普段自分ではなかなか見る機会のない背中。夏になると人の背中を目にすることがあるのではないでしょうか。そんな時、背中にブツブツと出来ているのに気づくこともあるかもしれません。他人の背中は目につくかもしれませんが、自分の背中はどうでしょう。
実は悩んでいる人が多い、背中のできものについてご紹介します。
背中のできものの原因は?
背中のできものについて紹介します。
背中ニキビ
背中にできるニキビです。実は、肩甲骨の近くに皮脂腺が多く有り、体にできるニキビの中でもなかなか治りにくく悪化しやすいと言われています。背中のニキビは顔のニキビと違って、アクネ菌によるものではなく、ほとんどがマセラチア菌が炎症を起こしているためニキビとなります。
ストレスや睡眠不足などが続くと、自律神経の交感神経が緊張し続け、男性ホルモンが過剰に分泌してしまいます。男性ホルモンは角栓の発生を増長させるため、毛穴の詰まりも引き起こします。マラセチア菌の炎症によるニキビの皮脂がつまってしまうため、ニキビが次々と増えやすくなってしまいます。
もし、ニキビが赤くなっている場合は、皮脂腺が炎症を起こしている状態です。
粉瘤(ふんりゅう)
粉瘤種や表皮膿腫、アテローマ、アテロームなどと呼ばれているもので、背中や顔にできやすい良性腫瘍です。
これは、肌のターンオーバー(新陳代謝)によって、肌の表面に出てくる老廃物が正常に排出されないことで、皮膚の内側にたまってしまっている状態です。もともと、皮膚は表皮、真皮、皮下脂肪の3層から出来ています。
このうち、表皮はターンオーバーによって、細胞分裂を繰り返しながら角質層となっていきます。そして、垢となって肌からはがれ落ちるのが自然ですが、垢がたまってしまい詰まると粉瘤となってしまいます。粉瘤ができたばかりは、なんとなくしこりがある程度ですが、進行すると肥大してしまいます。皮膚の内側にある老廃物をエサとして肥大してしまうため、痛みを伴ってしまう場合もあります。
進行して炎症や感染が起きると、炎症性粉瘤や感染症粉瘤などと呼ばれます。病院で治療する場合は、炎症を抗生物質によって抑えます。また、局部麻酔をして除去手術を行なう場合もあります。
毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)
これは触るとブツブツ、ざらざらしている状態です。背中の毛穴に角質が詰まり、丘疹(きゅうしん)がはっせいします。
このブツブツは、皮膚の色に近いたま、見分けがつかず、触ると実はたくさんのブツブツができていて驚く人も多いと言われています。自覚症状もほとんどなく、時々軽いかゆみを感じる程度です。これは、一般的な皮膚疾患のひとつで、二の腕や肩、太ももなどにもできやすい疾患です。
原因は解明されていませんが、思春期によく出来やすく、20代以降になると軽減し、30代には自然と消えている人が多いと言われています。ですが、最近では中高年でも治らないケースもあるそうです。
背中のニキビを治すには?
背中のニキビを治す方法を紹介します。
菌の働きで悪化しやすい
男性ホルモンが優位に働いてしまうことで、毛穴に角栓が詰まり、たくさんの皮脂が毛穴につまってしまうのが、白ニキビという現象です。白ニキビは、悪化しなければ放っておいたとしても自然に治ることがあります。
ですが、実際には、背中のニキビの原因であるマラセチア菌が白ニキビの中で増加し、炎症を起こし、赤く腫れたニキビへと変化していきます。こうなると、なかなか自然には治りにくく、治ったとしても跡が残ってしまうことケースがあります。
日々の生活に潜む原因
背中のニキビを治す前に知っておきたいのが、日々の生活習慣の中にニキビを作る原因が潜んでいるということです。というのも、背中に摩擦や刺激を受けることによって、角質が分厚くなり、ニキビの原因を作ってしまいます。私たちの生活の中で考えられる摩擦や刺激の原因は以下のようなことが考えられます。
- 衣服や下着などの擦れ
- 体をごしごし洗う、拭く
- 掻く
- 汗や蒸れ
これに加え、肌の乾燥も大敵です。乾燥は皮脂を過剰に分泌させる上、肌を守るバリア機能が低下してしまうため、摩擦や刺激を受けやすくなってしまいます。
さらにもうひとつ原因となるのがシャンプーなどのすすぎ残しです。シャンプーやボディソープ、リンスなどのすすぎ残しが背中に付着し、毛穴に詰まることで、ニキビを発生させやすい肌環境を作ってしまいます。
髪や体を十分にすすいだと思っていたとしても、実は背中はノーマークですすぎ残しをしてしまうことも多いので十分気をつけましょう。
気をつけたいかゆみの併発
顔のニキビは放っておくと治ることもありますが、背中のニキビはそのまま放置しておいても治る可能性はかなり低いです。また、かゆみを感じる人も多いと言われています。つい掻いてしまうと、にきびの炎症と反応してかゆみがさらに強くなってしまいます。
また、ひっ掻いた跡に雑菌が入り、さらに炎症を起こす可能性もあります。炎症が悪化すると、ニキビ跡やクレーター、色素沈着の原因となります。こうなると、元のすべすべの素肌に戻すことがかなり困難になってしまいます。また、ニットや下着、マフラーなどの繊維によってかゆみを引き起こすこともあります。
スキンケアでニキビを治す
背中のニキビをこれ以上ひどくさせず、治していくには、日々のバスタイムがポイントです。
まず、洗う順番を髪の毛、顔、全身にして、背中にすすぎ残しがないようにすることです。さらに、背中のごしごし洗いなど、摩擦を強くするのもNG。ニキビを作りやすい肌環境を作ってしまいます。
そして、背中の余分な皮脂を取り除く、スクラブやピーリングなどのアイテムも効果的です。皮脂をすっきりと洗い流した後は、化粧水などでしっかりと保湿してあげましょう。背中につける化粧水は、高い保湿力があるものがおすすめです。保湿成分は、以下のようなものです。
- コラーゲン
- プラセンタ
- ヒラルロン酸
- グリセリン
- 植物由来の保湿成分
化粧水は背中に使いやすいスプレータイプがおすすめです。
食事を見直す
背中のニキビの原因はひとつではありません。食生活によって、肌が脂性に傾くことによってできる場合があります。脂性に傾きやすいのは、糖分や脂肪分、アーモンドなどのナッツ類、香辛料やスパイスの強い食事などです。
これらは皮脂腺が刺激させるため、背中のニキビができやすくなります。食事管理が難しい場合は、ビタミンB2、B6を多く含むサプリメントや自律神経のバランスを整える漢方などを取り入れるのもおすすめです。漢方は自律神経はもちろん、ホルモンや代謝などのバランスを整え、体の芯から体質改善を促します。
もし、食事で積極的にビタミンを摂るなら以下の食材がおすすめです。
- ビタミンB2 …卵、納豆、まいたけ
- ビタミンB6 …にんにく、鶏肉、まぐろ
また、睡眠不足にならないようにすることも大切です。睡眠不足はホルモンバランスを崩しやすいと言われています。寝ている間に肌のターンオーバーをしているため、不十分な睡眠だと、肌の代謝も悪くなってしまいます。質のいい睡眠を摂るには、寝る前のスマホ操作は避け、軽くストレッチしてリラックスして眠れる環境を整えましょう。
クリニックなどでの治療は?
もっとも手軽なのが塗り薬です。ニキビの原因である菌に作用し、炎症をしずめてくれる抗生物質(抗菌剤)です。場合によっては飲み薬も併用して処方してくれる場合もあります。また、皮膚科やクリニックで受けられる治療には以下のものがあります。
- ケミカルピーリング
- レーザー
- フォトフェイシャル
- イオン導入
これらは毛穴のつまりを改善し、肌の正常なターンオーバーへと導きます。もし、クレーターのような凹凸のニキビ後に悩む場合は、レーザー治療が効果的と言われています。肌に無数の小さな穴を開け、皮膚の入れ替えを行なう治療法で、1回の照射で10〜15%の皮膚が入れ替わると言われています。
ただし、治療後はかさぶたができるため、アフターケアも必要です。また、軽いニキビ跡や色素沈着にはフォトフェイシャルがおすすめです。特殊な光を当てることで、コラーゲンの再生を活性化させます。いづれも、皮膚科やクリニックなどで症状と共に相談してみることが先決です。
その他の治し方
背中ニキビ意外の理由の場合の治し方を紹介します。
粉瘤の場合
粉瘤は、老廃物が溜まってできた良性の腫瘍ですが、放っておくと赤く晴れ上がってしまう場合があります。
粉瘤が小さいうちは痛みもなく、気づかないことが多いですが、悪化により炎症が進み、痛みが伴うようになってからやっと気づく人もいます。炎症と共に赤く腫れ、化膿するとさらに痛みが強くなります。中には、粉瘤から膿が出て来る場合もあります。自然と膿が出てくることを自潰(じかい)と呼ばれます。
自潰によって、一時的に痛みや腫れが引くこともありますが、粉瘤そのものを取り除かないと、完治せず再発してしまうケースがほとんどです。完治させるには、皮膚科や形成外科での手術が必要です。ただし、炎症がある場合は、炎症を薬で治療してから、手術へとステップを進めるケースもあります。
毛孔性苔癬の場合
毛孔性苔癬は毛穴が硬く盛り上がる症状と、赤くなったり、白くなったりニキビのように見える症状もあります。一見ニキビと勘違いしてしまう人もいるようですが、ニキビのような痛みやかゆみはありません。ですが、ニキビと同様に無理につぶしてしまうと、色素沈着や跡になりやすいので、十分注意しましょう。
毛孔性苔癬を改善する最も一般的な方法は、尿素配合のクリームです。薬局等で手軽に手に入る他、皮膚科でも処方されます。尿素配合クリームは、角質を溶かす作用があり、やわらかな肌に整えます。余分な角質除去と保湿の両面に働きかけるクリームです。
また、背中のニキビと同様にケミカルピーリングでの治療も可能です。
まとめ
普段背中をじっくり見る機会があまりないため、気づいた時には悪化してしまうというケースが多い背中のできもの。できものは3つのタイプがあるので、まずは自分のできものを観察し、治す方法を検討してみましょう。
また、入浴時のシャンプー剤などのすすぎ残しは、できものを悪化させる最大の要因です。今日から入浴時に気をつけるようにしましょう。日々の心がけができもののない背中を作る第一歩です。