筋肉が痙攣する原因とは?症状や治療方法を理解しよう!

長時間、パソコンを操作していて目が疲れてきているところに、「突然、まぶたが痙攣した」という経験をされたことのある方は、少なくないと思います。

眼精疲労は、ITが発達した現代社会では避けては通ることのできない道なのかもしれません。ですが、その「痙攣」、ただの眼精疲労ではなく、もっと重症な病気のサインかもしれません。

今日は、そんな心配をされている方のために、筋肉の痙攣についてお話ししたいと思います。

筋肉の痙攣とは

脇腹 つる

多くの人々を悩ませている痙攣ですが、実際のところ、いったいどんな症状なのでしょうか?まずは、痙攣の定義を辞書で確認しておきましょう。

痙攣(けいれん)

筋または筋群の不随意的な発作性収縮。強直性(緊張性)と間代性(かんだい)性に分けられる。前者は強い持続性の収縮で四肢が強直し首と背を後ろにそらすもので、典型はストリキニーネ中毒。後者は筋収縮と弛緩(しかん)が反復されるもので、典型は石炭酸中毒。腓(こむら)返りのように局所的なものもあるが全身性のものが多く、たいてい強直・間代の両社が合併する。てんかん、脳腫瘍、ヒステリー、尿毒症、各種の伝染病や中毒などの際に見られる。

マイペディア

辞書の定義を読む限り、軽い筋肉の痙攣というよりは、病気や中毒症状のような記述ですね。病状の進行具合にもよりますが、「たかが、筋肉の痙攣」と一笑に付すことはできないようです。

念のため、英英辞典でも定義を確認しておきましょう。

Convulsion n.

a sudden shaking movement of the body that cannot be controlled:

(制御できない身体に起こる突発的な振動性の運動)    (筆者訳)

Advanced OXFORD Learner’s

こちらは、痙攣の一般的な定義ですね。

広辞苑の定義の方が詳細に記述されています。ただ、「制御できない」身体の運動であることは理解できましたね。

それでは、「筋肉」で調べてみましょう。

筋肉

動物の運動をつかさどる組織。多量の収縮性蛋白ミオシンとアクチンを含む。原生動物・中生動物・海綿動物を除くすべての動物に存在。哺乳動物では横紋筋と平滑筋に大別され、前者は関節を挟む二つの骨または皮膚に付着し、骨格筋または皮筋と呼ばれ、随意運動を行う。後者は内臓の壁、血管壁などを構成し、一般に不随意筋。心筋は横紋筋だが不随意筋である。

広辞苑 第五販 岩波書店

こちらも、痙攣同様、英英辞典でも定義を確認しておきましょう。

muscle n.

a piece of body tissue that you tighten and relax in order to move a particular part of the body: the tissue that forms the muscle of the body:(身体の特定部分を動かすために収縮する身体の繊維。繊維は、身体の筋肉を形成する)                        (筆者訳)

ibid.

上記2つの定義をまとめると、筋肉は、収縮する蛋白を含んだ筋肉の繊維でできており、随意運動や不随意運動を行う組織であることがわかりますね。

でも「随意運動」と「不随意運動」とは、いったい何でしょうか?それは、この次の章でご説明いたします。

筋肉のしくみ

筋肉痛

さて、定義の中に出てきた「随意運動」と「不随意運動」とは、いったいどういう運動なのでしょうか?

筋肉の種類

こちらは、辞書で「随意筋」と「不随意筋」の定義を確認しておきましょう。

随意筋

意志によって動かすことのできる筋肉。不随意筋の対。

マイペディア

不随意筋

意志によって動かすことのできない筋肉。随意筋の対。

同書

つまり、筋肉には、意志によって動かすことのできる随意筋と意志によって動かすことのできない不随意筋があることがわかりますね。

では、筋肉は、いったいどのようにしてこの随意筋と不随意筋を使って、身体を動かしているのでしょうか?

先ほど、筋肉には、随意筋と不随意筋があることをご説明しましたが、これは人間が意識的に動かせるか否かという観点からの分類です。

では、実際にはどのような違いがあるのでしょうか?

横紋筋と平滑筋

実は、筋肉は、横紋筋と平滑筋という2種類の筋肉があります。まずは、こちらを百科事典でその定義を確認しておきましょう。

横紋筋

横紋筋線維よりなる筋。平滑筋の対。顕微鏡でみると筋繊維に横に走る細かい縞模様がある。これを横紋という。骨格筋はすべて横紋筋であるが、内臓筋でも心筋は横紋筋である。横紋筋は平滑筋よりも速やかに収縮することができる。

マイペディア

平滑筋

横紋を持たない筋繊維からなる筋で、横紋筋よりも原始的とみられる。心臓を除く内臓筋の主体をなす。横紋筋に比べて筋繊維は小さく細長く、その収縮はよりゆるやか。また収縮は自律的で不随意筋である。

同書

横紋筋および平滑筋の定義から、横紋筋は随意筋、平滑筋は不随意筋であることがわかります。心臓だけは例外で、横紋筋なのですが、不随意筋なので自分の意志で動かすことはできません。自分の心臓を自分の意志で動かせる人はこの世にいないですよね。

話を元に戻すと、横紋筋には、筋繊維に横に走る細かい縞模様である横紋があり、骨格筋を形成しています。また、平滑筋よりも速く動かすことができ、随意筋です。

平滑筋は、横紋を持たない筋繊維で、主に内臓筋を形成しています。横紋筋に比して、筋繊維が小さくて細長いのが特徴で、その収縮、つまり動かす速度は横紋筋よりも遅いのです。さらに、平滑筋は、自律的、すなわち自分の意志で動かすことのできない不随意筋です。

横紋筋は、骨格筋なのでその両端が腱を介して2つずつ骨とつながっています。一方の筋肉が縮むとその力に骨が引っ張られ、裏側にある筋肉が伸びます。すると、人間の関節は曲がります。このようにして、人は、意識的に、つまり随意的に手足を動かしているんですね。

筋肉の痙攣の原因

パソコンの仕事

そのようなしくみで動く筋肉ですが、では、なぜ筋肉は痙攣するのでしょうか?

その原因は、以下のようにいくつかあります。

  1. 過度の運動
  2. 目の酷使と睡眠不足
  3. 高熱
  4. 疾患による痙攣

過度の運動

筋肉は、神経の命令によって収縮をすると考えられていますが、過度の運動で筋肉を酷使しすぎて筋肉が疲労してしまうと、神経からの命令の伝達に関連する筋肉内のカルシウムやマグネシウムなどの物質のバランスが崩れてしまい、自分の意思に関係なく筋肉が収縮してしまうことがあります。これが、過度の運動による筋肉の痙攣の原因です。

アスリートによくある過度の走り込みなどによるこむら返りなどが典型的な例ですが、足だけではなく、指や腕、背中、腹筋などでも発生することがあり、ときに激痛を感じることもあります。

目の酷使と睡眠不足

IT関連業務などに従事されている方に多いのですが、長時間パソコンに向かって仕事をしていると、目を酷使してしまうことになります。また、このような職種の場合、納期第一主義がまかり通っているので、労働基準法などまったくおかまいなしに、長時間労働を強いられることも少なくありません。

余談ですが、筆者は、IT業界でプロジェクト立ち上げ業務に数年間従事していたことがあり、1ヶ月の労働時間が270時間を超えたこともありました。家に帰ることすらままならず、1日24時間仕事しっぱなしも珍しくなく、最高1日30時間働いたこともあります。1日24時間しかないのに。

今で言うところのいわゆる「ブラック企業」でした。しかし、当時はそんな呼び方もなく、プロジェクトをただ安定稼働させるためだけに、自分の健康と生活を犠牲にしていました。

話を元に戻しましょう。

このような場合、長時間の目の酷使と睡眠不足で、まぶたがピクピクと痙攣を起こすことがあります。筆者の場合は、まぶただけではなく、顔面や手なども痙攣していたので、自律神経系に異常があったものと思われます。

これは、目の周辺部の筋肉の疲労、あるいは抹消神経の圧迫などにより痙攣が起きると考えられていますが、目を休めたり、しっかりと睡眠をとることが何よりも大切です。

高熱

3ヶ月から4歳くらいまでの幼児期の子どもは、風邪などのために38度以上の高熱を出すことがあります。そんなときに、高熱がトリガー(引き金)となって、痙攣を起こすことがありますが、たいていの場合、数分で治ります。

疾患による痙攣

痙攣の原因となる疾患には、てんかんや脳腫瘍、妊娠高血圧症候群など多岐にわたります。これらは、全身的な痙攣を引き起こす原因となりますが、局所的には、片側顔面痙攣や眼瞼痙攣、チック、書痙などがあります。

痙攣の症状

腰 筋肉痛

痙攣の症状は、その原因となる病状の進行具合によってさまざまです。

例えば、軽度の痙攣であれば、まぶたや頬、首、手足、皮膚の一部が軽くピクピクと痙攣する症状が出ます。軽度の場合、ある程度時間が経過すると、ほとんどの痙攣は自然に治るのでさほど気にする人はいないかもしれません。

ただ、もう少し痙攣の症状が進行すると、激しい痙攣や引きつりを引き起こし、表情筋や手、足首などの筋肉が自分の意思に反して動いてしまうこともあります。

症状は、数秒から数分継続する場合が多いのですが、ひどくなると30分ほど続くこともあります。

痙攣の症状がさら悪化して重症化すると、激しい痙攣や引きつりが数十秒から数分、ひどいときには1時間以上も痙攣が続くことがあります。この痙攣は、不随意運動なので自分で意識して止めることはできず、ピクピク痙攣する場合もあれば、まるで身体が糸で持っているかのようにくねくねと動く場合もあります。

また、筋肉の収縮が持続するので、「奇妙な姿勢」となってしまうときもあります。

典型的な例としては、「顔面の筋肉が引きつる」、「腕が曲がる」、「足が突っ張る」、「背骨が反る」、「首が変な方向を向く」などの症状があります。

さらには、内臓の筋肉が痙攣する場合もあります。ここまで重症化してしまうと、脳神経外科などでの精密検査が必要となります。

筋肉の痙攣の治療と予防

ストレッチ

さて、それではそんな痙攣に対して、私たちはどうすれば良いのでしょうか?

まずは、痙攣の症状がひどいなあと感じたら、医師の診察を受けましょう。自律神経系が異常をきたしているときがありますので、きちんとした精密検査を受ける必要があります。

そのうえで、痙攣の原因を特定して治療を受けるようにしましょう。また、痙攣を予防するためには、以下の方法があります。

  1. ストレッチの実践とマッサージ
  2. ミネラル分の補給
  3. 目の休息と湿度の維持
  4. ストレス解消
  5. 生活習慣の改善

ストレッチの実践とマッサージ

運動をする前に、入念にストレッチをして準備する、あるいは、運動後にきちんとマッサージをして身体のアフターケアをして、筋肉の疲労を解消することが大切です。また、帰宅後の入浴なども良い方法です。

ミネラル分の補給

運動中、あるいは運動後に、ミネラル分の補給をしましょう。また、カルシウムがふんだんに入っている牛乳を飲むように心がけ、緑黄色野菜を摂取するようにするなどの栄養管理も重要です。

さらに、マグネシウムの多いアーモンドや大豆、貝類などの摂取もお勧めできます。

目の休息と湿度の維持

長時間パソコンに向かって仕事をするなど、目を酷使してしまう場合には、1時間に10分ほど休憩を取るようにして、目を休ませてあげましょう。

思いのほか、目の疲労は蓄積しています。疲れを取るためにも、目をマッサージしたり、蒸しタオルをまぶたにのせて目の周辺部の筋肉を温めてあげましょう。

また、目の乾燥もよくありません。パソコンなどの画面を見ていると、まばたきの回数が減っていくとも言われています。まばたきの回数が減ると、その分目を潤している水分が供給されなくなります。

そんなときは、加湿器を使用して室内の湿度を維持するとともに、目に良いとされているブルーベリーなどのビタミンAやビタミンB、ビタミンC、ビタミンEなどを摂取するように心がけましょう。

ストレス解消

痙攣は、ストレスがトリガーとなることが多く、悪化するときもストレスがその一員となることが多いと考えられています。ですから、なるべくストレスを溜め込まないようにすることが、痙攣の症状を避ける方法となります。

旅行や登山などのハイキング、美術館巡りなど気分転換する趣味を見つけて、ストレスをうまく解消しましょう。

生活習慣の改善

食習慣を含む現在の生活習慣を見直してみましょう。仕事の忙しさにかまけて、食事がおろそかにはなっていませんか?深夜までの残業や徹夜などを頻繁にしてはいませんか?

そのような生活を送っていては、自律神経系に異常をきたして、痙攣の症状を避けることはできなくなります。

朝早く起きて、きちんと朝食をとり、夜には早めに床につく。脂質の多い食事を避け、栄養バランスのとれた食事を摂るように心がけましょう。

まとめ

ここまで、筋肉の痙攣についてお話ししてきました。

軽度の痙攣から疾患が原因の重症化した痙攣まで症状はさまざまですが、基本にあるのは生活習慣です。

「たかが、痙攣」などと思わず、「されど、痙攣」と考えましょう。ご自分の健康は、ご自分で管理しなければ、悪化の一途をたどります。健康を損なった後に後悔しても遅いのです。

「後悔先立たず」です。今日から、あなたもさっそく健康的な生活を送ってみてはいかがでしょうか?

  
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