人の体は寒さを感じると、鳥肌を起こします。ぶつぶつと皮膚の毛根が逆立ちます。それと同時に強い寒気を感じるものです。誰しも必ず経験のあることでしょう。
鳥肌が立つ生理的な理由はどれも無害なものです。ただ単に寒いといったことが理由として大部分を占めるからです。しかし、一方で稀に病気が理由で鳥肌が立つこともあります。
では、鳥肌はそもそもどんな時に立つのか。また、症状が頻発する時、どのような病気が隠れているのか。これらのことについて詳しくみていきましょう。
鳥肌はどんな時に起きる?
肌がぶつぶつになってしまう鳥肌。そんな症状が起こると、不思議と腕をさすり、体を暖めたくなります。では、生理現象としての鳥肌はどのような時に立つのでしょうか?
気温が低い時
鳥肌が立つもっとも身近な例は気温が低い時です。夏場の暑い時に、急にエアコンの効いた部屋に入ると鳥肌が立つことってありますよね。外気の急激な変化でも鳥肌は立ちます。
これはきちんとした理由があります。もともと人間の体には体毛がありました。そして、体毛を立てると保温効果が高まります。鳥肌はその体温保持のための、生理現象の1つなのです。進化の中で環境適応のために発達した機能と呼ぶことができるでしょう。
恐怖心
肝試しやお化け屋敷に行って恐怖体験をする。このようなケースでも鳥肌は立ちますよね。これは交感神経という神経が刺激されることが原因で起こります。
交感神経は体の体温や内臓活動などを司る神経です。恐怖を受けるというのは、ある種の生命の危機に面しているため、神経が活発になり、体を守るための行動を取るようになります。鳥肌はそんな交感神経が活発になった結果、発症するのです。
感覚への刺激
交感神経への刺激という意味では、感動や感覚への刺激もまた鳥肌が立つ理由になります。何かの映画を見て感動した時など、実際に鳥肌が立つなんてことがありますよね。
頭の毛が逆立つことも
鳥肌はしばし皮膚だけではなく頭髪に起こることもあります。頭の毛が逆立つ感覚を感じたことがあるという人もいるのではないでしょうか。
このような症状は頭痛が起こっているときに起こりやすいといわれています。頭痛は頭への血行が悪くなっている結果起こりますから、伴って肩こりや首こりに悩んでいる人も多いでしょう。
頭皮の鳥肌はそんな体が疲れているという1サインです。なんだか頭髪がぞわぞわする。そんなのが毎日怒っている。そんなときは、一度リラックスして、体調を回復するようにしてくださいね。
鳥肌と神経異常
寒冷や感覚刺激といった理由で鳥肌が立つときは、単なる生理現象であり、問題はありません。しかし、何の感覚刺激もないのに鳥肌が立ったり、いつも皮膚がぶつぶつになっている。そんな症状があるときは注意が必要です。
日常的に鳥肌が立っている原因の1つに自律神経失調症があります。名前を聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。体を蝕み、生活を脅かす可能性のあるこの病気について詳しくみていきましょう。
自律神経失調症とは?
体の活性化、そして鎮静のバランスを司るのが自律神経と呼ばれる神経です。例えば朝起きる、夜になると眠くなるといった1日のリズムも自律神経が司っています。
この自律神経はさらに2つの神経に分けられます。1つは交感神経。体が活動的になるとき働く神経です。運動をしたり、精神的な高揚を感じる時、この神経が働いています。
もう1つが副交感神経。体が落ち着いたり、安静時に働く神経です。気持ちが落ち着いたり、食事の時などもこの神経が働いています。私たちの体は日夜この2つの神経のバランスによって体調が保たれています。
自律神経失調症とはこの交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、体に様々な症状が出てしまう状態です。
自律神経失調症の症状とは?
自律神経失調症では以下の症状を発症します。
- 疲れやすい
- めまい
- ふらつき
- イライラ
- ほてり
- 偏頭痛
- 肩こり
- 体の冷え
- 動悸
- 便秘
- 耳なり
鳥肌に関して言えば、体の冷えなんかが続くと症状がみられます。日常生活の中でちょっとした不調がいくつもあるようでしたら、それは自律神経失調症の疑いがあるでしょう。
自律神経失調症の原因とは?
この病気の原因は交感神経と副交感神経のバランスが崩れていることです。さらに言えば日常の中で不規則な生活をしていたり、ストレスが大きかったりすると発症することがあります。
例えば寝る時刻がいつも不規則。睡眠時間が短い。常に仕事に追われている。勤務時間が長い。食事の時刻がいつも決まっていない。このような不規則な生活をしていると病気を発症することがあります。
自律神経失調症をどうやって治す?
この病気で出る治療の第一歩はきちんとした生活を送ることです。それは先ほど述べた原因からわかるかと思います。きちんとした睡眠取り、決まった時刻に食事をとるなどがあげられるでしょう。
長期的にきちんとした休養をとることも大切です。この病気を発症する人は往々にして、日常的に何かに追われているというような強いストレスを受けていることがあります。このため、一旦それから離れて休む必要があるでしょう。
鳥肌とアトピー
アトピーが鳥肌症状の原因になることもあります。アトピーは目で見てわかりやすい症状を発症しますから、そもそも対策をしているという人は多いでしょう。
アトピーとは?
アトピーという言葉をよく聞きますが、これはどんな病気なのでしょうか。この病気は肌のバリアが弱く、簡単なことでも炎症症状を起こしてしまう病気です。
また、肌の保湿力が先天的に低く、肌が乾燥しやすいという人にもアトピーがみられます。外部からの刺激に弱いため、十分な対策をする必要があるでしょう。
アトピーの症状
アトピーを発症すると皮膚の炎症のほか、鳥肌を始め、皮膚の湿疹、かゆみなどがあります。かゆみがきっかけで、自身で皮膚をかいてしまうと、より症状が悪化するということもあるので注意が必要でしょう。
アトピーの原因
アトピーになってしまう原因として大きく2つあります。それは「アレルギー物質」「環境要因」です。生活の中で身近な物質がアトピーを起こす原因になることがあるのです。
アトピーを起こすアレルギー物質には様々なものがあります。その中でも食べ物をきっかけとして発症するケースが多く、卵や牛乳、甲殻類などに対してアレルギーを発症することもあります。
環境要因とはその人を取り巻く環境に何かしらの異常があることです。それはダニやハウスダストといったアレルゲン、化学物質による影響などがあります。
アトピーの治療法
アトピーの基本的な治療は皮膚炎に対して薬を塗ることです。これにより症状を緩和することができるでしょう。子供にアトピーがみられたら、親が塗ってあげるようにしてあげてくださいね。
そのほか、環境要因を改善する、肌の保湿をする、ストレスを取り除くといったことが症状改善に有効です。
環境要因の改善とはアレルギー物質から遠ざけること。こまめに掃除をして、環境状態を良くしてあげることが、病気を予防するポイントです。
肌の保湿は肌の衛生状態を保ちます。皮膚には常在菌と呼ばれる菌がいます。実はこれが外敵から皮膚を守る役割があります。しかし、乾燥してしまうとこの菌が死んでしまうので、保湿をすることが大切です。
ストレスはしばし、肌のバリア機能を低下させます。それは仕事といったストレスもありますが、不規則な生活もまた体に負担をかけます。十分な睡眠時間をとったり、リラックスしたりなど体の状態を最善に保つようにしましょう。
鳥肌と蕁麻疹
単なる鳥肌ではなく、ちょっと症状が進行した蕁麻疹症状が現れることがあります。これは寒冷蕁麻疹とも呼ばれる症状で、その名の通り寒暖の差が原因で皮膚に蕁麻疹が起こります。
蕁麻疹とは?
よく自分の嫌いなものを食べたり、見たりすると皮膚に蕁麻疹ができることってありますよね。精神的な負担が皮膚に異常を発症させる、なんてこともあります。
寒冷蕁麻疹は急激な温度変化、もしくは極度に温度が低い状態で発症する蕁麻疹です。鳥肌症状とも似ていますが、赤い斑点やぶつぶつを発症するのが特徴です。
蕁麻疹の症状
蕁麻疹を発症すると赤い斑点、ぶつぶつがみられます。そして、その部位はかゆみを伴います。しばし、患部をかいてしまうなんてこともあり、症状が悪化することがあります。
このため、単なる鳥肌ではなく、蕁麻疹症状がみられたら、皮膚を刺激せず皮膚科を受診することが望ましいでしょう。症状がいつまで経っても消えないようであれば要注意です。
蕁麻疹の対処
蕁麻疹が出てしまう原因は様々です。先に述べたように自分にとって嫌いなものを食べたりしたときは、それを食べないことが最善の対処法でしょう。まずはそれから離れることが大切です。
寒暖の差によって蕁麻疹が起こるようであれば、気温差をなるべくなくすことが大切です。服を何枚か重ねて着る。特に夏場のエアコンを寒いと思っている人はこのような対策をしたほうがいいかもしれませんね。
ダニによって蕁麻疹がでることも
冬になると暖かい毛布を押入れから出すかと思います。その布団を干したり洗ったりせず、そのまま被って寝てしまうと、だいたいダニに噛まれてしまします。
朝起きると皮膚が赤くなっている。かゆみを通り越して痛みを感じる。人によっては強い蕁麻疹症状が見られるなんてこともあるでしょう。このようなケースはもちろん毛布だけに限りませんよね。
長く使っていない押入れにしまわれた衣類は、ダニの巣窟になっている可能性があります。それは触っただけで皮膚を噛まれることさえあるでしょう。また、このダニが子供のアレルギーの原因になるなんてこともあります。
チクチクしたり、なんだか違和感があるときはダニが間違いなく巣食っています。久しぶりに日の目を見た衣類は一度きちんと洗濯するようにしてください。
胃の中に鳥肌が立つ?
世の中には珍しい病気があるもので、胃の粘膜に鳥肌症状が見られることがあります。この病気のことを鳥肌胃炎と言います。胃の粘膜が変質し、見た目がまさに鳥肌になっている状態です。
鳥肌胃炎の症状
鳥肌胃炎はその名の通り、胃に炎症ができている状態です。そのため、自覚症状としては胃痛、膨満感、食欲不振、胃もたれなどを感じます。初期の段階では自覚症状の程度が軽いため、発見が遅れることもあります。
この病気は比較的若い10代20代の人に見られることが特徴です。また、男性よりも女性の方が患者数が多いというのも特徴の1つです。
鳥肌胃炎の原因
ピロリ菌という細菌感染が原因といわれています。この細菌は胃潰瘍といった病気を招くことで有名ですが、このような鳥肌胃炎も発病させることがあるのですね。また、女性の患者数が多いことから、女性ホルモンとの関連性も考えられています。
鳥肌胃炎の治療
鳥肌胃炎では主に以下の治療を行なっていきます。
ピロリ菌の除去
胃内に感染しているピロリ菌を除去します。薬を服用することで治療を行なっていきます。根本的な治療なので、鳥肌胃炎を完治することができるでしょう。
食生活の改善
胃に負担のかかる食事を極力避けるようにします。特にアルコール、消化の悪い食材、脂肪を含むお肉、熱い料理、冷たい料理などが治療中は注意すべき食べ物です。
ストレスの軽減
胃を含めた消化器官はストレスを受けやすい臓器と言われています。そのため、日常生活の中でストレスを軽減することがより良い治療効果を発揮するでしょう。
鳥肌胃炎の先
自覚症状があるものの、症状を放置し、特に検査をしないでいると鳥肌胃炎は悪化していきます。そして、その先にある病気が胃がんです。鳥肌胃炎は胃がんに進行しやすい病気といわれています。
胃がんは最近では発見されやすく、早期治療さえすれば治る病気の一つです。健康診断をきちんと受けていれば、それほど深刻になることはないでしょう。
いつまでもお腹の調子が悪く、食に対しても消極的になってきた。そういう人は一度検査を受けてみることをオススメします。消化器官に何かしらの異常が起きているかもしれませんよ。
鳥肌が出たときの考え方
鳥肌が起こるのは毛を立てて保温機能を高める、人という生物が持っていた生理機能です。環境にすぐに対応するために身につけた進化の名残ということができるでしょう。
そんな鳥肌を日常的に感じているのであれば、それは体にとって負担がかかっているということを意味します。環境的な要因、精神的な負担。目に見えない負担がかかっているのです。
例えば環境的な要因として身近な例は、夏場のエアコンだと思います。暑い外からエアコンの効いた部屋に入ると鳥肌が立つ。このような場合、室温が低すぎる可能性があります。
室温が低すぎれば体は冷えますし、それによって体調を崩してしまうなんてこともあるかもしれません。先に述べた、自律神経のバランスも崩れることもあるでしょう。
精神的な負担も鳥肌に関わっていましたよね。人は恐怖やストレスを感じると鳥肌が立ちます。これは体が緊張しているという一つのサインと捉えることができます。
寒かったり、緊張していたりして、体に負担がかかっている。鳥肌はそのことを教えてくれているのです。そのため鳥肌がたったときは、きちんとした対処が必要でしょう。
鳥肌が立ったらどうすればいい?
寒いと感じたときに鳥肌が立てば、きちんと温める行動をとるようにしてください。反対に放置してしまうと、風邪の原因になるから要注意です。きちんと体のサインを受け取るようにしましょう。
特に夏場のエアコンなんかは、注意が必要ですよね。夏なのに寒い環境というのはなかなかおかしいものです。汗がうまく出なくなるといった二時的に悪い影響も起こりますから、気をつけたいものです。
気温に関わらず、いつも鳥肌が立っているのであれば、それはストレスが関係しているでしょう。仕事なんかで疲れているのかもしれません。
そんなときは心身を休め、十分な休養をとるようにしてください。休める時にきちんと休まなければ、体調はどんどん悪くなっていってしまうでしょう。
まとめ
鳥肌は目に見えるとても身近な生理現象です。ちょっと気温が下がったときなんかはよく見かけますよね。そして、服を羽織ったりして、体温が下がらないようにします。
一方で鳥肌が何かしらの皮膚の病気や体調不良を示していることがあります。皮膚の病気なら目に見えますから、すぐに対処することができますよね。
しかし、自律神経の乱れなんかは目に見えることができません。それこそ、何気無い鳥肌に体調不良の一端を見つけることをしないと、そうそう気づくものではないでしょう。
最近調子が悪いことと合わせて、鳥肌が立ちっ放し。そのようなことに心当たりがあるようであれば、病院に行ってみることをオススメしますよ。