首にしこりが出来ていると気付いた時、何かの病気なのかしらと不安になる方も多いと思います。体の中でもしこりが出来やすいと言われている部分があり、その1つが首の周りです。
しこりを発見すると癌などの重大な病気を思い浮かべてしまいがちですが、しこりが出来る原因は沢山あります。しこりの正体が分からないとなんだか不安で一杯だと思います。
今回は、どのような原因で首にしこりや腫れが出来るのかとそれぞれの治療方法、また悪性癌がどうか分かるチェック方法についてご紹介します。
しこりとは?
しこりとは、皮膚の上から触ったときに何らかの塊に触れたものをしこりと呼びます。体の中でもしこりが出来やすい部分は、首や胸付近といわれています。しこりの正体は、筋肉や皮下組織などが何らかの原因で一部分だけ硬くなり、凝ってこわばった状態です。
また、自分で触ってみて、しこりがあると気付いても、実際はただ腫れているだけなど、しこりではないことも多いです。しこりが出来る原因によっては、熱が出たり、しこりの部分に痛みが出たりなど、病状によって特徴があります。
しこりが原因となる病気はどんなものがあるのか、特徴をみてみましょう。
首にできる、しこりの7つ原因と治療方法は?
首にできるしこりの原因は大きく分けて7つあります。それぞれの特徴や治療方法、また何科を受診すればいいかをご紹介します。
筋肉の張りや凝り
肩こりと同じように、首にも凝りがあります。普段の生活で、肩よりも首に負担をかけることは、あまりないように思いますが、パソコンや携帯を長時間使っている方、長時間大声を出すなどして喉を使いすぎている方は、首付近が凝り固まりしこりが出来る場合があります。
首こりの特徴は、しこりだけではなく、他の症状が現われることが多いです。首周りやしこり付近の痛み、頭痛やめまい、吐き気や疲労を感じている場合は、首の凝りが原因かもしれません。
この場合、喉の使いすぎや首に負担がかかるような姿勢や行為をしている可能性が極めて高いので、それらの行為を止められるように、生活の改善をすることが主な治療方法になります。
また、お風呂やマッサージをして血行をよくすることで改善されることもありますが、痛みがひどい場合は針吸引、鍼灸院、接骨院・整骨院、整形外科などの専門医に相談しましょう。
リンパの腫れ
リンパの腫れが、首にしこりが出来る最も多い原因です。
首が腫れていると聞いて思い出すのは、風邪を引いたときによく耳にするリンパの腫れではないでしょうか。ウイルスや細菌がこのリンパ管という場所に入ってしまうと、炎症を起こして腫瘍という形で現われます。基本は良性のしこりですが、ごく稀に悪性の場合もあります。
ウイルスなどが原因で一時的に腫れを伴っている場合は、鼻水や熱、喉の痛みなどの一般的な風邪のような症状が出る場合が多いです。また、前日は何もなかったのに、いきなり大きめのシコリが出来ている場合は、悪性の場合は極めて低いです。
この場合は、病院で抗生物質などを投与してもらいましょう。また免疫力を高める為に、規則正しい生活や喉に良いと言われるビタミン摂取を心がけてください。リンパの腫れの疑いがある場合は、耳鼻咽喉科もしくは内科を受診してください。
脂肪腫
脂肪腫とは、40代~50代の女性に多い病気で、特に肥満者に多いといわれています。脂肪組織から出来るしこりで、皮下脂肪となるはずだった脂肪細胞が増殖して、皮膚の下にぷくっと出来るものを脂肪腫と呼びます。
体にできる1cm~3cm程度のしこりで、触ってみると柔らかいのが特徴です。基本的には、良性のしこりなので、健康上は大丈夫ですが、美容上気になる方も多いと思います。
脂肪腫は稀に違う箇所にも多発することや10cmを超えて大きくなることもあります。放置しても小さくなることがないので、気になるようであれば手術をして摘出してもらいましょう。
脂肪腫の疑いがある場合は、皮膚科を受診してください。
甲状腺の腫れ
甲状腺は首の前側、のどぼとけのすぐ下に位置しています。この甲状腺と呼ばれる、首の中の内分泌器官が異常を起こし腫れる場合があります。この病気にかかった男女の割合を見てみると8割が女性だったことから、特に女性がかかりやすい病気と言われています。
首が腫れている以外にも、「のどに違和感を感じる」「声がかれる」などの別の症状が出ることが特徴です。甲状腺の腫れがおこる4つの原因と治療方法を紹介します。
■甲状腺ホルモンが多いことが原因でなる腫れ(バセドウ病など)
甲状腺ホルモンが多いことが原因で首の付近に腫れがでます。この場合の治療方法は、甲状腺ホルモンを過剰に分泌している甲状腺を切除する方法と、甲状腺ホルモン薬を飲んでコントロールする方法があります。
■甲状腺ホルモンが少ないことが原因でなる腫れ(橋本病など)
甲状腺ホルモンが少ないことが原因でも、首の付近に腫れがでます。「自己免疫」の異常が原因で起きる炎症で、20歳代後半~40歳代の女性に多い病気です。甲状腺機能低下がある場合には、体で分泌できない分の甲状腺ホルモンを薬で補う治療が必要になります。
■甲状腺の良性の腫瘍
甲状腺に良性のしこりができる場合があります。この場合、手術でしこりを取り除く必要があります。症状にもよりますが、しこりのある方の甲状腺だけを切除するので、身体に負担はあまりかからないと言われています。
■甲状腺の悪性の腫瘍
甲状腺に出来たしこりが、悪性腫瘍と判断された場合は、手術で摘出します。病気の広がり具合によって切除する範囲が変わります。病状によっては甲状腺全てを摘出することもあります。
甲状腺の腫れのほどんどの場合は、良性ですが稀に悪性の癌の可能性もあります。悪性の癌と聞くと、死を連想させるような、恐ろしい病気に聞こえますが、80%以上は、乳頭癌という大人しい癌と言われていて、手術で取り除けば生命を脅かすような危険はありません。甲状腺腫瘍の疑いがある場合は、甲状腺科や甲状腺専門の病院、もしくは外科を受診してください。
詳しくは、甲状腺の腫れをチェック!原因や見分け方を紹介!を参考にして下さい!
耳下線の腫れ
耳下線は炎症を起こしやすい箇所でもあるので、ウイルス感染でなく疲労やストレスなどが原因で炎症を起こす場合があります。耳下線が炎症を起こすと、熱と痛みを伴うのが特徴です。
耳下腺が腫れることで有名なものは、おたふく風邪です。おたふくは流行性耳下腺炎とも呼ばれ、耳下線がウイルスに感染して、炎症を起こす病気です。初めは片方だけ腫れてきて、1日~2日遅れで反対側も腫れてきます。
おたふく風邪の場合は、耳下腺や顎の下の顎下腺が腫れて痛くなり、頭痛や発熱などの症状も現われます。基本的には、3歳~9歳の子供に見られる病気で、1度かかると免疫力が付き、再び再発することはありません。
一般的な治療では抗生物質を服用することで1週間以内には症状が消えます。耳下線の腫れの疑いがある場合は、耳鼻咽喉科もしくは内科を受診してください。
詳しくは、耳の下が痛い原因は?病気やリンパとの関係についてを読んでおきましょう。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は体中をめぐっているリンパ系組織が癌に変異する病気です。リンパ節は全身に位置しますが、特に症状が現われやすいのが、首や脇の付け根のリンパ節の腫れやしこりです。悪性リンパ腫の特徴は痛みがないのが特徴で、気付かずに進行してしまいがちです。
その他の症状として、癌に変異したリンパ球が全身に巡ることによって、全身倦怠感・体重減少・寝汗・かゆみなどの全身症状が起こることもあります。悪性リンパ腫は自覚症状がなく判断が難しいことを念頭に入れ、定期的に血液検査や癌検査をされることをオススメします。
悪性リンパ腫の疑いがある場合は、血液内科を受診してください。詳しくは、悪性リンパ腫の生存率って?種類や症状、再発の可能性についてを読んでおきましょう。
良性腫瘍
良性腫瘍とは、しこりが大きくなる速度が遅く、転移をしない腫瘍のことです。その為、しこりが出来た部分を全部取り除くことで、基本的には命の危険のないしこりと言われています。このような良性のしこりは、顎下腺、耳下腺、甲状腺などにできる場合があります。
良性の場合は、ゆっくりと徐々に大きくなり5年から10年経ったくらいで目立つ大きさになりるのが特徴ですが、悪性か良性かをご自身で判断するのは難しいと思います。悪性か良性腫瘍を調べる場合は、医師による問診、触診また針で組織や細胞を採取して調べる検査を行います。
もし良性と判断されても、首の周りは目立つ部分でもあるので、美容上摘出したい方は多くいます。手術で摘出するかどうか、時期については医師と相談してください。悪性か良性腫瘍を調べる場合、血液内科を受診してください。
悪性癌かどうか分かる、しこりのチェック方法
しこりが出来た時に一番不安なのは、悪性癌かどうかということだと思います。とにかくそれが悪性癌でないと分かる方法があれば、いち早く知って安心したいですよね。
ここでは、悪性癌かどうか分かる5つのチェック方法をご紹介します。
しこりの硬さ
しこりの部分を手で触れてみて、しこりが硬いかや柔らかいかをチェックしてみて下さい。悪性癌のしこりは基本的に硬いです。その他の病気が原因で現われるしこりの硬さは、リンパの腫れであれば、少し弾力性があり、脂肪腫であれば、柔らかいのが特徴です。
しこりの大きさ
しこりの大きさ自体は様々ですが、癌の場合はしこりが小さくならないのが特徴です。時間をかけて徐々に大きくなります。その他の病気が原因で現われるしこりは、リンパの腫れが原因であれば数日から数週間で炎症が治まり、それと同時に腫れが収まり小さくなってきます。
しこりが動くか
しこりが動くか動かないかを触れて調べて見てください。悪性腫瘍の場合は、しこりの動きがよくないといわれています。その他の病気が原因で現われるしこりは、リンパの腫れや脂肪腫の場合は、しこりを触ったときに、しこりがよく動きます。
触診については自己判断では難しいと思うので、最終的には専門医に診てもらって判断してもらってください。
痛みがあるか
悪性の癌は痛みがないのが特徴です。しかし、まれに急速に腫瘍が大きくなることにより、痛みや発熱を伴う場合があります。一般的には、痛みや発熱を伴う場合は、風邪などのウイルスによる炎症のものが多いです。
しこりが2週間以上消えない
風邪などのウイルスや細菌が原因となって、腫れている場合は通常2週間程度で小さくなって腫れが引いてきます。その為、2週間以上経ってもしこりがきえない場合は、悪性のものか良性のものか医療機関を受診して判断してもらった方がいいでしょう。
これらの判断は、自己判断だと難しい場合がありますが、しこりが硬い、大きい、触っても動かない、痛みがない、2週間以上しこりが小さくならない場合は、癌の可能性も出てきます。
治療が遅くならない為にも、血液内科を受診して悪性か良性か確認してください。
まとめ
首に出来るしこりの原因は7つあり、しこりの原因によって受診する科が異なります。
素人の私たちが判断して、その科を受診することは、難しいです。その為、初めの初診は総合病院に行かれることをオススメします。
特に2週間以上、しこりが消えない場合は、手遅れになる前に、そのしこりが悪性のものか良性のものかをハッキリとさせておくといいと思います。