貧血を起こす原因は4つあります。
①骨髄の障害 ②溶血が異常に早いこと ③エリスロポエチンの分泌障害 ④栄養障害となっています。私たちが生活の中で改善できるのは「栄養を満たすこと」です。
しかし、良かれと思って摂取した栄養が、実は貧血を悪化させたり、身体に良くないと避けていたものに鉄分が多く含まれていたり、誤解したままでは永遠に貧血が改善しません。ここでは効率よく日常、鉄分補給できる方法として「飲みもの」を選びました。
貧血を正しく知りましょう
知っているつもりでイザ質問されても、なかなかはっきり答えられないのが「貧血」についての症状です。まず、敵をしっかり知りましょう。
病的な貧血かどうか
人間が貧血になる理由は大きく分けて二つあります。赤血球を新しく生み出す仕組みに問題がある場合と、赤血球を生み出す材料が足りない場合です。
先にお伝えした、貧血を起こす4つの原因のうち①骨髄の障害、②溶血が異常に早いこと、③エリスロポエチンの分泌障害、は仕組みに相当します。この原因については専門の医療を必要としますので、医師及び薬剤師の指導が必要です。いくら鉄分豊富な飲みものを与えても赤血球にはなりません。
ここでお伝えしたいのは、あくまでも日常生活で工夫して貧血を改善する、という情報です。もし、日常たっぷり鉄分を摂っているのに全く改善しない、ヘモグロビン数値にチェックが入るようであれば内科で相談しましょう。それぞれの専門医院を紹介してもらえるでしょう。
ここでは、赤血球を新しく生み出す機能を正常に持つ方なのに、赤血球を生み出す材料足りない、つまり④栄養不足で貧血を起こす方が対象となります。
これが貧血の症状
具体的な貧血の症状は多岐に渡ります。血液成分の栄養不足で全ての機能が低下するからです。しかし、他の病気の症状ともよく似ていて自覚症状だけでは決め手になりません。
- 体調面での貧血症状:すぐ疲れる・だるい・めまい・動悸・息切れ・眠気・吐き気・胃痛
- 食事面での貧血症状:酸味が嫌いになる・唇の横に亀裂が入る・飲み込みが悪くなる、肩こり、頭痛がひどく、血色が悪い
- 新陳代謝に影響する:爪が割れやすくスプーン状になる・枝毛が増える・肌荒れがひどい
いかがでしょう?これだから貧血とは言い切れない症状ばかりです。しかも全身症状ですから単一ではなく複数、または全てであってもおかしくありません。
ある時、突然こういう症状になるのなら受診につながるのですが、長い時間をかけて貧血症状になるので「自分は昔からこういう体質」と諦めてしまう方も多いのです。
だんだん貧血になっていくと自分の体調異常に慣れてしまって、なかなか気がつきません。これが貧血の特徴です。
検査が決めて
客観的に立証する方法があります。それが血液検査でヘモグロビン数値を計る、ということです。貧血症状とヘモグロビン数値を併せて評価し、貧血かどうか診断します。
ヘモグロビンについてご説明しましょう。赤血球の中に含まれる色素をヘモグロビンといい、酸素と結びついて全身の細胞に酸素を運ぶ役割を果たします。ヘモグロビン濃度が少ないと酸素の運搬力が落ちるため、全身に酸欠症状が出るのです。
ヘモグロビン濃度は血液1dl中のグラム数で示され、単位はdl/gです。貧血の状態と判断されるヘモグロビン濃度が男性で14dl/g以下。女性は12dl/g以下。高齢者では男女差がなくなって11dl/g以下を機基準とします。
この数字だけ覚えておきましょう。健康診断の検査結果でさほど問題がなく、指摘されない場合でも自分の傾向を知る基準になります。日々の生活で工夫できる理由での貧血なら、自覚症状に至る前に検査結果を早くしることは重要です。早く鉄分を摂取するよう、あるいは鉄分を失わないように改善すれば辛い貧血にならなくてすみます。
予防のきっかけとして、また紛らわしい他の病気と区別するためにも、血液検査をしっかり受けましょう。その数値を把握して医療まかせにしないことが大切です。
飲んで貧血を改善する方法
鉄分を多く含む植物はよく知られています。しかし、植物性の鉄分は人体に吸収されにくいのです。他の栄養素の助けが必要です。
鉄分だけでは血にならない!
飲み物であれ食べ物であれ、鉄分の多いものだけ食べても効果はあまり期待できません。これは意外なことですが、たとえば毎日ほうれん草や小松菜を大量に摂っても貧血は改善できません。でもレバーや鳥モツの鉄分なら、すぐに血液になります。
よく野菜不足が貧血のもと、と言われますが正しくは、野菜だけでも貧血になります。鉄分を体内に吸収する役割の栄養素がないと、せっかくの鉄分が身体を素通りしていきます。鉄分をしっかりキャッチして鉄分を血液に変えてくれる、それは良質のたんぱく質とビタミンCです。
レバーやウナギの肝などは、自らがタンパク質でありながら鉄分を保有していますので単独での効果が得られるのです。もちろん、このメニューに新鮮な果物を加えれば最高といえます。
鉄分を速やかに血液の材料にする、そのために吸収材としてタンパク質とビタミンCが必須の理由はご理解いただけたと思います。もう一つ、重要な要素を挙げるとすれば、それは水分です。脱水状態では栄養が血中に混ざる環境にありません。その意味では貧血予防、改善に飲みもので摂っていく習慣が有効といえます。
貧血予防できるドリンク類
ここでは手軽に楽しめるメニューを紹介します。コンビニでも類似した飲みものはたくさんありますのでヒントにつながれば選ぶ基準として考えてみてください。もちろん、自宅で作ることもできます。
プルーンヨーグルトジュース
これは市販のヨーグルトドリンクにプルーンを混ぜて出来上がりです。干したプルーンを刻んでおいて飲むときに混ぜてもいいし、トロっとした液状のプルーンを用意しておいて混ぜてすぐ飲めるようにしてもいいでしょう。
プルーンは保存だできますので鮮度は問いません。プルーンの高い鉄分とビタミンに乳類のタンパク質、そして水分の組み合わせで全てをクリアしています。そして何より手軽さが一番です。習慣化しないと鉄分を毎日、血液にできません。
イチゴミルクジュース
これは鮮度が重要です。イチゴはジャムにしないかぎり保存が効きません。イチゴは鉄分とビタミンCが豊富ですが、ビタミンCはすぐに酸化して効果を失います。これだけは作り置きも買い置きもできませんが、旬なメニューとして楽しみたいものです。
朝食後にイチゴをつぶし、お好みで砂糖を入れて(あまり入れるとビタミンCを損ないますのでご注意)冷たい牛乳で混ぜます。ホットミルクは避けましょう、温度が高いとビタミンを失うからです。
ココア・オ・レ
ココアを牛乳で溶かした飲みものです。これは冷たくても温かくてもいいのですが、吸収の面では温かいほうがお勧めです。ココアの優れた鉄分と乳たんぱく質の組み合わせ、ビタミンこそありませんがチームプレーです。
買い置きも容易で、10秒以内に用意できます。習慣化できる条件の全てを満たしているので、貧血気味の方には試す価値あります。
スープ、シチューにできる鉄分メニュー
鉄分を多く含む野菜は、どちらかというと惣菜し使うものがたくさんあります。タンパク質にしても、乳製品以外はジュースにはなりにくいものが圧倒的です。
しかし、味噌汁やシチュー、スープにしてしまえば最強の鉄分補給メニューに変身できます。習慣化できるかどうかは準備次第です。いつも鉄分とタンパク質の材料を半調理で冷凍しておく、あとはスープに入れてひと煮たちすれば出来上がり、というシステムを導入しないと続きません。
まず、素材を数種類、飽きないように選んでおきます。ほうれん草、小松菜、ニンジン、パセリなどの野菜グループ。そしてレバー類やあさりなどの動物性たんぱく質、味噌や枝豆、大豆などの植物性タンパク質。
そして半調理します。これは数種類を一週間か10日分、2時間以内に一気に作ることがコツです。面倒なようでも、こうすることで毎日、手軽に素早く鉄分をしっかり摂取して血液として吸収することができます。けっこう、半調理はあく抜きや小分けが大変で毎日の作業にはできません。洗い物だけで挫折します。
これを一気に仕上げて、いつでもお湯に入れて煮て、スープ・味噌・シチューの素を入れて完成!にしましょう。
避けたい鉄分を失う飲みもの
身体にいいと言われているものや、嗜好品の中に鉄分を消すものがあります。せっかく入れた鉄分、失いたくないものです。
タンニンにご注意
緑茶はカテキン効果といって免疫力を高めることで有名です。しかし、鉄分に関して言えばタンニンが多く、鉄分を消してしまうのでご注意です。
同じ理由でコーヒー、紅茶もタンニンが豊富で貧血促進飲料といってもいいでしょう。タンニンは鉄と結合して水と溶けにくい物質びしてしまうので、吸収されにくくなるのです。ほうじ茶、ウーロン茶は安心して飲めます。
どうしても好きな方は、食事中でなく食後30分以降に飲んでください。食べた鉄分とタンニンと一緒に摂らないよう、時間差で鉄分の損失を防ぐことが狙いです。
炭酸系ドリンクも避けましょう
よくある炭酸飲料、これは鉄分の吸収を妨げます。シュワシュワが楽しいので、炭酸を抜いてください、は対策にならないと思います。
炭酸飲料を飲みながら食事される方は少ないので、どうしても飲みたい方は食事と全く関係ない時間に楽しんでください。胃の中で鉄分と混ぜないことで鉄分を守ります。
ただ、ビールも鉄分を失います。夕食時に召し上がる方は、朝食と昼食でしっかり鉄分を補給しておきましょう。夕食に鉄分を期待しないようにしておけば安心して呑むことができます。
まとめ
鉄分を摂らないと血が薄くなる、とはよく聞く話でした。効率良く血液に変えるよう、ここでは飲みものにできるご提案のしています。
鉄分だけで血にはならないこと、タンパク質・ビタミンCの力がいること、毎日少しづつ摂取できる習慣が必要なこと、そして意外な落とし穴の嗜好品飲料。これらを1セットで理解していただいて100日、頑張ってみてください。
血液には寿命があります。新しく入れ替わることが可能ですから、次回の血液検査を楽しみに日々、取り組んでみましょう。
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!