感染性外陰炎の場合は大腸菌外陰炎という病名に聞き覚えがありますか?実は、女性であったら誰でもかかる可能性のある病気なんです。
外陰炎はデリケートゾーンに症状がでる病気なんですが、自分で気づくことも少なく、なかなか受診にまで踏み出す勇気が出ない方もいます。しかし、この病気を放っておくと外陰が白く変色してしまう危険があるためきちんと症状を理解していくことが重要です。今回はそんな外陰炎についてご紹介します。
この記事の目次
外陰炎ってどんな病気なの?
女性の2人に1人が感じているというデリケートゾーンのかゆみ。
実は、このかゆみは外陰炎という病気なんです。外陰部(性器の外側の部分の総称であり恥丘・大陰唇・小陰唇・陰核・尿道口・膣前庭・会陰のこと)にかゆみを感じたり、痛み、熱い感じ、違和感であったり、排尿時にしみるなどの症状があると、さらに外陰炎の可能性が高いということができます。
また、以下の条件に当てはまる方は外陰炎の可能性が考えられるので、心配な方は医者に受診してみてくださいね。
婦人科の病気であり、患部にかゆみがある
外陰炎は、主にデリケートゾーンのかゆみとして症状が出る場合が一般的です。その為、症状が出た場合には婦人科の受診をおすすめします。
デリケートゾーンの症状とあって、なかなか医師に相談できずに放置してしまう方も多いのですが、症状が進行すると外陰部の皮膚が白く変色し、分厚くなってしまいます。
ひどいとかゆみが続いてしまうこともあるため、早めに受診し、治療を行うことが重要です。最近では婦人科で女性医師を指名することもできる病院もあるようなので心配な方は調べてみてくださいね。
膣炎を合併しやすい
外陰炎はデリケートゾーンの症状です。
しかし、合併症を発症する場合もあります。その合併症が、膣炎です。膣自体は普通は弱酸性に保たれているためきれいなのですが持病や体調不良などといった体の免疫性を低下させる攻撃を受けた場合外陰炎により発症した細菌などに感染しやすくなり、通常は守られている膣が炎症を起こしてしまう場合があります。
この膣炎にはいくつか種類があり、外陰炎に加えて発症してしまった場合様々な器官に影響が与えられるという危険性があるため、同時に治療を行う必要があります。
外陰炎は何が原因で発症するの?
外陰炎の原因を紹介します。
細菌・原虫・真菌(感染性外陰炎)による発症
外陰炎は原因によって名称が異なります。いくつか種類がありますが、感染性外陰炎の発症減は主に大腸菌・ブドウ球菌・連鎖球菌・淋菌・嫌気性菌などの細菌や、トリコモナスなどといった原虫カビの仲間である、カンジダなどの菌であるといわれています。これらの細菌は実は、体外からかかるだけではなく、腸内に存在している大腸菌が便に含まれ、その便が排便の際に外陰部のほうに触れると感染することもあるため、予防が難しい場合もあります。
反対にブドウ球菌は食物などに含まれ、食中毒を起こすものなので食中毒に対しての対策を怠らなければある程度防ぐことができるともいえます。連鎖球菌はヒトの鼻から、鼻腔・鼻咽腔・咽頭・喉頭といった鼻からのどにかけての部分に常に存在しており、咳やくしゃみなど鼻やのどを通過する空気によって感染をします。ほかにも淋菌の場合はほとんど性行為によって感染します。
この感染性外陰炎にかかると、外陰はひどいかゆみや湿疹におそわれます。また、膣炎を発症しやすく、その場合おりものがしろっぽいチーズであったり酒粕のような状態になることが多いといわれています。
外陰部への刺激(非感染性外陰炎)による発症
ほかにも、外陰炎は外陰部の刺激やあらいすぎによって発症する場合があります。この場合の刺激とは、下着のこすれや蒸れであったりおりものや月経の血液、尿や便などもふくまれます。感染性でない外陰炎の場合には原因は感染症ではないことから非感染性外陰炎と呼ばれています。もしくは、外陰部の刺激によって生じるので接触性外陰炎と呼ぶこともあります。
外陰部は尿や便だけではなく、生理がちかくなると特に経血やおりものなどで不潔になりやすいといわれています。加えて下着などでこすれたり、むれることで通気性が悪くなるのも外陰部によって悪影響を及ぼします。生理中は特に免疫力も低下しているので症状がでやすくなるといわれています。
外陰炎の症状とは?
かゆみ・痛み・違和感・熱感・性交痛など
外陰部のかゆみが一番の症状であるといわれていますが、そのほかにも外陰部に痛みや違和感、熱っぽい感じ、性行時に痛みを感じるなども症状の1つですまた、感染性外陰炎の場合は痛みやかゆみは外陰部だけにとどまらず、肛門付近までひろがることもあります。
かゆみや痛みが小さいものであったり、一時的であったりするとなかなか受診することもありませんが、外陰部に違和感を感じたら一度受診することをおすすめします
ほかにも発赤・ただれなど
なかなか確認するのは難しいと思いますが、外陰部に違和感を感じたら、確認してみることをお勧めします。鏡やパートナーにお願いして外陰部が赤くただれていないか、また膨張していないかを確認してみてください。
ほかにもおりものがカッテージチーズやおかゆ、おからのような状態になってしまっている場合、カンジダに感染している可能性が高いといえます。これは性行した相手にも感染してしまっている可能性があるため、検査をうけたほうがよいでしょう。男性の場合カンジダにかかっても自覚症状がないため、疑いがある場合は現状にかかわりなく、医師の受診をおすすめします。
外陰炎になりやすい人とは?
皮膚の弱い人や肥満の人
初潮を迎えたばかりの思春期の女性ははじめて感じる経血や蒸れなどの皮膚の刺激によって炎症を引き起こしやすいといわれています。加えて、皮膚の弱い人も同様に外陰炎を発症しやすいといわれています。同じ原理で肥満の人も皮膚が下着にこすれやすいのでかぶれたりただれたりといった外陰炎の症状を引き起こしやすいといわれています。
そのため、自分に合うサニタリーグッズであったり化学物質が含まれておらず比較的に肌にやさしい布ナプキンなどを使用するのがおすすめです。また、普段の生活でもできるだけ刺激のすくない肌にやさしい素材のショーツを身に着けることを心がけ、清潔に保つことが重要です。
性交が頻回にある人
性交をすると、こすれなどにより性器に目視では確認できず、痛みも感じないほどの小さな傷がつくことがあります。その為、性交の回数が多ければ多いほど傷がつきやすいため、傷口から炎症が起きやすいということができます。
また、特定のパートナーだけではなく、不特定多数との性交をする方は傷が増えるという可能性のみならず感染経路が増えるため、性感染症の可能性も高くなります。その為、外陰炎も発症しやすくなるといわれています。
高齢者や免疫力の低下している人
閉経後の女性は女性ホルモンである、エストロゲンや卵胞ホルモンの分泌が圧倒的に減少します。その為、膣内部において乾燥であったり萎縮をするため、雑菌が繁殖しやすくなるといわれています。加えて、この乾燥や萎縮は傷を引き起こすため、繁殖した雑菌も感染しやすく、外陰炎の危険性が高まるといわれています。
また、閉経後というとかなり高齢になってくるため、細菌やウイルスなどといった外敵から守る免疫力が若い頃より低下しています。その為、本来であったら支障がない細菌などに感染しやすくなるため外陰炎にもかかりやすいといわれています。
免疫力の低下は加齢だけではなく、疲れやストレス、不健康な食事や運動不足などといった生活習慣の不摂生にも原因があるため、自身の生活を見直し、バランスのよいものに心がけることが重要です。
糖尿病・アレルギーなど持病のある人
糖尿病・アレルギーなどの持病があるかたは、免疫システムが低下している可能性が高いため、外陰炎になりやすいといえます。これは、持病のせいで体が弱っていたり、投薬によるステロイドホルモン剤の摂取によるものです。
糖尿病にかかると、体内バランスが崩れて免疫力が低下する場合があります。ステロイドホルモン剤を投薬すると、本来副腎で作られているステロイドホルモンが増加しすぎ、体内で作られるはずのステロイド自体は減少します。結果的に体内でのホルモンバランスが崩れるため、免疫力は落ちてしまうのです。
外陰炎の診断方法とは?
婦人科・産婦人科・皮膚科を受診する
誤診を防ぐためには病院での受診が一番のおすすめです。婦人科、産婦人科以外にも皮膚科でも診断は可能です。診断する際には問診した後に、直接患部を確認し、視診をします。感染性外陰炎の恐れがある場合には外陰部から菌を採取して顕微鏡で確認を行います。
市販の検査キットを使って調べる
外陰炎の検査キットは現在販売されていないものの、性感染症を確認する検査キットはドラッグストアなどでも購入することができます。
これは、感染性外陰炎のうち、カンジダ・トリコモナス・淋病などを検査することができるため、すぐに病院にかかることが難しく、感染していないかどうか調べたい方は検査してみるのもおすすめです。
日常で外陰炎につながりやすいこととは?
不衛生にしている
外陰部が不衛生だと、外陰炎を発症しやすくなります。通気性が悪い下着をつけていたり、デリケートゾーンに生理中の経血やおりものが付着したままだとかなり不衛生です。
加えて、生理中のナプキンの使用は蒸れを引き起こすため、さらに雑菌の繁殖を引き起こしますまた、ガードルやパンストなど体型補正する下着を長時間はいているとデリケートゾーンはむれやすくなるため、できれば締め付けが少なく、通気性がよい下着を身に着けるのがおすすめです。生理中はナプキンをこまめに付け替え、清潔に保つことが重要です
外陰部にできた傷から炎症が起こる
下着や生理用品による摩擦や、セックスやマスターベーションなどでは外陰部に傷がつくことがあります。この傷から雑菌が入り、炎症を起こすことで外陰炎となる場合があります。
それだけではなく、刺激の強いせっけんなどで外陰部を洗いすぎると、常在菌が失われてしまい逆に雑菌の繁殖がすすみます。その結果、炎症が起こる場合もあります。
腟炎になっている
膣炎の発症は外陰炎の発症にもつながります。これは、膣炎によって生じる大量のおりものが外陰炎の原因となるためだといわれています。
膣炎はそもそも、カンジダ菌をはじめとした大腸菌やぶどう球菌、淋菌、トリコモナスなどに感染して発症するものです。
もともと膣内は弱酸性に保たれているため、これらの菌が侵入することができませんが、頻繁に性行為を行ったり、それによりばい菌を移されたりすることで膣内が中世に近づいていくと、菌が膣の中に入り込み、繁殖し、炎症を起こしやすくなります。
まとめ
このように、外陰炎はさまざまな理由から発症します。デリケートゾーンの悩みはなかなか相談しづらいと思いますが、早めに受診することによって素早い完治が見込めますので、一度勇気をだして病院に行ってみてくださいね。