苺状血管腫とは?原因や症状、治療方法を紹介!

生まれたばかりの赤ちゃんの顔にできた赤い盛り上がったアザ。いったい何が原因なのか?病院に行った方がいいのか?どうすれば治るのか?

情報化が進んだ現在、情報はそのまま力となります。特に赤ちゃんにまつわる情報は、オカルト的な物を除いたとしてもウソや間違っていることが数多くあります。間違った情報に惑わされないように、正しい情報を入手してください。

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苺状血管腫

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赤アザは、血液中の赤血球(厳密には赤血球中のヘモグロビン)によって皮膚が赤・紫・ピンクなどの色に見える症状です。この赤アザのことを医学用語で「血管腫」と呼びます。良性腫瘍の1種で遺伝性はなく、未熟児に多いと言われています。日本では、新生児の約1%くらいの頻度で発症します。

皮膚が苺のように赤く、表面がボコボコと隆起していることが多いことから「苺状血管腫」と呼ばれます。生後すぐから1年以内に発症することが多いようです。

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苺状血管腫になる原因は?

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新生児の未熟な毛細血管が、皮膚の表面で増殖することによって発症します。明確な原因は不明です。胎児期に、血管を構成する細胞が何らかの原因で皮膚組織上に残ってしまい、出生後に異常に増殖しているのではないかという説や、血管内皮細胞の増殖因子異常などが考えられています。

どこにでもできるの?

全身どこにでも症状は見られますが、多くは顔面に見られます。

どんな症状があるの?

出生後すぐは目立ちませんが、数週間経つと急速に赤くなり盛り上がってきて、生後3~7か月後くらいに最大となります。名前の通り、ほとんどはイチゴのような鮮明な赤色ですが、場合によって皮膚の色調に変化がない場合もあります。

子どもの成長に伴って面積が増大しますが、(血管腫が拡大したわけではなく)表面積の増大に比例して増大しただけです。

発症箇所による分類

苺状血管腫は発症箇所によって、大きく3種類に分けることができます。多くは局面型と腫瘤型で皮下型はまれです。

局面型苺状血管腫

皮膚の表面に近いところで毛細血管が増殖するため、目立つ赤アザが見られます。その反面、皮膚の深部では毛細血管の増殖は見られません。自然と治っていくことが多いタイプです。

皮下型苺血管腫

皮膚の深部で毛細血管が増殖するため、皮膚に赤アザは見られません。このタイプも自然と治っていきます。

腫瘤型苺状血管腫

皮膚の表面と深部で毛細血管が増殖するため、局面型より目立つ赤アザが見られます。成長してもアザが残ることが多く、身体機能を阻害する苺状血管腫の多くはこのタイプです。

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苺状血管腫に治療は必要なの?

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2歳ごろから治り始めて、5歳までに50%、7歳までに75%が自然治癒します。身体機能に影響がなく、成長を阻害する様子もなければ、特に治療を行わずに経過観察となります。

母親が自責の念にかられて隠そうとするケースや治療が必要ないのにパニックになってしまうケースなどもありますが、早期受診と適切な治療によって痕を残さないようにすることができるようになってきました。

治療が必要なケース

顔にできた場合

前述の通り、顔面に苺状血管腫ができることが多くあります。そのため、目、鼻、耳、口などの周囲にできてしまうと視力低下、呼吸困難、難聴、口が大きく開けられないなどの機能障害を起こすことがあります。その場合には治療が必要です。

また、発症の男女比は1:3で女性が多いことも苺状血管腫の特徴のひとつです。そのため、成長とともにコンプレックスになる可能性もあるので、美容的に問題がある場合にも治療が推奨されます。

局部にできた場合

肛門周辺にできると排便障害を起こすことがあります。また、性器周辺にできると、性器の正常な生育に影響を与える可能性もありますので治療が必要です。

その他の場所にできた場合

機能障害を起こさなくても、多発している場合には注意が必要です。皮膚だけではなく、内臓にも他の血管腫を合併していることがあります。その場合には、画像診断によって血管の状態を確認します。皮膚は見た目だけの問題ですが、内臓に血管腫があると生命活動に影響を与えることもありますので、治療が必要です。

血管腫が多くできることにより、急激に血小板の値が減少して血が止まりにくくなることがあります。これをカサバッハ・メリット症候群と呼びます。この状態になってしまうと、血管腫を治療しないかぎり血小板が増えないため、早急な治療が必要になります。

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苺状血管腫の治療方法

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治療方法は大きく分けて6種類あります。それぞれ効果と副作用があるため、専門医と相談して適切な治療法を選択する必要があります。

圧迫療法

患部を持続的に圧迫することにより、血流を阻害して大きくならないようにします。自然治癒を早める効果もあると言われています。圧迫する方法は、包帯を巻いたり、スポンジを用いたり様々です。

副作用は特にありませんが、治るまでに長い期間と労力を要します。

放射線療法

患部に放射線を照射して、細胞を死滅させます。効果は認められていますが、被ばくによる急性障害や晩発性障害などの問題もあり、現在では主流の治療ではありません。しかも苺状血管腫には保健適用がありません。

ステロイド療法

局所注射と全身投与があります。

局所投与の場合、痛みが強いため、乳幼児の顔面に投与する場合には全身麻酔が必要になります。乳幼児の全身麻酔はリスクが高いので、あまりお勧めすることはできません。

全身投与の場合、経口もしくは静脈注射によって投与します。全身に効果がありますが、副作用も全身に起こる可能性があります。

ステロイドは優れた抗炎症作用がありますので、用法・用量をしっかりとコントロールすれば、優れた治療効果があります。どうしてもステロイドには悪いイメージがありますが、度を越えた大量投与や長期投与しなければ、大きな副作用はありません。

レーザー療法

短パルス色素レーザーを用いてヘモグロビンを特異的に破壊することにより、赤色色素を減少させます。日本では保険適用もあるため、第一選択されることが多い治療法です。

劇的に効果がある症例は20~30%と言われており、有効性に明確な回答はでていません。主な副作用は瘢痕形成や色素脱失です。また、皮膚の弱い方では治療後の痛みがひどかったり、回復が遅れることもあります。

新型のレーザーには冷却機能や、可変波長、パルス間隔の変更などの機能が付加されており、旧型よりも治療効果が高く、副作用は抑えられています。ただし装置が高額のため、限られた病院でしか治療を受ける事ができないこと、治療費用が高額な事が解決されていない課題として存在します。

腫瘤型にはレーザーの効果が低いことは分かっていますが、苺状血管腫の後遺症が皮膚に残ってしまい苦しんでいる方が多く存在する現実から、血管腫がどちらに分化していくのかを待たずに「とりあえず」レーザーを照射するケースが多くあります。

早期のレーザー照射によって、血管腫が大きくなるのを防ぐ効果や、隆起を防ぐ効果があることも報告されていますが、明確なデータは存在しません。

外科的治療

他の疾患があってステロイドを投与できない場合や、レーザー照射が難しい位置に血管腫がある場合、レーザー照射に効果がなかった場合、レーザー照射で瘢痕を残してしまった場合などには外科的治療を行います。

最も痕が残らないのは自然治癒です。どんなに上手に形成しても傷跡は残ってしまいますので、外科手術は最終手段となります。

薬による治療

プロプラノール

プロプラノール(製品名:インデラルなど)の投与が苺状血管腫に効果を示すことが研究で明らかになってきました。海外では既に治療の第一選択となってきているようですので、日本でも保健適用されることが確実視されています。2015年9月に厚生労働省へ保健収載申請されています。早ければ2年程度で承認される可能性がありますが、(2016年6月現在)未承認のため自費診療となります。

プロプラノールは降圧剤(非選択的βブロッカー)で、高血圧・狭心症・不整脈などに適用があります。不整脈では小児適応も通っており、「0.5~2mg/kg/dayを低用量から開始し、1日3~4回に分けて経口投与する。効果が不十分な場合には4mg/kg/dayまで増量することができるが、1日投与量として90mgを超えないこと」となっています。成人投与では、「1回1錠(10mg)、1日3回から開始し、効果が不十分な場合には1日最大12錠(120mg)まで漸増する」となっています。

フランスを始めとする16ケ国で、プラセボ対照ランダム化比較試験が行われました。この試験において投与量や投与期間などを検討しましたが、3mg/kg/day量を6か月間継続投与することにより難治性の苺状血管腫の60%が完全に消失し、重大な副作用もないことが確認されました。

プロプラノールの既知の副作用として、低血糖、低血圧、徐脈、気管支痙攣などがあります。しかし、上記試験ではプラセボ群との有意差はなかったため、「苺状血管腫の治療において、3mg/kg/dayのレジメンはリスクと利益のバランスが良好である」と結論付けられました。

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まとめ

乳幼児の病気で、しかも目立つ「赤いイチゴ状のアザ」です。両親も心配されると思いますが、基本は無治療で経過観察となります。なぜなら、(上述のように)75%は7歳までに自然治癒するからです。自然治癒が最もきれいに治り、痕も残りにくいです。

レーザー照射は、世界的に見ると日本でだけ行われている特殊な治療方法のようです。治療効果が明確ではないのに、保健適用されている日本がおかしいという声も聞かれます。副作用が少ないのであれば試してみるのも悪くないと思いますが、思っているよりも色素脱失の発生頻度は高いようです。(ある報告によると、レーザー照射した患者の約30%で発生)

今後、治療の主流は副作用報告も少ないプロプラノールへと移行していくでしょう。効果が得られなかったり副作用があっても、速やかに投薬を中止することで対応可能です。もともとが認可されている薬でもありますので、医師が使いやすいこともあります。

民間療法やネットのデマなどに惑わされずに、信頼のできる医師に相談してください。

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