生理予定日が近くなると、毎回下痢で悩まされる……。そんな人も多いのではないでしょうか?
女性は閉経するまで、不快な生理の症状と長い年月付き合っていかなければいけません。原因と予防法を学んで、悩み続けた生理前の下痢の症状とここでお別れしましょう!
生理前になぜ下痢になるの?
女性は代謝が悪いことから、便秘になりやすいと言われています。しかし、生理前になると今までの便秘が嘘だったかのような、ひどい下痢を起こして悩んだ経験のある方も多いと思います。
実は、生理前の下痢には代謝の良し悪しは関係なく、女性ホルモンが関わっているのです。ここでは、意外と知らない女性ホルモンの仕組みと働きをまとめつつ、下痢を引き起こす原因を教えます。
女性ホルモンの仕組み
単語は何度も聞いたことがあると思いますが、意外と「女性ホルモン」の詳しいことを知らない人も多いのではないでしょうか。女性ホルモンには、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」という2種類があります。この2つのホルモンは、生理の周期に合わせて分泌量が大きく変化します。
生理が終わった数日後から排卵が起こるまでは、卵胞ホルモンが分泌されます。一方、排卵日の数日後から生理までは、黄体ホルモンが多く分泌されます。このように、わずかな期間で違う種類のホルモンが分泌されるため、女性の体や心には生理周期に合わせて様々な変化が訪れるのです。
女性ホルモンの働き
では、「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」、この異なる2つのホルモンはそれぞれどんな働きをするのでしょうか?
卵胞ホルモンは、妊娠の準備を進めるホルモンで、女性らしい体を作ります。主に、排卵日を目指して卵巣内の卵胞を育て、排卵と受精に備えます。そして、受精卵が子宮に着床する手助けをするために、子宮内膜を厚くします。卵胞ホルモンが多く分泌される時期は、女性の体調は比較的良好で、気持ちが安定するだけでなく、血行が良くなったり、肌の調子が良くなるでしょう。
一方、黄体ホルモンは、妊娠が継続するように女性の体を守るホルモンです。卵胞ホルモンによって厚くなった子宮内膜をより厚く、柔らかくして、受精卵が着床しやすいようにサポートします。また、基礎体温を測っている方はご存知の方も多いと思いますが、妊娠成立に備えて体温を上げます。この時期の基礎体温は、排卵日前と比べてぐんと上がり、高温期と呼ばれます。
卵胞ホルモンが多く分泌される時期とは対照的で、黄体ホルモンが分泌される時期の心身の調子は悪くなることが多く、女性にとってはブルー期とも言えるでしょう。例えば、肌が荒れやすくなったり、顔や手足などがむくみやすくなります。また、貧血になりやすく、人によっては気分の浮き沈みが激しくなる場合もあるでしょう。
そして、生理前の症状で多くの女性を悩ますのが、体重の増加です。黄体ホルモンが多く分泌されている時は、体外に栄養を排出する働きを抑えるため、便秘で悩む人も多いでしょう。
生理前に下痢を引き起こす原因
さて、ここまで女性ホルモンの仕組みと働きを見てきましたが、生理前に分泌される黄体ホルモンは、排卵後から生理前にかけて栄養を体外へ排出するのを防ぐため、ホルモンの性質的には生理前には下痢ではなく、便秘になるはずなのです。では、生理前に下痢を引き起こす原因は、黄体ホルモンの働きは関係ないのでしょうか?
答えは、黄体ホルモンは大きく関係します。受精卵が着床せず妊娠が成立しなかった場合、生理の数日前から黄体ホルモンの分泌量は徐々に低下をして、毎月生理が起こります。つまり、この周期は妊娠が不成立だと体が察知すると、便秘の要因である黄体ホルモンの分泌が生理前に少なくなり、抑えられていた腸のぜん動運動が急に活発に働き出すため、下痢を引き起こすのです。
生理前の下痢を予防する方法
生理は、不順でない限りほぼ毎月起こることで自然の摂理です。しかし、長い年月付き合っていかなくていけないため、不快な症状や痛みは少しでも抑えたいものです。
ここでは、生理前に引き起こす下痢を予防する方法を、3つご紹介したいと思います。
食生活を見直す
必須脂肪酸といわれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、ホルモンの調整を整えると言われており、女性の健康維持に欠かせない栄養素です。しかし、体内で生成されるものではないので、日々の食生活で積極的に摂取する必要があります。DHAとEPAは、マグロやカツオ、イワシやアジなどの青魚に多く含まれています。
青魚の他にも、体を冷えから守る根菜類の摂取もおすすめです。根菜類は食物繊維も豊富なので、便秘体質を改善してお通じを安定させておくことで、反動で強い下痢を引き起こすケースも少なくなるでしょう。
ストレスの軽減
強いストレスを感じながら生活をし続けた結果、生理が止まってしまったというケースがあるほど、ストレスは女性ホルモンの分泌の妨げとなり、必ず防がなくてはいけません。
そのためには、職場や家庭の環境を整えるのはもちろん、睡眠時間の確保や睡眠の質を上げること、リフレッシュできる時間を作るなど日々の暮らしを調整して、ストレスを溜めない工夫をしましょう。良き理解者であり、悩みを相談できる人が近くにいるとさらに良いです。
禁煙
喫煙者には、黄体ホルモンの分泌量が変化する生理前は特に、節煙や禁煙をすることをおすすめします。また、あなた自身が吸っていなくても、副流煙として体内に煙を取り込んでしまう環境に置かれている方も注意が必要です。
たばこにはニコチンという成分が含まれています。この成分は自律神経を刺激し、副交感神経と交感神経のバランスを崩してしまうのです。こうして自律神経のバランスを失うと、突然腸の働きが活発になり、下痢を引き起こすこともあります。生理前の黄体ホルモンの変化と、ニコチンの成分がもたらす自律神経の変化、この2点が要因となり下痢の症状を引き起こすことも十分に考えられます。下痢予防のためにも、禁煙する努力をしましょう。
また、喫煙は血管を収縮させるため血行不良を起こし、冷えを招きます。下痢に冷えは天敵です。副流煙にも気を付けましょう。
下痢になった時の対処法
原因を理解し、予防もしっかりしたけれど、ホルモンの分泌を細かくコントロールするのは困難です。気を付けて生活していても、生理前に下痢になってしまうことももちろんあります。そんな時は、この対処方法で乗り切りましょう!
睡眠をたっぷりとる
睡眠時間を確保できないと、ストレスや疲労につながります。ストレスや疲労は体温を下げるだけでなく、女性にとっては女性ホルモンの分泌がうまくいかなくなり、さまざまな病気の原因にもなります。
まず、生理前に下痢を引き起こしてしまった場合は、睡眠時間をしっかりと確保して、きちんとした時間に起床をし、規則正しい生活を心がけましょう。3食決まった時間に食事を摂ることも大切です。安定した精神で、正しい生活をすれば、体温調整やホルモンの分泌も正常になり、下痢の症状も和らぐでしょう。
体を温める
手や足の先など冷えやすい体の末端部分をはじめ、お腹や腰を中心に冷えから体を守りましょう。ホッカイロや腹巻、首に保温性のあるタオルを巻くなど、体調やその時々の季節に合わせて調整をしてください。
ちなみに、入浴などで体を温める場合は、湯冷めなどの可能性もあるため、湯上り後すぐに衣服を着て、濡髪のままでいないよう注意しましょう。
アルコールやカフェインの摂取を控える
付き合いなどの飲み会を回避できず、生理前の下痢中に関わらず、アルコールを摂取しなくてはいけない場合もあるかもしれません。しかし、アルコール飲料は腸の働きを刺激し、下痢の症状をさらに加速させるので、できるだけ控えましょう。
また、コーヒーや緑茶などに含まれるカフェイン飲料も同じです。少量なら問題ありませんが、ティーカップ3~4杯を毎日飲むなど大量に摂取するのは控えましょう。コーヒーや緑茶の代わりに、たんぽぽ茶や麦茶、ルイボスティなどノンカフェインのお茶がおすすめです。飲む際は、冷蔵庫で冷やしたものではなく、常温かホットで飲むと下痢で腹痛を起こしている時はいいでしょう。
下痢止めを常備する
対処法ではありませんが、生理前に下痢を引き起こす場合は、突然腹痛が襲うケースがあります。お勤め中の女性や学生の方々など、外出している時間が長い方は特に、安心材料として下痢止めを常備することをおすすめします。現在は、水なしでも服薬できる下痢止めもあるので、薬局で薬剤師におすすめを聞いて購入するといいでしょう。
妊娠の可能性もある
下痢止め薬の常備をおすすめしましたが、気を付けなくてはいけない点が1つあります。
これまで原因をまとめてきた通り、黄体ホルモンの分泌量が変化することで生理前に下痢を引き起こすことがありますが、実は妊娠の初期症状で下痢を引き起こすケースも考えられるのです。妊娠が成立するかどうかの妊娠超初期に、着床が成立したことによってホルモンバランスが崩れ、下痢を引き起こすことがあります。
生理数日前の妊娠超初期の段階では、市販で購入した妊娠検査薬では陽性反応がまだ表れず、普段の下痢だと思い込み、薬を服薬してしまう人も少なくありません。妊娠の可能性がある人は、結果がわかるまで薬を飲むのはやめましょう。
体温の変動で妊娠の可能性があるかどうかがすぐにわかるので、基礎体温を毎日つけることをおすすめします。
まとめ
生理前に引き起こす下痢の原因は、黄体ホルモンの分泌が関係していました。原因は分かりましたが、女性の体はとても繊細で、その時々の精神状態で体調が変化することも多々あります。日々の暮らしの中で予防をして、下痢を引き起こしてしまった場合は対処法も実践しているけれど、必ず毎回同じタイミングで同じ症状が表れるとは限りません。毎周期のことでひどくお悩みの方は、婦人科で一度相談することをおすすめします。