ふと顎の下に手をやるとコリコリとした、しこりのようなものが・・・。痛みを伴うものであったり、まったく無痛のものであったり症状は様々です。
顎の下にしこりができると腫瘍なのではないかと心配になり「悪性なの?良性なの?」と不安に思われる方も多いと思います。病院へ行こうにも、何科へ行けばいいのかわからないし「悪性だったらどうしよう」と思うとなかなか踏み出せない場合もあります。
ここでは、顎の下のしこりについて考えられる原因と症状、自分でできる対処法や何科を受診すれば良いのかなどをまとめてみました。
もし自分の顎周りにしこりの症状が発生してしまっている人は、自覚症状やしこりの状態から可能性のある病気や症状について診断してみましょう。
顎の下のしこりの原因と症状
触ると痛みが生じる場合と、触らなくても痛みを生じる場合とがあります。様々な症状と原因について紹介します。
自分の症状に当てはまっているものの中からなんの病気の可能性があるのかを診断していきましょう。
風邪や免疫力低下などによる一時的なもの(リンパの腫れ)
よくある症状としては、風邪や疲労による免疫力低下などが原因によるリンパ腺の炎症で、しこりが確認できることがあります。疲労やストレスなどで免疫力が低下していると、雑菌による炎症でリンパ腺が腫れ、痛みやしこりといった症状が引き起こされることがあります。また、顎の周りの筋肉が凝ることによっても、顎の下のしこりとして現れる場合があります。
怪我などの外部損傷によりリンパ腺に雑菌が侵入し炎症を起こして腫れたり、大きめの膿んでいない吹き出物であったり、虫歯などで口内が腫れた場合に皮膚の上からしこりとして感じる場合もありますので、虫歯や怪我、風邪や体力低下などの自覚がある場合は、そちらの治療をしてみるのも良いでしょう。
良性の腫瘍によるもの
非常に不安させるしこりですが、良性の腫瘍によって引き起こされる場合もあります。
代表的なものに、体液などが袋状にたまり腫瘍となる【ガングリオン】や、垢や皮膚といった老廃物が皮膚の内部に溜め込まれてしまってできる【粉瘤-ふんりゅう-(アテローマ)】、なんらかの原因で一部分の脂肪細胞が増殖しておこる【脂肪腫】などがあります。
悪性の腫瘍によるもの
一時的なものや良性の腫瘍であればいいのですが、悪性の腫瘍によって顎の下のしこりが現れる場合もあります。悪性の腫瘍というのは、一言で言ってしまえば【がん】です。いくつかあげると、全身をめぐる血液のがんと言われる【悪性リンパ腫】、唾液腺にできる腫瘍【唾液腺腫瘍】、顎の下にできることは非常に稀ですが【脂肪肉腫】などがあります。
腫瘍が原因以外のものにも、甲状腺の病気などでしこりが現れることがあります。
【悪性腫瘍・良性腫瘍】は見分けられないの?
悪性だった場合とてもこわい顎の下のしこり。では、どうやって見分ければいいのでしょうか。悪性の腫瘍と良性の腫瘍の見分け方について、いくつかの症状から病気の見分け方を紹介していきます。
痛みの有無
一般に「悪性の腫瘍には痛みがない」「触って痛いなら良性だ」などの話をよく聞きます。果たしてそうでしょうか?乳癌で入院されたことが記憶に新しい北斗晶さんも体験談として「痛みがあった」と仰っていました。
色々な人の体験談や情報が錯綜して、簡単に判断できそうなものだけが一人歩きをしているように思います。「悪性の腫瘍ならば痛いはずだ」という全く逆の話を聞くこともあります。
また、粉瘤は神経に触れたり炎症を起こして膿むなどしなければ痛みが無いなど、良性の腫瘍でも神経に触れない場所にできれば痛みを伴わないこともしばしばあります。痛みとは、神経への接触や脳からの信号で感じるものであり、感じ方も人それぞれです。「痛みがあるから大丈夫」と安易に放置するのは危険と言えそうです。
腫瘍なのかそうで無いのか、悪性なのか良性なのかなど問わず、痛みがあるときも無いときもあります。経験則から痛みを参考にするのは構いませんが、最終的な判断材料にするのはやめたほうがいいでしょう。
しこりの硬さ
しこりができた場合、その硬さによってある程度は判別ができます。
良性腫瘍による多くのしこりは弾力性があり、皮膚の上から押すように触った時にぐるぐると動かすことができます。
反対に、悪性腫瘍の場合には硬く可動性が良くないことが多いといえます。
しこりの大きさ
一時的に起こるほとんどの良性腫瘍は、時間経過や体調管理などで小さくなっていき、あるいは消滅します。ずっとしこりの大きさが変わらない、だんだんと大きくなっている、急に大きくなったなどの症状がでたら、不安解消や早期治療の観点からも専門のお医者様に診察してもらうことをお勧めします。
特に悪性の腫瘍やしこりなどの症状は症状が急激に変化してしまう事が良くあります。自分での経過の観察は3日〜1週間程行い、異常が見られた場合は医師に相談するなどの期間が妥当でしょう。
長期間放置しすぎると慢性化してしまい治療が難しくなってしまうこともありますので、注意しましょう。
顎の下のしこり以外にも症状がある
悪性リンパ腫などの場合、顎の下のしこりの他にも発熱や体重減少がみられることがあります。様々な症状が絡み合ってくると自分では判断がむずかしくなります。
「いつもの風邪と違う」などの自覚症状がある場合や、様子を見てその他の症状が出てくる場合にはすみやかにお医者様の診察を受けましょう。
【病名別】顎の下にしこりを発生させるもの一覧
顎の下にしこりを発生させてしまう症状のある病気について一覧で紹介していきます。症状の特徴や原因について紹介しますので、病名から探してみるのもいいでしょう。
どの様な病気の可能性があるのかを見ていきましょう。
ニキビ、毛嚢炎
ニキビや吹き出物の症状が可能してしまって、腫れてしまっている可能性もあります。しこりでも皮膚表面の症状が出ている事が確認される場合や、痛みや熱を持っている場合はニキビの可能性があります。
しこりの頂点には膿の固まりなどが見られる事もあります。
また毛嚢炎は髭を剃る機会の多い男性に発生しやすいものになります。鋭く切った毛先が皮膚の中に入り込み炎症を引き起こしているもので、腫れてしまったりしこりのようになってしまうこともあります。
毛嚢炎は固い毛が無いと発生しないものになりますので、基本的に男性の髭の濃い人に発生しやすい傾向があります。
粉瘤
良性の腫瘍である粉瘤は顔や首にも出来やすい症状になります。皮膚の変異により正常に皮膚のターンオーバーが行われず袋状になってしまった皮膚の表面に老廃物などが溜まっていしまうことでしこり状になって膨らんでいきます。
基本的にこの内容物は排出されること無くどんどん溜まっていきます。内容量がいっぱいになったら中から汁のようなものが白っぽくでてきてしまうこともあります。
出てくるのは老廃物や皮脂などなので、臭いがあり、嫌な匂いを発してしまうこともありますので良性ですがとってしまったほうが良いものになります。
また中に菌が繁殖してしまった場合や傷がついてしまった場合は炎症を起こし、痛みや熱を持つことがあります。その場合は抗生物質などを飲んで炎症が治まるのを待ってから切除が行われます。
脂肪腫
脂肪腫は首や肩に出来やすい腫瘍になります。これも良性のもので転移してしまう危険性もなく、特に問題となる症状もありません。見た目に不格好になってしまうなどの問題のみの害の少ないものになります。
悪性の腫瘍と同様、細胞の急激な増殖によって脂肪腫が発生します。柔らかくて弾力があり、触ったり押しても痛みなどは感じません。大きさが小さい場合は特に気にする必要のないものになります。しかし大きさが5cmを超えてきたものは気になることもあるでしょう。10cm以上の大きさに成長してしまうものもあります。
30〜50代の女性よりも男性に発生しやすい傾向があります。もし痛みを発症してしまっている場合は血管脂肪腫の可能性があります。通常の脂肪腫は血管などが通っていない腫瘍になりますがここに血管も通ってしまっている場合に痛みを発生させる場合があります。圧迫が強く、ハリを感じしこりが若干固く感じることが特徴です。
ガングリオン
ガングリオンも良性の腫瘍になります。首、手首、足首などの部分に発生しやすいものになりあます。しこりの内容物にはゼリー状の液体が入っている事が特徴です。
ガングリオンは関節包と呼ばれる中の液体が外に出てきてしまうことで発生しているものということが言われていて、詳しい原因については明らかになっていません。特にスポーツなどで関節を使用している人に発生しやすいなどの統計があるわけではなく、20〜50代の女性に発生やすいものになります。
神経付近に発生しやすいものですので、痛みや関節痛を伴うことがしばしばある症状になります。ガングリオンには固いものから柔らかいものまであり、首に発生してしまった場合は診断は難しいでしょう。
痛みの問題により可動域が狭まってしまったり、関節が動かしづらくなります。治療は皮膚科や形成外科や整形外科などで行うことが出来ます。
甲状腺がん
甲状腺がんは喉仏のすぐ下にある甲状腺ホルモンを分泌する器官で発生してしまうがんになります。もちろん悪性の症状で発生確率は全てのがん患者の1%ほどの確率ですので高くありませんが、危険性の高い病気になります。
25〜65歳の女性に発生しやすい傾向があり、男女比は3:1という結果が出ています。特に50代で頻発している問題になります。これはホルモンバランスの崩れやすい時期との関連性が考えられています。
痛みのない首や顎の下辺りの腫れがあります。内科などに行った場合にお医者さんが触診で首の付近を触りますが、この行為は甲状腺の腫れを調べるものですのでこの付近を触ってみて異常が無いか確認してみましょう。
唾液腺腫瘍
唾液腺腫瘍は口の周囲にある唾液腺に腫瘍が発生してしまった場合に発生するしこりになります。症状により悪性と良性の症状に分けられており、この問題の中の8割の患者は良性の腫瘍である問題になります。
主な症状は口の開閉の困難、顔の痛み、顔面麻痺などの症状があります。痛みの症状としこりの発生している細胞との癒着により顔が動かしづらくなる事や筋肉や感覚の麻痺などの症状が発生している場合には悪性の症状が疑われます。
この腫瘍が外部に現れやすいのは、耳の下や両あごの下、口の下方向の顎の下などに発生しやすいものになります。再発や悪化を防ぐためには早期の発見と治療が必要になります。
顎の下のしこりの対処法
顎の下にしこりができた時の対処法を紹介します。以下の対処法をしっかり行うことが顎の下のしこりを治すために重要な事になります。しっかり把握して対処していきましょう。
体調管理をする
顎の下のしこりが一時的な腫れによるものや、良性腫瘍の場合です。悪性腫瘍が疑われる場合や長引く場合については、病院を受診することをお勧めします。痛みがひどい場合も無理には行わないでくださいね。
風邪で免疫力が落ちていたり疲労で体力が落ちていたりすると、リンパ腺炎症や口内炎など顎付近にも影響が出ることがあります。原因を切り分けるためにも、まずはしっかりと体調管理をしましょう。疲労しきっている時は無理をせず安静にして、十分な睡眠と栄養を取るように心がけてください。
日常生活は普通にできる程度の体力がある場合は、40度前後の湯船に浸かりリンパマッサージをしたり、適度な運動で血液の流れと共にリンパの流れを良くしましょう。代謝が良くなることで吹き出物なども改善できることがありますし、ガングリオンが小さくなったり自然に治ってしまうこともありますから、ぜひ試してみてくださいね!
病院を受診する
体調管理をしても一向によくならない、原因と思われるものに対処しても一向によくならないという場合は、無理に自分で治そうとせずに病院を受診してください。
不安や症状のストレスを抱えつづけておくのは他の病気の引き金にもなりかねませんし、自分で出来ることには限りがあります。1~2週間しても良い方向に向かわない場合は、諦めてお医者様の力を借りましょう!
・何科を受診すればいいの?
ここまで紹介してきたように、顎の下にしこりができる原因は様々です。どの科を受診すればいいのか非常に悩むことと思います。虫歯であれば歯科医院で構わないのですが、基本的には耳鼻咽喉科や皮膚科を受診しましょう。ただ、問診と薬の処方だけを主にしている病院ですと対応できないものもありますので、少し設備の整っている耳鼻咽喉科か総合病院を受診してください。
しこりの問題に繋がってしまう危険性のある病気には沢山の別々の原因からなる病気が考えられるので、しっかり診断を行って問題の原因を突き止めうことが重要になります。
早期発見が需要な病気もありますので早めに治療が行えるように早めに病院での検査を行うようにしましょう。
まとめ
-顎の下のしこりの原因と症状-
・風邪や免疫力低下によるリンパ腺炎症による腫れ
・顎周りの筋肉の凝り
・外部・内部からの雑菌侵入によるリンパ腺炎症
・良性の腫瘍、悪性の腫瘍によるもの
・その他の病気によるもの
-【悪性腫瘍・良性腫瘍】は見分けられないのか?-
・痛みの有無だけで判断するのは極めて難しい
・しこりの大きさや硬さはある程度の目安にはなる
・悪性腫瘍によるしこりは発熱や体重減少など他の症状が出ることがある
-病名別のしこりの症状を伴う病気一覧-
・ニキビ、毛嚢炎
・粉瘤
・脂肪腫
・ガングリオン
・甲状腺がん
・唾液腺腫瘍
-対処法-
・睡眠、栄養補給、適度な運動など体調管理をする
・リンパマッサージをする
・1~2週間様子をみても変わらない、悪化する場合は病院を受診する
以上が、今回のまとめです。顎の下ではなくても、しこりができれば不安になるものですよね。痛みがあれば尚更精神を疲労すると思います。以前、私も手首にガングリオンというしこりができましたがすごく痛く、病院を受診するまでは不安で仕方がありませんでした。このように、一口に【しこり】といっても千差万別で、原因や症状は多岐にわたります。
しこりの多くは一時的なもので、じきに治まっていきますので、あまりストレスを溜めずに体調管理などをしっかりしてやり過ごしてくださいね。
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!