「最近疲れやだるさがとれない」「食欲も落ちて頭もボーっとする」そんな経験はありませんか?忙しい日々が続いたり風邪をひいた時などによくみられる症状ですが、実は腎臓機能が低下している時にも現れる症状なのです。他に息苦しさやむくみ、貧血などの症状もみられます。
そこで注目したいのが「クレアチニン」です。血液検査で調べることができる(CREなどと表記)のですが、「クレアチニン」の数値が高い場合、腎臓機能が低下や障害が疑われます。
クレアチニンは筋肉中で合成される物質で、体には不要な老廃物になります。この物質が体外に排泄されずに体内に多くなってしまっても少なくなってしまっても病気に繋がってしまう事があります。
今回は日常の中ですぐに実践できるクレアチニンを下げる方法をご紹介しますので、腎機能を高め健康な生活を送る為にぜひご参考ください。
クレアチンが高くなる原因と症状
クレアチンが高くなる原因と、高くなることでどの様な症状が現れるのかを紹介します。クレアチニンの数値が高くなってしまっている人はこれらの原因となる問題を抱えてしまっていないか確認して改善していきましょう。
そもそもクレアチニンって何?
クレアチニンとは筋肉で作られるいわば「老廃物」です。運動などで筋肉が動く時にエネルギー源となるアミノ酸の一種クレアチンの代謝によって発生します。
名前が似ていますが、クレアチンから発生するものがクレアチニンとなります。このクレアチニンは血液を流れて、腎臓にたどり着き、尿に老廃物としてアンモニアなどと一緒に体外に放出されます。尿内の成分は一部が尿細管で再吸収されますが、クレアチニンは再吸収はほとんど行われません。
クレアチニンは腎臓の糸球体(毛細血管の集合体)で濾過されて排出されます。なので、体内の血中に在留しているクレアチニンの量が多いことで、腎機能が正常に働いていない事がわかるのです。
クレアチニンが高くなる原因
通常クレアチニンは、老廃物として腎臓から尿中に排出されるのですが、腎機能が低下したり障害があると排出がうまく行われず、血中にクレアチニンが貯まることで濃度が高くなります。健康診断などでクレアチニン値を測定した際、この数値が高い=腎機能に異常がある、という判断材料となります。
ちなみにクレアチニン値が低い場合は問題ありませんが、極端に低い場合は「筋ジストロフィー」といった病気や尿崩症や筋疾患などの他の病気が疑われます。
また、腎機能に異常をもたらす原因は様々あり、多量出血や前立腺肥大、腎臓内の損傷などで起こる「急性腎不全」と、糖尿病性腎症、間質性腎炎、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などの病気から起こる「慢性腎不全」とがあります。
検査前に激しい運動をすることでも数値が上がる?
検査の日の直前に激しい運動を行うことでもこの数値が上昇してしまうことがあります。筋肉でのアミノ酸の代謝により発生するのがクレアチニンですので、まだ腎臓で濾過される前の状態になっている場合にこのように、数値の上昇が起きてしまうことがあります。
また筋肉量に比例して、このクレアチニンの量も増えてきますので、筋肉量が多い人もこの数値が上昇する傾向があります。
高齢者でも腎機能の低下により上昇する可能性がありますが、筋肉量が減少するのでその影響は大きくありません。
検査前には1日安静にし、激しい運動は行わないようにしましょう。
クレアチニンが高くなるとどんな症状がでるのか
クレアチニンが高い、つまり「腎不全」の症状ですが、有害物質を排出する機能である腎臓の機能が低下する為、冒頭でもお伝えした通り、極度に疲れやだるさを感じるようになったり、むくみや貧血、食欲が出ないなどの症状が現れます。
ただし慢性腎不全の場合、これらの症状を自覚する時というのは、すでに基準値を大幅に上回り、末期の状態になっている可能性が高いのです。その場合完治させることが難しく、透析などの治療が必要となります。
透析とは人工透析と呼ばれる治療法のことで、血管から血を一旦抜いて、機会にかけ人工的に腎臓と同じ働きを行い血液を老廃物が取り除かれたキレイな状態にして再度体内に戻す行為です。透析には大きく「老廃物の除去」「水分量の調整」「電解質の維持」の働きがあります。
腎機能が一旦低下してしまうと、回復することはありません。基本的には簡単に機能停止、低下してしまうようなやわな臓器ではありませんが、毎日の生活習慣の積み重ねでどんどん老化し壊れていきます。
腎機能は早期に機能の低下を発見し、対策をして、生活習慣の改善と対処治療(症状の進行を食い止める治療法)を行ってこれ以上の腎臓の機能低下を防ぐしかありません。定期的な検査と腎臓を労る生活習慣を忘れないようにしましょう。
血液検査の結果でわかるその他の問題
尿素窒素(BUN、UN)
タンパク質の代謝物。これも腎機能が正常に働いていないと血中に多く在留してしまう老廃物になります。この数値が上昇してしまうと糖尿病や甲状腺機能亢進症、消化器官での出血などお問題が予測されます。
eGFR値(推算糸球体濾過量)
腎臓内の糸球体の機能の数値を表しています。90異常の数値が正常になり、60までが軽度の症状、それ以下およそ20ごとに中度の症状、重度の症状、末期腎不全と病状の悪化が危険視されます。
尿酸(UA)
食事などで摂取したプリン体が代謝されることで発生するものです。尿管結石、動脈硬化などを発生させる物質であり、尿酸が血中に多く滞在している状態は高尿酸血症と診断され、この状態が慢性化すると痛風、腎不全、悪性リンパ腫、白血病などの病気にかかってしまう危険性が高まります。
それぞれの値についても変化がないか確認してみて、異常が発生していないか見てみましょう。腎臓の機能が低下していると考えられる場合はこれらの全体的な数値での上昇が見られる場合が多くあります。
もし、全体的に上昇の傾向がある場合は病院での精密な検査をしてみましょう。
クレアチニンが上昇してしまうことで発生する病気一覧
クレアチニンの数値が上昇してしまうことで発生してしまう病気について紹介していきます。どのような病気にかかってし合う可能性があるのか、またそれらの病気の症状についても知っておいて、問題となる症状が出ている場合には血液検査などをしてみて、クレアチニンの問題につながっていないか確認してみましょう。
急性・慢性腎炎
クレアチニンの増加が確認できる場合に急性腎炎の可能性がまず浮上します。急性腎炎は小児に多い症状でもあり、細菌による感染やアレルギー性の問題などが原因となり症状を発症します。
菌に感染してしまった体の中で抗体である免疫細胞の免疫複合体が生成されそれが糸球体(腎臓から繋がるの毛細血管)に癒着することで炎症が引き起こるものが急性腎炎になります。慢性腎炎はこの急性の症状が慢性化したものをいいます。
発生する症状としては頻尿、血尿、尿蛋白、高血圧、頭痛、むくみ、倦怠感などが現れます。慢性の場合も基本的な症状は変わりません。慢性の場合はむくみが内蔵にまで発生することがあり肺がむくんでしまった場合は呼吸困難なども起こってしまう可能性もあります。
もしこの病気が発生してしまった場合は、運動は避けて水分や塩分やカリウムの摂取制限をして、利尿剤などで尿をたくさん出すことが重要になります。目に見える血尿が発生している場合は入院することも必要になります。入浴や普段の行動程度の運動は問題なく行えます。
腎盂腎炎
男女比が1:30と女性に発生しやい傾向がある病気になります。腎盂腎炎は尿管から菌が侵入してきて炎症が引き起こっている問題が尿管を通じて腎臓に到達してしまっている症状になります。
主に原因となる菌が大腸に存在する大腸菌などで、糞尿などの際の拭き取り時に尿管に菌が付着してしまい感染が発生してしまう事が原因となります。女性は男性に比べて尿管が短いのでこの問題が発生しやすい傾向があります。
その他にも、血管を通じて菌が侵入してしまうケースや、リンパ管を通じて腎盂腎炎になってしまう事もあります。
薬などを使用しているときや、体調不良などが原因で免疫力が落ちている時期が特に感染しやすいタイミングになります。
主な自覚症状は悪寒、全身の怠さ、嘔吐、38度以上の高熱、残尿感、頻尿、尿の白濁、背中や腰の痛みなどの症状が発生します。初期症状では体の怠さや発熱などが発生しますので、熱が発生した時点で女性の場合は注意したほうが良さそうです。もし、なかなか症状が治らない場合は腎盂腎炎を疑い病院で検査してみましょう。検査は内科、もしくは泌尿器科で受けることが出来ます。
腎臓結石
腎臓内に結石が発生してしまい、腎盂や腎杯で詰まったり尿管に移動することで症状を発症する病気です。この結石の成分はカルシウムが8割で構成されておりシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムアンモニウムなどによって作られています。
症状としては目に見えない尿潜血から、目に見える血尿まで、また激しい腰や腹部でも痛みがあります。さらに嘔吐を催したり、太ももに痛みが伝染することもあります。
結石の大きさが小さい場合は自然に尿管から排出されることもあります。しかし、大きい場合は尿管などで詰まってしまったり、エネルギー照射やレーザーによって砕いて排出しないと行けない場合もあります。
再発してしまう病気でもありますので、カルシウム、塩分、シュウ酸などの摂取バランスを管理したり動物性の脂分の過剰摂取を押さえるなどをする必要があります。またそれらの食品を摂取する場合は水分を十分にとって血中の濃度を薄めることも大切です。
シュウ酸を含む食材は紅茶、緑茶、たけのこ、ほうれん草など身近な食材が多いので、把握しておきましょう。
腎臓結石によってクレアチニンが腎臓の働きが低下してしまい、クレアチニンが上昇してしまうケースと、クレアチニンの上昇によって腎臓結石が発生してしまうケースどちらも考えられるので注意しましょう。
クレアチニンを下げる生活習慣
クレアチニンの数値が高いと診断されてしまった場合、病院での治療が必要となります。
先に述べた通り、末期の慢性腎不全となってしまうと、生涯、透析治療を受けなければならない可能性が高くなります。また、厄介なことに末期段階に至るまで自覚症状もほとんど無いという難しい病気です。
普段なかなか腎臓のことを意識することは少ないと思いますが、まずは日常で取り入れられるクレアチニンを下げるのに良いとされているものを幾つかご紹介しますので、ぜひこれを機に生活習慣を見直し、腎臓のケアをして頂ければと思います。
軽めの有酸素運動
腎機能に関わらず、健康に適度な運動は不可欠です。しかし、クレアチニンは先に述べたように筋肉の活動によって発生するしてしまう為、きつい筋トレなどの無酸素運動のようなものは逆に数値を高めてしまいます。その為、軽めの有酸素運動を継続していくことをおすすめします。
「運動しなければ!」と意気込まなくても、例えば近所をウォーキングする、少し早めに起きてラジオ体操をする、家の階段を使って踏み台昇降運動をする、などでしたら、道具も不要でお金もかからず、すぐにでも始めることができます。慣れてきたら少しずつ動きを早くしたりヨガや水泳などに挑戦するのも良いでしょう。軽く汗をかく程度の強度が目安です。
注意することは、たとえ負荷の低い運動であっても体内の水分は減っていきます。運動をする前後にコップ1杯ほどの水分を摂り、運動中も喉が渇いたらこまめに水分を摂るなど、十分な水分補給を忘れないようにしてください。水分の循環をよくすることが腎臓機能を高めることに繋がるからです。
ただし、多めの水分補給は運動によって消耗する水分を補う為であり、運動を行わずにただ水分を多く摂取していますと、排出機能が弱っている為体に必要以上に蓄え、むくみの原因となってしまいますので、コントロールするよう注意しましょう。
減塩、低タンパク質の食事
一般的に塩分の採り過ぎが健康に悪いということは知られています。腎不全の場合も同様に、ナトリウムの排泄機能が低下することで症状として現れる高血圧やむくみ、だるさを抑える為に、塩分を控える必要があります。
また、体に良いとされるタンパク質なのですが、腎不全の人にとって高タンパク質の食事はおすすめできません。タンパク質を多くとることで、クレアチニンを始め、腎臓で排泄する尿素や窒素などがたまってしまい、腎臓に大きな負担をかけてしまうことになるからです。
その為、腎不全の場合はタンパク質を控え、バランスを補い必要なカロリー量はしっかり確保する為に、糖質、脂質を多く摂取する必要があります。一般的に言われている健康的な食生活からはかけ離れているようですが、腎臓に負担をかけないことをまずは優先する必要があるので、油、砂糖、でんぷん類など、タンパク質を含まない食事を心がけましょう。
腎不全とまではいかない場合、適度なタンパク質は問題ありません。血液をサラサラにする効果のある玉ねぎや青魚、麦茶やお酢などのクエン酸が含まれた食品がおすすめです。体内の毒素を排出するのに役立つ「葉酸」を含む葉物野菜や、海藻、ポリフェノールを含む果物(りんご、バナナなど)も良いでしょう。
また、腎臓、肝臓に良いとされる「しじみ」もおすすめの食材です。
※食事に関しては病院の管理栄養士などと相談が必要です。
サプリメント、漢方
腎臓や肝臓に負担をかけないよう、必要な栄養素はできるだけ食事から摂取することがおすすめですが、なかなか難しいという方はサプリメントや漢方で上手に補うのも良いでしょう。
中でもおすすめなのは「ノコギリヤシ」です。
ノコギリヤシは、酵素5-リダクターゼ(男性にの前立腺肥大の原因といわれる)を抑制し、クレアチニン値も下げる働きをします。また、女性に多い膀胱や尿道の圧迫を防ぎ、腎機能を高める効果が期待できます。
漢方については「五苓散」「猪苓湯」がクレアチニン値を下げ、腎機能を高める漢方として有名です。
しかし漢方は同じ効果でも体質によって合うものが変わってきますので、漢方を扱う医師や漢方薬局でご相談の上、お試しください。
しかしサプリメントを飲んだからと言って安心していわけではありません。塩分の控えめな食事や生活習慣の改善も合わせて行って症状を進行させないようにしましょう。
まとめ
腎臓は肝臓と共に「沈黙の臓器」と呼ばれるくらい、疾患があってもなかなか症状を自覚することが難しい臓器です。また、悪化してしまうと完治が難しく、治療が長引いてしまう場合が多いことも特徴です。
腎不全に関わらず、食事、運動、睡眠といった基本的な生活に気を付けることが、健康を取り戻す為に最も大切ですが、クレアチニン値が高い場合、食事についてはご紹介をした通り、一般的に体に良いと言われているものがNGになる場合がありますので、定期的に健康診断を受けるなどして、クレアチニン値をチェックするようにしましょう。
「体内の有害物質を排出する」という、私たちが健康な生活を送る上で非常に大きな役割を果たす臓器ですので、自覚症状が出る前の早いうちから生活習慣を見直し、日頃から腎機能ケアを意識することが大切です。
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