まぶたにしこりができて、どうも違和感がある…そういったことで悩んではないでしょうか。瞬きをするたびに違和感を感じたり、見た目も気になる。できることであれば、早く治したいですよね。
では、まぶたのしこりの原因はどういったものが考えられるのでしょうか。また、どういった治療をすれば治すことができるのでしょうか。こういったことについてみていくことにしましょう。
この記事の目次
まぶたのしこりの原因1:霰粒腫(さんりゅうしゅ)
まぶたのしこりを引き起こす原因としてとても多いのが霰粒腫です。聞き慣れない名称かもしれませんね。別名、目いぼとも呼ばれることがあり、いぼのようなしこりを発症します。
霰粒腫はマイボーム線という腺に脂肪が詰まってしまうことが原因で起こります。マイボーム腺は眼球の乾燥を防ぐ脂を分泌していて、その成分は涙にも含まれています。分泌腺が詰まった状態を放置し続けると、炎症症状を招き、痛みや痒みを発症することもあるので注意が必要です。
霰粒腫には炎症性霰粒腫(もしくは炎性霰粒腫、急性霰粒腫)と非炎症性霰粒腫の2つがあります。前者は強い炎症や痛みを伴います。大丈夫だろうと思って放置していると、急性炎症を招くこともあるので注意が必要です。一方、後者は炎症や痛みがみられず、まぶたのしこり症状です。どちらのケースにしても、なるべく治療をするようにしましょう。
霰粒腫の治療
症状が軽度であれば、炎症を抑えるステロイド剤の注射、点眼薬、抗生物質、内服薬等で治療することができます。症状が引いて行き、徐々に瞼のしこりは消失して行くでしょう。
一方、炎症症状が急速に進み、強い痛みを発症しているケースがあります。この場合は、炎症が引くまで抗炎症剤などを投与します。炎症が引いたのち、切開手術によって膿などの内容物・分泌物を摘出していきます。状況によってまぶたの裏からではなく、皮膚側から切開することもあります。点眼麻酔によって麻酔を行います。
霰粒腫の病状は患者自身のストレスによって左右されることがあります。免疫力が低下していれば、炎症がひどくなることもあり、治療中はなるべく安静にしていることが大切です。
詳しくは、霰粒腫は放置しても大丈夫?その治療法や症状を紹介!を読んでおきましょう。
まぶたのしこりの原因2:汗管腫(かんかんしゅ)
汗管腫はまぶたにできる良性の腫瘍です。腫瘍といっても良性なので、体になにか悪さをするということはありません。大きさは1〜5mm程度で、それ以上大きくなることはありません。
汗管腫の原因についてはよくわかっていないのが現状です。しかし、肌の衛生状態が悪かったり、食生活の偏りに起こるといわれています。思春期の女子に多く発症することが特徴です。
しこりを発症しても痛みを感じることはありません。また、まぶただけではなく、額やほおなど顔の各部位、さらには胸や脇にもできることもあるので、注意が必要でしょう。
汗管腫の治療
汗管腫は自分での治療が難しく、専門の科で治療を受ける必要があります。取るためにはレーザー治療といったことが行われます。一度医師や専門家に相談してみることをおすすめします。
生活の面ではまず、肌を綺麗に保つことが大切です。汚れた手で触ってしまうと症状が悪化することもあるので、なるべく触らないようにしましょう。お化粧品にも注意する必要があります。
食生活にも気を配る必要があります。糖質や脂質は肌の質を低下させることがあります。特にインスタント食品などのジャンクフードの過剰摂取には気をつけたいものです。
詳しくは、汗管腫はどんな病気?治療するためのクリームやレーザー治療について!症状や原因も知ろう!を参考にしてください。
まぶたのしこりの原因3:脂漏性角化症
高齢者に好発する肌の症状です。肌は紫外線から絶えずダメージを受けていますが、メラニン色素によって、深部まで紫外線ダメージが及ばないようになっています。メラニンは肌の新陳代謝によって、角質と一緒に垢として排出されています。
しかし、年齢が高くなるにつれて、肌の新陳代謝が低下すると、肌が硬くなることがあります。これが脂漏性角化症のメカニズムです。長期的に紫外線を浴びている人ほど症状は深刻になります。
脂漏性角化症はまぶたにできることもありますが、紫外線が当たる部位であれば発症する可能性があります。特に顔は陽の光がよく当たるので、紫外線対策をしていなければ、いたるところにできる可能性があるでしょう。
脂漏性角化症の治療
しこり部分に液体窒素を塗布することで、除去することができます。イボの除去方法と同じですね。1〜2週間ほどでかさぶたとなって取れていきます。ただ、痕が残るケースがあるので、まぶたなど目立つ部位では、レーザー治療等を行います。
レーザー治療はレーザーを患部に照射することで、角化症を除去していきます。その他、電気メスを用いて除去したり、外科的な手術を持って除去する方法があります。
詳しくは、脂漏性角化症とは?そのメカニズムや治療方法を知ろう!を読んでおきましょう。
まぶたのしこりの原因4:麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
ものもらいと呼ばれる症状です。先ほど述べた、油分を出すマイボーム腺や脂腺、まつ毛の根元などに細菌が感染・繁殖することで、まぶたにしこりを作ってしまいます。
麦粒腫の症状はしこりのほか、かゆみや痛みを感じることもあります。膿ができることもありますが、排出されてしまうと症状は快方に向かいます。その間、触らないことが大切でしょう。
一方、麦粒腫が進行すると発生している側の耳のリンパ節が腫れることもあります。その他、痛みが大きくなったり、涙・めやにの量が増えるなどの症状がみられます。
麦粒腫の治療
基本的には患部を触らず、衛生状態を保つことが大切です。手でこすったり、コンタクトレンズの着用は避けた方がいいでしょう。細菌が繁殖し、症状が悪化することがあります。
治療は原因菌に対する軟膏や目薬を点眼するなどの方法を行なっていきます。治療期間としては1週間ほど。長い場合でも2週間程度といわれています。処方された薬をきちんと続けることが大切です。
その他、前髪を伸ばしすぎたり、女性であれば美容・化粧に気をつけるようにしましょう。目の衛生状態他、刺激をなるべく避けるようにすれば、早く回復するでしょう。
詳しくは、ものもらいの原因とは?ストレスや疲れとの関係についてを読んでおきましょう。
まぶたのしこりの原因5:乳頭腫
まぶたに数多くのイボのようなものができる、乳頭腫という状態があります。これは角質が固まったもので、深刻な症状を発症することはありません。しかし、見た目が気になったり、目がゴロゴロするといった、かなりの違和感を感じることがあります。
乳頭腫はまぶただけではなく、体のそこかしこに発症することがあります。できた乳頭腫は触っても痛みを感じることはありませんが、やはり見た目が気になるでしょう。
乳頭腫の治療
まぶたにできた乳頭腫は基本的に手術で切除します。局部麻酔を行います。手術によって見た目が変わるということは少ないとは思いますが、心配であるようでしたら、医師と十分相談するようにしましょう。しこりの切除はまぶたの裏側からではなく、皮膚側から切開し、行うことがあります。
もちろん、しこりは極力触らないようにしてください。こすってしまえば、さらに症状が悪化することもありますし、目の状態が悪くなります。衛生状態を保ち、早い段階で病院へ行くようにしましょう。
詳しくは、乳頭腫ってどんな病気?種類・症状・原因・治療法を紹介!喉や鼻にもできる?を読んでおきましょう。
まぶたのしこりの原因6:眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)
眼瞼黄色腫はその名の通り、眼瞼、つまりまぶたの上に黄色のコブを作ります。粒状のものもあれば、平べったいコブをつくることがあります。これが原因でなにか他の症状を招くということはありませんが、見た目はかなり気になるでしょう。
眼瞼黄色腫はコレステロールが沈着することで起こります。背景には高脂血症が隠れており、患者さんは往々にしてコレステロール値が高いことが考えられます。血液中から脂成分が漏出することで症状を発症するのです。
診断はそのまま見ることでも、わかりやすいですが血液検査を行い、コレステロール値をみます。高値であれば、眼瞼黄色腫の可能性が高いでしょう。また、コレステロール値が高いことから、その他の循環器疾患にも気をつける必要があるでしょう。
眼瞼黄色腫の治療
レーザーを照射し、患部を蒸散させる治療が一般的です。その後、軟膏を塗ることで傷跡も徐々に消失していきます。治療そのものはそれほど大掛かりなものではなく、すぐに終わります。
一方、生活習慣の改善を意識する必要があります。先に述べたように、眼瞼黄色腫ではコレステロール値が高い値であるケースが多いため、普段の食生活を見直し、体に良いものを摂取するようにしましょう。
まぶたのしこりの原因7:眼瞼皮様嚢腫
幼児に好発するまぶたのしこりです。お母さんのお腹の中での発育中に、皮膚が奥に入り込んでしまうことで発症します。良性の腫瘍なので、体に悪影響を与えることはありません。
眼瞼皮様嚢腫の治療
手術によって腫瘍を摘出します。年齢が低い幼児・小児では全身麻酔で行うことが多いようです。腫瘍が大きくなると、眼にも悪影響を与えることがあるので、早めに治療を受けるようにしましょう。
まぶたのしこりの原因8:腫瘍
これまでご紹介したまぶたのしこりは、比較的危険性の低いものでした。発症しても体に悪影響を与えることは少なく、目がゴロゴロする、といった不便を感じるぐらいです。一方で、危険が高い病気もあります。それが腫瘍です。
一見してわかりにくいまぶたのしこりの中には、悪性腫瘍を発症しているケースがあります。良性か悪性かどうかは素人目にはなかなか判断が難しいことがあり、時間が経つと転移してしまうこともあります。
悪性腫瘍の種類としては、扁平上皮癌、脂腺癌、メルケル細胞癌、眼瞼腫瘍などがあります。細胞のがん化によって発症します。どれも転移する可能性があり、異常に気付いた時には早期の治療が望ましいでしょう。
腫瘍の治療法
手術による除去を行います。周囲の皮膚もまとめて切除することがあります。転移等がなければ、そのまま治療は終了しますが、転移が認められるケースでは放射線治療等をすることもあります。心の準備をする暇もなく、ペース早く治療を行なっていくこともあります。
まぶたのしこりが腫瘍かどうかの判断はとても難しく、素人判断はなるべく避けたほうがいいでしょう。痛みがないからといって放置するのではなく、早めに病院へ行くようにしてください。
まぶたにしこりができたときの対処法
まぶたのしこりの原因は様々ですが、それを正確に診断することは素人には難しいです。どれも同じような症状を発症するため、見た目での判断ではつきにくく、きちんとした検査が必要です。
では、まぶたにしこりができてしまったとき、どのような対処を実施すればいいのでしょうか。また、痛みや炎症がひどいとき、そん症状を抑えるためにはどのようなことができるでしょうか。
まずは安静にする
まぶたという目立つ部分にしこりができると、どうも気になったりするものです。子供であれば触ってしまうなんてこともあるかもしれませんね。ですが、触ってしまうと手の雑菌がついてしまったり、症状が悪化することがあります。
なので、まず大切なことは安静にして、患部を触らないようにするということ。触らないように眼帯をつけるというのも1つの手だと思います。通気性に気をつけながら、安静にしてくださいね。
病院へ行く
まぶたのしこりの判断は素人では難しいことがあります。一見してほくろのように見えても、それが実は腫瘍だったということもあります。これは詳しい検査をしなければわからないことです。
まぶたのしこりはすぐ治るだろう…そういって治療を先延ばしにしてしまうと、病気が進行することもあります。自己判断はせず、まずは検査を受けるようにしてください。原因がわかれば、きっと安心すると思いますよ。
目の周囲の環境衛生に気を配る
目の周囲の環境に気を配ることも大切です。特に女性に言えることですが、しこりができているときの化粧は控えた方がいいでしょう。化学物質が皮膚の炎症を悪化させることもありますし、きちんと化粧が落ちていなければ、それだけ細菌繁殖を招くことがあります。治療中は通気性に気をつけ、極力化粧をしないこと。また、適宜洗ってあげることも必要です。
一方、普段でも化粧を落とすとき、洗いすぎてしまうのも環境を悪くしてしまうことにつながります。手の雑菌が目で繁殖してしまったり、皮膚の常在菌を減らしてしまうことがあるからです。気にしすぎない程度の衛生環境意識が必要なのです。
まぶたのしこりと生活習慣
体に現れる病気には必ず原因があります。それはまぶたのしこりも例外ではありません。特に生活習慣に根ざした原因が、まぶたのしこりを発症させることがあります。それは具体的にどのようなことが考えられるのでしょうか。
体の抵抗力を落とす習慣
まぶたのしこりを起こす原因として細菌感染がありました。細菌がまぶたで繁殖してしまい、膿などを作ってしまいます。この背景には体の抵抗力の低下が引き金となっているケースがあります。
例えば私たちの体に細菌が感染したとしても、抵抗力があれば症状発症を抑えることができます。しかし、何らかの理由によって抵抗力が低下していると、細菌は容易に繁殖してしまうことがあります。
抵抗力低下の原因は不規則な生活リズム、ストレス、偏った食生活などが考えられます。どれも習慣化することで、抵抗力をどんどん奪っていってしまうことでしょう。気をつける必要があります。
衛生意識の低下
霰粒腫の原因はマイボーム腺の詰まりでした。では、脂肪分を分泌するマイボーム腺の詰まりはどうして起こってしまうのか。それは衛生意識が低下していることが考えられます。
例えば日本人の多くがコンタクトレンズを使用しています。コンタクトレンズは1日1日で交換したり、洗浄するものです。しかし、それを怠り、連日つけていると当たり前ですが、不衛生な状態となります。これが詰まりの原因になることがあるのですね。
また、化粧品について同じことがいえます。マスカラや目元を化粧する場合は、同様に日頃から衛生状態を保っておく必要があります。化粧を落とさなかったりすれば、それだけ衛生状態は悪くなります。
日々のちょっとした意識ですが、こういったことがしこりの原因になることがあります。目の状態を意識して清潔にしてみましょう。充血や痛みがあるときは要注意ですよ。
まとめ
ご紹介したようにまぶたのしこりといっても、その種類は多岐に渡ります。そのため、どの種類で何が原因なのかということは、なかなか素人ではわからないことが多いでしょう。そのため、安易な自己診断は控え、早めに眼科へいくことをおすすめします。皮膚科ではないので注意してください。
まぶたにしこりができるとどうしても気になりますし、早く除去したくなるものです。実際、そう思った時にすぐに行動することが大切でしょう。仮に癌だったとしたら、それは大変なことですよね。なるべくしこりを放置せず、すぐに対処するようにしてください。
関連記事として、
これらの記事も読んでおきましょう。