時息切れが主症状となるので、怪しいと感じたら直ぐに病院へ行く様にしましょう。

内科的な疾患がなければ、鉄剤や静脈注射のみの処置で済みます。薬を飲むだけではなく、日頃から食事の栄養バランスにも気をつけて、貧血を起こさないように予防をしていきましょう。

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