開放骨折とは?症状や治療法、4つの応急処置について!

開放骨折という骨折について今日は紹介していきたいと思っています。簡単に言うと激しい骨折の事で、外部に骨が飛び出てしまっている状態の骨折が開放骨折になります。

骨の損傷が激しく骨片が皮膚の中で筋肉繊維や腱や血管などを傷つけてしまうこともあるので、手術などで治療した後も骨癒合に時間がかかり、リハビリなどを行っても後遺症などが残ってしまうこともある思い外傷です。

もし、交通事故などの際に相手方が開放骨折になっているとき、子供やお連れの人などに外出先などでこの問題が発生してしまって時の対処法はどうすれば良いのか?そういった緊急の正しい応急処置の仕方や治療法、手術方法などについて紹介していきたいと思います。

開放骨折ってなに?

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開放骨折という単語自体実際に開放骨折するまではなかなか聞きなれない単語なので、もしかしたら「開放骨折」と検索してこちらに来られた方はすでに開放骨折された方やそのお知り合いか、何かのドラマか漫画ででてきて調べているか、スポーツ関係者か医療関係者か、どれかかでしょうか。

開放骨折は、骨折の中でも死に至る危険のある危険な状態です。

開放骨折とは

開放骨折とは折れた骨が皮膚を突き破って外部に出てくる骨折です。筋肉や皮膚や血管や神経を損傷してしまいます。

破れた部分から感染症を引き起こす可能性があり、一刻も早く手術が必要です。骨髄まで炎症が広がると治療が難しくなります。これを骨髄炎といいます。

筋肉に炎症が起こることはまれだといわれていますが、この場合治らない損傷ができる危険があります。コンパートメント症候群と呼ばれます。

また破れた体の脂肪が血管に大量流れて肺につまり、呼吸器系の合併症が発生するケースもあります。また感染症が悪化すると敗血症などの深刻な合併症を起こす可能性もあります。

骨髄炎とは

黄色ブドウ菌などの細菌が傷口から入り込んで炎症を起こします。皮膚や筋肉も炎症を起こしますが、そのうち骨が炎症を起こしたものをこう呼びます。

抗生剤を投薬されることで回復が見込まれますが、それでも炎症が治まらない場合手術が必要です。骨が壊死した場合は骨を取り除いて体のほかの部分から骨をとって移植することもあります。

子どもは体質上特に骨髄炎を引き起こしやすいので注意が必要です。骨が変形してしまうこともあるので、迅速な治療が求められます。

開放骨折を起こしやすい部分

開放骨折が起こりやすい場所は、皮膚の上から触って骨があるのがわかる部分、縦に長い骨、つまり脚や腕、鎖骨、あばらなどが開放骨折しやすいです。

しかし外圧のかかり方は千差万別なのでこの限りではありません。

もし高いところから落ちたなどの場合は関節や下腿、脛骨などの部位を開放骨折してしまう場合もあります。この場合の後遺症は非常に大きいでしょう。

場合によっては神経などが多く通っていて傷つけることで運動機能が著しく低下してしまう場合もありますので、外傷部位によって慎重な対応をしなければいけません。

開放骨折の応急処理

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開放骨折で特に気にしなければならないのは、

  • 失血死を防ぐ
  • 感染症を防ぐ

この二つです。開放骨折で骨が皮膚を突き破ることで血管を大きく損傷します。場合によっては内蔵を傷つけかなり出血している可能性も考えられます。

出血が激しいときは救急車を待っている間、止血をし、なるべく傷口を清潔にすることが大切です。

よく骨折というとギプスが必要だというイメージがありますが、まず死亡回避、後遺症のリスク回避、悪化回避をし、通常骨折で重要視される固定はその後で処置してあげましょう。

出血を抑える

人が大量失血するとショック死してしまいます。20%の血液を流すことでショック状態に陥り、30%以上で命を落とすリスクが増加します。

まずは大量失血を防ぎましょう。出血の量が少なければ傷口を清潔な水で洗うなど、感染症を防ぐことを優先してもよいです。

・止血テクニック1:高位保持

まず出血している部分を心臓より高くします。

あくまで応急処置ですがこれだけでも出血を抑えることができます。

腕なら痛まない程度に胸部より高い場所に腕を上げたり、足であれば横に寝かせて足を何か荷物などの上にのせてあげましょう。

・止血テクニック2:間接圧迫止血

傷口が汚れていたり骨が突き出ていて包帯を巻けない場合、この止血方法を使います。指なら手首の動脈、腕なら肘裏の動脈など付け根の関節の動脈を指などで圧迫して出血を抑えます。

・止血テクニック3:直接圧迫止血(注:悪化するようであれば抑えずに)

傷口に直接きれいなラップやガーゼ、包帯などを当てて抑えて止血するオーソドックスな方法です。しかし普通の切り傷ならそれでよいのですが、開放骨折の場合は骨が突き出ているので傷口を強く抑えられない、抑えても血が止まらないケースがあります。

特に突き出た骨を安易に触るとよくありません。骨を戻そうとして押し込めたりすると悪化します。痛むようであれば強く抑えずに関節圧迫止血などの他の止血法と組み合わせましょう。

骨が突き出ているときは他の止血法で出血を止めることが多くなりますが、傷口を洗ったあと清潔なガーゼを軽く当てられるようであれば当てるとよいです。

・止血テクニック4:緊縛止血

出血に近い部分を強く縛って止血します。

素人が行うと血管、神経をつぶしたり、壊死してしまう恐れもありますが、出血が酷く死亡する恐れがある場合はやむを得ず行うことがあります。素人が間違った方法で行うと壊死や麻痺が残ったりする場合もあるので安易にはできませんが、出血死は防ぐことができます。

やむを得ない場合の最終手段だと思ってください。壊死を防ぐために30分~1時間、長くても二時間に一度は血流を戻す必要があります。

他に上級者の止血方法には、電気メスのように高温のコテなどを使って傷口を焼いて出血を止めるという手段もあります。相当高い温度でやらなければならないので素人がやろうとするとただれて悪化させる危険があります。救急車が呼べるなら救急隊員の指示に従いましょう。

☆動脈出血だと危険!出血の種類の見分け方について

静脈から出血しているか、動脈から出血しているかで失血死のリスクが違います。心臓で血液が送られている分、動脈から出血したほうが量が多くなります。静脈でも出血量が多ければ危険ですが、動脈出血の場合はより早く止血が必要になります。

・動脈出血の特徴

血液の色が真っ赤な鮮血で、心臓の鼓動のリズムに合わせて出血し、静脈より多くの出血をするので早めに止血が必要です。

・静脈出血の特徴

赤黒い血がじんわりでてきます。動脈より出血が遅いものの、放置すると危険です。

動脈出血していることがわかったら止血を急ぎましょう。

☆応急処置する側も気を付けて!ビニール袋で防ぐ!血液感染について

傷口を圧迫するときは清潔にする必要があります。応急処置をする側ももし皮膚に傷があればそこから相手の血液のウイルスが入り込んで血液感染を起こさないとは限りません。

ウイルスには潜伏期間もあるので健康そうに見える人相手の手当てでも油断は禁物です。

とはいっても傷がない健康皮膚であれば感染はほとんどしないはずですが、しかし手当てする人に湿疹、スリ傷、切り傷がある場合はウイルスを防ぐ力が弱まっています。うっかり傷ができることもあり得ますから、なるべくきれいなビニール袋などを使って手袋代わりにし、直接手に血液が触れないようにすると安全です。

肝炎ウイルス、HIVなど「ウイルス」による感染が見込まれるのが血液感染の特徴です。

応急手当てをした後に感染症の疑いがある場合は医師に血液に触れたことも伝えましょう。

骨髄炎、感染症のリスクを下げる

失血死のリスクが軽減したら、次は感染症を防いで後遺症が重くならないように処置します。

骨が突き出ている部分が泥などで汚染されている場合、きれいな水道水の流水で優しく洗います。レジャー中に川の水や海の水で洗うのは不衛生ですので控えたほうが良いです。湧き水ならともかく、川にはさまざまな細菌がいます。せめて水筒に入った口をつけてない水や市販のお茶で代用したほうがいいです。消毒薬があればそれで洗いましょう。水道が止まって救急車が呼べず清潔な水がない場合、けが人が増えることが分かっていれば蒸留水をつくって冷ましておくと良いです。

洗ったあとはそれ以上汚れないように傷口を封鎖できるようであれば封鎖しましょう。ご家庭にある日本メーカーのラップなどを巻くといいです。

災害中に救急車を呼べない場合はもし抗生剤があれば適切に服用すると感染症のリスクを減らすことができます。

悪化しないように固定

怪我をした人が痛くない位置で足を固定し、それ以上骨がばらばらにならないようにします。座布団やクッションなどの物を用いて、足を高くする、姿勢を固定する方法が有効でしょう。

これについては、骨折している部位などで固定方法なども異なりますし、固定方法を誤ってしまうと逆効果にもなりかねません。ですので、あまり無闇に動かして固定しないことが最良の選択でしょう。

安全な場所で血圧などが上がらないように日陰など涼しい環境を作ってあげるといいでしょう。

声をかけて安心させる

開放骨折しているときは非常に出血も多くなりますし、けが人の不安感が高くなります。四肢の開放骨折の場合は意識がはっきりしている事が多いですが、あばらなどが折れている場合、意識を失ってしまうこともあります。

なるべくけが人に不安感を与えないように、「大丈夫だよ、救急車呼んだからね」と声をかけて上げましょう。

また、意識がある内に年齢や連絡先などを聞いて置いて対応してもいいでしょう。しかし、話すことが苦しそうな場合は無理に会話をしようとせずに、声掛けだけを行うようにしましょう。

介抱人が不安になっていたり周囲がパニックになると怪我人はさらに痛みや苦痛を感じやすくなります。病は気からと言うように、精神的に心が勝っている状態であると生存率は高まります。ですので、周囲の野次馬などにも不安を煽るような人が居るのであれば対策する必要があります。

開放骨折の治療と術後

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感染症が酷くなければ運動できるほどに回復します。お年寄りの場合は再生能力が低いので難しいこともあると思いますが、若い人であれば早期の手術で自己再生します。スポーツをするには全く以前のようにとはいかないケースもありますが、整体やリハビリが可能です。医師と相談しましょう。

開放骨折をした場合骨の固定や破片の除去だけではなく、皮膚や筋肉、血管、神経の治療やが必要になります。壊死した皮膚や筋肉は炎症のもととなるので除去します。これをデブリードマンと呼びます。

骨や筋肉や皮膚は、人間が持っている自己の再生機能で回復していきます。自己再生を促すため、骨を固定したり、チタンプレートを埋め込む場合があります。

術後はリハビリが必要になります。

手術

デブリードマンを行った後、金属プレートなどで補強し、抗生剤を飲んで感染症を防ぎつつ自己再生を促します。チタンプレートや釘は術後、再び切開して除去します。場合によっては釘を取らないですむこともあります。

小児の場合再生能力が高いので、ギプスによって外側から固定することもあります。

治療は数週間で済むこともあれば数カ月かかることもあります。

デブリードマンとは

壊死した皮膚、筋肉、骨などの細胞を取り除き、自己再生を待つ治療法のことです。

術後

壊死が激しく切除が必要だったり、神経が修復不可能な場合は後遺症が残るかもしれませんが、手早い対処があれば運動可能なほどに回復します。自己再生した後は変形が起こることもあります。

炎症を防ぐために腱や筋肉を切除せざるを得なくなると可動域が狭まったりすることもあるようです。生活には問題ないですが、スポーツをする場合は以前より運動しずらくなることもあるかもしれません。復帰はテクニックなどでカバーしましょう。

ギプスを外した後はしばらく筋肉を動かしてない状態なので力が弱まりますが、リハビリで改善します。握力が低下しすぎて自分で動かせない場合や安静が必要な場合は療法士が受動運動でリハビリしてくれます。

手術をすれば長い間、違和感を感じることになるかもしれませんが、動かさないと筋力が低下してしまいます。リハビリが大切です。

理学療法

手術後に運動機能障害などの後遺症が発生している場合には、理学療法による改善治療が行われます。

理学療法とは障害を抱えてしまっている患者に対して、電気療法、マッサージ、温熱療法、運動療法などでのアプローチで機能を回復していくための治療になります。

損傷した患部の骨癒合の経過や、筋肉繊維、神経、腱などの損傷具合や回復具合を考慮しながら徐々に長い時間をかけて治療をしていきます。

特に下半身に発生した下腿や脛骨などの開放骨折の場合、歩行機能の回復のためには早い段階でのリハビリでのアプローチが予後の回復に大きな影響を及ぼすことが報告されています。

回復レベルに応じた荷重・歩行練習を行って機能を回復していくと効果が高いので、早く運動機能を取り戻したい場合は、治療後リハビリや理学療法に精通している病院に転院したほうが良いでしょう。

まとめ

開放骨折とは骨が皮膚や筋肉を突き破って外に飛び出してしまう深刻な骨折です。

転落、交通事故、バイク、スキー、スノーボードなどのレジャーによる事故によっておこることがあります。

他の骨折と違い、皮膚を突き破ることで失血死、感染症の恐れがあることが特徴です。

感染症のうち、骨髄炎にかかると骨を切除するため治療の難易度が上がります。また感染症自体で敗血症などにかかって放置すると死亡することがあります。

もし開放骨折が起こるような事故に遭遇したらすぐに救急車を呼び、骨を戻そうと押し込めたりせず、除菌と止血をしましょう。

素早く対処できた場合は、術後は運動もできるように回復し、握力低下はリハビリで改善します。

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