眼振とは眼球振盪(がんきゅうしんとう)の略で、意識しないのに眼球が勝手に動いてしまう、病気によるものや生理現象等で起こる症状をいいます。
生理現象の場合は例えば電車の中から外を見ている時、物体を追いかけると眼振が起こりますね。意識しないのに物体を注視しようと、眼球が勝手に動いてしまいます。急速に一方方向に眼振が動く事を衝動性眼振といいます。
何故この様な現象が起こるのでしょう。病気と生理現象についての眼振を、みて見たいとおもいます。
眼振とは
眼振の説明
◆眼振とは医学的な呼び名で、眼球が振動したり痙攣したりしてリズミカルに繰り返す眼の運動です。
その運動はゆっくり繰り返すもの、早く繰り返すものがあります。ゆっくりと眼の眼球が動く事を緩徐相といいます。反対に急速に眼球が動く事を急速相といいます。
◆眼振の振れ方は水平、垂直、時計の様に右回り左回り等があります。眼振で代表的な症状はめまいです。目まいをすると天井がくるくる回ったり、突然起こる事が多いです。
◆眼振にはリズミカルに規則正しく動く振り子眼振と、急速に一方方向に振れる衝動性眼振とがあります。また両目の時はみられないのに、片目を隠した時に起こる眼振があります。これを潜伏眼振といいます。
眼振は何故起こる
◆眼振は何故起こるのでしょうか?それには遺伝と脳の発達障害等が関係しています。また眼や耳にも関係するメニエール病等により起こる事もあります。
眼振の原因
眼振の病気
◆眼振の病気で急な治療を必要とするものに、脳梗塞や小脳や脳幹の出血などによるものがあり、これらは急を必要とする治療をしなければなりません。また薬物中毒や、代謝性の疾患糖尿病や高血圧、脂質異常等動脈硬化からくる疾患や、感染症や脳炎などがあります。
眼振の病気の原因
◆大きく分けると脳と眼とそれ以外に、眼振の病気は分けられます。病気の場合は遺伝による先天性のものの場合が多く、先天性による眼振の場合は、障害やめまい等の症状は、余りみられません。
先天性の場合はまだはっきりとした原因が分かっていません。それだけに眼振を直す事は今の所難しい様です。ただ先天性白内障の場合の眼振は、眼振は直りませんが白内障をできるだけ早く手術をすれば、視力が回復します。
後天的による病気の場合は、脳の障害や、神経系の障害、内耳障害、視力障害などがあります。後天的による眼振の場合は、根本的な脳の障害、神経系の障害、内耳障害、視力障碍などを治療すれば、ほとんど眼振はなおります。
脳の場合は脳の中枢による障害(多発性硬化症、脳腫瘍、脳梗塞、血管障害など)眼の場合は耳の前庭器官の障害、それ以外の場合は、耳鼻科か神経内科等で診察を受けて、眼振の病気が見つかる事が多いです。
◆眼振患者は光に敏感です。遠方にある物体を両目で見たときの位置の関係を保つ、神経系の障害による原因があります。
◆眼振の原因で薬物中毒が原因となる事もあります。薬物中毒で有機溶剤などを多量に吸い込む事で脳に異常をきたし、眼振が起こる事があります。
◆ストレスからくる眼振もあります。仕事からくるストレス、生活からくるストレス、その他色々なストレスが酷くなると、眼振が現れる事があります。
◆アルコール依存症になると、脳の中枢が侵されるので、薬物中毒同様に眼振があらわれます。
◆鎮静薬が原因の眼振も見られます。アルコールと鎮静薬を一緒に飲んだり、必要以上の鎮静薬を飲んだ場合に眼振が現れる事があります。
眼振の種類
先天性眼振
◆先天性眼振の原因については、良く分からない様ですが、生まれつき障害があると、生後すぐに眼振の症状はみられます。
脳の眼球を動かす運動をしている障害や、先天性白内障や、遺伝や出産時期における障害や、強度屈折異常、固視不能の一つの物体を凝視する事のできない障害によるもの等が多いです。
◆眼の視力が弱い人が多く、弱視で全盲登録している人も居る様です。視力程度は個人個人違います。物が揺れて見える事や、めまいなどの症状は選定性眼振の場合は、見られないそうです。
◆先天性眼振の幼児の場合、眼振で見えにくいので、頭を斜頸したり頭を頭振したりする、頭の位置の異常の症状が、ある場合もあるそうです。先天性眼振は乳児眼振とも呼ばれます。
潜伏眼振
◆潜伏眼振とは普通は眼振がないのに、片方の目が塞がれたとき、例えば視力の検査などで片方の目を塞いだ時に起こる眼振です。
◆原因は両方の目で見る、両眼視機能の機能が閉ざされる事で、眼振が誘発されて起こります。両眼視機能とは両目で見たものを、脳で1つにまとめて一つの物体を意識して見える、とても高度な脳の機能です。
◆潜伏眼振の振れ幅は隠していない片方の眼を、鼻の方にむけると物体は小さく見え、反対に耳側の方にむけると、物体は大きく見える様になります。
◆視力検査で両方の目で見た時と、片方の視力で検査した時が著しく低下した場合は、潜伏眼振の可能性があります。治療の方法はないそうです。
◆顕性潜伏眼振と言うのは、潜伏眼振が片目を隠すのに対して、顕性潜伏眼振は斜視(光が眼に入射しても軸がづれている状態)や弱視(矯正しても視力が出ない眼)等が弊害となって眼振が起こるのが、顕性潜伏眼振と言います。
眼振の症状の種類
眼振の症状
◆眼振の病気の場合は視力が弱い人が多いです。本人は全く感じたくても、他から見ると眼振である事がわかる場合もあります。
◆眼振の症状には、振り子の様にリズミカルに同じ速度で往復する運動の症状と、片方向は穏やかに、片方向は急速に動く症状があります。
眼振の揺れの形状分類
振り子眼振
振り子眼振とは眼振の揺れがリズミカルで、振り子の様に規則正しく動く眼振で、揺れや速度が行き帰りほぼ等しい状態の眼振です。物を見ようと凝視すると眼振が酷くなり、眼を内によせたり、瞼を閉じたりして抑えます。
衝動性眼振
眼振のゆれが一方方向に偏って揺れて、行きと戻りの揺れが一定でなく、速度が不規則になる眼振です。
眼振の視力障害の症状
◆先天性視力障害の自覚症状は、顔を左右に向けてたり、顎を上下する頭の位置の異常がみられますが、めまいや物が揺れてみえる症状はありません。
症状の種類
水平性眼振
◆水平眼振とは左右に方向固定水平眼振がおこったばあいは、前庭神経炎の可能性があるそうです。方向固定水平眼振とは、頭の位置は関係なく、麻痺や障害がある方の側から、健康な方の側にむかう水平眼振のことです。
水平・回旋混合性眼振
◆水平・回旋混合性眼振とは、耳の片側の前半規管、後半規管、外半規管全ての機能が低下や病気が進み、上下の前庭神経が障害を起こすとで眼振が誘発されます。この様に水平・回旋混合性眼振は、末梢前庭神経障害が原因の事が多いです。
めまいを伴い、回転するので有名なメニエール病や、前庭神経炎、難聴のめまいをともなう、突発性末梢めまい等がこれにあたります。
◆水平・回旋混合性眼振とは、耳の異常からくる眼振で、めまいが伴います。眼球は左右どちらかにゆっくりと動いた後、急速に眼球は元の位置に戻ろうとします。この動きを繰り返し行っているのが水平・回旋混合性眼振です。
回旋成分を有す上下まぶた向きの眼振
◆良性発作性頭位の目まいでみられる眼振です。良性発作性頭位の目まいと言う病気は、頭の位置が変化する事で、内耳の後半規管が刺激され、短時間でめまいが起きる一般的に良く見られる症状です。
◆耳の片側の後半規管だけが刺激されたため、同じ側の眼の上斜筋と、下直筋が収縮して回旋成分すなわち回転する上まぶたの眼振が誘発される。
垂直性眼振
垂直性の眼振は上下による眼振ですが、これは脳の中枢性の異常からくるめまいが特徴です。垂直性眼振の場合はMRI検査が必要となってきます。脳の中枢神経からの異常を疑う場合、MRIにより詳細がより解りやすくなります。
上眼瞼向き眼振
◆上眼瞼向き眼振とは、延髄舌下神経周囲核等障害されると、上眼瞼向きの眼振が起こります。上眼瞼向き眼振は上瞼の方に眼球が動く眼振です。髄膜炎や小脳変性症や萎縮症等の病気により起こる事があります。
下眼瞼向き眼振
◆脳幹や小脳梗塞、多発性硬化症等の病気によるもので、中枢神経の垂直性前庭ー眼経路が傷害する事で、眼球が下瞼に向いて動く眼振です。
生理的な現象
◆生理的な眼振の場合、正常な人でも、電車の中から外を見ていて一定の物を見ていると、眼振が起こりますがこれを視運動性眼振といいます。
眼振に成らない為には
眼振の予防
◆眼振の予防には先天性の眼振などは無理ですが、後天性の眼振の場合、病気をまず治療する事で眼振が直ります。ですから病気にならない様にする事が、眼振の予防につながいます。
あえて言うならバランスの良い食生活を行い、眼に良い栄養素ビタミンA・B・Eや亜鉛、カシスやブルーベリー等のアントシアニン、DHA、ルテイン、リコピン、カテキン、βーカロティン、ビタミンC等を摂る事で、眼の強化をはかることが大事ではないでしょうか?
また脳などの病気、血液、血管などの病気に成らない事が大事ですので、食生活と規則正しい生活、また適度な運動をしながら健康に保つことが、眼振の予防につながります。
◆眼振の予防として病院で診察を、受けることは予防に繋がります。眼振専門の病院も存在する様で、先天性眼振や後天性眼振などの症状を詳しく検査して、原因追及する事で病気の専門の診療科に紹介してもらえます。
まとめ
◆眼振についてみてきましたが、如何でしたでしょうか?少し解りにくい事も多く感じられたかも知れません。
眼振の原因は先天性によるものと、後天性によるものがあり、先天性によるものは治療が今の医学では出来ませんが、それに付随するものを改善する事で、眼振が気に成らなくなることもあります。
また後天性によるものは、原因と成る病気を治す事で、眼振がなくなります。眼振で重大な病気が隠されている事もありますので、まずは専門の医療機関に行って、診てもらう事が大切な様に思います。