目が痒い、ゴロゴロする、瞼に出来物ができた……。このような目のトラブルを放置していませんか?その症状、「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」という目の病気かもしれません。眼帯して数日経ったら治るだろうと過信せず、目の不快感を感じたらすぐに対処する必要があります。
普段何気なくやっている行為や習慣が、知らず知らずのうちにあなたの目に負担をかけている可能性があります。霰粒腫の原因や予防法をここでしっかりと学んで、目のトラブルを回避しましょう。
霰粒腫とはどんな病気?
霰粒腫は、目にイボができる「めいぼ」とも呼ばれる目の病気の一種です。瞼にしこりができ、痒みやゴロゴロとした不快感を感じることがあります。
みなさんは、目の機能を保つために涙に含まれる3つの成分が活躍していることをご存じでしたか?涙は、水と粘液、脂の3つの成分からできており、中でも脂は涙が蒸発するのを防いで潤いをキープしたり、眼球運動の際に眼球と内瞼の摩擦を防ぐための重要な物質なのです。
その脂が分泌されるマイボーム腺という部分が何かが原因で詰まることにより、しこりが出来て、霰粒腫は発症してしまうのです。
霰粒腫を放置するとどうなるの?
場合によっては、自然に治癒することがあるとも言われていますが、放置して後々大変な思いをする可能性も十分にあります。霰粒腫は、発症してからどの程度で眼科を受診したかで治療法が大きく変わると言われています。
まず、しこりによるゴロゴロとした不快感を感じ、痛みを伴わない初期の状態で受診した場合です。菌を殺す抗生物質や炎症止めの目薬、眼軟膏の処方を受けることが多く、これのみで治る場合が多いようです。また、初期であれば薬局などで購入できる市販品の目薬でも効果が期待でき、薬剤師さんに聞きながら購入するのもいいでしょう。
では、放置して症状が進行してしまった場合の治療はどのような方法で行われるのでしょうか。腫れて痛みを伴い、角膜まで圧迫するような重症の場合、手術しか方法はありません。ただ、強く炎症を起こしている場合は麻酔が効かない可能性もあり、すぐに手術が出来ないこともあるそうです。その場合まずは、目薬と眼軟膏に加えて、抗生物質の内服薬などを服薬し、炎症が治まってから摘出手術をするという流れになります。
摘出手術は、局所麻酔をして瞼の皮膚を切開し、内容物を取り除きます。時間は、しこりの大きさで変わりますが、10~15分程度と言われています。
霰粒腫になってしまう原因
そもそも、霰粒腫になる原因は何なのでしょう?実は原因の多くは、あなたの生活習慣や行動のクセに問題があるのです。早速、見ていきましょう。
コンタクトレンズの誤った使用
眠さを我慢できず、ついついコンタクトレンズを付けたまま就寝したことはないですか?こすり洗いなどしっかりと洗浄をせずに使用し続けたり、2週間用の使い捨てコンタクトレンズを期限が過ぎても使い続けるなど、使用方法を守らずに装着していませんか?
今では、近視と乱視用の従来のコンタクトレンズに加え、瞳を大きく見せたり、色を変えることができるオシャレ用のコンタクトレンズの使用者も増えています。身近になり過ぎて忘れてしまいがちですが、手で直接目に装着するコンタクトレンズは、使用方法を誤ると目のトラブルを招きやすい危険なアイテムでもあるのです。使用方法を守り、清潔な手で装着するよう気を付けましょう。
目の不衛生
汚れた手で目をこすったり、運動をしてかいた汗が目に入ったり、前髪が常に目にかかるなど、清潔に保てていない目はマイボーム腺に脂が詰まりやすくなります。
眠い時や疲れた時などに目を強くこするという行動が、日常的にクセになっている人も多いでしょう。このクセは、大人だけではなく子供にもよく見られるクセです。強くこするのも、汚い手で目を触るのもいけません。注意しましょう。
化粧の落とし忘れ
日常的に化粧をしている女性は多いと思いますが、アイシャドーやアイライン、マスカラなどを施すアイメイクは、知らず知らずのうちに目に負担をかけているのです。
まずは、しっかり落とすことが大切です。軽く拭き取る程度や全く落とさないでいると、化粧品の成分が目の中に入り、マイボーム腺の出口を詰まらせる原因となるのです。怠らずに、毎日しっかりメイクを落としましょう。
免疫力の低下
睡眠不足や食生活の乱れ、ストレス、喫煙などによる免疫の低下も、霰粒腫の原因となります。
今までは目の周りにいた常在菌に打ち勝てていたのに、免疫が低下すると抵抗力が弱まり、菌を撃退できずに感染してしまいます。そうすると、マイボーム腺に皮脂が詰まりやすくなり、霰粒腫を発症させてしまうのです。規則正しい生活を心がけましょう。
霰粒腫の予防法
痒いし、ゴロゴロするし、何といっても目が腫れて恥ずかしい……。そんな思いをしないためにも、未然に防ぐための予防法を学びましょう。
目を清潔に保つ
一番大切なのは、菌が目の中に侵入するのを防ぐことです。
前髪を横に流したり切るなどして目にかからないようにしたり、汚れた手で絶対に目を触らない。さらに、コンタクトレンズを長時間つけないようにしたり、アイメイクはしっかり落とし切る。ちなみに、目が疲れていると感じた時や違和感を少しでも感じた場合は、コンタクトレンズは使用せずにメガネをしましょう。また、目にホコリやゴミが入ったと感じたら、市販品でいいので目薬をつけて洗い流すのもいいでしょう。
日々の暮らしの中で、常に目を清潔に保つ、努力をしてください。
良質な睡眠
質の良い睡眠は、体の免疫力を上げます。
霰粒腫にならないためには、目の中に細菌が侵入することを防ぎ、マイボーム腺が皮脂で詰まらないようにする必要があります。いずれも、あなたが持つ菌を撃退するための抵抗力が重要になります。良い睡眠をとり、日々のストレスを発散し、免疫力をつけましょう。
湯船に浸かる
マイボーム腺に皮脂汚れが詰まらないようにするため、湯船に浸かって体を温めることも予防につながると言われています。
毎日は難しい場合、最低でも週3日程度は湯船に浸かるといいでしょう。温まった清潔な手で軽く瞼をおさえながら、40℃のお湯に10分程度浸かるだけで十分です。季節によって、お湯の温度や時間は調整しましょう。
ビタミンAを摂取する
ビタミンAは、免疫力が下がるのを防ぐだけでなく、目の機能を正常に保つ効果があり、目の健康を維持するためには必要不可欠なビタミンです。厚生労働大臣が定める1日の摂取推奨量は次の通りです。
【男性】
- 18歳~29歳/850μg
- 30歳~49歳/900μg
- 50歳~69歳/850μg
【女性】
- 15歳~29歳/650μg
- 30歳~49歳/700μg
- 50歳~69歳/700μg
ビタミンAは下記の食べ物に多く含まれています。
- 鶏レバー(50g) 7000μg
- 豚レバー(50g) 6500μg
- うなぎ 1500μg
- ニンジン(1/2本) 1283μg
- ほうれん草(1束) 1050μg
- かぼちゃ(1/4個) 813μg
- 卵黄(1個) 94μg
霰粒腫を予防する上で、最も大切な栄養素です。身近な食材も多いので、日々の食事に積極的に取り入れましょう。
霰粒腫が出来てしまった場合の対処法
原因を知り、予防もしっかりしていたのに、霰粒腫が出来てしまうこともあるでしょう。その場合の対処法も理解しておけば、慌てずに素早い処置ができるはずです。早速見ていきましょう。
コンタクトレンズの使用をすぐにやめる
コンタクトレンズは細菌が付きやすく、清潔にしているつもりでも菌が付着している可能性があります。また、腫れている箇所にレンズがあたり、ゴロゴロとしたり、痛みを感じることがあります。
普段使用していないメガネでは見えにくいという方もいると思いますが、目に炎症を起こしている期間は必ずメガネを使いましょう。
化粧はしない
コンタクトレンズ同様、霰粒腫が発症しているときは、目に少しも刺激を与えたくない時期です。化粧をする時も落とす時も、瞼をこすったり、少なからず負担がかかります。治るまでの辛抱です。アイメイクをするのは控えましょう。
眼帯は清潔なものを使用する
霰粒腫で瞼が腫れた場合に眼帯をする人も多いですが、実は眼帯はできるだけ着用を避けた方がいいということをご存じでしたか?
眼帯は、繰り返し同じものを使用することで細菌が繁殖し、目に付着する恐れがあります。ただし、腫れた目を他人に見られたくないなど諸事情がある場合もあるでしょう。その場合は、目に当たる部分のガーゼを毎日変えて、必ず清潔な眼帯を付けるようにしてください。
瞼を温める
蒸しタオルを瞼にあてて温めると、マイボーム腺に詰まった脂を落としてくれます。腫れている患部に温めたタオルをあてて、圧力をかけないようにやさしくマッサージすると、より効果的です。
濡らしたタオルを電子レンジで温めたり、お風呂に入った際にタオルをお湯に浸けたものを使用するといいでしょう。ただし、必ず清潔なタオルでなくてはいけません。注意しましょう。
眼科を受診
自然治癒する場合もあると言われていますが、医師の診察を受けることで安心も得られると思います。ゴロゴロと不快感を感じているのにも関わらず原因は定かではなく、一刻も早く治したいという方は、真っ先に眼科を受診するといいでしょう。
初期の段階で受診できれば、簡単な治療で数日で腫れもひき、不快感もすぐになくなります。
まとめ
目は顔の一部です。瞼にしこりができて腫れれば顔の印象も変わり、結婚式など大切なイベントの前日にもし発症したら……と、想像するだけで恐ろしくなりますよね。
そうならないためにも、原因を理解した上で日々予防をして、それでも発症してしまった場合は、放置せずにすぐに眼科を受診することをおすすめします。