クスマウル呼吸とは?原因となる疾患とその他の異常呼吸を知ろう!

私たちが普段何気なくしている呼吸。この呼吸の中にはその人の健康状態を示す異常呼吸というものがあります。

有名なもので睡眠時に起こる無呼吸や激しい運動、感情の起伏でも起こる過呼吸、その他に糖尿病患者に特に見られるクスマウル呼吸というものもあります。

ここでは主にクスマウル呼吸と、その他の呼吸との見分け方やメカニズムについて調べてみました。

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クスマウル呼吸とは?

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クスマウル呼吸(Kussmaul breathing)とは、異常な呼吸パターンの1つで、努力性の異常に深大な呼吸が規則正しく続いている状態のことです。

深大な呼吸によって肺換気量を増幅させ、PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)を低下させ、アシドーシスを補正しようとする呼吸(代償性呼吸)、糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスや昏睡時、尿毒症などにも認められます。

呼吸を繰り返し行うことにより血液中の酸塩基平衡は呼吸性アルカローシスの向きに移行し、結果的にアシドーシスが補正されていきます。

規則的で持続的に続く深大呼吸で呼吸の中断は見られません。呼気時にアセトン臭(酸っぱい、柿やリンゴが腐ったような臭い)が認められることのほかに、眼球が柔らかくなることも特徴です。

ドイツの内科医、アドルフ・クスマウル(1822〜1902)が、糖尿病性ケトアシドーシスの患者特有な呼吸の存在を発見し1874年に報告、クスマウル大呼吸と命名しました。

クスマウル呼吸が発生しやすい人は?

クスマウル呼吸は主に糖尿病患者にその発症が見られます。

I型糖尿病の患者に発症することが多く、原因はインスリン投与の中断や外傷や感染などによって起こる相対的なインスリン作用不足の時に起きやすいようです。

あと尿毒症の患者にもみられます。

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クスマウル呼吸を引き起こすアシドーシスについて

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ここではクスマウル呼吸を引き起こすいくつかのアシドーシスについて紹介します。アシドーシスとは、体液の酸塩基平衡を塩基性ではなく酸性に傾かせる力が働いている状態のことを指す用語です。

呼吸性アシドーシスとは?

呼吸性アシドーシスは、呼吸機能の低下によって体内の二酸化炭素CO濃度が上昇したために起こるアシドーシスです。

呼吸性アシドーシスが引き起こる原因

呼吸の目的の1つとして、老廃物である二酸化炭素を体外に排出することが挙げられます。呼吸器の疾患により二酸化炭素の排出が阻害されると、血液中にそれCO2が増え、炭酸水素イオン、水素イオンの増加で水素イオン濃度が上昇、言い換えるとpHの低下を引き起こし、血液を酸性に傾かせます。その状態が呼吸性のアシドーシスです。

これはPaCO2の上昇する病態の可能性が考えられます。肺胞低換気の病態に等しく、循環器疾患、呼吸器疾患、神経筋肉疾患、レスピレーターの調節不全で起こると考えられます。肺換気の命令が呼吸中枢より行われない場合、これは鎮静剤の抑制効果や延髄の呼吸中枢の障害や代謝性アルカローシスの影響によって起こるのです。

呼吸中枢の障害の病態としては、横隔膜や神経障害をはじめとする呼吸筋の障害や疲労などが考えられます。

呼吸性アシドーシスが発症した時の対処法

また、肺のレベルで呼吸を行ったとしても、閉塞性無気肺など上気道閉塞が起こっているときに代謝性アシドーシスとなります。喘息や肺気腫でも同様の病態が現れます。

アシデミアが存在し、その原因が呼吸性アシドーシスであるケースはⅡ型呼吸不全の状態であり緊急事態の恐れがあります。生命維持を図るため気管挿管のうえ人工呼吸器を行う必要があるでしょう。

糖尿病性ケトアシドーシスとは?

糖尿病ケトアシドーシスは、高血糖性の急性代謝失調で、インスリン抵抗性が見られ体内のインスリンが不足したり、コルチゾル、アドレナリンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えることにより、インスリンの作用が弱まって機能障害を起こすことにより突発的に発症する症状です。

糖尿病性ケトアシドーシスが起こる原因

体内のインスリン欠乏により、血液中に含まれる糖質、ブドウ糖(陰イオン)を代謝することができなくなり、インスリン作用不足となり高血糖状態となります。

そうすると、体は代わりに脂肪組織を分解することでエネルギーをつくりろうとします。このときに一緒につくり出されるケトン体や脂肪酸、ケト酸が血液中に増加する高ケトン生成(高ケトン血症、ケトン体合成)をすることで、血液が酸性に傾き(ケトアシドーシス)、体に異常をきたすという仕組みです。

この多くは1型糖尿病でみられます。近年は清涼飲料水を飲みすぎることによって起こる2型糖尿病でもみられるため、ペットボトル症候群(清涼飲料水アシドーシス)とも呼ばれることもあります。詳しくは、ペットボトル症候群とは?症状や原因、治療法を知ろう!糖分や水分の摂り方に注意しよう!を参考にしてください!

代謝性アシドーシスとは?

代謝性アシドーシスとは血中の酸性物質の排泄が行われない、不揮発性酸性物質が血中で増加し異常な値を示し、重炭酸イオンが排泄されているなどの理由より起きるアシドーシスです。

なお不揮発性酸性物質とは、呼吸によって排泄されない酸のことを指します。代謝性アシドーシスによるアシデミアが存在する場合、緩衝系の働きとして、二酸化炭素を排泄する呼吸性アルカローシスによってアシドーシスを打ち消そうとします。それによって呼吸が激しくなり、症状として呼吸困難感を感じます。

詳しくは、代謝性アシドーシスの症状や原因って?治療方法も紹介!を参考にしてください!

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なぜクスマウル呼吸が起こるのか?体内のメカニズムについて

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1型糖尿病の場合において自己免疫的な機序により膵島ベータ細胞が破壊されて、インスリンが正常に体内で分泌されなくなります。

インスリンが分泌されないと細胞は糖を利用することが不可になりエネルギー不足に陥ってしまう。その結果として糖以外のエネルギー源である脂肪の分解が著しく行われます。

脂肪は肝臓内でケトン体となり、高ケトン血症という状態になります。ケトン体というのはアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸などの強酸性の物質になるので次第にアシドーシスとなるのです。すると、体が呼吸によってCO2濃度を減らしアシドーシスをアルカリ化しようとし、自然と大きな呼吸となるのです。

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その他の異常呼吸とその原因

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クスマウル呼吸意外の異常呼吸についても言及します。

徐呼吸

徐呼吸(じょこきゅう)、呼吸が12回/分以下で、1回の換気量が多い(呼吸が深くなる)状態のことである。

頻呼吸

呼吸が24回/分以上の場合を頻呼吸といいます。極端に呼吸数が多くなっている状態です。一回の呼吸が浅く、それを早く繰り返すのが特徴です。
呼吸疾患時に多くみられ、興奮や緊張などの心理状態の変化によっても起こることがあります。

多呼吸

呼吸数も増え、呼吸の深さも大きくなってしまった断続性の呼吸です。

肺血栓塞栓症や、過呼吸症候群などでみられます。他に、健康な人でも運動をした後などでみられます。

過呼吸

必要以上に肺換気活動を行う腹式呼吸です。その結果、動脈血中の酸素分圧が上昇し、炭酸ガス分圧が低下し、1回の肺換気量が増大します。初期状態は低酸素症と類似しており、程度が強くなれば手足や唇の痺れ、頭のふらつき、呼吸困難、息苦しさや悪寒、眠気、激しい耳鳴りをきたすケースがあります。

発症するシーンとしては、陸上競技(マラソン・駅伝)バスケットボール・水泳・サッカーなどの多く呼吸を必要とする運動の直後が挙げられ、その場合においては精神的な要因による過換気症候群とは異なります。

過換気症候群は、パニック障害などの患者に多くみられます。極度の緊張や興奮状態に陥った時などに発症することがあります。

精神的な状態によって引き起こされる過換気症候群は、肺からの排出される二酸化炭素の量が必要量を超え、動脈血の二酸化炭素濃度が減少し血液がアルカリ性が濃くなるため、息苦しさを感じます。

そのため、反射によって無意識に延髄が呼吸を停止させ、二酸化炭素を血液中に増加させようとします。しかし、大脳皮質は、呼吸ができなくなることを異常事態と捉えてしまい、さらに呼吸させようと命令します。

また、血管が萎縮してしまい、軽度の症状では手足の痺れ、重度のケースでは筋肉が硬直し、それらが悪循環になり発作がひどくなっていきます。

失調性呼吸

呼吸数、深さともに不規則な呼吸です。

髄膜脳炎や延髄梗塞の時に起こりやすく、呼吸数が段々と減少します。呼吸停止に移行する恐れもある呼吸です。

チェーンストークス呼吸

交代性無呼吸とも呼ばれます。無呼吸な状態を伴う周期性の呼吸で、15~20秒の無呼吸や深く早い呼吸、浅くゆっくりした呼吸が繰り返されるのが特徴です。

中枢神経系の異常、重度の腎臓疾患、鬱血性心不全、肺炎、薬物中毒、重症心不全、脳疾患などでみられます。

イギリスの内科医、ジョン・チェーンとアイルランドの内科医ウイリアム・ストークスのよって名づけられました。

ビオー呼吸

浅くて早い呼吸と無呼吸状態(10~60秒)が入れ替わり出現します。

髄膜炎や脳炎などによる頭蓋内圧亢進時や神経症、神経循環無力症の方に起こります。組織障害が延髄にある呼吸中枢に及ぶと、ビオー呼吸を行うようになります。

メカニズムに関して有力なものでは、呼吸中枢の血中二酸化炭素レベルに対する反応の低下または感度の不安定化,血中二酸化炭素の状態を決定するうえで主役となる肺と,感知する呼吸中枢間の血液循環時間のズレなどが関係しているといわれる。

そのほとんどは一時的なものですが、重症患者の場合喘ぐようになり、呼吸が停止してしまう場合もあります。

鼻翼呼吸

鼻翼(びよく)呼吸とは、呼吸困難の兆しとされます。呼気時に鼻がピクピク膨らむ動きをする呼吸です。

細気管支炎、急性喘息、気道閉塞、クループ(上気道のウイルス感染による炎症)、急性喉頭蓋炎、急性肺炎、心疾患など様々な病気の時に確認されます。

乳幼児によく見られる呼吸で、一時的な場合もあれば慢性疾患となる場合もあります。その多くは器官と咽頭の炎症です。また、急性の喘息の場合、鼻翼呼吸のほかに胸の締め付けや息切れなどの症状を伴うことがあります。

乳幼児の鼻翼呼吸が続く場合には、病院で治療を行ってもらう必要があります。唇や皮膚などが青紫色になって酸欠症状が見られる際には、急いで病院へ連れて行って下さい。

あえぎ呼吸

あえぎ呼吸とは、異常呼吸のひとつで、下顎呼吸(かがくこきゅう)ともいいます。

痙攣見られる呼吸で、あえぐような努力性の強い呼吸がみられる。脳幹部に障害を持つなどして全身状態が悪化しているときに見られる。肺でのガス交換が維持できない状態です。

頭をそらしたり傾けるようにして必死に呼吸します。十分な換気運動がなされないため直ぐに救命処置(CPR)が必要です。

無呼吸

主に睡眠時などに見られる呼吸です。10秒の肺換気のない状態のことを指します。睡眠時に無呼吸が(7時間の睡眠中)に30回以上、もしくは1時間に5回以上あれば、睡眠時無呼吸で治療が必要です。

呼吸が止まってしまう原因は大きく2つ理由から起こります。

1つ目は、喉や首回りの脂肪の沈着や肥大のほか舌やのどちんこなどが原因で上気道のスペースがふさがってしまうことによるものです。これはもともとの骨格や太ってしまった体質によるものが起因して起こります。

2つ目は、脳から呼吸をしろ、という指令が出なくなってしまう呼吸中枢の異常です。睡眠時無呼吸症候群の発症例でもこのタイプの人は全体の数%程度です。肺や胸郭、呼吸筋、末梢神経などには異常がないのですが、脳から呼吸指令が出ないことにより無呼吸の状態が生じます。一つ目と違うところは、気道は開存したままということです。

メカニズムは様々ですが、心臓の機能が低下した高齢の方の場合には30-40%の確率で中枢型の無呼吸状態がみられます。

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まとめ

いかがだったでしょうか。

異常呼吸にはたくさんの種類があり様々な病気の様々な病気のが原因となって発症するケースが多いようです。一時的なものから死に至るサインとなるものまでありました。

胸が苦しくなったり呼吸がしづらかったり、また側近の方の呼吸に異変を感じたら何かの病気を疑ってみて一度病院で診てもらうことをお勧めします。

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これらを読んでおきましょう。

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