最近メディアにも多く露出しているので、ある程度はこの横隔膜呼吸法も知られてきています。
この呼吸法を行うと、精神的に落ち着く、体重が減った、ウエストがくびれてきたなどと、かなりいいことを聞きます。実際には、どうなのでしょうか。今回はその横隔膜呼吸法について、お伝えいたします。
いろいろな呼吸法
呼吸法というと様々な方法があります。ただ、吸って吐くということなので基本的には変わりません。何が違うかというと、吸う時の時間の長さだったり、意識をどこにもっているかということになります。
深呼吸
文字通り、「深」呼吸なので、深く吸うということになります。普段でも簡単にできるということもあり、呼吸に興味ある方は、意識的に行うこともいいでしょう。
特に、何かあわてることがあったり、動揺することが起きた時には何よりも落ち着くことが重要です。その際には、深呼吸をすることで落ち着きます。
また、緊張するような場面では、深呼吸をすることで落ち着きを取り戻し、平常心で物事に対処できるようになります。
腹式呼吸
呼吸法はどこに重点を置くかということが、ポイントになります。腹式呼吸はお腹にポイントを置く方法であり、お腹を凹ませたり脹らませたりする方法です。
これは、後述する胸式の方法よりも意識して行わないと結構難しい方法です。それはほとんどの人は、胸式呼吸法となっているからです。
意識的にお腹を膨らませ凹ますことで腹式呼吸ができます。この方法では横隔膜が上下するので、合わせて横隔膜呼吸にもなるのです。
胸式呼吸
何も意識していない時は、この胸を上下して呼吸をする人がほとんどです。また、運動をしている時の呼吸はこの胸式であり、すばやく空気を吸うのに適しています。
基本的には肺をイメージするとわかりやすいのですが、この肺を目いっぱい使っている呼吸法となります。
片鼻呼吸法
これは、胸や腹は関係なく、息を吸う時に指で片方の鼻の穴を塞いで、反対の鼻の穴から息を吸い込む方法です。一般的にヨガの呼吸法であり、以外に片方が詰まっていて、片方の鼻の穴で呼吸している人は少なくありません。
この呼吸法は、意識的に片方の鼻の穴を塞いで、空いている方の穴で呼吸をすることです。こうすることで、自律神経を整えたりする効果が認められています。また、血流がよくなったり、頭がすっきりします。つまり、意図的に片方ずつの穴を使うことで、顔の中心部が活性化するのです。
右側は左脳に直結して刺激し、やる気などのモチベーションが上がります。左側は右脳につながり、リラックス効果が望めます。その時の気分で左右考慮して行うといいでしょう。
ウジャイ呼吸法
これも先の片鼻呼吸法と同様にヨガに関連しています。ウジャイというのは上昇などの意味があり、これを行うと征服者のように胸を張ることから来ていて、勝利の呼吸と呼ばれています。
方法は息を口から吐く時にハーと出していきます。そのあと口を閉じて鼻から息を吸い込みます。このパターンの繰り返しとなります。
シダリー呼吸法
口を使う方法で、口から吸って鼻から吐く方法です。口から吸う時は、舌を丸めて管のようにして吸っていきます。鼻から吐く時は普通に吐いてかまいません。
このようにすることで、体内を冷やす効果があり、頭脳がすっきりします。
丹田呼吸法
丹田とは臍の下、5センチぐらいのところに位置しています。ここを意識しながら行う呼吸法です。やり方は何通りかあるようで、ここでは2種類の方法をお伝えします。
坐禅を組むようにあぐらで座り、鼻から息を吐き出します。この時に身体を前傾させながら行います。身体が30度くらいになったらその位置で止め、口から息を吸いながら、身体を起こし始めます。吐く時間はだいたい10~12秒ぐらい、吸う時は5~6秒ぐらいとなります。これを5分ほど継続します。
もう一つの方法は、身体を最初の位置に保ったまま、丹田に両手をあてて息を吐き、丹田のへこみを感じます。その後に息を吸いながら、丹田のふくらみを感じます。これも同様に吐く時間を吸う時間の倍ぐらいで行います。
丹田は、武士道で言う肝とか腹の意味であり、魂のある部分ともいわれています。ここをしっかりさせることで腹の据わったとか、胆の張った、丹田に力があるなどという言葉につながります。
ロングブレス呼吸法
一時、ダイエットにもいいということで流行した呼吸法でもあり、美木良介さんが実践し、本を出したことでも有名です。本人は肥満になったこともあり、実際にこの呼吸法の他、運動も取り入れて13キロも体重を減らし、ウエストも引き締めることに成功したそうです。
この呼吸法は、インナーマッスルといって、身体の内部の筋肉を鍛え、脂肪を落とすことで効果があるといわれています。
最近あまりメディアにも出ないということは効果があるものの、継続することが困難なのかもしれません。
4-7-8呼吸法
方法としては、口を閉じ4秒間鼻から息を吸い込みます。続いて7秒間息を止めます。その後に、8秒間口から息を吐き出します。これは、完全に意識を呼吸に向けながら行わないと、結構難しいと思います。
この呼吸法の効果は、眠れない時に行うとすぐに眠れるということです。意識を呼吸に集中することで他のことを考えづらくなり、眠りにも早くつけるということのようです。確かに寝る時にあれこれといろいろと考えると眠れなくなります。そういった意味ではこの呼吸法は適していると思います。
また、この呼吸法は眠れない時だけに効果があるのではなく、神経が高まっている時に行うことで、落ち着くことができるというメリットもあります。
システマ呼吸法
鼻から息を吸い、口を蛸のようにすぼめて吐いていく方法です。古来ロシアにある呼吸法で、恐怖心を消すとか、痛みをなくすなどといわれています。
少し前にこの方法の本も出版され、話題になり、この時は最強の呼吸法ともいわれました
横隔膜呼吸法の方法
では実際にその横隔膜呼吸法やり方について、明記します。
横隔膜呼吸法の態勢とやり方
- 仰向けに寝て、床に背中をきちんと付ける
- 胸の上に手をおいて組む
- ゆっくりと息を吸いながら、胸周辺を意識し、その胸周りが脹らむのを確認する
- ゆっくりと息を吐いて、胸がしぼむのを確認する
- 吸うのと吐くのを5回ほど繰り返す
この呼吸を朝晩と一日に2回行うのが理想的です。実際にはこれと合わせて、瞑想を行っている人が多くいます。
瞑想も身体には非常にいい効果をもたらします。瞑想は、ヨガや仏教などで行われてきたものですが、日本の他にも海外でも浸透してきています。その理由はやはり、身体にいいことが解ってきたらからです。
横隔膜呼吸法の効果
横隔膜を動かすことで単純な呼吸法と違い、内臓もかなり動くため、医学的見地からみても、これよる述べる効果がかなり高いと見られます。
代謝改善
横隔膜を使うことで、深い呼吸になります。よって身体全体に酸素が巡り、身体の代謝が上がります。
最近は呼吸が浅い人が多くなり、横隔膜がほとんど動かない人も増えています。その影響で、ちょっとした運動でも息が上がってしまう人も増えました。階段を数段上がっただけで息切れしたというような人は、この横隔膜を意識した呼吸を行いましょう。
肩こり改善
横隔膜呼吸法を行うことで、姿勢の悪い人、猫背気味の人、スマホの使用で肩凝りを多少なりとも改善する傾向があります。このように前屈みや首が前に出る傾向のある人は、肩回りの血流も悪くなっています。
そのような姿勢が長時間もしくは習慣になっていると、横隔膜があまり動かない呼吸をしています。ですから、横隔膜を動かす呼吸をすることで、血流がよくなり肩こり解消になるのです。
その他に、テレビ番組あさイチのスゴ技Qで紹介された肩こりをほぐす体操などを紹介します。
バスタオルを丸めて背筋にそってあて、仰向けに寝て膝を立てます。その状態で広げている両手、両腕を上下させます。背骨が伸び、横隔膜が広がり呼吸がしやすくなります。この方法は、背中に当てる棒状のものは販売もしています。それを使用すると多少固めのものなので、バスタオルよりも効果は高いでしょう。
その他にも少し太めのストローで息の吐き出しを行うと、横隔膜をかなり使うため鍛えることもできます。風呂に入っている時など、時間を持てあましている時に行うといいのではないでしょうか。
ウエストの改善
ウエストが細くなるというのは、横隔膜呼吸法はお腹の筋肉を使う呼吸法だからです。特に最近は呼吸の浅い人が多いと述べましたが、運動をしない女性に浅い呼吸が多いことも分かっています。
ですから、この横隔膜呼吸法で腹筋を動かすことがエクササイズとなり、スリムなウエストにつながるのです。さらに多少の運動不足の解消法にもつながります。
頭痛解消
これも二次的効果というもので、血流がよくなることで血管内の要所に溜まった不純物が吐き出されるからと考えられます。この呼吸法に合わせていい水を飲むことも行うと、さらにいいでしょう。不純物が排出され、きれいな水で身体の細胞を活性化させてください。
内臓の活発化
横隔膜を意識的に動かすことにより、内臓も一緒に動きます。内臓は普段、消化活動の他はあまり動いたりしないので、活性化することになります。これは横隔膜を動かすことでしか、内臓は動かないからです。
特に内臓脂肪がついている人は、内臓を動かすことにより、その脂肪も減る傾向にあり、ダイエット効果や体質改善も見込めます。逆の観点から見ると、内臓脂肪も付きにくくなるのです。
ストレス解消
横隔膜呼吸法をすることで、交感神経の活発化を防ぎ、心身ともに落ち着いてきます。その作用がストレス軽減となります。
ストレスがたまっていると、どうしても呼吸が浅くなるのですが、これは呼吸も深くなり酸素も十分に取り込むことができ、また呼吸のリズムが正常に戻ることでストレス解消につながるのです。
また、逆の場合もあります。つまりストレスが多くなってくると、呼吸の状態も悪くなります。必然、横隔膜の動きも悪くなるという悪循環が起きますので注意を要します。
脂肪燃焼
普段あまり動かさない筋肉を動かすことになるため、代謝も上がり脂肪燃焼にもつながります。
ただ、普通の運動や筋トレと違ってそれほどの燃焼は見込まれないと考えたほうがいいでしょう。やはり脂肪燃焼にはある程度の過多の運動が適しています。
自律神経の改善
一番の効果を求めるのはこの自律神経の乱れ解消でしょう。自律神経は24時間中、身体を調整するために働き続けています。
つまりきちんと休息をとる、睡眠で疲れを取ることをしないと、自律神経も働きづめです。そのように乱れてくると体調が思わしくなくなったり、個人レベルの活動が妨げられます。そのような状態を解消するにはこの呼吸法も適しています。いわば、自律神経の乱れ改善法とも言えます。
声量アップ
あまり個人の体調とは関係ありませんが、発声する時にこの横隔膜は一役買っています。歌を歌う時の発声練習や演劇で大きく響く声を出す際のボイストレーニングも、横隔膜を上下させる運動が行われます。
発声は肺、肋骨、助間筋、肩甲骨、背中を使うと同時に、その部分の柔軟性がポイントとなりますが、実際の発声に関しては、トレーナーの指導を受けたほうが確実です。
呼吸のもたらす意味
呼吸はある意味重要な役割を担っています。特に最近は姿勢の悪さや浅い呼吸で、肺の奥の空気を吐き出せていません。これは身体の中の悪い息が残ったままなので、体調にも支障を来します。
口呼吸
町中を見回すと、普通の状態でいる時も口をあけたままの人が多くなりました。このように口呼吸の人が増えています。
口呼吸をすると、せっかく鼻の中の粘膜が外からの菌を防ぐ仕組みが利用されず、逆に菌が直接口から入り込むことにより、風邪を引きやすくなることや気管系の病気にかかりやすくなる可能性があります。
鼻呼吸
本来の正しい呼吸です。鼻から息を吸ったり吐いたりすることが、通常の呼吸です。鼻の中の粘膜は、先に述べたように菌などが入りにくくい仕組みになっています。
仮に入り込んできても、繊毛という産毛がその入り込んだ菌を排出する動きをします。このような人体の動きを使わない手はないでしょう。
酸素不足
意外に身体に酸素が不足している人も多くなっています。これは呼吸が浅いということも原因として考えられますが、その他にも普段からの呼吸がきちんと行われていないために横隔膜が動いていないことも考えられます。
どうしても人は楽な方向に流れます。これを意識的にすることで、本来ある呼吸法に近づいて来ると同時に、身体が元の状態に戻ってくるようになります。
効果を上げるために
この横隔膜呼吸法を行うことで、これまで述べてきたような効果が望めます。ですが、より効果を高めるには以下のような簡単トレーニングもおすすめです。
横隔膜を鍛える
横隔膜は内臓の中では唯一自分の意志で動かせることができる場所となります。ですから、これから横隔膜呼吸法をするぞ、というタイミングで行う以外に普段何もしてない時も意識して横隔膜を上げ下げすることと、鼻呼吸をすることが、横隔膜と胸筋肉を鍛えることになります。
例えばエレベーターが来るのを待っている時とか、信号が青に変わるまでのちょっとした空いた時間に横隔膜を上げ下げしましょう。そうすることで、鍛えることもできます。
横隔膜呼吸の指導者、牧野講平氏によるとこの呼吸法で横隔膜を鍛えることは、かなり重要なことで、実際にこの牧野氏の指導でフェンシングの太田氏がオリンピックで金メダルを獲得しました。この呼吸法がすべてではないにしても、その要因としては効果が高いはずです。
さらに、横隔膜を鍛える方法としては少し太めのストローを使用する方法があります。これは、横隔膜を強く上下させないとストローを通して息を吐いたり吸うことができないのできつめのトレーニングにはなりますが効果は非常に高いといえます。
大腰筋を鍛える
大腰筋は、背骨から骨盤を経て、太ももにある骨につながっている筋肉です。この大腰筋は背骨近辺で横隔膜ともつながっているので、ここを鍛えることで横隔膜もスムーズに動きやすくなるのです。
トレーニング方法としては、立ったまま腰の辺りまで膝を上げ、その状態をキープします。時間は我慢できなくなるまで行い、数回繰り返します。これで、大腰筋も横隔膜も鍛えられます。高齢の方にはきついかもしれないので、できる範囲で行いましょう。
ストレッチ
これは横隔膜といわず、身体全体のストレッチを行うことで、十分なトレーニングが行われ、柔軟度が高まり、おのずと横隔膜も柔らかくなるということです。
これもできれば習慣化することが望ましく、身体の筋肉というのはいきなり行っても柔らかくはなりにくく、普段から少しでも動かしているという継続こそが重要です。
まとめ
いかがでしたか。今回は横隔膜呼吸法についての記事でした。
呼吸は意識して行うことで、より身体が反応します。身体の調子は、食べ物、環境といろいろなものに影響を受けますが、呼吸で影響されるということに関しては、多くの人は知らないのではないでしょうか。
体調管理がうまくいっている人はいい呼吸をしているし、あまり身体の調子とか行動がよくないという人は、よくない呼吸をしている可能性があります。
今回述べたこのような内容を元に、呼吸に目を向けて意識的にご紹介したことをチェックしてみてはいかがでしょうか。
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