物が二重に見える原因は?複視の症状と病気の可能性について!

物が二重に見えるのは乱視だと思っていました。ところが乱視だけでなく、複視という体の病気がある事を知りませんでしたが、皆様はご存知でしたか?

突然物が二重に見えるようになったら、とても驚きますよね。物が二重に見える状態とは、どの様な現象が起こっているのか、詳しく調べてみました。

目を動かす仕組み

眼科

私たちは当たり前に目を動かして物を見ていますが、しかしこの当たり前の目を動かす仕組みにも、異常が起こると物が二重に見えるようになり、複視という病気が起こります。

物が二重に見える理由は、目だけの異常ではないことがあります。それが複視です。

目を動かす仕組みの構造

目を動かすには眼球に6本の筋肉が作用し、それを3本の神経がコントロールしています。それは「外直筋」は外転神経「上斜筋」が滑車神経「上直筋」「内直筋」「下直筋」「下斜筋」は動眼神経にくっついていて、それぞれの神経が見る事の指令をだし、コントロールしているのです。

このどこかに異常が起こることで、斜視となって物が二重に見えてくるのです。眼筋が麻痺をおこしたり、神経が異常をきたすと、両目を同じ方向に向けられなくなり、視線がずれてしまって斜視が起こり、物が二重に見えてきます。

目の向きにより症状が酷くなる場合は、脳の病気や血管障害、全身性の病気の可能性がありますので、眼科や脳神経外科を受診することが大切です。

人の目は僅かにずれているのが一般的です。このような人は無意識のうちに両眼が同じところを見ようとする力が働き、複視になる事はあり得ません。この状態を斜位といいます。

しかし加齢や疲労などで、この力が低下すると目が少しずれたまま斜視になって、複視を自覚します。

目の向きで複視が変わるのであれば、精密検査を必要とします。何故ならその原因が目を動かす筋肉や、コントロールしている筋肉に障害が、起こったかもしれないと考えるからです。

MRIなどを使って筋肉や神経の、状態を調べる必要があります。筋炎や腫瘍などの原因が見つかれば、その原因を治療する必要があります。

人の目は眼窩は横長で、横幅と高さの比率が、どの人類猿よりも大きい事が分かり、他の類人猿よりも側方視が出来るように作られています。

物が二重に見える疾患

突然に物が二重に見える症状が現われた場合に疑われる病気は次の病気です。

  • 脳疾患
  • 眼筋麻痺(糖尿病・高血圧・動脈硬化など)
  • 甲状腺眼症
  • 外傷

物が二重に見える複視とは

複視

物が二重に見える眼複視には、片眼性複視と両岸性複視があります。

目の屈折異常や、目の病気が原因で、片目を隠したときに、物が二重に見えるのが、片眼性複視ですが、片眼性複視は単眼性複視ともいいます。

片眼性複視

物がダブって見える乱視は、片眼性複視です。

目の老化の白内障や、黄斑部の疾患などでも、この片眼性複視が見られます。

乱視・白内障

片眼性複視あるいは単眼性複視ともいう、原因は乱視によるものが多いです。白内障などの二重に見える以外に、かすんで見える症状などもあります。

屈折異常の乱視が複視の原因なら、複視改善の方法として、メガネやコンタクトレンズで矯正すれば、二重に見える症状も改善されます。

筋肉や神経の異常

両眼性複視の原因は、目の異常より目をキョロキョロ動かす、目を動かす神経や筋肉が原因の事が多いです。

複視の場合眼筋自身に問題のある場合と、眼筋を動かす脳神経に問題がある場合とあります。脳神経に原因がある事が多く、脳神経が走っているどこかの部分で、異常をきたしているのです。

複視の場合二重に見えていたのが、片目を隠したら正常に、見えるようになったというのが複視です。

乱視は片目を隠しても二重にものば見えます。乱視度数によっては、三重にも四重にも見えます。

物が二重に見える両眼性複視の原因

両眼性複視は、片目を隠してみた時は一つに見えるのに、両方の目で見た時は、物が二重に見える症状です。

斜視の片方が別の動きをし、同じ方向を見る事が出来ません。視線がずれてしまうことで、この両眼性複視の症状があるようです。

物が二重に見える複視の、原因となる見え方について、4つに分類されます。1つは外斜視、2つめは内斜視、3つ目は上下斜視、4つ目はその他の原因からなります。

1.外斜視

外斜視は正常な位置に片目があるとき、もう一方の位置が外側に向いている状態で、右目の映像は正面より左側にずれ、左側の映像は正面より右側にずれて見え、右目と左目の映像が交差することで、複視を自覚することになります。

動眼神経麻痺

眼瞼下垂のように瞼が垂れ下がったり、眼球運動障害のように目の動きが悪かったり、目が外側に向いてしまったことで起こる主な症状から発症します。

原因の眼瞼下垂や眼球運動障害が重いため、複視を認識するのが遅く、瞳孔障害を伴っていることもあります。

瞳孔障害の場合頭痛を伴うこともあり、脳動脈瘤の可能性が高いです。瞳孔障害がない場合は動眼神経の虚血、脳梗塞、頭部外傷などが原因として考えられます。

内側縦束症候群

この病気は脳梗塞や多発性硬化症が原因で、脳の内側縦束の部位に障害が起こることで、複視を発症します。

片目の内側への目の動きが傷害して、外斜視となって複視を自覚しますが、もう片方の目は、外転時に水平向きの目が、眼球が揺れる眼球振盪(がんきゅうしんとう)を単眼性眼振と認める事で起こります。

2.内斜視

内斜視は外斜視と反対で、片方の目は正面を向いて、斜視の目が内側に向いています。右目の映像は正面より右側にずれ、左目の映像は左側にずれて見え、左右の映像は同じ側にずれてみえます。

外転神経麻痺

動きが悪くなる眼球を外側に動かす、神経が麻痺して複視を自覚します。複視は麻痺側を見ようとすると悪化するのですが、原因としては脳血管障害、糖尿病、頭部外傷などが考えられ、普通は片眼性ですが、脳腫瘍などで頭蓋内圧が上昇した場合は、両眼性外転神経麻痺を引き起こすことがあります。

開散麻痺・開散不全

開散麻痺・開散不全とは離し目の事を開散といい、開散が上手にできない症状を、開散麻痺と読んでいます。ちなみにより目の事を輻湊(ふくそう)といいます。

この開散麻痺は片目ずつの目の障害はありませんし、近くを見た時の複視の自覚も感じられなく、1~2mより遠くを見るときに、複視を自覚することがあります。

原因はハッキリとわからず不明ですが、脳の付け根の部分の、脳幹が障害を起こしていることで発症します。脳血管障害、脳腫瘍、外傷などが起こった時に、起こります。

また強度近視の人は、眼軸が長いため眼窩長も長いのですが、しかし眼軸長に比例せずに、眼窩長が短いために、開散不全を起こすことがあります。この眼軸性斜視を窮屈症候群といっています。

輻湊痙攣(近見反応けいれん)

輻湊のより目が本人の意思に反して、過度に働いて内斜視となる状態で、正位を認める事もあり、内斜視は時間によってことなります。

脳出血や脳腫瘍が原因な事もあり、頭蓋内の画像検査が必要となることもありますが、ヒステリーやうつ病が多いと言われています。

3.上下斜視

上下に眼位がずれて、垂直方向の複視を自覚します。

上斜筋麻痺

上斜筋麻痺は目の内を引っ張る、筋肉の上斜筋の働きが、悪くなる為起こります。筋肉の動きは目を内下方に動かす以外、内向きにねじる回線の働きがあり、この働きが同時に障害されることで、複視を自覚しますが、患者側を見ると複視は弱まります。

上斜筋の原因は先天性や脳循環不全、糖尿病の末梢神経障害、外傷などがあり、先天性が加齢と共に、今まで現れていなかった症状が現われ、顕性化することがあるのです。

後天性で発症した一部においては、自然に治癒することもあるので、手術をする場合は半年以上の、経過を見た後にすることが必要です。

斜偏位

脳の付け根である脳幹や、脳幹の後ろにある小脳の障害で起こります。眼球の運動には制限がありませんが、上下のバランスが崩れる事で、上下の複視を自覚します。

血管障害が原因の多くにありますが、その他に腫瘍、神経変性疾患、神経のさやが剥ける病気の脱髄などが起こります。

窮屈症候群という開散麻痺の原因の一つと、同様の発生のメカニズムで、斜偏位様の上下複視が出現します。

4.その他

眼位ずれの方向が不規則な病気

甲状腺眼症

甲状腺の異常が起きると、眼球異常障害、眼瞼腫脹、眼瞼後退、眼球突出などが疾患として出てきます。甲状腺ホルモンの数値が正常であっても、自らの体を攻撃する免疫機能の異常により、甲状腺関連の自己抗体が起こり、存在機能が存在することで、甲状腺眼症をおこすことが有ります。

眼周囲の肉腫が腫瘍となり大きくなって、眼球運動障害を発症します。特に下直筋腫大にともなう、上転障害が多く、その次に内直筋腫大に伴う、外転障害が多くなります。

その為上下斜視、内斜視を認めその性状は様々です。重症筋無力症とは対照的に、朝重くて時間が経つにつれて症状が軽くなっていく事が多いです。

眼筋型重症筋無力型

免疫機能の異常の自己抗体により、神経から筋肉に伝える部位において、神経伝達がスムーズにできなくなる病態で、筋肉疲労の蓄積や、脱力が起こる病気です。

その中で特に眼周囲のみの症状が起こるものを、眼筋型といい症状は眼瞼下垂、眼球運動障害が起こり、朝軽く夜重くなる症状が起こります。

乱視の物が二重に見える

眼科 フルサイズ

私たち物を見る時は光を角膜の黒目から取り込んで、眼軸上にある一点を中心に、全方向均一なカーブを、屈折させ目の奥にある網膜に、像を映すことで、物を見る事ができます。

眼軸とは光の入り口の角膜から、像を結ぶ網膜までの距離を眼軸といいます。近視はこの眼軸が長いため起こります。

単眼性複視で一番多いのが乱視です。乱視とは角膜に歪みを生じ、網膜にクリアな像が結べない事で起こりますが、物が二重に見えるのは、白内障や、黄斑疾患などでも起こります。

正乱視

乱視には正乱視と不正乱視の2つの種類があり、正乱視は先天性の原因で起こる事が多く、角膜が綺麗な円状になってなくて起こります。

正乱視には角膜が縦長の直乱視、角膜が横長の倒乱視、角膜が斜めの状態の斜乱視といわれることがあります。

また角膜以外の屈折要因に関連するものがあり、水晶体に関連する乱視がこの残余乱視にあたります。

不正乱視

不正乱視は後天的な原因で、角膜の表面が凸凹になって居たりします。乱視は乱視用の眼鏡をかける事で矯正できます。

対処法

対処法は外眼筋が硬くなっていると、眼も歪みやすいので眼筋運動をすることです。

  • まず目の中心に指あるいはペンを立てます。そしてそれを見ます。
  • 指やペンをゆっくり動かします。それにつれて目も動かします。
  • 左右にペンや指を動かしそれを目で追います。この時首は動かしません。
  • 今度は上下にゆっくりと動かしていきます。
  • 動かし終わったら、目で∞の文字を書くように動かします。

このストレッチをすることで、目の硬くなっている外眼筋を柔らかく柔軟にしてくれます。また目の周囲を温めて、目を休めて目の周りの血行を良くすることもよいでしょう。

斜視には間歇性外斜視(かんけつせいがいしゃし)といわれる一時的な斜視になるものもあります。これは目が疲れてピント調節機能が低下して起こります。この様な時には、上のような対処法をすれば、改善される可能性もあります。

物が二重に見えるその他の病気

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目だけの複視の病気以外に、脳の病気や、全身病の病気などが関係して、斜視を起こして物が二重に見えることがあります。その主な病気を見てみます。

糖尿病

糖尿病では眼底出血を繰り返し、失明に至る事もあります。さらに病気が進と難治性の緑内障も誘発し糖尿病にともなう、網膜症が起こります。

その為にも糖尿病を早期発見早期治療が必要です。

動脈硬化

動脈硬化が中枢の血管に起こると、外科的操作を加えることなく光学的に、瞳孔を通して観察されます。

早期の眼底検査が必要な理由がここにあります。これらの病変は網膜の中心に及ぶまで、視力障害として自覚されることはありません。全身病の早期発見眼科検診の重要性があります。

脳腫瘍

脳腫瘍は視力・視野障害に始まる全身病です。脳下垂体の腫瘍、脳梗塞など見られます。脳動脈瘤からくる動眼神経麻痺による複視、頸動脈の一過性血流障害による眼前暗黒感、バセドウ病による複視などが全身からくる視覚異常です。これらは眼疾患からくる全身病です。

虚血性脳血管障害患者に対して、アルテプラーゼ静注療法を行います。脳梗塞は時間との勝負で3.5時間~4時間以内にアルテプラーゼの薬を使って、劇的に回復した人もいます。

詳しくは、脳腫瘍の初期症状について!吐き気や頭痛に要注意!を読んでおきましょう。

物が二重に見える検査

物が二重に見える時の検査は、まず問診から始まり、二重に見えるようになった時期と、どの様な見え方か、二重に見える見え方や、また身体の他の症状がないのか、詳しく尋ねられます。

また眼球のまぶたが下がる眼球麻痺があるか、眼球の位置を視診します。さらに甲状腺の疑いがあるときは、眼球突出や甲状腺の腫れなどを、触診していきます。

斜視などが起こっているかどうか、両眼視機能検査的確に行うことが必要です。

MRI検査

磁気共鳴画像診断のMRIで、放射線を使用しないで鮮明な画像を得られます。これは脳梗塞や、脳腫瘍、脳動脈瘤などが斜視の原因か否かを調べる検査です。

血液検査

全身症の病気を調べる検査で、糖尿病や甲状腺などの異常がないか、血糖値や甲状腺ホルモンの測定を検査します。

眼球運動検査

検査者があるものを示し、それを患者が目で追います。

これは眼球の動きを調べる検査で、両目を明けた状態で左右の目が同時に動くかを調べる連動や、また片方を隠して、左右の目の動きを片方ずつ調べる検査をします。これは患者の見え方が分かります。

赤緑試験検査(ヘスチャート検査)

ヘスチャート検査は目のどこの筋肉に麻痺が起き、目は正常に動いているのか調べる検査です。

検査のやり方としては、赤と緑の入ったレンズの眼鏡をかけて、スクリーンに映し出された赤い格子に緑色の矢印を、検査者の指示した位置に合わせ、赤と緑のレンズを入れ替えて、両方検査します。この検査で、両目が同じところを見ているか、検査できます。

眼位検査

眼位検査ではズレの程度を調べ左右の位置の、眼位にズレがないか調べます。やり方としては角膜反射検査でペンライトなどの光をあてた時に、角膜にうつる光の反射が両目とも、角膜(黒目)の中心に来ているか、ずれていないかなどを調べます。

眼位のズレがあり光の反射が、角膜の中心よりずれていると斜視を疑います。また片目を隠して、プリズムという光の屈折させる道具を使って、眼位のズレの程度を測って、斜視の量をはかります。

眼性疲労を起こす時、眼位のズレが大きいのが原因する場合もあります。

まとめ

如何でしたでしょうか?物が二重に見える病気について、色々と見てきましたが、物が二重に見える病気には、眼の病気だけでなく、複視と言われる様々な病気が関連しています。

その為の治療法は、乱視は眼鏡やコンタクトレンズ、手術で治療を行えますし、白内障は手術により治療ができます。

また複視の場合の治療法としては、元の病気を完治させることが必要となってきます。

関連記事として、

複視の治療方法を知ろう!原因や症状はなに?見え方や乱視との違いを紹介!

視野欠損の原因を知ろう!どんな病気の可能性がある?チェック方法も紹介!

眼球運動の役割を知ろう!眼球運動障害の原因や治療法も紹介!

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