何か原因がわからないけれども、背中の特に右側が痛い、筋肉痛のような痛みが続く…というような場合は、内臓に異常があることが多いということがわかっています。その内臓異常は、放っておくと命取りになることもあります。そしてこれは、内蔵の悪化も軽度のものから、ガンに至る重症など、相当に悪くなっているケースもあるので、注意が必要になります。
なぜ、その内臓そのものが痛くならずに、背中の筋肉や筋が痛くなるのかといいますと、内臓には神経がないところが多いからです。その内臓を取り巻く筋肉が悲鳴を上げて訴えているのです。
なので背中に痛みが走っている原因が内臓から来ている場合は周囲にまで炎症が広がってしまって症状が進行しているケースが多い傾向があります。中には命の危険に繋がる病気も含まれていますので、しっかり病気の種類を把握して放置してしまわないようにしましょう。
ここでは、その症状や予想される病気、原因や対処法をお伝えいたしていきます。自分の自覚症状や発生したシーンや生活習慣などから問題に繋がっている病気を探してみましょう。
肝炎と肝臓ガン
肝炎や肝臓がんは特に危険性の高いもので、死に至る問題に発展してしまう可能性のある病気になります。まずは肝臓に発生してしまう問題について調べていきましょう。
肝臓がん、肝炎とは
背中の右側を中心に痛みがたびたび起こるもので、その際に風邪に似た症状、だるさ、黄疸、発熱、吐き気、嘔吐などの症状がでます。これは肝炎や肝臓ガンの疑いがもたれます。
この肝炎には、突発的に発症する急性肝炎、6ヶ月以上も症状が続く慢性肝炎、一週間ほどで急激に悪化して命も落としてしまう劇症肝炎の3種類あります。
肝臓そのものは、痛みを感じないので、その周りの筋肉や筋が痛くなるケースがほとんどです。当然、自覚がないのではっきりした症状が出る頃には、重い症状になっているケースもあります。
上記のだるさ、黄疸などに加え、背中の右側の痛みが出たら、まず肝炎や肝臓ガンを疑い、入念な検査が必要となります。普段からの自分自身の観察もかなり重要になります。
基本的に肝臓の病気は症状が現れるのが遅く、肝臓自体に痛みなどを感じる神経が無い症状が少ない臓器であることから、沈黙の臓器とも呼ばれています。この炎症が筋肉付近の筋膜や周囲の膜に広がることで腹痛や背中の痛みが引き起こります。
原因
この肝炎や肝臓ガンは、お酒の飲みすぎ、性交渉、牡蠣などの食べ物によるものがほとんどですが、お酒を全く飲まない人も注意が必要です。といいますのも、肝臓は解毒する器官なので、アルコールを多く摂取する人だけが悪くなるのではありません。
例えば、普段から薬を飲む人や科学調味料などをたくさん含むインスタント食品、甘いもの、脂っこい物などをよく摂取する人なども肝臓を酷使しています。この甘いものも、人によって判断の基準が違いますので、この辺も注意が必要かと思います。
どういうことかというと、ちょっとの甘いものはカウントしない、というような勝手な判断を人はしがちです。そのようなことから、けして食事を菓子パンとかスナック菓子などで済ませてはいけません。
それと、食べ物は生で食べるのはなるべく控えた方がいいようです。この肝炎にかかる人のほとんどは、動物系の食べ物を生で食べてかかったという人が統計結果として出ています。必ずというわけではありませんし、その人の体調などにもよりますが、かかった人の8割は、生食が原因とのことです。これを機に思い当たる節があれば、注意しましょう。
対処法
普段からの食事や、衛生面での生活などが影響しています。かかった場合には、安静が必要となり入院を勧められるケースがほとんどです。食欲が無いときは、点滴による栄養補給となります。
症状が進行していて手術が必要な場合は部分切除や移植が行われます。肝臓は胃のように切除して少なくなっても肝臓の部分が残って入ればその機能を補うことも出来ます。
早期発見で肝臓を多く残せる可能性が高まりますので、早めに病院での検査を受けるようにしましょう。
肝臓の病気に関する記事を合わせて参考にしてみてください。
胆石、胆のう炎
胆石、胆のう炎は体の胆嚢(たんのう)と呼ばれる器官で発生する病気になります。胆嚢は肝臓のすぐ下に位置する器官で肝臓から流れてきた胆汁を溜めておく貯水ダムのような器官になります。
この器官は十二指腸とつながっており、腸内に食べ物が入ってくると溜めておいた胆汁を出して消化を助ける働きがあります。この器官で発生する病気について見ていきましょう。
症状
症状は背中の右側に痛みはもちろん、下腹部の痛みも伴います。突然の痛みとなる激痛なので、発症したら即入院、そして石の除去という状況になることがほとんどです。胆石のほかに体にできる石は、尿管結石、膀胱結石、腎結石があります。それぞれ違う場所にできるものです。
これも肝炎と同様に、だるさ、黄疸、発熱、吐き気、嘔吐なども同時に起こります。稀に尿の色が濃くなったり、尿が出にくかったり、白っぽい便がでたりします。
痛みの症状はみぞおちから右脇腹に広がりやすいものになりますが、背中方向にも痛みが伝わりやすい傾向もあります。腹部全体が張ってしまい、硬くなっている場合には胆嚢に裂け目が発生し腹膜炎を引き押してしまう事もあります。
原因
できる石にも種類があり、一番の多いのはのは、コレステロール結石です。食べすぎも影響しますが、特に脂肪のあるものなどの取りすぎが原因となります。
普段から不摂生な生活をしないようにしましょう。それと、メタボの人はかかりやすいので、体重やお腹の出具合は気にしたほうがいいかと思います。
この胆石が胆のうの器官内で詰まって細菌などが繁殖すると、胆のう炎になります。同時になるケースがほとんどです。
対処法
お腹が痛くなったり、背中の激痛、発熱があるようでしたら、医師の判断を仰ぐしかないでしょう。とても、我慢しきれるものではありません。治療法は薬で溶かす方法、衝撃で石を粉砕し流しだす方法、内視鏡で取り出す方法とあります。
胆石や胆嚢炎に関する詳しい記事はこちらの記事を参考にしてみてください。
・胆嚢炎とは?症状・原因・検査方法・治療方法を知ろう!早期発見が大事?
十二指腸潰瘍
基本的に胃の下あたり、お腹の上部が痛みますが、それに伴って背中の筋の痛みが起こることもあります。他にも、胸焼けや、空きっ腹のときに痛むのが特徴で、食欲もほとんど湧いてきません。それとこの辺の痛みはずっと傷むわけでもなく、治まったりを繰り返します。
胃潰瘍と同じような痛みが出て、区別はつきにくいようです。これらの痛みは我慢すれば治まるものではなく、逆にひどくなるケースが多いので、すぐに医師の診断を受けることがいいようです。
原因
免疫力が落ちたりして、粘膜が露出し、胃酸が粘膜を溶かしてしまいます。そこへピロリ菌などが入り込むことにより、痛みを発するわけです。また、ストレスが原因と言われることもあります。
対処法
基本的には医師の診断を早く仰ぐことが重要です。痛みは増してくる可能性があるからです。また、その間の食事も気をつけたほうがいいでしょう。特に、辛いものや刺激物、カフェインを多く含むコーヒーや紅茶も控えたほうがいいと思います。
十二指腸潰瘍に関する詳しい記事はこちらになります。合わせて参考にしてみてください。
腎臓結石、腎盂腎炎
腎盂腎炎や腎結石などの病気を引き起こしてしまう腎臓は丁度腰よりも少し上の位置に存在している臓器になります。上には三角形で右側が大きくなっている肝臓があるため、右側の腎臓は下に追いやられ、若干左の腎臓の方が上部に位置しています。
なので背中に痛みを感じる場合も背中よりも腰に近い位置で痛みを感じるでしょう。
原因
同じ石でも腎臓にできるもので、背中の特に下側の痛み、突然とがったもので刺されたような痛みの場合は腎臓結石もしくは腎盂腎炎によるものかもしれません。
腎臓は血液を濾過して尿を作り体の外に排出する準備をする臓器になります。必要な成分は再び吸収し、血液に戻されます。尿には、いろいろな物質が溶け込み排出しようとします。ところが尿が濃いと、この物質が溶け切らずに結晶として流れ、腎臓や尿管に溜まってしまうのです。血中のカルシウム濃度が正常に保てない体質のために、結石にってしまうことがあります。
腎盂腎炎は細菌が腎臓に侵入してしまい炎症してしまう病気です。特に女性に発生しやすく原因は尿管からの細菌の侵入になります。男性に比べ女性は尿管が短く大腸菌などの菌が侵入しやすいことが問題となります。
対処法
傾向として
・油ものの食事が多い
・水分をあまり取らない
・汗をたくさんかくような仕事をしている
・食べ物の好き嫌いや偏って食事をする
といった人が発症しやすいので、これらを極力押さえるのがいいのではないでしょうか。特に大人は、好きなものばかりを食べがちで食事のバランスが崩れています。そこをよく注意しましょう。
よく健康診断で「水をたくさん飲みましょう」といわれますが、それも有効な手段です。ですが、根本的にその元となるものを抑えなくては同じことを繰り返すことになります。ただ、遺伝的な要素で症状が出るケースもあるので、一概に食事がよくないと決め切れない部分もあります。
肺結核、肺気胸
肺結核は咳や高熱、痰が出たり、ちょっとした動きで息切れがして、背中がその影響で痛みます。タバコをよく吸う人に症状が出ます。
結核は、高熱ではなく、微熱の場合もあり、発見が遅れることもよくあります。咳や微熱が出てその症状が長引き、一向に改善しないときは、この結核の疑いもありえます。症状が軽いからと、放っておくのが一番いけません。医者の判断を仰ぎましょう。
気胸や肺結核などの肺の病気は胸に痛みを感じると思いがちですが、肺は背中側に発生しやすい傾向があります。特に吸った時に痛みを感じる場合は背中に痛みを感じやすいでしょう。
原因
結核は、それこそ菌による感染となります。結核と聞くと、昔の病気と思われがちですが、実は最近になって、患者が急増しています。
はっきりとした原因はわかりませんが、食品に含まれる栄養素が減少しており、必須の栄養が足りないため、免疫力が落ちているからと思われます。
肺気胸は肺にブラと呼ばれる小さな風船のようなものが肺胞に発生してしまい、これが破裂することで空気が胸膜腔と肺との間に溜まってしまって肺を圧迫させ肺を萎縮させてしまう病気です。酷いものになると、さらに心臓まで圧迫してしまい、反対側の肺と心臓を挟んで潰す様な形になりショック症状を起こしてしまうこともあります。若い世代の痩せ型の背の高い人に多く発生する傾向があり胸腔膜や肺の成長の問題などが関係視されています。右の肺に発生した場合は右の背中に痛みを感じます。ブラが発生していれば左右両方の肺で発生する可能性があります。
痛みは突き刺すような痛みが特徴で、2〜3日痛みが続きます。孔の大きさにもよりますが、自然気胸と言って孔が小さい場合や漏れ出した空気が少ない場合は1週間ほどで自然に空気も痛みも無くなり、元の状態に戻ります。
しかし、再発の確率が高いことや危険となる症状になると、痛みで動けなくなり息も浅くなってしまうので運動などが行えなくなります。極端に息が苦しくなったり症状が収まらない場合は病院で検査した方がいいでしょう。
対処法
結核の場合多くの人は、自覚のないままに症状が悪化します。しかし、現代では、薬により治療で完治します。ただ、この薬が、副作用の出る傾向が強く、完治するまでの苦労は昔と変わらないのかもしれません。
その間は質素な食事に徹し、暴飲暴食は避けましょう。というのも、下手に栄養過多になったり、そのために内臓に負担をかけると逆に免疫力も落ちて、完治が遠くなります。
肺気胸の場合は呼吸を抑えながら安静にすることで自然気胸の場合は痛みも抑えることも可能で楽な姿勢で活動することが唯一の対処法になります。
肺を圧迫する姿勢やかがむ姿勢などは痛みが増幅しやすいので避けるようにしましょう。
胸部出口症候群
鎖骨から肋骨にある隙間を通る、血管や神経の束が圧迫されて痛みを出す症状です。神経痛といってもまちがいなないでしょう。
一見肩こりと思われがちですが、腕を上げると、血行障害が起きて血液が滞ります。こちらも背中が痛みますが、両側の肩がその原因だとすると、両方の背中が痛みます。これは前出の内臓による痛みとは別物です。
原因
普段からの悪い姿などが影響を及ぼしているようです。また、ストレスもその要素の一つですが、体の体型でなで肩の女性に多いことから、ストレスよりも、やはり姿勢が最も大きな原因かと思われます。
肩甲骨周辺の筋肉や鎖骨周辺にある神経が圧迫してしまう事で肩こり、手のしびれなどの様々な症状が引き起こります。
対処法
根本的な治療方法は無いのに等しく、麻酔の注射をうつことで応急処置をとります。手術にて、圧迫されている神経を改善する方法もありますが、効果が薄いことが報告されています。
症状が軽度の場合は消炎症剤などを服用して症状を悪化させる行動や動きなどを制限することで回復を目指します。
まとめ
ただ単に背中の右側が痛いでは済まされないものです。正直放っておくと、大変なことになるケースもあるので、簡単に考えず、気になったら遠慮せずに医師にかかることが賢明かと思われます。
人は少しぐらいの痛みとかだと、あまり気にもかけないのですが、本当に痛いとやむなく医師に頼ります。それは当然のことと思いますが、大事なのは何故そのようになったのかを、痛みが発症したタイミングで考えるのも重要です。実は、そこに原因が必ずあります。
結局、その原因を取り除かない限り、また同じことを繰り返してしまうのです。その痛みをまた、振り返さないために、是非予防するためのことも考えてみてください。
その他にも筋肉疲労や子宮内膜症、危険なもので解離性大動脈剥離などの激痛を伴い救急車を呼ばなくてはいけない病気も存在します。生活習慣を改善して問題に繋がらない様にしていきましょう。
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