スポーツをしている人でなくても、ちょっとした段差でつまずいたり、思わぬ転倒などが原因で、足首や足関節を骨折してしまうことがあります。
捻挫だろうと思い込んでいたら、骨折していたなんてことも、珍しくありません。
特に、くるぶし部分は、脚で最も骨折しやすい場所でもあり、骨折場所によっては、治療に長期間かかる場合もあります。
また、足首の関節は、強靭な靭帯で「脛(すね)」と「踵(かかと)」に結ばれており、骨折によって靭帯にも損傷が及ぶと、あとで痛みが残るなどの症状が出てくる可能性もあるので、治療の際には十分に注意しなければなりません。
私たちが日常生活で、当たり前のようにしている「歩く」という動作に支障が出るのは、想像以上に辛いものです。そこで、足首の骨折に関する症状や治療について、ご紹介いたします!
足首の骨折はどのくらいの期間で歩けるまでに回復するのか、競技復帰までにかかる時間や早く治療を済ませるために有効な治療促進方法について紹介していきます。
足首の骨組みと骨折箇所
足首の関節は、腓骨(ひこつ)・脛骨(けいこつ)という脛(すね)を形成している2つの骨と、踵の上方にある距骨(きょこつ)という3つの骨で構成されるとても複雑な関節です。ですので、骨折の種類も非常に多くなってきます。
ここでは、足首を捻ったり、強い衝撃を受けるなど、日常生活の中でも骨折する場合の多い、足首の「くるぶし」(=足関節果部)の骨折について、見ていきましょう。
外果骨折
「外果骨折」とは、外くるぶしの骨折のことを言います。足のすねの部分は2本の骨で構成されています。すねから足首に繋がっている太い脛骨と膝からくるぶしに繋がっている腓骨です。
外くるぶしは、「腓骨(ひこつ)」という非常に細い骨でできており、足首がグラグラと外れないよう、安定させる重要な役割を担っているのです。
足首を内側に強く捻ると、外くるぶしは距骨に引かれて剥離骨折となりますし、事故などの大きな衝撃が加わると、骨が斜めに折れ、変形にもつながる斜骨折となります。
内果骨折
「内果骨折」とは、内くるぶしの骨折のことを言います。内くるぶしは、「脛骨」という体重の大半を支える骨でできており、外くるぶし同様、足首を安定させる役割を持っています。
足首が外側に曲がった状態で捻ったり、大きな負荷がかかると、内くるぶしが引っ張られ、剥離骨折を起こします。また、外果・内果どちらか一方だけではなく、両方骨折する場合もあり、それを「両果骨折」と呼びます。
三果骨折
「三果骨折」とは、外果・内果骨折と同時に、脛骨の前縁・後縁のいずれかも折れてしまった骨折のことを言います。
つま先が上を向いた状態(背屈)で負荷がかかり、脛骨前縁が骨折すると、『距骨の前方不全脱臼』も起こり、逆に、つま先が下を向いた状態(底屈)で負荷がかかることによって、脛骨後縁が骨折すると『距骨の後方不全脱臼』が起こります。
三果骨折は、完治までの道のりが最も困難だと言われており、慎重な治療が必要です。
捻挫と骨折の違い~骨折したときの症状~
ケガをしたときにかかる力の大きさや方向、足首の動きによって、「骨折になるか、捻挫になるか」が分かれます。専門家の目から見ても、どのような動き(ケガの仕方)だと骨折になるなどといった判断をするのは困難だと言われています。
身体が耐えられない力がかかったときに、損傷したのが靭帯であれば捻挫、骨ならば骨折になるのです。では、骨折してしまった場合、どのような症状が起こるのか、見ていきましょう。
内出血
骨折すると、折れた骨が周囲の組織を傷つけたり、強い衝撃を受けたときに、周りの筋肉組織などを損傷するため、内出血を引き起こします。
骨折から数字間後が内出血のピークと言われ、大量の出血によって細胞が圧迫された状態になります。骨折の度合いや、受けた衝撃が大きいほど、出血量も多くなり、黒っぽい出血斑みまる場合もあります。
しかし、目に見えないところで内出血を起こす場合もあるので、注意が必要です。外からは確認できない骨内部(髄液)から出血すると、冷や汗や吐き気などの出血性ショックを引き起こします。このような症状が出た場合は、すぐに病院へ行きましょう。
内出血については、内出血の治し方5選!正しい処置で早く治すようにしよう!を参考にしてください。
腫れ・変形
捻挫の場合も、腫れることはありますが、徐々に腫れは引いていきます。骨折の場合は、ケガをした数時間後から、内出血や炎症によって骨折部周辺が腫れ始め、冷やしたり温めたりしても腫れは引きません。
また、くるぶし部分が突き出しているなどの骨の変形や、異常な角度に向いているなどの症状が見られる場合は、ほぼ骨折していると言えるでしょう。変形が見られる場合は、痛みも強く、患部がみるみる腫れていきます。
圧痛点があるか
圧痛点とは、文字どおり、「押さえると痛みを生じる場所」のことです。
骨自体には神経はありませんが、骨の表面に、神経が集中している骨膜があるので、骨折によってこの骨膜が破壊されると、軽く押すだけでも、患部に激痛が走ります。
我慢して運動していると症状が悪化する
痛みや腫れが発生しているのに我慢して歩行などを続けていると、骨のズレが大きくなったりかけたり折れて変形した骨の尖った部分や破片などが靭帯を傷つけてしまうなどの問題が重なって発生して、症状がひどくなります。
なので大きく足を引い捻ったり捻挫などが発生してしまった場合は、無理に動かずに人を呼んで動かしてもらったほうが良いでしょう。
人が呼べない環境であれば、安全な場所まで這うなどして、出来るだけひねった足を使わないようにして移動して、痛みが軽減するまで安静にして可能であれば冷やすなどして対処していきましょう。
足の骨折の検査方法について
足が激しく痛む、日を重ねても痛みが軽減しないなどの問題が発生している場合、その痛みは捻挫などではなく骨折かもしれません。
骨折しているかどうかは痛みや腫れの症状だけでは自己診断だけでは判明することは難しいでしょう。靭帯が激しく損傷している場合にも、痛みは強く発生しますのでしっかり検査をして骨折しているかどうかを判断する必要があります。
検査方法について紹介します。
レントゲン検査
骨折しているかどうかについては基本的にはレントゲンでの検査が一般的に行われます。
痛みが発生している位置から角度を変えて2枚〜3枚のレントゲン写真を取っていくことになります。特に足首の足骨は骨折していても、欠けると言う表現が適切な形で折れている事になりますので、腕の骨が折れたなどにようにわかりやすく曲がったり変形している訳ではないのでレントゲンでの検査が必須でしょう。
具体的にどのように折れているかどうかの確認のためにもレントゲン検査は必須項目になります。
1週間〜10日以上放置してしまうと、骨は自然に癒着をはじめてしまうので、おかしな形状で骨がつながってしまって運動障害などが発生する事があります。
検査を受ける場合は1週間以内を目安に受けるようにしましょう。
何科に行けばいいの?
骨が折れたなどの怪我の場合には整形外科に行くと良いでしょう。顔などの骨折の場合には形成外科などの科の方が適しているので、怪我をした場所によって専門の病院を選択して受信すると良いでしょう。
ただ単にとりあえずレントゲンでの検査を受けるだけであれば、設備の整っている内科などを受診しても検査だけは受けることが出来ます。
その後専門病院などを紹介してもらうなどの対応になるので費用は若干多くかかってしまいますが、なかなか遠くて専門の病院に行けない場合にはこれらの方法で検査を受けるといいでしょう。
足首の骨折の治療法~完治までの道のり~
私たちが耳にする「全治○ヶ月」というのは、専門医による診断・治療が必要な期間のことを示しており、ケガをする前と同じくらいに快復できるまでの期間を「完治」と呼びます。
足首の骨折の場合、ケガの度合いや、その人の生活習慣、環境などによって異なりますが、骨折が完治するまで約6ヶ月、完全に痛みがとれるまでだと、約1年かかる人もいます。
ここでは、足首を骨折したときの治療法と、リハビリ期間や注意点についてご紹介いたします。
治療法
治療法には、大きく分けて2種類あります。それぞれの治療法について紹介していきます。
<保存治療>
ギブスや副木をあてて患部を固定し、骨がつくのを待つ療法です。
固定させるため、関節を曲げたり、体重をかけて歩くことはできないので、松葉杖を使って生活することになります。この期間に無理をして歩いたり動こうとすると、治りも悪くなるので、「ひたすら我慢」が回復への一番の近道です。
ギブス等で固定させて治療するときは、関節を動かせないので、血行が悪くなり、むくみやすくなります。眠るときには、枕やクッションで高さを出し、心臓より高くして眠るなどのむくみ対策も必要でしょう。
また、ギブスで覆っている場所がかぶれる場合もあるので、低刺激のローションなどで、かゆみを緩和させてあげるのも良いかもしれません。かゆみやかぶれ等の症状がひどい場合は、担当医に相談してみましょう。
こういった保存療法は、時間がかかり長期間足首を固定させるので、ギブスを外してからも、関節が動かしにくくなったり、骨が弱くなってしまう場合もあります。
<手術療法>
どのような骨折をしたのかによっても異なりますが、足首の骨折の場合、手術療法になることが多くなります。骨折によりズレてしまった骨を元の位置に戻し、足首を動かしても再び骨がズレないよう、ネジやボルトで固定する手術をします。
さらに、ある程度まで固定されてきたら、はめたネジやボルトを抜く手術が必要になりますが。しかし最近では、チタン製のボルトを使用することが多いので、このような手術が必要ないケースもあります。
また、手術療法で最も注意しなければならないのが、術後の炎症管理です。炎症があると、痛みが生じたり、関節の動きが悪くなるので、アイシングなどの処置で、炎症を抑える方法も効果的です。その場合、足首の血管は細く、冷やしすぎると凍傷になることがあるので、気をつけましょう。炎症管理に関しても、担当医の指示を仰ぐのが安心です。
リハビリ期間
保存療法と、手術療法で、リハビリに要する期間も変わってきます。また、リハビリが十分でないのに普段の生活に戻ると、関節が変形して、激痛が生じる「変形関節症」という症状を引き起こすことがあります。そうならないためにも、根気よく、しっかりとリハビリしていかなければなりません。
<保存療法の場合>
足首の骨折では、約4週間~1ヶ月半ほど固定し、ある程度まで骨がくっついてきたら、ギブスを外し、リハビリを始めます。
ここでいうリハビリとは、足首の骨を強くするためのものではなく、治療過程で、長期間固定されたために衰えてしまった関節や筋肉の機能を回復することが目的です。
最初の1~2ヶ月は、可動域訓練期間といい、関節の可動範囲を大きくしていきます。その後、リハビリの仕上げとて、足首に体重をかけても良いように、さらに1~2ヶ月かけて、不可訓練をして少しずつ慣らしていきます。
保存療法での完治までの道のりは、短くて約3ヶ月、長くて約半年かかると言えます。
<手術療法の場合>
手術を計画する段階から、できるだけ早く可動域訓練期間に移れるよう考えられて手術を行います。よって、ギブスによる固定は、0.5~1ヶ月と短期間で済み、可動域訓練や不可訓練もギブスに比べて早く終わります。
完治までの道のりは、約2~3ヶ月と言えるでしょう。しかし、何度も言うようですが、骨折した骨の場所や、ケガの度合いによってことなるので、一概には言えません。
リハビリ期間の注意点
私たちの日常生活の中には、つまずいたり転んだりしやすい場所が、意外とたくさんあります。せっかく良くなってきたのに、また骨折してしまった…なんてことにならいよう、生活環境を整理整頓しておくことが大切です。
また、リハビリ中は、骨折前の健康な状態に比べて、足が動かしにくく、普段ならつまずかない場所でつまずくこともありますので、十分に気をつけましょう。
- 電気コードや階段の段差
- ロングスカートやワイドパンツなどの引っかかりやすい服
- お風呂場や、雨の日などの滑りやすい場所
など、いつもより注意して、身の回りを確認しながら行動する心がけが必要です。
骨折を早く直すために出来ること
骨折を出来るだけ早く直すために出来ることについて紹介します。
骨を修復するために必要な栄養素を摂取する
足骨にかかわらず骨の修復に必要な栄養分は以下のとおりになります。
- カルシウム
- ビタミンC
- ビタミンK
- ビタミンD
- コラーゲン
- マグネシウム
- タンパク質
になります。おすすめの食材としては牛すじ、魚介類、乳製品、エビなどの甲殻類、柑橘系、果物などがビタミンや良質なタンパク質、カルシウムなどを豊富に含んでいるので、バランスよく摂取すると強い骨の生成に貢献してくれます。
骨折を早く直す超音波治療
治療方法では紹介しませんでしたが、治療音波治療というスポーツ選手に特におすすめな治療方法があります。
これは特に足首を骨折しやすいプロのサッカー選手などがよく使用している治療方法で、超音波を使って治療することで2倍近いスピードで完治を目指せるという治療方法になります。
しかしこの治療方法は一般的には自由治療となっており、保険が適用されない治療法になります。ですので、10割負担での治療となります。
しかし、もし骨折の治療が長引いている場合にはこの治療が医師の判断で使用される事があります。この場合には保険適用での治療として超音波治療が受けられます。
とにかく安静にする
足をなるべく使用しないようにして、傷を広げないようにしましょう。まだ骨折かどうかが判明していない段階でも無理に動いてしまうと靭帯などを大きく損傷してしまい、それが原因で難治化の骨折に繋がってしまいます。
たかが捻挫と思わず、特に捻挫などのお絞りを絞る形でも力の入り方には弱くなっています。ですので、怪我をしてから痛みが完全に治るまでは可能な限り動かさないことが治療を早く済ませるためには最も重要で有効な手段になります。
また、安静時には飲酒喫煙などのビタミンなどを代謝して吸収率を低下させる行動は避けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?読んでいるだけでも、痛そうで顔をしかめたくなる、足首の骨折。骨折してしまったら、安静にして回復するのを待つのが一番ですが、日頃からケガを予防する努力も大切ですね。
健康的な食事を摂って、適度な運動やストレッチで、適度に筋肉を動かす習慣をつけるなど、予防策もいろいろありそうです。
思わぬ転倒にも柔軟に対応できる、しなやかな身体づくりを目指したいものです。
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