手首の痛みは炎症かも?考えられる原因と治療法、予防方法を知ろう!

手首に痛みがある。どこかでぶつけたのか、それとも健康のために行なっている運動が原因なのか。詳しい原因は定かではありませんが、なぜか痛みを生じることがあります。そういうことってたまにありますよね。

手首の痛みはとても身近な症状ですが、その原因は意外と多いです。手首というのは日常生活の中で比較的負担のかかる場所ですから、様々な原因が考えられるのですね。それこそ身に覚えのないぶつかりなんかが原因になることがあります。

では、手首の痛みを発症させる原因はどのようなものがあるのでしょうか?特徴や症状が起こる原因。そして、それら治療法・対処法について詳しくみていきましょう。

手首の痛み方と場所について

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手首には指へと伸びる腱が存在します。5本の指にそれぞれ腱を伸ばし、動作を制御しているのですね。その腱を納める部位を「腱鞘」と言います。その名の通り鞘の役割をしているわけです。

手首の痛みを感じた時、真っ先に思い浮かぶのはこの腱鞘炎ではないでしょうか。手首を動かすたびに痛みを感じます。症状によっては、指先に痺れを感じることもあります。

手首の痛みを生じる腱鞘炎ですが、骨に異常があったり、人体に炎症が起こることでも痛みを発症します。それらはキーンベック病、TFCC損傷といった病名で呼ばれます。

また、手首の痛みと共に指先に痺れを生じさせる手根管症候群やバネ指といった症状もあります。このように手首の痛みといってもかなりの種類の病気を疑うことができるです。では、それぞれの症状について詳しくみていくことにしましょう。

腱鞘炎

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腱鞘炎とは先に述べたように、指へ伸びる腱を納める腱鞘、そして腱そのものに炎症が起きている状態です。腱は筋肉から指先へと伸び、指の動作を司っています。

腱鞘炎の原因は腱の使いすぎや腱鞘と腱が擦れてしまうことで起こります。生活の中で指先をよく使うようなことをしていると、腱鞘炎にかかりやすいといえるでしょう。

さらに具体的に言うなら、パソコンの長時間使用なんかが原因としてあげられます。タイプするたびに指が動きますから、そのたびに腱に負担がかかっていえます。

最近ではスマートフォンの長時間使用も腱鞘炎の原因といわれています。スマホを持つために不自然な指の形になってしまうことが、腱鞘炎を招くようです。

ホルモン量も原因?

腱鞘炎ではそういった指の使いすぎのほか、ホルモンも関係しているといわれています。それはエストロゲンという女性ホルモンの量が少なくなると腱鞘炎になりやすいというのです。

エストロゲンは女性らしい体を作るホルモンですが、腱に柔軟性をあたえる役割もあります。このホルモンのおかげで、腱がいつまでもしなやかで柔軟性を保つことができるのですね。しかし、エストロゲンが減少してしまうと腱の柔軟性が失われてしまいます。

エストロゲンの減少は出産後の女性、そして更年期の女性に起こりやすいです。出産後は女性ホルモンが減少しますし、閉経後もまた同様に減少します。

体に大きな変化があったとき、どうも手首が痛むようになった。このような心当たりがある時は、体内のホルモンバランスが崩れていることが考えられるでしょう。

違和感を感じたら少し休める

腱鞘炎は日々、手を使い続けることで起こります。日常生活や仕事で手を使わないということはなかなかありませんから、誰しもそのリスクがあるといえるでしょう。

腱鞘炎を予防するためには、手首に違和感を感じた時点で手を休めるということ。腱に疲れが溜まってきている証拠ですから、無理に使わないようにしてください。

それは、些細な負担でも同じです。スマホを1日中触っている人もいますが、手首が痛いのであればそれも控えた方がいいでしょう。手首の痛みが悪化することもあるからです。腱鞘炎を治す基本は安静にすること。痛みを感じた時は素直に手を休めるようにしましょう。

詳しくは、腱鞘炎に湿布は有効?それともテーピング?適切な処置とは!を参考にしてください!

キーンベック病

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手首に起こる痛み症状の原因としてキーンベック病というものがあります。なかなか聞きなれない病名ですが、発症すると手が使えなくなることもあります。

キーンベック病とは手首の中央にある月状骨という骨が壊死してしまう病気です。月状骨への血流が何らかの原因で阻害されてしまうことで、壊死が起こります。

キーンベック病の症状は手首の痛みのほか、手首の腫れ、握力の低下、手首を動かしにくくなるなどがあげられます。痛みだけに収まらず、手の機能そのものを低下させてしまうことがあります。

キーンベック病のの特徴は手首中央の痛み。この痛みが手首関節の外側で起こります。その他、動作時に痛みを感じる、という症状も発症します。

キーンベック病の原因

症状そのものは手首の月状骨の壊死によって起こりますが、どうしてこの症状が起こるのでしょうか。詳しい原因はわかっていませんが、手首の骨の形状そのものに原因があるといわれています。

月状骨は手首の中央に位置しています。このため、周囲の骨から圧力がかかりやすいという特徴があります。この圧力によって血行が阻害され、病気を招くのではと考えられています。

キーンベック病は手を使用する職人の方に発症しやすい傾向にあります。また、年齢の差はなく、若い人でもキーンベック病を発症することがあります。

キーンベック病の診断

病気の診断としてはレントゲン撮影やMRIを使用します。病気の初期の段階ではレントゲン写真では患部の撮影が難しいことがあり、MRIを使用して撮影することがあります。

キーンベック病の治療

キーンベック病の治療では骨の状態に応じて方針を決めていきます。初期の段階であれば、保存療法を行い、経過観察とします。手首にテーピングやギブスを施し、患部を守る処置をします。

症状進行が見られ、常に痛みを感じるようであれば手術を適応します。手術では骨に血液を流す血管移植手術や、月状骨への圧力を軽減するために周囲の骨を削る手術を行うことがあります。

ドケルバン病

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腱鞘炎の中でも親指の付け根に痛みを生じるのが「ドケルバン病」と呼ばれる病態です。ドケルバンとは病気を発見したスイスの医師の名前です。

ドケルバン病の特徴は親指を動かすと手首に痛みを感じるというもの。手首の内側、出っ張った骨とくぼみのちょうど真ん中あたりに痛みを感じます。

親指は2つの腱によって動きます。1つは短母指伸筋腱。これは親指を伸ばす働きがあります。もう1つが長母指外転筋腱。これは親指を広げる働きがあります。この2つの腱を収めているのが、腱鞘です。

親指を使うと腱が引き伸ばされます。この際、腱鞘に負担がかかり、肥大、もしくは損傷してしまいます。これが続くと炎症を起こしてしまうのですね。

ドケルバン病は他の病気と同様に、手を使いすぎる人に好発します。特に親指の使用が多い人ですね。仕事でよく手を使う人に多いですが、赤ん坊の世話をしているお母さんにも多いといいます。

ドケルバン病の診断

ドケルバン病ではフィンケルシュタインテスト変法という方法で診断を行います。親指を握った状態で握りこぶしを作り、手首を内側に曲げます。このとき、親指付け根に痛みを感じたら、ドケルバン病の可能性があります。

また、手首を内側に曲げ、その状態で親指を動かしたとき痛みを感じるようであれば、同様にドケルバン病の可能性があります。親指の動作と共に違和感があるようであれば用心してください。

ドケルバン病の治療

基本的な治療は患部を固定する保存療法を行います。患部をテーピンブやギブスで固定し、親指の動作を制限します。動かしてしまうと症状が悪化するので注意が必要です。また、痛みがひどい場合は腱鞘に抗炎症剤を注射することがあります。炎症を抑え、痛みを緩和することができます。

保存療法や抗炎症剤の注射でも症状改善が見られない場合は、腱鞘の切開手術を行うことがあります。具体的には短母指伸筋腱を包む腱鞘を切開します。

手術は大掛かりなものではなく、10分もかからず終えることが多いようです。痛みの原因となる腱鞘そのものを切ってしまうので、根本的な症状改善が期待できます。

TFCC損傷

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TFCC損傷は小指側の靭帯や骨に損傷が起きることで、痛みなどの症状を発症してしまう状態です。三角線維軟骨複合体損傷とも呼ばれ、様々な症状を発症します。

手首には手の安定性を保つ靭帯が存在します。靭帯とは骨と骨をつなぐ役割があります。手首、小指側には以下の7つの靭帯・関節があります。

1:尺骨三角骨靭帯

2:尺骨月状骨靭帯

3:掌側橈尺靭帯

4:背側橈尺靭帯

5:尺側側副靱帯

6:三角靱帯

7:関節円板

1~4の靭帯は骨と骨をつなぎとめ、手首の安定性を保っています。5の靭帯は手首の外側に位置し、同様に手首を安定に保っています。6の靭帯は手首のひねりに対して、安定に保つ役割があります。これら7つの組織を合わせて、TFCCと呼びます。

TFCC損傷では痛みのほか、手首を返すことができなくなる、握力の低下がみられます。手を使う行動にかなり制限がかかるため、厄介な状態といえるでしょう。

TFCC損傷の原因

TFCCを損傷してしまう原因は外側へ向く力が手に加わることが考えられます。それは具体的に言えばテニスのようなスポーツをしているなどがあります。

また、日常生活の中で手を強く床についてしまったときなんかも、TFCC損傷を発症することがあります。不意にかかる強い衝撃によって、靭帯が損傷してしまうのですね。これは捻挫と同じです。

TFCC損傷の診断

手を開き、その状態のまま左右へ手首を動かしたとき、小指側の手首に痛みを感じるようであれば、TFCC損傷を疑います。痛みは親指と人差し指の付け根に圧力を加えても発症しますので、これも診断材料の1つにします。

TFCC損傷の治療

基本的な治療は保存療法です。患部をテーピングなり、ギブスを装着するなどをして固定します。靭帯の損傷なので、手術をすることはありません。

スポーツをしていることで発症したのであれば、スポーツを控えることが何よりの治療です。生活をしている中でも極力手を使わないこと。反対の手を使い、負傷している手には負担をかけないようにしましょう。

詳しくは、TFCC損傷を詳しく知ろう!治療のための手術や原因、症状を細かく紹介!を読んでおきましょう。

その他の手の病気について

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腱鞘炎やキーンベック病といった病気は手首に何かしらの炎症が起こる病気でした。TFCC損傷では過度な負担により、靭帯が損傷することで痛みが起こります。

さて、手首だけではなく、指や手の平に症状が現れる病気もあります。ふとしたときに手がしびれたり、痛みが走るものですから、生活に支障がでることがあります。それは具体的にどのような病気があるのでしょうか。

手根管症候群

手根管症候群は指先や親指の付け根にしびれや痛みを発症する病気です。手首に痛みを発症しませんが、やはりその原因は手首の付け根付近にあります。

指を動かす正中神経という神経があります。これは手の中心からそれぞれの指へ分かれています。この神経と直角方向に手根管というトンネル状の組織が並んでいます。

手根管症候群はこの手根管がなんらかの原因で正中神経を圧迫してしまうことで起こります。手先の痺れ、こわばり、痛みなどが主症状です。

手根管症候群の原因はよくわかっていません。しかし、妊娠中の女性や更年期の女性に好発します。また、良性の腫瘍、透析といった他の病気を発病していると発症することがわかっています。

治療は保存療法が一般的です。抗炎症剤を塗布することで、患部の腫れを抑制します。症状が改善されない場合は、手根管を切り開く手術をします。

バネ指

バネ指は指の曲げ伸ばしが難しくなる病気です。症状が進行すると指が曲がったままで、反対の手で動かさなければ伸びなくなってしまうということも起きてしまいます。

指には滑膜性腱鞘と靭帯性腱鞘という組織があります。指の靭帯は滑液性腱鞘に包まれ、さらにその2つを靭帯性腱鞘が包み込んでいます。滑液性腱鞘は腱の動きをスムーズにする役割があり、靭帯性腱鞘は固定する役割があります。

バネ指はこの滑液性腱鞘が炎症を起こし、肥大してしまうことで起こります。これにより、指の動きが悪くなってしまうのですね。動かすたびに痛みを感じることもあります。

バネ指も他の症状と同様に、保存療法で治療をしていきます。症状の進行によりますが、一定期間患部を固定し、極力刺激を与えないようにします。

詳しくは、ばね指の治し方とは?原因や症状、手術の方法を知ろう!を読んでおきましょう。

病気の基本の治療

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手首が痛い症状の治し方は基本的に保存療法です。患部にかかる負担を極力減らすこと。そして、手を使わないこと。痛みが引くまでの間、このことはとても重要です。治療を促進するために以下のことをしましょう。

サポーター、テーピングの装着

手首を固定するサポーターやテーピングをすることで、患部への余計な負担を減らすことができます。ふとした瞬間の動作も防いでくれるので、患部を守ることができます。

熱を持っていたら冷やす

手首をぶつけて、それから痛みが出てきた。そんなときは、患部が熱を持っていることがあります。炎症が起きているのですね。このときは患部を冷やすことが正しい対処法です。

熱が引いたら患部を温める

靭帯や腱の損傷は薬を使うこともありますが、基本的には自然治癒です。つまり、重要なのはいかに患部に血液を送ることができるかです。幹部への血行を良くするために患部を温めるようにしましょう。

手の病気の対策

手首を痛めないためにできることがいくつかあります。まず大切なのは、手の使用を長時間続けないということでしょう。痛みや違和感があったら、少しの時間、休憩を取るようにしてください。

スマホの操作といった、日常動作にも気を配る必要があるでしょう。毎日の些細な行動ですが、手には確実に疲労が蓄積していることがあります。手が痛いと思ったらすぐに休憩を取るようにしましょう。

運動前のマッサージ・ストレッチも大切です。テニスといった手首に負担がかかる運動をしている人は、手首の柔軟ストレッチを忘れないようにしましょう。運動後のマッサージも、怪我をしないために大切です。

まとめ

手首の痛みは一見して、それほど大事に思えません。動かした時にちょっと痛む。その程度であれば、誰しも放置してしまうのかもしれませんよね。しかし、ここに落とし穴があるのです。

症状を治す最も効果的な方法は動かさないということ。つまり、患部に刺激を与えないことです。これを無視して、運動やら仕事ばかりをしてしまうと、症状はより悪化してしまいます。

最終的には握力の低下、手首の慢性的な痛みを発症し、生活に支障がでてしまうこともあるでしょう。些細なことの積み重ねですが、このような症状まで起こしてしまうのが手首の痛みです。

痛みを感じたら、極力安静にすること。そうすれば、気がついた時には症状は治っているはずです。あまり無理をしないようにしてくださいね。

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