薄着になる季節、首もとや胸元、あるいは手足に赤いホクロのようなものを発見することはありませんか?ホクロは黒と思っていたけど、赤いホクロってあるのでしょうか?
この赤いホクロの正体は何なのでしょう?赤いホクロについて、その正体や原因、治療についてまとめてみました。
ほくろが赤くなる原因は?
普段私たちが目にするホクロは、黒いことがほとんどですが、稀に赤いホクロを見つけることがあります。そのようなホクロは、どうして出来たのでしょうか?
赤いホクロはしばしばかゆさを伴い発見されることが多いそうです。そしてこの赤いホクロのようにみえるものは、実はホクロではなく、老人性血管腫というものなのです。
毛細血管が増殖して皮膚の上に露出してしまったものなので、かゆいからといって、かきむしったりすると、出血してしまうこともあります。
信心深い人などは、赤いホクロは不吉だと言ったりするそうですが、実際は、このような毛細血管の固まりであって、気になるようでしたら、治療をすることも可能なものなのです。
老人性血管腫について
では老人性血管腫とはどのような症状なのでしょう?
老人性血管腫とは、主に加齢によって起こるものです。皮膚の真皮内の毛細血管が拡張したり、増殖したりして表皮が引き伸ばされ、ホクロのように見えてくる現象です。つまりほくろのように見えるだけで、中身は毛細血管の塊だということです。
形は平坦なものもあれば、ほくろのように盛り上がりのあるものもあり、ひとそれぞれです。しばしばかゆみを伴うことがありますが、かきむしると、毛細血管の塊のため、出血することがあります。
主に加齢によって症状が現れるので、老人性血管腫などと呼ばれていますが、実際には若い人にもしばしば見られる症状です。疾患ではないので、特に気にする必要はありませんが、特に女性に関しては、美容などの面から気になる人も多く、そういった場合は、治療や除去手術などの方法もできます。
また、このような老人性血管腫になりやすい人というのは、色白で、紫外線を多く浴びた人といわれています。
その他の血管腫
血管腫は老人性のものだけではありません。
いくつか挙げると単純性血管腫、いちご状血管腫、海綿状血管腫、先天性血管腫などの種類があります。
これらの血管腫はいずれも広範囲に発生する血管腫で、いくつもの斑点や、内出血が皮膚上に見られて治療を受けないと、自然に消えることは無いという特徴を持ちます。
これらの血管腫はいずれも血管の増殖や拡張などによって発生するアザや腫瘍で、良性のものになります。また血管の奇形、良性の母斑などのように分類されている症状になります。
血管腫が発生しやすい部位は?
血管腫が派生しやすい場所については以下の部位が挙げられます。
- 顔
- 胸部
- 背中
- 腕
これらの部位に特別発生しやすい傾向がありますが、身体の皮膚上であればどこにでも発生する可能性の高いものになります。
症状について
では老人性血管腫の症状について詳しく見ていきましょう。
老人性とはいいますが、30代を超えたくらいから出現することが一般的で一箇所にプツっと出来ることもあれば周辺に無数に転々と発生している事もあります。
一つの大きさは1mm〜4mm程度で、膨らみを感じられる場合もありますが基本的には平坦な事が多いでしょう。痒みを感じることもあります。
血管腫の原因は?
老人性血管腫の原因に、はっきりとしたことは未だわかっていません。しかし原因になると思われることが何点かあります。
血管腫が発生している要因となっているものについて幾つか紹介します。もし血管腫が頻発している悩みを抱えている人はこれらの原因が関係していないか、発生部位にかかっている負担について明らかにして予防していきましょう。
加齢
加齢によって、身体の内側の老化、つまり血管の老化現象によって、起こるといわれています。皮膚内の組織で紫外線などの影響や血管の老化現象から毛細血管が増殖し、表皮にまで出てきてしまったということです。
しかしこの現象も加齢だけが原因とはいいきれないようです。実際には、20代30代などから確認されていることも多いため、現在では加齢だけが原因ではないとみられています。
ストレス
生活習慣の乱れやストレスなど、日常生活の中で起こるさまざまな疲れが原因で起こっているといわれています。
特に睡眠不足や過剰なストレスなどは、身体のさまざまな箇所に影響を及ぼします。それは肌にも現れます。いつもよりも皮膚の炎症が起きやすくなるため、年齢に関わらず赤いホクロのようなものが現れるのです。
ストレスは沢山の病気との関係性が深く、殆どの病気の原因ともなっているものですので早い段階で対策をしていったほうが良いでしょう。
遺伝
この赤いホクロのような老人性血管腫は、遺伝的要素が強いといわれています。多くの発症した人に親類に同じような経験があるとのことです。
老人性血管腫の出来やすい肌、体質などがあるといわれています。特に肌の色が白く、紫外線の影響を受けやすい肌質の人に多いといわれています。
ホルモンバランス
特に女性は、ホルモンバランスが肌にさまざまな影響を及ぼすことがあります。
女性ホルモンの中でも、エストロゲンという成分が女性の肌を美肌にしたり、加齢を遅れさせるアンチエイジングなどに効果があるといわれていますが、このエストロゲンという女性ホルモンは、加齢によってその量が少なくなってきます。そのため、ホルモンバランスが崩れ、肌の調子が悪くなり、このような老人性血管腫ができるといわれています。
また男性でも、男性ホルモンである、テストステロンという成分がありますが、このテストステロンからエストロゲンが作られます。量は女性に比べ少ないですが、実は男性にもエストロゲンは存在します。そのため、この量が激減することによって男性にも老人性血管腫ができるといわれています。
炎症
皮膚に強い力が加わり、皮膚が炎症を起こすことで老人性血管腫になるといわれています。下着の強い締め付けやゴシゴシ皮膚を擦るような洗い方には注意しましょう。
紫外線などによる刺激
老人性血管腫が好発しやすい部位からも日光の日差しを受けやすい部位であることが確認できます。顔、腕、胸部、首などに特に血管腫が発生しやすい、また夏に症状が発生しているという場合には特にこの原因が深く関係している可能性があります。
日差しよけや、洋服での直射日光の防止など紫外線対策を行って再発や症状の悪化を防いでいきましょう。
赤いほくろは皮膚がんの初期症状?
赤いホクロのようなものは老人性血管腫であることがほとんどですが、稀に皮膚がんの初期症状の場合もあります。この見分け方は、医療関係者でも困難だといわれているほどですので、少しでも気になることがあるようでしたら、すぐに医療機関に受診するようにしてください。
多くが小さな赤いほくろのような状態から広がっており、状態が変化することがひとつの目安であると思ってください。ホクロや老人性血管腫だと思っていたものが段々成長してきて、6ミリを超えるほど大きくなった場合は、皮膚がんの可能性を疑ったほうが良いかもしれません。
赤い盛り上がりのあるかゆみのない皮膚がん
有棘細胞がんといわれる皮膚がんの初期症状は、肌色やうすい茶色、または赤いほくろのようなものが現れます。
赤いシミのような状態だと表現する人もいます。ボーエン病やページェット病などがそれで、進行すると、命の危険のある皮膚がんになります。赤いほくろのような状態の時には、表面がザラザラしているのが特徴だそうです。
また他の皮膚がんと同様に、進行するにしたがって、広がっていくのですが、かゆみなどは無く、気がつかない間に進行してしまう可能性のある恐ろしいがんです。
詳しくは、皮膚がんの症状とは?種類や症状について知っておこうを読んでおきましょう。
メラノーマ
老人性血管腫のような状態でかゆみを伴う、赤いホクロのようなものは、皮膚がんの一種である、メラノーマでも起こります。
メラノーマは、悪性の黒色腫といわれるもので、進行と転移の早いがんです。初期の状態では、ほくろのようなもので、薄い茶色やうす赤い色をしていることが多いそうです。形や色にむらがあり、だんだんと大きくなっていきます。このメラノーマは、近年発症率が増えているがんです。
しかも比較的若い人にも発症していて、ホクロや老人性血管腫との区別が難しく、注意が必要です。またがん細胞が小さいうちでも転移してしまっている可能性があり、死亡率の高いがんとしても有名です。なぜならメラノーマは、皮膚の表皮という部分に発症します。この部分の下のほうには血管やリンパが通っていて、それにのって体中にがん細胞を送ることができるからなのです。
メラノーマの特徴
- メラノーマは見つけにくい場所に発症することが多い
- 成長が早い:普通のホクロや老人性血管腫ではない、速さで成長します。赤や薄茶色の部分が広がり始めます。
- 転移が早い:多くが直径7ミリを超えると、転移の可能性が出てくるといわれています。ほんの小さなものでも転移の可能性があるので、早めの発見が大切です。
- 抗がん剤が効かない:他のがんと比べて抗がん剤の効き目が少ないといわれています。特殊ながんといえるでしょう。2014年には新薬も開発されていますが、まずは早期発見が大切です。
- 形がいびつ:ホクロと比べ、周りがギザギザしていることや、色むらがあったりします。
- 毛は生えない
ホクロにはたまに毛が生えていることがありますが、メラノーマでは、皮膚細胞を壊して増殖するので、毛は生えません。
詳しくは、メラノーマの初期症状は?種類を知って適切な対処を!を参考にしましょう。
老人性血管腫の治療法
赤いホクロのようなものががん細胞だった場合は、専門家の居る医療機関での治療が必要になりますが、老人性血管腫だった場合は、どのような治療法があるのでしょうか?
専門の診療科である皮膚科や形成外科で行われる治療法について紹介します。
自分で潰してはいけない?
もし老人性血管腫が発生している場合、針や爪などで自分で潰してしまっては行けません。
下記で紹介する治療法からも理解るように、大掛かりな治療が必要なわけではありませんが、少し特殊な手術治療を行わないとイボが逆に大きくなってしまったり、血管腫が大きくなってしまう可能性があります。
毛細血管の異常増殖によって発生している腫瘍なので、もしニキビのように軽い気持ちで潰してし合うと大量に出血が発生してしまいます。
さらに不衛生な処置をしてしまうとそこから感染症などの問題に発展する可能性もあります。特に顔などの部位に発生している物を自己判断で潰してしまうと逆に目立つように似合ってしまう事がありますので、かならず病院での手術を受けるようにしてください。
凍結療法
凍結療法は液体窒素を使った治療で、血管腫を液体窒素で凍結させ、取り除く方法です。大体一週間ほどでかさぶたが剥がれ、完治となります。
しかしデメリットとして、色素沈着の可能性があるとのことで、見た目が気になる女性は注意が必要です。
炭酸ガスレーザー
炭酸ガスを使用したレーザー治療が人気です。老人性血管腫のほかにも、ホクロやイボなどの治療にも使われるレーザーです。治療の痛みも無く、跡も残らないので、気軽にできると人気だそうです
。炭酸ガスが水に吸収される性質から皮膚治療に効果があるとのことで、また短時間でできるのもよいところです。ただし、費用は保険外治療のため、1つあたり、1万円程度の費用がかかります。
切除手術
多くの老人性血管腫は、レーザー治療で治療することがほとんどですが、稀に大きくなりすぎて、切除手術が必要な場合があります。目安としては、4ミリ以上になると手術になることが多いそうです。
いずれも日帰りで行える手術方法になりますので、気張って病院に行く必要はありません。麻酔も使用しますが、局所麻酔で行う治療になりますので患者の負担は少ないでしょう。
皮膚科と形成外科どちらを選べばいい?
顔や腕などの目立つ場所に発生した場合は形成外科。胸部やお腹や背中など目立たない場所に発生している場合は皮膚科。をおすすめしています。
というのも、皮膚科は治療を重視して行うところですが、形成外科は美容的な面に対しても気を使って治療を行ってくれる診療科だからです。
出来ればこの二つの診療科の両方を掲げている病院があればそこが最適でしょう。見た目にも重視している治療法で、傷跡や色の沈着が無いように治療を行ってくれるので症状だけでなく、完全に元の状態に治療を行ってくれるでしょう。
治療後のケアなど
レーザーや手術などで治療を行った場合は、その後のケアをどうしたらよいのでしょうか?
レーザー治療や手術自体の時間は短時間でしかも傷跡もあまり残らないといいます。しかし、その後のケアがとても重要だといいます。なぜなら手術やレーザー治療を行うことで、少なからず肌には負担がかかっていることは事実です。その後すぐに肌によくないといわれている紫外線を大量に浴びたり、皮膚を擦るようなことをして刺激をすると、またおなじような老人性血管腫になったり、シミやしわの原因になったりします。
せっかくキレイになったのですから、しばらくはその場所を大切に扱い、紫外線はさけ、皮膚に優しい生活をしましょう。また摩擦などの原因を取り除きましょう。顔の場合はメイクや日焼け止めなどの使用も気をつけることが大切です。治療してもらった医師の注意を守りましょう。
まとめ
いかがでしたか?赤いホクロのようなものは、ほとんどが老人性血管腫といわれるものでした。病気ではありませんが、目立つようなところにあると、見た目を気にしてしまいますよね。疾患ではありませんからすぐに治療は必要ありませんが、見た目などが気になるようでしたらレーザー治療などの方法があります。その際は治療後のケアをきちんとするようにしましょう。
また赤いホクロのようなものが、皮膚がんの初期症状の可能性もあります。初期の段階では老人性血管腫か、ホクロか、皮膚がんか、などの区別は医療関係者でも難しいといわれています。少しでも状態に不安があるようでしたら、医療機関に受診するようにしてください。
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