肺に影がある時は病気なの?レントゲンで分かる事って?

健康診断などで行われる胸部X線検査で所見あり。などの通知をもらうことはありませんか?そんな時はだいたいが肺に影がある時だといわれています。

レントゲン写真などで肺に影があると肺がんや肺結核などの重大な疾患を発症したと思いがちですが、実は肺に影があるという現象はそのほかにもさまざまな症状や状態を知らせてくれるのです。

そんな肺に影のある状態ではどのようなことが考えられるのかまとめてみました。レントゲン写真に影が発生している場合に考えられる病気や診断結果について紹介していきます。

肺の機能

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まずは、肺について紹介します。肺に備わっている機能や重要な働きについて知って、もし病気などになってしまった場合はどの様な問題が発生するかについて予備知識を付けておきましょう。

肺の機能

肺は胸部を大きく占める器官で、2つ1対の形をとっています。肺の重さは大人で約1キロあり、肝臓や脳などと共に大きな臓器の1つです。

肺の機能は、基本的には二酸化炭素を酸素と交換する機能です。必要な酸素を取り込み、その酸素は血液中の赤血球によって全身に送られ、細胞に取り込まれます。そしてエネルギーとなって使用され、二酸化炭素などの不要な気体は身体の外に排出するという機能を自動的に行っているのです。

肺の構造は、左右非対称で、上葉、中葉、下葉という三つの部分に分けられ、左側は上葉と下葉の二つに分かれています。肺の内部は肺胞というブドウのような球状の組織があり、枝分かれしながら気管とつながっています。この肺胞は酸素を溜める機能、血液中の二酸化炭素と酸素を交換する機能の2つを行い、肺胞に付く無数の毛細血管との間でその交換を行っています。

検査で肺に影があると診断された場合は、もしかしたら肺の機能に何かしらの不具合がある可能性があるということを理解しましょう。

肺がんや結核などの疾患は、自覚症状がでてからの対処だと治療が長期化することもあり、できるだけ早期発見・早期治療が望ましい疾患です。そのため、健康診断などの定期健診での検査がとても重要な役割を果たしています。特に胸部X線検査は、胸部の臓器の形やその他の異変などを発見し、重要な疾患の早期発見に役立てることができるとても重要な検査です。

肺の機能チェック

次に肺の機能について考えてみましょう。このような症状に思い当たることはありますか?もしあるとしたら、肺の機能が低下しているかもしれません。

  • 特に体調も悪くないのに、咳が長く続いている
  • 季節の変り目などに咳がひどくなる
  • 体調は悪くないのに痰がからむ
  • 痰に膿が入ることがある
  • 同年代よりも疲れやすい
  • 少しの運動でも息切れする
  • 喘息のような呼吸をすることがある
  • 喫煙している(喫煙していた)
  • 喫煙暦が長い
  • 普通に生活していて息苦しく感じる
  • 同居の家族に喫煙者がいる
  • 工場など粉塵の多い場所で働いている、または住んでいる
  • 空気の悪い場所に住んでいる。または住んでいた。
  • 過去に肺の疾患に罹ったことがある。
  • 運動不足
  • 40歳以上
  • 体調を崩しやすい

このような項目の中で思い当たることが多いときは肺の機能低下が起こっている可能性があります。検査結果で肺に影があるといわれたときには、このような症状もあわせて申告しましょう。

肺に影で連想される怖い病気

パイプ男

肺に影があるといわれて、思い浮かぶ肺の疾患でもっとも恐ろしいのは肺がんや肺結核なのではないでしょうか?

日本の死亡原因の多くががんですが、この肺がんに関しては年間の死亡者が5万人を超えるほど多くの人が発症しているがんでもあり、胃がん、に次いで大腸がんと並ぶほど死者や発症者が発生しているガンでもあります。

男性に多く発症していて、以前は喫煙者が多いといわれていましたが、最近では喫煙者以外でも多く発症するがんでもあります。

結核については最近になってまた流行り始め、主に高齢者を中心に広がりをみせています。

肺がん

肺がんとは、肺にできるがんのことです。近年発症が増加しているといわれています。

肺がんは、肺の気管や気管支、肺胞の一部の細胞ががん化してしまうもので、進行すると周りの組織を破壊し、さらに増え、血液やリンパなどの流れに乗って転移していきます。他の臓器からの転移の可能性もありますし、肺から始まる事もあります。

国立がん研究センターから報告されている肺がんの症状などについては、痰、血痰、咳、発熱、呼吸困難、胸痛などが発生することがあるとされています。

しかしこれらの症状については、肺がんだけの特有の症状ではないため、風邪や肺炎などの症状と勘違いしてしまう事も多い症状でもあります。

また、がんはどの部位に発生したものでも、初期の初期のうちでは無症状、無自覚の場合が多く、初期の状態での発見では、他の病気の検査や健康診断でしか発見できない事がほとんどです。

詳しくは、肺がんの初期症状をチェック!咳や背中の痛みに要注意!を読んでおきましょう。

肺結核

肺結核は、結核菌が体内に入り、感染することで起こる感染症です。結核菌は感染した人の中で増殖し、肺で炎症を起こします。炎症が進むにつれ、肺の細胞は破壊され、呼吸困難になり死亡することもあります。

この結核菌は発症した人による飛まつ感染によって広まっていきます。またその空気によっても感染します。そのため、発症者の近くにいると感染しやすくなります。しかし、この結核は、感染しても発症するとは限りません。結核菌は健康な人の場合は免疫力の力で結核に対し抵抗力がつき、発症しません。

また稀にこの菌が肺以外の場所で増殖し、炎症を起こすこともあり、それを肺外結核と呼びます。肺以外の場所では、脳やリンパ節、気管支や骨、腎臓などがあります。もっとも恐ろしいのは脳にできたときで、結核性の髄膜炎では発症の3分の1が死亡するという恐ろしい疾患です。

X線検査

レントゲン

では肺の影を映し出すX線検査とはどのようなものかみていきましょう。

X線は、光の一種です。物質を通り抜けることで身体の中を映し出します。胸部X線検査では、胸部にX線を照射することで、X線の光が通りにくいものが影としてフィルムにうつります。主に肺や気管支などの呼吸器、心臓などの循環器の検査が対象になります。

X線は、放射線です。放射線というと、健康被害を気にされる方もいると思いますが、一般的な胸部X線検査に浴びる放射線量は、0.065ミリシーベルトといわれ、1年間に自然界から受ける放射線の量の20分の1に相当するほど微量です。それを気にして肺疾患を見逃すほうが危険であると思いませんか?

ただし、妊娠中の女性はお腹のあかちゃんに影響を与える可能性がありますので、担当の医師と相談の上、検査を受けてください。さらに最近では、デジタル式撮影という従来の撮影よりも放射線量を少なくして撮影できる技術もできました。

胸部X線検査の判断

胸部X線検査では、身体の中にある臓器の本来の姿がきちんとあるかどうか?形やその他のできものなどの有無など、影があるかどうかで調べることが出来ます。その上でさらに詳しく検査し、判断をします。

胸部X線検査で知ることのできる疾患

・肺がん・肺炎・気管支炎・肺気腫・肺結核・肺線維症・気胸・心臓病・心肥大・胸膜炎・胸部大動脈瘤

このような疾患の初期発見に役立つといわれています。

胸部X線検査の影については、正常な肺は黒くうつります。しかし、肺などに腫瘍や炎症などがある場合、白っぽくうつり、さらに肺がんの場合には変形した円形の白い影がうつるといわれます。また肺結核の場合は境界線のぼやけたもやもやした雲のように白くうつるそうです。

もし、胸部X線検査で肺に影があるといわれた場合は、このような状態のどれかである可能性があります。しかしX線では疾患の断定はできませんので、さらに検査の必要が出てくる可能性があります。X線よりも精密なデータが取れるCT検査などが行われるでしょう。

胸部X線検査はどこで受けられる?

胸部X線検査やCT検査などはある程度設備が整っている病院でないと検査を行うことが出来ません。

これらの検査を受けようと思うと、それなりに大きな病院での検査を受信する必要があります。小さなところでもレントゲン検査くらいであれば受けられる可能性は高いですが、その後もし、何かしらの影などが確認されて、より詳しい検査が必要になると、CT検査検査が必須になっていくるのでそうなると結局大きな病院に紹介してもらっての再検査になることになります。

専門家としては呼吸器内科がより専門になりますが、総合病院での受診をする場合は耳鼻科でも内科でも構いません。

また定期的に健康診断を受けることで、早期発見をすることが出来ますので、出来れば1年おきの検査、少なくとも若年層で5年に1回の検査、50歳以上になれば2年に1回は検査を受けたほうが良いでしょう。

X線検査で分かる疾患の可能性

老人困る

X線検査では、どのような病気が判明するのでしょうか?影の状態ごとに考えられる病気について紹介していきます。

レントゲンの保管は病院側に義務があるので、患者側が持って変えることは出来ません。しかし、代金を別に払ってコピーを取ってもらったり、貸し出してくれる場合がありますので、そちらを利用してゆっくり確認することも出来ます。

目安としては貸出しの場合数千円程度、コピーを取って貰う場合1万円前後かかる場合もあります。レントゲンの焼き増しは保険適用外なので高額になります。予め知って置いて財布にお金を入れておきましょう。

肺と周囲の区別がはっきりしないような状態の影がうつる場合

  • 肺結核
  • 肺炎球菌肺炎
  • マイコプラズマ肺炎

肺と主意の境界線がわりとはっきりとしている状態で影がうつる場合

  • 肺がん(特に肺の末梢部にできやすい腺がんといわれるもの)
  • 転移性肺腫瘍(他の臓器にできたがん細胞が肺に転移したもの)
  • 結核腫(肺がんとよく似ているもので、手術で違いが分かるときもあるそうです)

両方の肺に大きく広がっている影

  • 肺結核
  • 特発性肺線維症
  • じん肺(粉塵を吸い込むことで起こる肺の疾患)
  • 肺胞たんぱく症
  • 肺好酸球性肉芽腫症(喫煙者に多く発症する疾患)

特に呼吸困難や呼吸器障害などが発生している場合には速やかな治療が必要になります。

肺の周りが広く黒くうつる影の場合

  • 肺気腫
  • リンパ脈管筋腫症(女性に特有な疾患)

肺の腫れなどを示す影の場合

  • サルコイドーシス
  • 結核性リンパ節炎
  • 縦隔腫瘍(良性の腫瘍の場合が多い)

肺の下が欠けている影

  • 肝臓肥大
  • 横隔膜ヘルニア
  • 横隔膜弛緩症
  • 神経麻痺

などの病気の可能性が考えられます。

肺の下の方が上に盛り上がっている状態になっている影が発生している場合精密検査が必要な場合もあります。

そのほか

  • 非結核性抗酸菌症(自然界にある菌で、この菌に感染した場合起こる症状)
  • 悪性リンパ腫

この場合は、肺に影があること以外に、首や鎖骨付近などのリンパ腺にしこりなどのふくらみや痛みなどを伴うことがあります。その場合は胸部X線検査以外に、CT検査や気管支内視鏡検査などの必要性がでてきます。

中には昔に治療した肺の病気の治療後などが黒く影に見えて居ることもありますので、これに関してはカルテなどを参照しながら判断していかなくてはいけません。

ですので、素人ではなかなか判断することは難しく、より精密なCT検査検査などはかかせません。

また、稀に正しい検査が行えていないと、服のボタンなどが写り込んでしまいそれが原因で影が写ってしまっている事もあります。

肺を健康的に

肺

健康診断などで、肺に影があり、再検査などといわれると、すぐに肺がんや肺結核のような重大な疾患を考えて心配する方も多いかもしれません。

しかし、この肺に影があるというのは、疾患のほかにもさまざまな原因があるのです。

肺に影が発生している時に考えられる事

たとえば、炎症や炎症の後などは、影となってうつってしまうことがあります。

さらに血管の蛇行によって影となったり、肋骨が重なっているところが影としてうつったりする場合もあります。さらに血管腫や良性の腫瘍なども影としてうつります。さらに女性の場合は乳頭が影となる場合もあるそうです。

また肺以外にも

  • 気管の位置が偏っている場合
  • 気管支拡張症
  • 胸郭変形
  • 脊椎側弯症
  • 心拡大

などの気管や骨格、心臓などの異常でも影がうつることがあります。

つまり、肺に影イコール肺がんや肺結核ではないということもあるということです。肺に影があることが分かったのなら、落ち込むより具体的に検査をし、自分や大切な人が安心できる状態になるよい機会だと思ったほうが良いでしょう。

より詳しく知るために

検査で肺に影があるといわれただけではすぐに疾患とは限りません。気になる状態であることは間違いないでしょうが、それも他の検査などをしてみなければわかりません。

もしX線検査ではっきりとしたことが分からなければ、CT検査、さらに喀痰の検査、さらに採血検査などを行うことではっきりとした診断へと導きます。

肺を健康に保つために

肺に影が出来ないように、そもそも肺の健康のために気をつけたいことはあるのでしょうか?

  • ①喫煙を減らす。または禁煙する
  • ②飲酒を減らす。
  • ③過度なストレスを溜めない
  • ④不規則な生活習慣を改める
  • ⑤肺やそのほかの自分の身体の健康状態についてよく注意する
  • ⑥少しでも異常や違和感などを感じたらすぐに医療機関に受診する

このようなことを心がけてみましょう。

レントゲン写真を撮るときの注意点

医師や看護師の指示通りに呼吸や姿勢の維持をして、その状態で動かずに撮影終了まで姿勢をキープしましょう。

ブローチやボタン類に関しても、レントゲン写真を取る上では邪魔になってしまいます。病気でもないのに異常な影などが発生してしまう可能性もありますのでこの点には注意しなくては行けません。

衣類などはしっかり脱いだり、指示以外の衣類を着用しての撮影はしないようにしましょう。

日本はレントゲン検査をやり過ぎ?

レントゲン写真でのX線の照射量について問題視する意見はありますが、レントゲンでのX線の照射量は非常に少量となっています。

日本の医学界からの見解では特に問題はないとしていますが、これが世界的に見ると異常であると言う意見があります。

世界全国の病院で行われている調査から、日本のがん患者の4%ほどの死亡原因はX線による被爆が原因であるという結果が出ています。世界的に見ても日本のレントゲン検査やCT検査の稼働率はダントツの1位となっています。

2位と2倍以上の稼働率が離れていることは確かに異常でしょう。この意見については未だはっきりとした結論は出ていませんので、もし気になされる方は最低限の検査にとどめてX線照射量を抑えていきましょう。

まとめ

いかがでしたか?肺に影が見つかっても、それがすぐに重大な疾患とは限りません。しかし何かしらの異常があることには違いないので、放置してよいものではないでしょう。

まずは冷静に判断し、医療機関で再検査など担当医と相談しましょう。そして肺を健康に保つために、健康的なバランスの良い食事を摂り、質のよい十分な睡眠を心がけ、そして適度なストレスと適度な運動をして毎日規則正しく生活するように心がけましょう。

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