高齢者に多いのですが、歩行中に転んだりしてその際に手を突くと、手首の骨がよく折れるといいます。
手首の骨は、よく使う場所ですし、多くの神経や腱などが通っており複雑であるがゆえに、治るまでかなり時間を要します。また、骨はくっついたけれども、なんか変形しているような…、膨らんでいるような…、と言ったケースも少なありません。
骨折した場合、しっかり治療を行わないと、変形したままの状態でくっついてしまう恐れがあります。そうなると、動かしづらくなったり、生活に不便を感じる後遺症が残りかねません。
また、完全に元通りになるまでには、かなりリハビリの時間がかかるようです。今回は、その手首に骨折についてお伝えいたします。
手首の骨折の種類
手首は骨折する箇所によって骨折の種類が変わります。
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)
難しい名前が付いていますが、橈骨遠位端骨折がこの手首骨折の正式名称だそうで、橈骨というのは、手首から伸びている骨です。また、折れ方で呼び方が違います。橈骨が手のひら側に折れるのがスミス骨折、橈骨が手の甲側に折れるのがコレス骨折といいます。
最近はこの手首を折る人が増えました。特に高齢者が多いのですが、ウォーキングなどで、道に滑って手を付く際に骨折することが多いようです。また、ある人は、立ちあがろうとした時に手をテーブルに付いたとたんに、ポキッと折れることもあるそうです。これなどは稀なケースでしょう。
ですが、用心しないと骨粗しょう症などで骨がもろくなっている時は、そのような状況でも折れてしまいます。それと、特に、高齢の方が骨折するとその回復力なども通常の人より、弱くなっていますから、治るのにも時間がかかります。
手根骨骨折(しゅこんこつこっせつ)
手首と手のひらを繋いでいる小さな幾つかの小骨があります。これらの骨は8つに分けられます。月状骨(げつじょうこつ)、三角骨(さんかくこつ)、豆状骨(とうじょうこつ) 、有頭骨(ゆうとうこつ)、有鈎骨(ゆうこうこつ)、舟状骨(しゅうじょうこつ)、大菱形骨(だいりょうけいこつ)、小菱形骨(しょうりょうけいこつ)の8つとなります。
これらの小さな骨が損傷や折れてしまうことでも骨折が起こります。特に手の旋回運動などを頻繁に行う人や、格闘家主にボクサーなどに多い骨折です。
また同時に脱臼などの症状も起こりやすく、脱臼だけの場合は牽引での処置で回復する場合がほとんどです。
これらの骨折などの怪我は、激しい痛みとともに腫れなどの症状が大きく出ますし、放置してしまうと骨が短くなったり変形するなどして運動に障害が残ってしまう可能性があります。治療を行っても後遺症が残ってしまう可能性がありますので早めに病院での治療を行うようにしましょう。
手首の骨折の原因
では手首の骨折の原因について紹介します。
老齢によるもの
原因は単純に、骨自体が弱くなっていることもありますが、実際には手首に負荷がかかりすぎたためです。手首には、橈骨と尺骨の2本の骨があります。橈骨は親指側から伸びている骨で、2本のうち太い方の骨です。逆に小指側の骨が尺骨です。
この手首の骨折の予防のためには、余分な負荷をかけないように、無理をしないことも重要かと思います。
骨粗鬆症によるもの
骨粗鬆症は、手首に限らず、他の部分、例えば足や背骨なども骨の内部が、スカスカで脆くなってしまうことです。手や足などは、動きに若干の不便さが出ますが、背骨が骨粗鬆症で、圧迫された状態の骨折は、歩けなくなるなどのこともありますので、骨粗鬆症自体にも日ごろから注意をしたほうがいいかと思います。
そうかといって、いくら骨を強くするために栄養が必要だからと、カルシウムをたくさん取っても限度がありますし、骨粗鬆症の場合は、その栄養補充をしても、劇的によくなることはありません。
今後、更に骨が脆くならないように、そして、骨粗鬆症が進行しないように、必要な栄養分はサプリメントなどで補充することが望ましいかと思います。
外傷によるもの
交通事故などで、自転車に乗っているとに転んで手をつくなどの行動をした時に大きな力が手首に加わって骨折してしまうケースが多いです。他にもボクサーなどの手首に強い衝撃が加わる格闘技や、手首の運動をよく行うスポーツ、バットやグラブなどを使う野球やゴルフやテニスプレイヤーなどにも起こりやすい傾向があります。
また、冬場はスキーやスノーボードやアイススケートでの転倒時の骨折の患者も増えます。またまだ骨が太く発達していない子供も手首の骨折を起こしやすいでしょう。
外傷で骨折が起こった時は、事故直後に痛みが強く現れるので骨折しているとわかりやすいでしょう。手首より先が動かせない程の痛みが走るのでそのような場合はすぐに病院に行きましょう。
疲労によるもの
これも、外傷の時と同様スポーツや格闘技などを行っている人に多く見られます。グラブやバットやラケットを使っての運動時に、ボールと道具が接触しインパクトを行うときの強い衝撃が蓄積し、骨が折れてしまいます。
また野球では、ボールをキャッチする時に折れてしまう可能性もあります。格闘技でも同様、試合中に手首が折れてしまう可能性がありますが、格闘技の場合試合中はアドレナリンが出て居るので、手首の痛みに気づかず、試合が終わった後に痛みが出てくる場合もあります。
完全に折れてしまうケースは稀で多くの場合は骨にヒビが入ることで痛みの症状が現れます。正式にはヒビも骨折ともなされます。初期の段階では痛みが激しく出ることがない場合もありそのまま放置してしまうことも少なくありません。
運動を行うはじめに痛みが出て、しばらくすると痛みが少なくなり、運動後に痛みが強くなることもあります。腫れの症状が少ないケースもあるので、腱鞘炎などと勘違いするケースもあります。骨折に比べて治療期間が長くなる場合もあります。
しかも疲労骨折は慢性化する可能性もありますので治療期間に試合があるからと行って無理に運動を行わないことが重要です。
手首の治療法
手首の骨が骨折してしまった場合の治療方法を紹介します。
ギブス固定
手首の骨折をした場合、関節に近い部分でどうしても動いてしまう場所なので、骨がくっつき安定するまでは、動かないように固定するギプスに頼ることになります。
治療の際、骨折した箇所を引っ張り、骨と骨をきちんと合わせます。この合わせが完全でないと、後々骨がくっついた時に、ずれて曲げにくくなったり、腕が妙な形で膨らんでしまうこともあります。当然、医師にかかるわけですから、その治療に長けている医師を選ぶことは重要です。
そして、ギプスをつけている期間は、大体3~4週間ぐらいとなります。この間、必ず首から腕を下げるようにします。これをしないと、血の流れが悪くなり、治りも遅くなります。
骨が無事にくっついたら、ギプスを外して腕が従来通りの動きができるようにリハビリを行います。
手術
また、複雑に骨折している場合は、手術で骨をくっつけます。その際に、プレートや金属類の器具などで補助してつながりやすいようにすることもあります。
骨がくっつくまでの間は、傷がある場合は化膿しないように、薬を処方します。また、意図的に骨が付きやすいように栄養の補充も必要となる場合があります。
リハビリ
このリハビリは、毎日きちんと行わないと、元の動きが出来なくなります。よくあるのが、曲げられなくなったとか、物をつかめないという状況です。ギプスを外したばかりのときは、ほとんど動きません。
動くようになるために、少しづつ筋や筋肉を動かしていきます。これをしばらく行うと、従来通りに動くようになります。ギプスをつけていた時は、動かせないため、筋力も弱まってきています。その筋力の回復を目指すのが、リハビリなのです。長くて3~4ヶ月かかる場合もあります。
また、一度骨折した箇所は、再度骨折する可能性も高いので、以後は骨折になった時と同じような状況にならないように、注意した方がいいでしょう。
治療期間
骨折は発見が1日遅れると治療期間が3日長くなるといわれています。なので早く直したい、大会が近いなどの場合は一刻も早く治療を開始することが早期の回復に繋がります。
骨折の程度によって治療期間は前後しますが、基本的な骨折の平均の治療期間は3ヶ月です。場合によっては完全に復帰できる状態にまで治るには6ヶ月くらいの期間が必要になる場合もあります。
これが年齢が若ければ若いほど回復力は早くなり2週間〜3週間の時間短縮は可能になります。また、治療期間を早く済ませるためには、リハビリを毎日行うことや日光を浴びる、運動をする、睡眠をとる、バランスの取れた食事を心がけることで期間を短縮することも出来ます。
治療期間を短縮する食事
骨の成分はカルシウムだけだと思われがちですが、さらに重要な栄養分があります。それがタンパク質とコラーゲンです。コラーゲンを多く含む食品は脂質なども多く含んでいるものが多いので摂取方法を工夫する必要がありますが、コラーゲンをとることで靭やかな折れにくい骨の生成を助けることが出来ます。
骨密度を増やし、丈夫な骨作りを行うことが出来ます。逆にコラーゲンが不足した密度の高い骨は粘り気が少ないので簡単に折れてしまう骨になってしまう可能性があります。これは近年隠れ骨粗しょう症として危険視されています。
コラーゲンまたはファイバープロテインという成分が含まれたサプリメントを食事とともに摂取することで治療期間の時短を目指すことが出来ます。さらにビタミンCの成分が相乗効果をもたらしてくれるので食事などに積極的に組み込んで丈夫な骨の生成を促しましょう。
手首の骨折の予防法
なるべく手首の骨折が起きないようにしましょう。
筋力を保持する
年齢を重ねると、骨も筋力も弱くなります。骨は丈夫でもその周りの筋力が落ちてきていて、骨を支えきれずに骨折するケースもあります。一番の予防法は、身体に楽をさせずに、ウォーキングなどで筋力を動かしたり、荷物も自ら持つ習慣を心がけ、意識的に動くことが重要かと思います。
それと、肉類を食べることも重要です。人間の身体の、特に筋肉はたんぱく質でできています。このたんぱく質が不足しますと、当然筋力が弱ってしまいます。意識的に動いて筋肉を保つと同時に、たんぱく質を補充して、筋力に低下を防ぎます。
長生きしている人でも、寝たきりにならない人は、肉をかなり食しているという統計も出ています。歳を取ったから、肉類は取らないではなく、歳を取ったから、肉類を取るという習慣をした方がいいと思われます。この場合は、なるべく不必要な油は取らない工夫が必要です。焼肉のように網で焼いたり、茹でて不要な油は落としましょう。
カルシウムを摂る
骨が弱くなるのは、年齢によって多少仕方ない部分がありますが、必要な栄養を補充することで、ある程度は予防の上で非常に重要です。
年をとると食が細るのですが、かといって、お腹が膨らむ程度の食事では、明らかに栄養不足になります。また、栄養に関しても、結構間違った方法での認識が多いので、ここでご紹介します。
今までの知識として骨を丈夫にするには、牛乳をとるといわれてきました。これは、明らかに間違いです。欧米人はたくさんの乳製品を取りますが、実は欧米人ほど骨粗鬆症かかっているのです。
これはどういうことかといいますと、牛乳などの乳製品を取ることが、骨を脆くしている証拠ともいえます。つまり、乳製品を取ることにより、カルシウムが身体から出て行ってしまっているのです。まだまだ、この認識は広まっていませんが、一部の学者などはきちんとした形で、発表しています。
では、骨を強くするにはどうするかといいますと、一番いいのが骨付きの魚類を食することです。特にいいのが、シラスやジャコのような小魚を食べることです。また、いわしの缶詰などもいいでしょう。これらは骨ごと食するのでカルシウムも吸収できて、健康的にも非常に有効です。毎日でもこれらは食することが望ましいかと思います。
陽に当たる
骨を強くする方法として、陽に当たることも重要です。一日数分でいいので、太陽の光に当たることにより、ビタミンDという骨を強くする成分が体内に増えます。当然、裸で光に当たる必要はなく、衣服を着たままで充分です。日に焼けるからと敬遠しがちですが、意識的に日に当たるようにしましょう。
骨折を起こしやすい年齢
圧倒的に骨折を起こしやすい年齢というのは12〜18歳の期間の思春期の子供に多く発生します。統計的には16歳での骨折が最も多く確認されています。
特に多いのが過度のトレーニングによる疲労骨折です。まだ身体の大きくなりきっていない、年齢での過度なトレーニングに骨がついていけず骨折が起こってしまいます。高校生になると骨も成長してきてだんだん骨折の頻度は少なくなります。
運動した後はしっかり休ませることや、同じ箇所に負荷の掛かるトレーニングを繰り返すなどの方法を改める必要があるでしょう。
骨粗しょう症での骨折は圧倒的に50代以上の高齢者に多いです。特に女性に多く患者がいると言われていて3人に1人は骨粗しょう症予備軍であるという調査もあります。
上記でも紹介したように、筋肉量をつけて骨にだけ負荷をかけないようにしましょう。また食事が偏らないように注意し、骨の健康を保ちましょう。
まとめ
いかがでしたか。手首の骨折といっても、身体の状態から栄養分などの影響といろいろとその背景があります。ただ単に手首に負荷がかかっただけの理由に留まりません。そういう意味では、他の部分もそうですが、負荷がかかってもそうそうの折れないような身体にしておくことも重要です。
特に、最後のほうに書きました、間違った栄養補充は参考になるかと思います。この認識を把握して、予防にも務めるようにしていっていただきたいと思います。
骨を強くするには、乳製品はとらない
普段から、予防のために楽をしない
食事は栄養を考えて取る
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