粉瘤が顔にできたら、すぐに病院に行きましょう。同じところによくできるニキビだなぁ。そう思っていたら炎症し始め、痛みや膿みを伴い巨大化してしまったということあります。顔のできものが大きく真っ赤に腫れてしまったら、人前に出るのもイヤになってしまいます。
そうなってから手術をするのと、小さいうちにするのでは、傷跡や術後の回復がまったく違います。粉瘤は顔だけでなく身体の皮膚のどこにでも発生してしまう症状になります。もし顔以外にもこの問題が発生している場合はこの問題をいち早く解決していかなければいけません。
粉瘤とは何か、どんな治療法があるのか、医師とよく相談をするためにも、粉瘤について知識と対策を知っておきましょう。
今日は粉瘤が顔にできてしまった場合に関しての情報を紹介していきたいと思います。もし顔に何かの出来物が出来てしまっている人は是非最後まで読んで対策していきましょう。
粉瘤とは?
粉瘤(ふんりゅう、 アテローマ)は、不要になった垢などの老廃物(角質)が、皮膚の内側にたまる、良性の腫瘍のことです。いわゆる「おでき」ともいわれることもあるものになります。
粉瘤はどの様なメカニズムで発生してしまい、どの様な特徴的な症状を発症するのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
粉瘤ができるまで
皮膚は細胞分裂によって肌の内側から新しい皮膚が作られます。古い皮膚はどんどんと外側に押し出され、垢(角質)となって剥がれ落ちます。このサイクルをターンオーバーといい、新陳代謝を繰りかえして新しい皮膚に入れ替わります。
しかし、垢が剥がれず、皮膚の内側にたまってしまうことがあります。細胞が正常に新陳代謝しない場合に内側に袋状に細胞が形成されそこに垢や老廃物などが溜まっていきます。真ん中あたりに黒い点が見え、垢などによって固くふさがれ、自然には排出できなくなっています。新陳代謝にともなって垢は更にたまっていき、膨らみは大きくなります。
皮膚内部に細胞の異常により良性の腫瘍が発生し、老廃物が溜まってしまうことでさらに大きさが膨れ、細菌などが増殖して炎症を引き起こしてしまうと、赤くなったり熱を発したりする場合もあります。
粉瘤の症状
粉瘤の出来始めは、皮膚を触るとコロコロとしたしこりを感じる程度で、見た目にも変化がありません。痛みや痒みなどもありません。老廃物がたまってくると、しこりが大きくなり、膨らんできます。毛穴が黒く詰まっているように見えると、「膿出し」をしたくなるかもしれません。
しかし、無理に膿を押し出すと、細菌が入って炎症を起こすことがあります。膿んで赤く腫れ上がり、痛みを伴います。炎症がおさまれば小さくなったように見えますが、治ったわけではなく、炎症を繰り返すこともあります。
大きいものは20cm以上になることもあり、破裂して膿が出たり、膿が止まらないこともあります。ドロドロの膿はかなり臭いです。皮膚の深くまで炎症してしまうと、跡(あばた)が残ってしまいます。
基本的にはアテロームや粉瘤と呼ばれるものは良性の腫瘍になりますが、まれに悪性の腫瘍に、変異することがあります。
悪性に発展してしまう原因
症状が長期間続いてしまっていたり、放置していたりすると悪性の腫瘍として炎症などを強くお越し問題につながってしまうこともあります。
特に糖尿病などの病気を持っている場合だと、免疫力が下がってしまっているので合併症の病気になりやすく、炎症などが発展して蜂窩織炎や壊死性筋膜炎などの問題に発展し、重症化してしまうケースもあります。
悪性に転換してしまったり、症状が悪化してしまうと治療がむずかしくなり手術などの治療法でしか治療できないケースになってしまう事もあります。抗生物質や湿潤療法などでの治療で完治できる段階で治療していく事が望ましいでしょう。
粉瘤は人に感染するのか?
粉瘤は人に感染してしまうことはありません。細菌感染性の症状の前に皮膚が袋状にならないと粉瘤は発生しないので、内容物などが付着したり、患部に触れるなどして感染してしまうことはありません。
遺伝に付いても親からの遺伝などの関係性については報告されておらず、基本的には親子間での遺伝子情報の相互性は無いものと思われます。
匂いが気になる場合や膿などが出てきてしまう場合はガーゼや絆創膏などをつけて衣類や外に流れ出て付着してしまわないように注意しましょう。
粉瘤と似ている皮膚症状の違い
粉瘤とよく似た症状をいくつか紹介していきます。症状の違いを見比べて、粉瘤なのか、他の症状なのかを判断していきましょう。
顔の皮膚に出来る症状はたくさんあります。似ているものでも原因となる菌が異なるので対処法も変わってきます。なんの症状なのかを正確に見極めることが重要になりますのでしっかり違いを把握しておきましょう。
ニキビ
ニキビは「アクネ菌」が原因となって、毛穴で炎症を起こしている症状です。毛穴が詰まって、皮脂や角質がたまり、それをエサにアクネ菌が増殖すると、膿や赤みをともなう炎症を起こします。
炎症が起こる前の段階を黒ニキビ(表面に穴があいている)、白ニキビ(表面がふさがっている)ともいいます。アクネ菌は皮膚にいつも存在している常在菌です。ニキビの治療には湿潤療法のち療法も有効になります。湿潤療法は特殊なフィルムを患部に貼って乾燥を防ぎ治癒力を高める治療方法になります。
湿潤療法用の市販のキズパワーパッドなどの物を使用してもいいでしょう。
ニキビについては、にきびが頬に出来る原因は?食生活やストレスに注意!の記事を参考にして下さい!
毛膿炎(もうのうえん)
毛嚢炎は「黄色ブドウ球菌」が原因となって、毛根で炎症を起こす症状です。毛穴に詰まった皮脂や角質をエサにします。黄色ブドウ球菌も皮膚に常在しています。
傷口や毛穴にこの黄色ブドウ球菌が入り込み増殖することで炎症を引き起こします。鼻や眼の周りなどに発生してしまった場合、さらに深部に菌が侵入して感染を広げてしまうと脳にまで炎症が到達し脳炎などの問題につながってしまうこともあります。
毛嚢炎の中に面疔(めんちょう)と呼ばれる症状もあります。この場合の治療法や対策法についても合わせて参考にしてみてください。
ガングリオン
ガングリオンは手や足などの関節にこぶができる病気で、中にはゼリー状の液体がたまっていて、弾力があります。ほとんどの場合は症状がありませんが、神経などを圧迫すると痛みを感じることがあります。
この症状は若い女性に発生しやすい特徴があります。手の関節に起きやすいものになりますが稀に顔に発生してしもうこともあります。顔にできたガングリオンは自然に治ることもありますが、神経や筋肉を圧迫してしまうこともありますので注意しましょう。
大きさは小さいものからピンポン球ほどの大きさになることもあります。
脂肪腫
脂肪腫は粉瘤の症状と同じ様な物で皮膚のどこにでも発生してしまう特徴を持った肌のしこりや膨らみを発生させる肌トラブルになります。
粉瘤同様に良性の腫瘍であり、感染も遺伝も起こることはありません。現段階では詳しい発生原因は明らかになっていませんが、細胞が異常に増殖してしまい腫瘍やしこりの問題になっている事が明らかになっています。しかし、粉瘤のように菌や老廃物が溜まっているものではないので感染症や炎症などの問題にはつながらないことが特徴になります。
脂肪腫が悪化してしまった場合の問題としてはしこりが大きくなることによる圧迫などが問題となり痛みが発生したり、神経を圧迫することで痺れなどの問題が引き起こることがあります。
基本的には良性の物で悪化することも少ないので、目立っていない場合は特に気にしなくても大丈夫なものでもあります。
粉瘤ができる場所
粉瘤ができやすい場所は、顔、耳の裏、背中、おしりが多く、近くに数カ所できることもあります。角質があるところなら、どこにでもできる可能性があります。
「おでこ、あご、ほっぺ、鼻、首、首の後ろ、こめかみ、耳たぶ、耳、耳の下、耳裏、まぶた、肩、脇、脇の下、脇腹、背中、腹部、おしり、足の付け根、ビキニライン、太もも、ふくらはぎ、陰部、陰茎、金玉、玉袋」
上記の様に、どこにでも出来る可能性があるといえます。
粉瘤が顔にできたら
皮膚科では様子を見るように言われたけど心配ですよね。大きくなったり小さくなったり炎症を繰り返している。でも手術するのはこわい。顔に粉瘤ができたら不安ですよね。大きく腫れているとなると、人に見られるのがイヤで気になってしまいます。
すぐにできることは
・メイクを控える
・髪がかからないようにする
・清潔にして、触らないようにする
これらは普段から気をつけておきたいことです。
炎症している場合はなるべく早く病院に行きましょう。放っておいてもなにも起きないこともありますが、小さいうちに手術したほうが、傷も小さく、短時間で済みます。術後の回復も早く、傷跡も残りにくいです。
しかし、手術で大切なことは、粉瘤を取り除くこともそうですが、傷跡がなるべく残らないようにしてもらうことです。顔の場合は特に、形成外科の技術も求められます。
粉瘤の手術
粉瘤を取り除く手術は、主に3つの方法があります。粉瘤の治療方法についてあらかじめ知っておきましょう。
小切開摘出術(切除術)
粉瘤の真ん中あたりを小さく切開し、老廃物がたまった袋を取り出します。袋をしっかり取り除くことができ、術後は縫い合わせるので傷の治りは早いです。
ただし、大きさや症状にもよりますが20~30分程度かかり、縫い跡が残ります。手術を行う際は粉瘤の大きさによりますが大きさが小さい場合には局部麻酔で行う場合が多いでしょう。
医師の判断により局部麻酔で行うかどうかの判断をします。治療での痛みとしては局部麻酔を行う場合のみの痛みしかありません。麻酔が効いてくると痛みを感じなくなるので基本的には負担の少ない手術になります。
麻酔が切れた後に感覚が戻ってきて痛みが出てくるので、手術の当日から次の日までの痛みがピークになるでしょう。
ヘソ抜き法(くり抜き法)
粉瘤の大きさに合わせて表面に穴をあけて、中身を押し出します。残った袋もきれいに取り除きます。所要時間は数分で、傷も小さくできる場合があります。
傷がふさがるまで時間がかかり、ニキビのような跡が残ることがあります。
病院は何科?
粉瘤が顔にできたら、病院は皮膚科に行きましょう。手術を考えているなら、形成外科や外科などもあります。
病院や医師の方針によって、膿があって炎症しているときは、手術ができないとする意見と、膿んでいるときでもできるとする意見があるようです。炎症があるとできないという場合は、抗生物質などを飲んで炎症が治まるまで待つことになります。
どちらがいいかは、よく医師と相談して決めることです。例えば以下のようなことを伝え、症状や状況などを含めて、納得できる方法を選びましょう。
・スケジュール的なこと
もうすぐ結婚式が控えている。それまでになんとかしたい。
普段は仕事が忙しいから、今すぐやりたい。
学校を休みたくないので夏休みや冬休みにやりたい。など。
・手術や病院のこと
何cm切るか
麻酔は何を使うか
傷跡はどのように処置するか
どれくらいで傷が目立たなくなるか
術後の通院スケジュール、アフターケア
再発した場合は再手術できるのか
「この方法がいいと思ってたけど、先生がちょっと・・」「思っていた方法ではないけど、この先生なら任せてみよう」「お会計まで時間がかかるなあ」など行ってみて気持ちが変わることはよくあります。信頼できる先生かどうかもとても大切なことです。
粉瘤の対策、予防法
粉瘤の対策には肌の状態をよくしておくことが大切です。ターンオーバーのリズムは加齢とともに遅くなり、肌のトラブルが起きてきます。新陳代謝を活発にするには日頃からの健康的な生活が重要です。
触らない
やたらに触って、不必要な刺激を与えないようにしましょう。手から細菌が入り炎症を起こしてしまいます。
無闇に触ることで更に炎症が広がってしまったりするため、気になっても無理に中の内容物を出したりするのは止めましょう。
生活習慣を改善する
食事や睡眠はとても大切です。栄養があってバランスの良い食事と、規則正しい十分な睡眠をとることで新しい細胞がどんどん作られます。
油物は避け、きちんと湯船につかって皮膚を清潔にしていましょう。
食事では特にビタミンBが肌や皮膚や粘膜全般の調子を整える為に有効なので豚肉やうなぎやまぐろなどに多く含まれているので積極的に摂取していくといいでしょう。
逆に甘いものの摂り過ぎは避けるようにしましょう。糖分を分解する際にビタミンBを消費するためなるべく控えるようにしましょう。
自律神経を整える
体の老廃物を排出するリンパは、自律神経ととても関係が深いです。血流が悪く、冷え性、むくみやすい、などの自覚症状があれば自律神経が乱れているかもしれません。
体質的に粉瘤ができやすい人はリンパや血液の流れが悪くなっているかもしれません。 体を動かして血の巡りをよくし、お風呂に入って体を温め、冷え性を改善しましょう。自律神経については、イライラ解消!自律神経の乱れを整える5つの方法の記事を参考にして下さい!
ストレスをためない
自律神経はストレスに影響されやすく、ちょっとしたことで自律神経のバランスが崩れてしまいます。自律神経が乱れると、血行が悪くなり、冷え性などの症状があらわれます。血液によって運ばれるはずの酸素や栄養が末端まで届かなくなってしまいます。
そうすると肌の水分が失われたり、乾燥したり、皮がむける、ターンオーバーが遅れる、というトラブルが起きます。乾燥肌や小ジワが気になるのは、ターンオーバーのサイクルが遅れているサインです。
まとめ
粉瘤についておさらいしておきましょう。
粉瘤は袋に詰まった角質や皮脂などの老廃物です。
粉瘤は細菌に感染すると炎症をおこし、膿がたまって巨大化することがある。
ニキビは毛穴に詰まった老廃物にアクネ菌が感染して、炎症を起こしたもの。
肌を清潔に保ち、触ったり膿を出したりしない。
血行を良くし、肌の新陳代謝を促進する。
粉瘤が顔にできて大きく腫れると、とても気分が悪いですよね。精神的なショックが大きく、人に会いたくない、出かけたくないと思いつめてしまう人もいます。手術をするにしろ、しないにしろ、自分の顔とは一生付き合っていくのですから、後悔だけはしないようにしてください。これくらいで病院なんて、と思わずに早めに専門医に相談してみましょう。お肌の健康は日常の健康生活にかかっています。お酒を飲み過ぎていないか、夜更かししていないか、少しだけ生活習慣を見直してみましょう。
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