頚性神経筋症候群という病名は聞いたことがないかたも多いとは思いますが、実はパソコンを長時間さわったり、常にスマホをいじるように、首を酷使する現代人にとってなっている方が非常に多い病気なんです。
首は体の中でも頭と体をつなげている重要な箇所です。その為、頚性神経筋症候群を放置しておくと、うつ病やメニエール病など他の病気を発症する可能性もでてきます。最近首の疲れや痛みがとれずに悩んでいる方は、もしかしたら頚性神経筋症候群かもしれません。ぜひ、この記事を読んでみてください。
この記事の目次
頚性神経筋症候群ってどんな病気なの?
頚性神経筋症候群と聞くと、なんだかとてもむずかしい病気のように思う方も多いのではないでしょうか?
実は、頚性神経筋症候群の別名はとても身近な聞き覚えのあるものです。
頚性神経筋症候群はいわゆる首こりのこと
医学的に頚性神経筋症候群というこの症状は、一般的には首こりとよばれています。首の後ろにある筋肉が緊張し、張っている状態や、圧迫されているように痛みを感じる場合頚性神経筋症候群と診断されます。
この筋肉は頭と体をつなぐ重要な筋肉の一つなので、検査をしても異常がないまま放置されやすい、うつ状態や肩こりや不眠や疲労を感じたり、耳鳴りやめまい、緊張型頭痛など脳の近くで以上を感じることもあるようです。
また、症状が進行していくと血圧に異常が見られたり、脳梗塞などのリスクが上がると言われています。他にも顔面の感覚器が異常を起こし、老眼や難聴を起こすことも有ります。
首に異常が起こると全身に影響がある
たかが首こりと思う方もいると思いますが、首の上半分には大きな神経や血管が集中しています。その為、首の筋肉が異常を起こすと、その神経や血管を圧迫したり、収縮させたりすることでからだにも不調を感じるようになってしまいます。
特に、脳に栄養をはこぶ太い血管も通っているため、そのような重要な神経や血管が異常をきたした場合、深刻な症状にもつながります。
自律神経にも悪影響をおよぼす場合がありますが、その場合、組織にまで影響が及ぶため、首以外の様々な部分になにかしらの症状がでるといわれています。
頚性神経筋症候群になりやすい人とはどのような人なの?
頚性神経筋症候群とはなにかがわかったところで症状にかかりやすい人はどのような体質であったり、生活習慣なのかをみていきましょう。
なで肩だったり、首がながい人
小顔の人は首が長い人が多いですが、そのぶん首の面積がおおく、筋肉の量も多いといえます。
長いぶん動きが大きくなり、首の筋肉トラブルは他の人に比べて起こしやすいと言われています。また、なで肩の人はかたと首の境目がはっきりとしないため、くびの露出している部分が他の人に比べて多く、冷えやすいと言われています。
なで肩の人も、首が長い人も首が冷えやすい形をしているため、血流が悪くなりやすいので、自然と首がこりやすいといわれています。
姿勢が悪く猫背な人
姿勢が悪い人は、普通の生活でも猫背になりやすくなっています。
しかし、猫背になるとき、背中部分が弧を描くように曲がります。そうなると首の前湾も共に強くなってしまいます。これによって、頚椎と、頭蓋骨の後ろの隙間が狭くなるので負担がかかり、首がこるといわれています。
特に下向きの作業が多かったり、頭が前方に傾斜しやすい人は猫背になる人の中でもこりやすいといわれているので、意識的に改善していくように注意が必要です。
首が短い人
首が長いとこるのなら、首が短いならこらないと思う方も多いと思いますが、実は首が短いと逆に首がこりやすいといわれています。
これは、首が短い人の場合本来ちょうどよく詰め込まれている他の組織が入り切らないため、関節から首を下に押し沈めやすいためです。下に圧力がかかりやすいので、首に大きな負担がかかり、こりやすくなるといわれています。
女性
女性が一般的にこりやすいというより、女性の方がデスクワークや家事をする機会が多いことがわかっています。これらの動作は前かがみになることが多いため、身体の中でも首におおきなふたんをかけやすいといえます。
その為、首がこりやすいといわれています。また、女性のほうが男性に比べると首の筋肉の繊維が細いため、同じ動作をしても筋肉が疲労しやすくこりやすいといわれています。
頚性神経筋症候群の原因とはどのようなものがあるの?
頚性神経筋症候群を発症する直接的な原因とは、身近な生活にも潜んでいます。原因がわかると予防のための対策もしやすいですよね。もしあてはまる箇所があるなら、改善できるように心がけてくださいね。
現代社会はどんな仕事でも、PC作業を中心とするデスクワークが多いと言われています。また、通勤や通学など、ちょっとした空き時間にスマホやタブレットをいじり画面を下を向いてみる時間も増えています。
その為、首の周りの負担は増えやすく、首のこりや、そこから派生した不調を感じる方は増えてきています。それでは、首のこりの原因はどこにあるのでしょうか?
同じ姿勢をとりつづけること
デスクワークでおこなうパソコン作業や、スマホ画面を見続けたり、同じ姿勢を続けるなどの動作はずっと首から上を固定する作業になります。
特に、パソコン作業やスマホ画面を見続けることは下向きに首を固定することになるため、頭の重みをダイレクトに受けやすく、より首の周りの筋肉に負担をかけやすくなっています。その為、首周辺の筋肉が緊張しやすく、首がこりやすいといわれています。
ストレスを発散させずにためつづけること
ストレスが溜まってくると、いつでもいらいらしてしまって自宅などでもなかなかリラックスして休憩するのが難しくなってきます。
常に自律神経の交感神経が興奮していると、体が緊張状態になるので、無意識に力がはいったかたまった状態になりやすいといえます。
また、リラックスできないと血行が悪くなったり、体に力が抜けにくくなってしまうため、寝てスッキリすることもできないことから首にも力が入りやすくなるため首がこりやすくなります。
他の原因で首を痛めること
ラグビーやアメフト、バスケットやサッカーと言った激しいスポーツの場合、人と接触する危険が高くなります。
また、ボクシングや空手、相撲といった格闘技の他にも、スキーやスノボーなどの転けると大怪我につながりやすいスポーツは首を痛めやすいと言われています。けがをするときにどれも首の衝撃やダメージが大きくなりやすいため、くびに症状がのこりやすく、それが頚性神経筋症候群につながりやすいといわれています。
これは怪我をしてすぐに頚性神経筋症候群として発症するだけではなく、かなり昔に怪我をし、その外傷が完治した後に忘れたころにそのむち打ちや怪我が原因となり、発症すると言われています。また、スポーツによる怪我以外にも事故によって外傷を受ける場合もあるので、
首に怪我をした場合には頚性神経筋症候群をあとから発症することがないように気をつけていってくださいね。
後天的な理由によるストレートネック
ストレートネックは、過去に怪我をしたり、生活習慣によって発生する現象です。くびの骨は本来前方向にゆるやかにカーブを描いています。しかし、様々な原因によって、そのカーブが失われ、その名の通りまっすぐとした首になってしまいます。
前方向にゆるやかにカーブを描いていることによって首の負担を減らしているのですが、カーブが失われると、減少させていた頭からの重みがダイレクトに伝わるようになってしまい、首への負担が大きくなってしまい、首のこりを発生させると言われています。
体質や環境が原因による冷え
くびがこる原因の一つに、首自体が冷やされることがあります。首が冷えると、筋肉もともに硬直しやすくなっていくため、固くなり結果的にこりを引き起こします。
特に、オフィス等だとパソコン作業をしながらエアコンに当たり続けることもあるので、物理的に首に圧力をかけながら更に冷やすという二重でのくびへの負担を与えていることもあります。その為、夏でもオフィスや電車内のエアコンの冷気に直接当たり続けることがないように、こまめに休憩をとったり場所を移動するのがおすすめです。
また、暑いからと言って、冷たいものを食べたり飲んだりすると内臓が冷やされます。内臓が冷えることによって、体全体のひえにもつながっていきますので、そこから首コリが発生すると言われています。
不規則な生活などによる内臓の不調
不規則な生活習慣はさまざまな症状を発症させる原因ですが、首コリも同様です。
食べ過ぎたり、冷たいものをがぶがぶ飲んだりすると、内臓は疲労していきます。また、決まった時間ではなく、不規則に眠りにつくことでも食べた食べ物をきちんと消化する時間をとりづらく、内臓が披露すると言われています。
特に、最近おなかの周辺がいみもなくつめたかったり、お腹をさわるとなぜか固くなっているなどの異変を感じる人の場合は首コリも同様に引き起こしている場合が多いといえます。首こりかもしれないと思う方は、自分自身の生活習慣が不規則になっていないかどうか最近の生活を見直してみてください。
頚性神経筋症候群の症状とはどのようなものなの?
頚性神経筋症候群が首こりなのはわかりますが、首以外の痛みも実は発症する可能性があります。それでは、どの部分にどのような症状がおこるのでしょうか?
頚性神経筋症候群といっても、症状の進行度によって、感じる症状はさまざまです。不定愁訴のような軽い症状から、重い症状まで様々な症状がみられるので、自分自身はどの症状を感じているか、最近はどのような不調があるかを考えてみてください。
よい睡眠がとれなくなる
首がこることによって、自律神経系に影響が出る場合があります。そうなるとなかなかリラックスすることができなくなるため、脳を休ませる唯一の時間である睡眠時間が本来の効果を発揮しない場合があります。
横になってもなかなか眠りにつくことができなかったり、長時間ねたとしても熟睡できずに寝た気がしないまま、疲労感がのこっているなど最近感じている方はもしかしたら首コリが原因かもしれません。
また、疲労感がとれないため、日中であってもつい横になってしまう方も首こりが原因でそうなっている場合があります。
顔や頭周辺に異変がある
首は顔や脳にもつながっている神経や血管が通っているため、首に異変が起こると同時に顔にある器官や脳にも影響がある場合があります。そのため、最近なにをしていても目が疲れやすかったりする方などはデジタル機器のブルーライトが原因というより、デジタル機器を見るときの姿勢によって引き起こされた首こりが原因なのかもしれません。
また、他にも頭痛を起こしやすかったり、頭がおもくてめまいを起こしやすかったりするなどの症状を起こす場合があります。
自律神経に影響が出る
首の骨の中心には副交感神経が位置しています。そのため、首こりによって首の筋肉が圧迫した副交感神経は体のさまざまな部分に悪影響を及ぼす可能性があります。
自律神経失調を引き起こしやすいため、最近何故か集中力がつづかず、更年期障害のように気分がおちこみがちになってしまったり、パニック障害のように悲観的になり、うしろ向きになりがちだったりという気分の変化を感じる方はもしかしたら首こりによってひきおこされている気分の変動かもしれません。
首に不調が起こる
首がこっているため、首にももちろん症状がでます。特に、お風呂に入ったあと、全身の筋肉が柔らかくなっていても肩鎖関節のあたりが硬かったりするばあいはこっている可能性が高いといえます。
また、以前は容易に首を動かせたのにぽきぽきと音がなったり、首が硬かったりする場合は首がこってしまっている可能性があります。
関係のないような部位に症状がでる
首が原因とはいえ、副交感神経に影響が出ると、体の他の部位でも影響がでます。
例を挙げると胃の調子が悪くなり、下痢や便秘の回数が増える他、普段の呼吸が浅く、いきぐるしくかんじたり、血圧を何回か図ってみても安定せず、おかしな数値を出す場合は首コリの可能性があります。
頚性神経筋症候群の治療方法とはどのようなものなの?
首こりといったら治療法がないように思う方もいるかもしれませんが、さまざまなアプローチがあります。それではどのような治療法があるかをみていきましょう。
病院や接骨院で行う治療法は、鍼治療をはじめとして様々な種類があります。痛みが収まっていく場合もありますが、根本的な原因を治療しているわけではなく、痛みを一時的になくしたり、首のこりのおこっている周りの筋肉にアプローチをしているため、また痛みが再発する場合もあります。日々の生活を見直しつつ、病院などで治療をうけ、痛みを和らげていくのが理想的だといえます。
牽引
首がこっている部分の筋肉の近くをゆっくりと伸ばしていきます。力任せにやるのではなく、患部を固定しながら行うため、血行を良くする働きもあり、ストレッチをする以外にもマッサージ効果も期待できます。
これによって、狭くなってしまっている箇所が広がっていくため、痛みが小さくなっていくといえます。
電気治療
首のこりのげんいんである、首の筋肉をほぐしていく治療方法です。
低周波治療器を使用し、微力の電気を患部に流すことによって、固く強張った筋肉をゆっくりと柔らかくほぐしていきます。これによって、こりが改善していく効果が期待できます。
薬物療法
首がこっているということは、その部分が炎症を起こしている場合や熱を持っている場合があるため、湿布を処方される場合もあります。
また、痛みが強い場合には痛み止めや筋肉をほぐす効果のある筋弛緩薬を処方することによって、化学療法により治療していく場合もあります。
頚性神経筋症候群の予防方法とはどのようなものがあるの?
どんな病気でもかかるまえに予防するのが一番ですよね。
それでは、頚性神経筋症候群の予防方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
普段の姿勢に気をつける
一番は、普段どのような姿勢かをもう一度見直し、改善していくことです。まずは長時間同じ姿勢をしていないようにするため、こまめに休憩をとったり、昼休みはかるく近くを散歩するなどすこしでも体を動かすことができるように心がけるのが大切です。
また、デスクワークが多い方はクッションなどを使用するなどして体に負担がかからない姿勢で作業を行うことができるように研究してみてはどうでしょうか。
デジタルデトックスを行う
一日でどのくらいパソコンやスマホ、タブレットなどの電子機器をいじっている時間があるでしょうか?仕事でいじるのは仕方がないことですが、姿勢が固定したまま、目も酷使しているのはかなり体に負担をかけています。
休日は友人と出かけたり、夜は読書などをするなどしてできるだけ電子機器を触る時間を減らすことができるように工夫してみてくださいね。
普段の生活習慣をみなおす
生活習慣はくびこりをも引き起こします。特に、食べ過ぎたり飲みすぎたりといった食生活以外にも不規則な睡眠時間であったり、クーラーによって冷やされた体は首以外にも様々な箇所に影響をおよぼす可能性が高いといえます。
できるだけ規則正しい生活ができるように、自分ができることから少しずつ改善していってはどうでしょうか。
くびを安易にひやさないようにする
首コリは血行がわるくなると引き起こされる可能性があります。血行が悪くなる原因のひとつに冷えがあげられます
。特に、首は衣服でも守りづらい場所なのでエアコンからの風邪などにも当たりやすく、それによって血行が悪くなり、筋肉が固まってしまうという現象が起こりやすくなります。特に夏場のエアコンは強くなるので、注意が必要です。
エアコンに当たる場所をさけたり、スカーフをまくなどして直接は風邪に当たらない工夫をする他、夜寝るときにはそこまで強い温度にしないなど、首のまわりが冷えることがないように工夫をしてみてくださいね。
まとめ
頚性神経筋症候群というと難しい病気のように思えますが、身近な症状であることがわかったのではないでしょうか?
誰でも発症しやすく、その影響もうけやすいため、予防することを心がけてみてくださいね。
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