胼胝(べんち)って何?症状・原因・治療法を知ろう!イボやマメ、魚の目との違いは?

胼胝(べんち)と聞くと分からない人も多いと思いますが、足や手などにできる「タコ」のことです。たくさんの人が、一度くらいできた経験があるのではないでしょうか?

春夏など素足になることが多い季節や、長時間立ちっぱなしの職業の人、ハイヒールを頻繁に履く女性、日常的に正座をする人は特に注意が必要です。胼胝の場合、痛みを伴わないケースも多く、放置する患者も少なくありません。しかし、たとえセルフケアだとしても自宅で対策をしたり、病院で治療をしなければ治癒しないのが胼胝の厄介なところなのです。

予防も対策もせずにそのままにしていると、悪化する場合もあります。この機会に、自分の足裏のチェックをしてみてはいかがでしょうか?

胼胝(べんち)とは?

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症状の程度は違えど、大半の人が胼胝を見たことや発症したことがあると思いますが、そもそも胼胝が出来る仕組みはどのようになっているのでしょうか?

「表皮」「真皮」「皮下組織」と3つの層で出来ている人間の皮膚は、空気に触れるもっとも表面側に「角質層」があります。全身にある角質層は、人間の体から水分が失われないように守る役割がある他、外部の刺激や細菌などから守る働きもあり、顔や手、足など体の部位によって厚さが違います。

特に、靴や床などに触れていたり全身の体重を支えている足の裏は、常に大きな刺激が加わっているため、角質層は特に厚くなっています。これに加えて、足裏の一部やかかとなど部分的に摩擦や体重など大きな刺激を受け続けると、角質層はさらに守ろうと働き皮膚を分厚くしていくため、胼胝ができてしまうのです。

胼胝、魚の目、イボ、マメの違い

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はたしてこれは、胼胝なのか魚の目(うおのめ)なのか、イボなのかマメなのか……と、悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか?どれも症状は大きく異なり、すべて違います。それぞれの詳しい症状や特徴を見ていきましょう。

胼胝

摩擦や刺激を与え続けることによって角質層が厚くなり、外側に腫れ上がることでできるのが胼胝です。痛みはさほどなく、全くないケースもあります。胼胝の特徴は、痛みを伴うよりもむしろ皮膚が厚くなるため、感覚が鈍くなるのが一般的です。

胼胝の患部は、比較的大きく広い範囲にでき、皮膚が厚く硬く盛り上がって黄色っぽい色になります。学生など勉強のし過ぎで出来る人も多いといわれる「ペンダコ」など、その人の生活習慣や日常のクセなどにより、足裏だけに限らず体の色々な部分にできるのも特徴的です。

魚の目(うおのめ)

ハイヒールを履いた女性に多く見られる魚の目は、主に大人の足裏や足の指にできやすいといわれています。変わった病名ですが、患部の芯の部分がまるで魚の目のように丸く見えることから「魚の目」と呼ばれているそうです。

魚の目が発症してしまうメカニズムは、基本的に胼胝と同じです。しかし、魚の目の場合は浅く広範囲に刺激を受け続けてできる胼胝とは異なり、一点に刺激が集中するため、角質が円錐状に深く深く潜り込むように芯になって、真皮を突くように伸びていきます。この深く潜り込んだ芯が神経を触るため、魚の目は胼胝と違い、刺激が加わるたびに激しい痛みを感じます。

詳しくは、魚の目の原因について!ケアや治療方法も紹介!を参考にしてください!

イボ

イボは2種類あり、「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」という加齢とともにできるイボと、「ヒトパピローマウイルス」というウイルス感染によってできるイボがあります。

刺激が加わり続けた部分にのみできる胼胝や魚の目とは異なり、イボの場合は全身の様々な場所にできる可能性があります。また、ウイルス感染によってできたイボであれば、他人に感染してしまう恐れもあります。子供に発症しやすい性軟属腫ウイルスへの感染が原因となる「水イボ」では、プールなどでも感染する可能性があるので注意が必要です。

マメ

幼い頃に鉄棒をして手の平にできたり、買ったばかりの新しい靴が足に馴染まずにそのまま歩き続けた結果、マメができたという経験はありませんか?

マメとはいわゆる水疱のことで、皮膚の摩擦障害によって起こります。足のかかとや手のひらなど、骨が出ている箇所に起こりやすくなります。マメは、皮膚が何かに当たったり擦れたりを何度か繰り返し、何かの拍子に皮膚をずらす力が加わって、皮膚の表皮と深皮の間に水が溜まることでできてしまうのです。皮膚が硬く腫れ上がる胼胝や魚の目とは違い、マメの患部は水を含んでプクッと柔らかいのが特徴です。

胼胝ができる原因

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摩擦や強い刺激が加わってできることは分かりましたが、普段の生活に置き換えて、具体的にどのようなシーンが胼胝を発症する原因となっているのでしょうか?

意外と、気が付かずに行っていたことが原因になっているかもしれません。早速、見ていきましょう。

ヒールの高い靴を毎日長時間履いている

OLやアパレルの販売員など、仕事柄仕方ない方も多いでしょう。しかし、ヒールの高い靴を長時間履き続け、加えてその靴で立ち仕事をしている人は、最も注意が必要です。

ハイヒールの靴は、足裏全体で全身の体重を支えることはできず、つま先の一部分で全体重を支えることになります。さらに、つま先にかけて細くなっているデザインでは、足指同士が摩擦されるため、胼胝ができる原因になります。

サイズの合わない靴を履く

デザインが気に入っているからといって、サイズの合わない靴を履き続けている人もいるのではないでしょうか?実は、胼胝ができる原因の大半は、サイズの合わない靴を履き続けていることが多いといわれています。

自分の足よりも小さいサイズの靴を履いている場合、歩くたびにつま先部分が圧迫され、指先に摩擦などの刺激が加わり続けます。反対に、大きい靴を履いている場合は、歩くたびに靴の中で足が滑るため、足裏や指先、かかとなど色々な箇所に摩擦が起きることになります。

また、小さくても大きくてもサイズの合わない靴を履いた場合は、普段の歩き方とは違い不自然な歩き方になるため、特定の箇所のみに刺激が加わり続け、胼胝が出来やすくなります。

歩き方の癖

腰や膝などの怪我や不調によって痛みをカバーしようと普段と違う歩き方をしていたり、他人に歩き方を指摘されるなど、歩行に独特の癖がある人も胼胝ができやすくなるでしょう。

腰や膝が悪く、それをかばうように長年歩き続けた結果、足裏に大きな胼胝が発症するお年寄りも少なくありません。これは、特定の場所に長期間にわたり刺激が加わり続けることが原因です。また、体のゆがみや幼少からの癖によって、片方の足だけすり足のように歩く人なども同様に注意が必要です。

開張足(かいちょうそく)

聞き慣れないですが決して珍しい症状ではなく、開張足とは外反母趾などにもつながる偏平足のようなものです。問題のない健康な足の場合は、親指の付け根から小指の付け根の間が横アーチ状になっているのですが、筋力が低下したり足に負担がかかり続けたりすると、横アーチ状が崩壊して開張足になってしまいます。

開張足は女性に多くみられますが、これはヒールの高い靴を履くことが原因とされています。ハイヒールを履くと重心が前へ移動するため、足指の横アーチに負担がかかり、やがて横アーチが崩壊します。そのまま放置すると、胼胝だけでなく魚の目もできやすくなってしまうため注意が必要です。

フットケアを怠っている

顔や体と同じように、足裏もケアが必要です。足裏は、寝てたり座ったりしている時以外は、常に靴や床などの摩擦を受けている状態のため、体のどの部分よりも乾燥しやすく、角質も増えやすいとされています。角質が増えると胼胝ができやすくなるため、乾燥しないように日々ケアすることが大切です。

クリームでお手入れすることはもちろん、お風呂などで角質をとるグッズを使用するのもいいでしょう。

冷え性

女性に特に多いと言われている冷え性。冷え性の人は体の末端から冷えることが多く、足先などは特に冷えてしまいます。

足が冷えていると指先が硬直して柔軟性を失うため、靴の圧迫による刺激がより強くなります。冷えが原因で胼胝を発症する人も多く、足ツボや足湯をするなどして、常に血行を良くする対策を考える必要があります。

糖尿病

色々な合併症を引き起こすとされる糖尿病は、インスリンが血中のブドウ糖量をコントロールすることが困難になり、常に血糖値が高くなってしまう病気です。糖尿病の合併症の中には、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)などの神経障害もあり、手足の感覚を失ってしまう場合があります。

そうなった場合は、硬い胼胝ができているにも関わらず存在に気が付くことができず、放置してしまい、やがて皮膚の下の組織を痛めてしまうこともあります。最悪の場合は、放置した傷口が化膿し、壊疽(えそ)してしまう可能性もあります。

重症化しないためにも、糖尿病を患っている場合は本人だけでなく周囲の人間も、足裏に胼胝ができていないかどうか注意深く日々確認することが重要です。

胼胝の予防方法

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一度できてしまうと自然治癒は難しく、また繰り返し発症するという特徴を持つ胼胝は、意外と厄介なもの。できれば、未然に防ぎたいと思っている人も多いでしょう。

胼胝ができるのを防ぐ方法は、意外と「日常生活で習慣となっている何かを変えればいい」ということも多いのです。習慣や癖をなくしたり、毎日怠らずケアをするなど、詳しい予防方法を見ていきましょう。

歩行の改善

右足の足裏だけ胼胝ができる……といったような、一部分だけに胼胝の発症を繰り返す人は、歩き方の癖を正すだけで症状が良くなる可能性もあります。

歩き方の癖は、他人に指摘されないとなかなか自分では気が付かないものです。右半身だけ下がっていないか、すり足になっていないかなど、自分の歩き方を一度チェックしてもらうといいでしょう。

体の歪みを正す

厚底の靴を履いたり足を組んだり、横座りしたりバッグを常に同じ肩に下げるなど、普段の生活で何気なく行っている動作が、知らず知らずのうちに体を歪ませています。体が歪むと、上記のように歩き方にまで影響を及ぼします。肩や腰、骨盤など、歪んでいる部分がないか、整体で一度確認するのがおすすめです。また、骨盤ケアや歪みを正す体操などをレクチャーするDVDや本などを利用して、自宅で毎日ケアするのもいいでしょう。

自分の足のサイズに合った靴を履く

治っては再発して……を繰り返している胼胝の場合、自分の足の形にあった靴に履き替えるだけで治るケースもあります。足のサイズに合っていると思って履き続けていても、実際に専門の人に見てもらうと合っていないという場合も多々あります。百貨店や靴専門店などでは、自分の足の形やサイズに合う靴を教えてくれるシューフィッターがいるお店もあるので、一度相談してレクチャーしてもらうのもいいでしょう。

また、仕事柄ハイヒールの靴を履かなくてはいけない人もいると思いますが、その場合は通勤の時はスニーカーなど足馴染みがいい靴に履き替えるなどして、なるべくヒールの高い靴を履く時間を少なくするよう工夫しましょう。

保湿をする

たくさん歩いた日や乾燥が気になる日など、足裏に負担がかかった日は特に保湿をするよう心がけましょう。

保湿は冬などの寒い時期に要するイメージですが、足裏の場合は、サンダルなど裸足で靴を履く夏も靴と素足の摩擦により乾燥しやすく、角質も厚くなります。年間を通して保湿することで潤った柔らかい足裏になれば、胼胝は確実にできにくくなります。朝外出する際やお風呂上りなど、毎日ケアすることを心がけましょう。

市販薬を利用する

症状がそこまで重くなく広範囲にわたっている胼胝ではない場合は、「サリチル酸」という角質をやわらかくしてくれる物質入りの市販薬で治すことも可能です。

例えば、サリチル酸入りのパッドタイプの市販薬の場合、入浴後など患部が清潔な時にパッドを貼ってそのままの状態で3日程過ごします。3日後には、サリチル酸が皮膚に浸透して胼胝部分の皮膚の色が白くやわらかくなっているため、ピンセットなどを使って神経を触らない程度に患部の周辺から削っていきます。ガリガリと勢いよく削ってしまうと、胼胝以外の皮膚を傷つけて痛みが出てしまうので、入浴後など皮膚が柔らかくなっている状態で行うといいでしょう。

一度で除去しきれなかった場合は、再度パッドを貼って少しずつ除去していきます。市販薬は、パッドの他に液体タイプなどもあるので、薬剤師に相談して購入するといいでしょう。

胼胝専用アイテムで毎日ケア

市販薬同様、症状の軽い胼胝が出来てしまった場合の対策方法です。

小さい胼胝ができてしまった場合、市販されている胼胝専用のヤスリやカッターを使用して、お風呂上がりなど清潔で皮膚が柔らかいときにケアするのも効果的です。しかし、ヤスリやカッターなどで皮膚を削るため、使用方法を誤ると危険です。切って出血を起こすなどのトラブルを起こした場合は、細菌感染する可能性もあります。無理に削って正常な皮膚までも傷めないよう注意しましょう。

誤った予防方法やケアには注意

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習慣や癖の改善や、自宅でのセルフケアの方法を紹介しましたが、セルフケアには注意も必要です。

まず、患部を見て確実に胼胝であると判断できる場合は良いですが、魚の目やウイルス性のイボの可能性もあります。ケアをする際には、胼胝だと断定できる場合のみにしましょう。また、糖尿病の合併症である神経障害を起こしている状態でのセルフケアは、さらに注意が必要です。神経障害を起こしている場合、感覚が鈍くなっていたり、進行程度によっては全く感覚がない場合もあります。そのような状態で胼胝を自分で除去するケアをした場合、健康な皮膚も傷つけてしまう可能性が高くなります。

そうなると、細菌感染などの危険性も高くなるため、糖尿病によって神経障害を起こしている人のセルフケアは危険です。専門の医師に診てもらいましょう。

胼胝の治療方法

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胼胝ができたら、まず皮膚科を受診しましょう。

皮膚科では自宅ケアと同様に、分厚くなった角質を除去する治療が行われます。サリチル酸などの薬を塗布して皮膚を柔らかくし、セルフケアで取るよりも確実に角質を取り除きます。重症でない限り、この治療方法が最も多いでしょう。

他には、保険適用外治療のため治療費が高額になりますが、レーザー治療という方法もあります。深い角質まで除去して出血などのトラブルも無いため、最近では積極的に行う皮膚科も増えています。痛みも少なく、人気の高い治療方法です。

また、液体窒素を使用した治療もあります。これは、患部をマイナス196度に凍らせて、胼胝部分を壊死する方法です。肌を壊死させることによって新しい肌の再生を促し、胼胝の再発を防ぐことが目的です。しかし、一度の治療では効果は期待できないため繰り返し行う必要があり、何度か病院を受診しなくてはいけないというデメリットがあります。

自分に合った治療法は何なのか、不安な場合は医師に相談するといいでしょう。

まとめ

胼胝は、病院で治療をして一度治ったとしても、生活習慣や癖などを改善しないと何度も再発します。改善や予防をするには、まずはなぜできてしまったのか原因を知ることが重要です。

知らず知らずのうちについている変わった癖や習慣を改善して、胼胝の無いきれいな素足を手に入れましょう。

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