骨隆起とは?原因や症状、治療方法を知ろう!手術が必要な場合もある?

歯茎や顎(あご)にゴツゴツ、デコボコした膨(ふく)らみができることがあります。悪性の腫瘍じゃないか・・・なんて心配になりますよね。

この膨らみは、「骨隆起(こつりゅうき)」といいます。「外骨症(がいこつしょう)」「外発性骨増生(がいはつせいこつぞうせい)」ともいいます。

基本的に、骨隆起は身体に悪いものではありません。特に問題がなければ放っておいても大丈夫です。ただ、歯周病を悪化させることもありますし、痛みが生じたり、邪魔になったりすれば、歯医者さんは切除をススメます。

骨隆起の原因と特徴、治療の方法などについて、お伝えしますね。

骨隆起は病的な突起物ではありません

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「骨隆起」は「外骨症」「多発性外骨症」「外発性骨増生」「外発性骨増殖症」ともいいます。

「骨隆起」は、顎の骨が厚く膨らんで、コブのように盛り上がっている状態です。噛む時に顎の骨に力が加わり、それが刺激となって骨が盛り上がったと考えられていますが、遺伝的な要素や環境の影響もあるようです。

悪性腫瘍でも、病的な変形でもありませんから、心配は要りません。骨隆起は、できる場所によって、歯科用語で、「口蓋隆起」「下顎隆起「歯槽隆起」と呼ばれます。

[骨隆起の特徴]

骨隆起は、少し膨らんでいるだけのものから、にゴツゴツ・デコボコ盛り上がっているものまで、いろいろあります。

①骨隆起は、触るとツルツルして硬い。

骨隆起は骨が盛り上がったものですから、舌や指で触ると、表面がツルツルして、硬い感じがします。

腫瘍や嚢胞・嚢腫は、粘膜など軟組織に病的に形成されるもので、中に膿や粘液が詰まっていることが多く、触ると、柔らかい感じがします。嚢胞・嚢腫は良性のものが多いのですが、腫瘍には悪性の可能性があります。

②骨隆起は、痛み・腫れ・発熱がない

骨隆起は病的な炎症で腫れているわけではありません。ただ骨が膨らんでいるだけですから、痛みはありません。腫れることも発熱することもありません。

そのため、自分では骨隆起に気がつかず、歯科医師に指摘されて初めてわかることが多いようです。

③骨隆起は、傷つきやすい

骨隆起は骨が盛り上がるため、歯茎など覆っている歯肉が薄くなります。中の骨が白く透けて見えるほど、歯肉が薄くなることもあります。

そのため、食べ物や歯ブラシで歯肉が傷がつきやすく、炎症が起きやすくなります。口内炎に似た症状になることがあります。

④骨隆起は、少しずつ大きくなり、小さくなることはない

骨隆起は徐々に大きくなっていきます。自然に小さくなることは、めったにありません。少しずつ大きくなっていきますが、ある程度の大きさで止まることもあります。

骨隆起は切除しても、またできることがあります。

⑤日本人の50%に骨隆起がある

骨隆起の出現頻度は、日本人の場合50%といいますから、高い方と言えます。日本人では、女性の方の頻度がやや高いようです。白人の場合、出現頻度は20%です。

子供の頃に骨隆起が出現することは、まれです。思春期以降に、骨が増生するようです。

外骨症は、骨が表面から外に向かって増殖することです。口の中と定まっているわけではありませんが、一定の場所以外に外骨症が出現する頻度は低いようです。

[骨隆起の種類]

骨隆起は、できる場所によって「口蓋隆起」「下顎隆起」「歯槽隆起」と言います。

口蓋(こうがい)隆起

上顎の真ん中より少し後ろ、硬口蓋の中央部にできる骨隆起です。口蓋隆起は、境界のはっきりした限局性の突起物です。

悪性腫瘍(癌)は、嚢腫・嚢胞のようにフニャフニャ・プヨプヨした感じではなく、独特の硬さがあります。そして、境界がはっきりしません。

口蓋隆起は、紡錘形が多いのですが、結節状や扁平状になることもあります。たいてい、自覚症状がないので、歯の治療に歯科医院を訪れ、歯科医師に言われて気がつきます。

(口蓋隆起で支障が出る)

口蓋隆起が無症状のまま大きくなると、食べ物の通過路に突出しているので、物が食べにくくなります。覆っている粘膜が薄くなり、少し硬い物を食べると、擦れて傷がつきます。

口蓋隆起が大きいために、舌の動きが悪く、発音がしにくくなり、話しづらくなります。

口蓋隆起が、義歯を作る邪魔になることもあります。義歯を作る時は、義歯床下に緩衝腔(かんしょうくう)が必要になります。口蓋隆起があると、総入れ歯の場合は、安定しにくくなります。口蓋隆起に入れ歯が擦れて、痛くなることがあります。

義歯を作るのに支障があったり、痛みが生じたりする時は、外科手術で切除する必要があります。

下顎隆起

下顎隆起は、下顎の内側、小臼歯あたりに左右対称にできる半球形の骨の突起物です。両側の小臼歯あたりの舌側に大小数個でき、徐々に大きくなります。大臼歯(奥歯)の内側や外側(唇側)にできることも少なくありません。上下の大臼歯(奥歯)にできます。

下顎隆起は健常な歯肉で覆われていますが、薄くなっているために、食物や歯ブラシで粘膜が簡単に傷つきます。下顎隆起は無症状のまま大きくなりますが、薄い歯肉が傷つくと、痛みや炎症が生じます。口内炎のような症状です。

(下顎隆起で支障が出る)

下顎隆起が多いと、ゴマのような小さな食物や食べカスが間にはさまりやすく、食後の歯の掃除(歯磨き)に手間がかかります。歯周病になりやすくなったり、歯周病を悪化させたりします。

下顎隆起が大きくなると、舌が上に持ち上げられて、発音しにくくなります。

下顎隆起があると、義歯を作る時に、支障をきたします。入れ歯で下顎隆起を覆う薄い歯肉が傷つき、痛むようになります。

下顎隆起が大きくなったり、数が増えたりすると、日常の生活に支障がでるので、歯科医師さんは切除手術をススメます。

(下顎の骨)

下顎の骨は馬蹄形をしています。噛んだ時の力の歪みが、馬蹄形の曲面になる小臼歯に集中してかかります。この力の歪みが下顎の骨を刺激して、骨隆起ができるようです。

歯槽隆起

歯槽隆起は、歯を支えている骨(歯槽骨)に噛む力がかかり、それが刺激となって骨隆起が生じたものです。歯茎にデコボコしたコブのような突起物がいくつもできます。歯槽隆起は、上下の歯茎に出現します。

歯槽隆起があると、歯がいつもグラグラ揺すぶられている状態なので、歯周病が悪化します。通常は放っておいても良いのですが、骨隆起を覆う薄い歯肉が傷ついて痛みが続く場合は、除去手術をススメられます。

骨隆起の原因は?

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骨隆起は、物を噛む時の力が顎の骨にかかり、それが刺激となって起きるようです。

しかし、縄文時代の日本人(縄文人)にも骨隆起が認められるので、遺伝的要素もあるようです。

[歯科医師は骨隆起の原因を探る]

歯茎や奥歯の裏側、上顎に突起物を見つけて、「口の中に癌ができた!」と蒼くなって歯科医院に駆け込んで来る患者さんも少なくありません。歯科医師さんは、患者さんの口腔内全体をよく観察します。

噛むための歯のすり減り具合(咬耗量)・補填物の表面状態の変化や脱離・エナメル質の欠損・楔状欠損・歯の圧下・頬の内側の粘膜の状態・舌圧痕・骨吸収・歯列の歪み・歯の移動・舌癖・過蓋咬合(嚙み合わせが深すぎる)の進行・歯肉退縮の進行・口腔周囲筋の緊張など、口内を診て、隆起の原因を探ります。

骨隆起の原因は、過剰な力が顎の骨にかかること

顎の骨には、常に力がかかっています。食べ物を噛んだり、話をしたり、ただ口を閉めていたりしても、顎の骨に力がかかるのです。

一般的に、骨隆起の原因は、遺伝・生活習慣からくる身体の歪み・嚙み合わせの不調から、顎の骨に過剰な力がかかり、骨が抵抗して内部で異常増殖することとされています。しかし、人を取り巻く環境も大いに関係しているようで、まだ不明な点が多いといいます。

[歯ぎしりや食いしばりが骨隆起の原因?]

骨隆起の原因の1つは、顎の骨に過剰な力がかかることです。「歯ぎしり」や「食いしばり」が顎の骨に過大な負担をかけるのです。

歯ぎしりをすると、顎に通常の数倍の力がかかります。当然、骨は過剰な負担に抵抗して、骨を厚くしようとします。それで、内部で骨の異常増殖が起こり、外に突出してコブのように盛り上がるのです。

歯ぎしりの原因は、ストレスです。ストレス過多になると、ヒトは何らかの方法で解消しようとします。ストレス解消がうまくいかないと、身体が無意識に発散しようして歯ぎしりを起こすようです。

食いしばりも同じです。重量挙げの選手やボクシング・レスリングなど格闘家は、力を入れようとして歯を食いしばります。普通の人でも、強いストレスがかかったり、緊張したりすると、歯を食いしばります。歯を食いしばると、顎の骨に過剰な力がかかります。

歯ぎしりの原因としては、ストレスの他に、睡眠時無呼吸症候群と逆流性食道炎が考えられるようです。

[骨隆起は縄文時代からあった!]

骨隆起は、縄文時代からありました。縄文人は狩猟採集の生活でしたから、食事は硬い粗末な物が多かったようです。顎の骨にも大きな力がかかったことでしょう。縄文人の顎の骨は大きく張っていました。

渡来人から稲作が伝わり、弥生時代に入ると、米を食べるようになりました。しかし、弥生人の食事はまだまだ硬い物が多く、しかも、弥生人も縄文人同様に、革をなめすなど、歯で噛んでする作業も多かったのです。

時代が下るにつれて、日本人の食生活も変わってきました。米などの調理法も発達して、食事も柔らかな物が増えてきました。そのためでしょうか、江戸時代の徳川将軍達は、顎の骨の薄い、ほっそりした瓜実顔が多かったようです。現代の日本人も顎の骨が薄く、大きく張り出していませんね。

ところで、歯ぎしりも旧約聖書の時代(紀元前)からあったそうです。どうやらストレスは現代社会のものとは限らないようです。縄文時代にも弥生時代にも、それなりにストレスが溜まることがあったのでしょう。縄文人も弥生人もストレス発散に歯ぎしりをして、骨隆起ができたのかもしれません。

骨隆起は遺伝因子や環境因子、生活習慣などが複雑にからみ合って起きるようです。

骨隆起の治療と予防

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骨隆起は病的な突起物ではありません。基本的には日常生活に支障のない限り、外科手術で切除する必要はありません。

骨隆起の治療方法は、手術という外科治療ですが、患者さんの身体に大きな負担がかかります。そのため、マウスピースを使用したり、TCH(歯列接触壁)の是正をしたりすることをススメる歯医者さんもいます。

骨隆起ができないようにする予防や再発防止が大事ですね。

[骨隆起の外科手術が必要になる場合]

骨隆起を覆う歯肉・粘膜は薄いので、硬い食べ物や歯ブラシで擦れて傷つきやすくなっています。傷ついて炎症を起こしたり、痛みが生じたりする場合は、たいていの歯医者さんが外科治療、つまり骨隆起の除去手術をススメます。また、歯周病を悪化させる場合も、切除手術をススメます。

骨隆起が最も問題になるのは、入れ歯(義歯)です。義歯作成の設計時にも邪魔になりますし、骨隆起が義歯に擦れて傷ついたり、入れ歯の安定が悪くなったりします。インプラント(人工歯根)を骨に埋め込む場合も、骨隆起が邪魔になることがあります。

[骨隆起の手術は口腔外科がオススメ]

骨隆起の除去手術は、侵襲が大きく、身体に大きな負担がかかります。骨をいじりますから、麻酔がきれた後の痛みが激しく、口の中が腫れ上がり、話したり、食事したりすることも難しいほどです。骨隆起が大きく、多発している時は、二度に分けて除去手術を行うことがあります。

骨隆起の切除手術は、口腔外科で行うことをオススメします。一般の歯科や審美歯科でも、口腔外科がある歯科医院があります。

口腔外科のない歯科医院では、親しい歯科医師に相談して、口腔外科を紹介してもらいます。切除手術は簡単な手術ではありませんから、手術前に、歯科医師と口腔外科医に、よく相談し、手術方法や術後の状態などを、よく知っておくといいですね。

インターネットの歯科相談室

相談できる歯科医師がいなければ、インターネットの「歯科相談室」を利用することもできます。サイトの担当医師にもよりますが、回答日時はまちまちです。即日回答してくれる先生もいますし、返信日時が相談日の翌日、翌々日になる先生もいます。

相談者は、相談内容がサイトに掲載されるのを承知した上で、相談してくださいね。

[骨隆起の除去手術の方法]

骨隆起の手術は、通常、局所麻酔で行います。口内の粘膜は麻酔がよく効きますから、手術中に痛みを感じることはありません。麻酔がきれた時にズキズキ痛むので、鎮痛剤を処方してもらいます。

まず、除去すべき骨隆起の周囲に部分麻酔を注射します。

歯茎を切開して剥離し、骨隆起を出します。骨隆起にタービンで切れ目を入れ、ノミで叩いて、骨隆起を根元から切断します。出っ張りを削って、なだらかにします。

切開した歯茎を糸で縫合します。傷がくっついたところで、抜糸します。

手術費用

保険が適用されますから、自己負担額は、それほど高額にはなりません。切除する骨隆起の数や大きさ、手術回数などによって、費用が異なります。

[骨隆起の予防]

骨隆起は、顎の骨に過剰な負担がかかることが原因の1つです。歯ぎしりや歯の食いしばり、嚙み合わせの悪さ、歯列接触が多すぎる癖などが、顎の骨に過剰な負担をかけます。それらを直すことで、骨隆起を予防したり、大きくなるのを防いだりできます。

歯ぎしりや歯の食いしばり、歯列接触の癖は、歯をすり減らし、歯周病を悪化させますから、できるだけなくしたいものです。

マウスピースの使用

歯ぎしりや食いしばりを防ぐために、マウスピースをススメる歯医者さんが多いようです。歯ぎしりは眠っている間に無意識に行うことですから、なかなか自分で注意することができません。歯科医師に相談してマウスピースを作ってもらいます。

普通は上顎用のマウスピースを作ります。気持ちが悪くなる人は、下顎用のマウスピースにします。就寝時だけ着用します。

昼間は、できるだけ食いしばらないように注意します。それだけでも、夜の歯ぎしりが改善されるようです。

歯科医師によっては、「マウスピースはある程度の効果はあるが、骨隆起を予防したり、改善したりすることはできない」と言います。マウスピースよりTHC(歯列接触癖)の是正の方が、効果的と言います。

TCH(歯列接触癖)の是正

上下の歯が接触するのは、1日5分くらいでいいそうです。できるだけ、上下の歯をくっけず、離しておくようにすると、歯ぎしりや食いしばりを改善できます。

歯ぎしりの原因を取り除く

歯を食いしばらないように、肩の力を抜いてリラックスするようにします。歯ぎしりの最大原因であるストレスを、できるだけ発散するようにします。大声を出したり(歌ったり)、軽い運動をしたりすると、いいようです。

睡眠時無呼吸症候群や逆流性食道炎が歯ぎしりの原因となるようですから、内科や耳鼻咽喉科で治療を受けます。

歯の矯正治療を受ける

歯並びや歯の噛み合わせが悪いと、顎の骨に歪んだ力がかかり、骨隆起が生じる可能性があります。矯正歯科で歯の矯正治療を受けることが、骨隆起の予防になります。

歯科矯正は一般の歯科医院でも行いますが、できれば歯科矯正専門の矯正歯科医院で矯正治療を受けることをオススメします。

審美歯科でも歯の噛み合わせの治療をします。審美歯科と矯正歯科を併設する歯科医院もあります。一般歯科と矯正歯科の両方がある歯科医院もあります。どの歯科医院に行くにしても、歯科矯正専門の先生が常在する医院が安心です。

まとめ 骨隆起は病気ではありません

骨隆起は、「外骨症」「外発性骨増生」「外発性骨増殖症」ともいいます。顎の骨が膨らんで、デコボコしたコブのようになっている状態です。嚢胞・嚢腫・腫瘍とは違い、病的なものではありません。基本的には、放っておいても問題はないのです。

骨隆起は、表面がツルツルしている硬い突起物です。病気ではありませんから、炎症や痛み、腫れ、発熱などはありません。骨が盛り上がっているので、骨隆起を覆う歯肉や粘膜が薄くなってます。硬い食べ物や歯ブラシが当たると、傷つきやすく、痛みが生じ、口内炎のような症状を発することもあります。

骨隆起ができる場所によって、口蓋隆起・下顎隆起・歯槽隆起と呼ばれます。

骨隆起の原因は、遺伝や環境などがありますが、その1つが、顎の骨に過剰な力がかかることです。物を噛んだり、歯ぎしりしたり、歯をくいしばったりして、顎の骨に過剰な力がかかると、骨は抵抗して厚くなろうとします。そのため、骨が増殖して、突出するのです。

骨隆起は特に治療を必要としませんが、大きくなると、舌の動きを邪魔して、発音しにくくなったり、歯周病を悪化させたり、骨隆起を覆う薄い歯肉・粘膜が傷ついて痛みが生じたりします。義歯を作る時に邪魔になったり、入れ歯が安定しなかったりします。

骨隆起のために支障が生じる時は、外科手術で切除することになります。骨隆起の除去手術は骨を切ったり削ったりするので、簡単な手術ではありません。口腔外科で手術します。

骨隆起の切除手術は侵襲が大きく、患者の身体に負担がかかります。ですから、歯科医は、マウスピースや歯列接触癖の是正で、顎の骨に余計な力がかからないようにする治療法や予防法をススメます。

噛み合わせの不調や歯並びの悪さが、顎の骨に過剰な負担をかけるようになります。歯の矯正治療は、骨隆起の予防になります。

身体の緊張を解いてリラックスし、ストレスを発散するようにすると、歯ぎしりや食いしばりが改善できます。骨隆起の予防は、まずリラックスすることですね。

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