ホルモンバランスを整える方法を紹介!乱れる原因や症状を知って対処しよう!

生理不順(月経不順)や生理痛(月経痛)などの症状に悩む女性は、少なくありません。このような悩みを解決したいと婦人科の病院を訪れると、ホルモンバランスが乱れていることが症状の原因だと説明される場合が多いようです。

ホルモンバランスの乱れは、日常生活における様々なことが原因となって引き起こされます。しかしながら、逆から見れば、日常生活を見直すことで、乱れがちなホルモンバランスを整えることができるとも言えるでしょう。

そこで今回は、ホルモンバランスを整える方法について、ホルモンの基礎知識やホルモンバランスの乱れの原因などに遡って分かりやすく説明したいと思います。

ホルモンバランスとは?

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そもそも「ホルモンバランス」とは、どのような状態のことを言うのでしょうか?

ホルモンバランスを整えることについて理解するには、まずは前提となるホルモンの知識やホルモンバランスという概念を知る必要があります。

ホルモンとは?

ホルモンは、人の体内の特定器官で分泌され、血液などを通じて体内循環することにより、身体の様々な機能を正常に働かせ、その働きが常に同じであるように調節する生理活性物質のことです。

つまり、人が生命を維持するために、身体の外部環境や体内の状態が変化しても、それに応じて身体の働きを調整して正常な状態を維持させようとする物質がホルモンなのです。

ホルモンの種類

ホルモンが分泌される器官は主に脳の視床下部・甲状腺・膵臓・副腎・生殖腺などで、これらの器官から数多くの種類のホルモンが分泌されています。

例えば、成長ホルモンは脳の視床下部で分泌されて、細胞の成長や新陳代謝を促進する働きを持つホルモンです。また、副腎皮質ホルモンは腎臓の上部にある副腎で分泌されるホルモンで、抗炎症作用を有することから、同じ成分がステロイド剤に利用されています。さらに、女性の卵巣や男性の精巣などの生殖腺からは、それぞれ女性ホルモンや男性ホルモンなどが分泌され、女性器や男性器の発達や妊娠などに関与します。

ホルモンバランスとは?

このように一口にホルモンと言っても多くの種類があることから、ホルモンバランスの本来の意味は、女性ホルモンだけでなく様々な種類のホルモンが身体の諸機能を正常に保つために全体的に適切なバランスがとれた状態のことを意味します。

しかしながら、「ホルモンバランス」という言葉は、女性ホルモンのバランスがとれた状態という意味で使われることが一般的になっています。つまり、女性ホルモンにおけるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が、女性特有の身体の機能を正常に保つために適切なバランスがとれた状態のことを、「ホルモンバランス」と呼ぶのです。

ですから、本記事においても、ホルモンバランスは女性ホルモンのバランスがとれた状態という意味で用いたいと思います。

女性ホルモンとは?

女性ホルモンは、前述したようにエストロゲンとプロゲステロンの総称で、視床下部による指令の下で主に卵巣から分泌されます。

そして、女性ホルモンは、主に女性特有の乳房や子宮といった部位の発達を促したり、妊娠の準備をしたり、妊娠・出産などに関わる生理周期を正常に保つといった役割を果たしています。

エストロゲン

エストロゲンは卵胞ホルモンとも呼ばれ、主に乳房・子宮など女性特有の身体の発達を促します。また、卵巣内で卵胞を成長させ排卵を促すことで、女性が妊娠できるようにする役割も持っています。

プロゲステロン

プロゲステロンは黄体ホルモンとも呼ばれ、主に排卵後に受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚く変化させるなど女性の身体を妊娠準備態勢に移行させます。また、受精卵の着床後には妊娠を維持できるようにする役割も持っています。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れは、このようなエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンのホルモンバランスが正常でないことを言います。

そもそもエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンのバランスが正常に保たれることで、女性は妊娠・出産することができ、また生理周期も安定します。

しかしながら、エストロゲンとプロゲステロンの片方あるいは双方の分泌量に過不足が生じたりすることによってホルモンバランスが乱れると、生理周期が乱れるなど様々な影響が現れてしまうのです。

ホルモンバランスが乱れると?

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それでは、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンのバランスが乱れると、身体の諸機能にどのような悪影響が現れるのでしょうか?

そこで、女性ホルモンのホルモンバランスが乱れた場合に現れる悪影響について、ご紹介したいと思います。

生理不順(月経不順)

生理不順は、生理・月経が正常ではない状態・症状のことです。生理不順の態様は、生理周期の異常、経血の量の異常、生理日数の異常など多岐にわたります。

妊活中の女性、いわゆる妊活女性にとっては、生理不順は大敵です。

稀発月経

正常な生理(月経)周期は、個人差があるものの、概ね25~38日周期とされています。そして、この正常な生理周期より長い周期となってしまう状態を、稀発(きはつ)月経と呼びます。

稀発月経は、卵巣機能が低下することにより、エストロゲンとプロゲステロンが十分に分泌されず減少していることが原因と考えられています。

頻発月経

稀発月経とは逆に、正常な生理周期よりも短い周期となってしまう状態を、頻発月経と呼びます。

頻発月経では、プロゲステロン(黄体ホルモン)の不足で、排卵日から生理開始までの黄体期(高温期)の期間が短縮することで生理周期が短くなることが多いとされています。そして、プロゲステロンの分泌量が十分でないことから、子宮内膜が十分に厚くならずに妊娠しにくくなることがあります。

続発性無月経

妊娠中あるいは授乳中は、生理が止まる無月経となります。また、50歳を過ぎると卵巣機能が停止して閉経となることで生理が無くなります。このような理由が無いのにもかかわらず、3ヶ月以上も生理が訪れない場合は続発性無月経の可能性があります。

続発性無月経で生理が訪れない理由は排卵自体が生じないことにあり、女性ホルモンのうち特にエストロゲンの分泌量が十分でないと考えられます。

過多月経

過多月経は、経血の量が正常時に比べて増えたり、経血の中にレバーのような血液の塊が混じる状態のことを言います。過多月経は、ホルモンバランスが乱れた場合の他に、子宮筋腫や子宮がんなどが原因の場合もありますので注意が必要です。

過少月経

過少月経は、過多月経とは逆に経血の量が極端に少なくなった状態のことを言います。過少月経は、女性ホルモンの分泌量の減少の他に、子宮の発育不全などが原因の場合もあります。

過長月経

過長月経は、正常な生理日数が平均して3日~7日程度なのに対して、8日以上も生理が続く状態のことを言います。過長月経は、ホルモンバランスの乱れの他に、子宮やホルモン分泌に関連する視床下部・卵巣などに異常があることが原因の場合もあります。

過短月経

過短月経は、過長月経とは逆に、生理が2日以内で終了してしまう状態のことを言います。女性によっては、煩わしく感じる生理が短くて済むので羨ましいと感じるかもしれませんが、過少月経と同様に女性ホルモンの減少や子宮の発育不全などが原因の場合もあり、放置していると不妊の原因にもなりかねません。

生理痛・月経困難症

生理痛は、生理に伴って頭痛・腹痛・腰痛などの痛みが生じることです。痛みが現れる場所、痛みの程度、痛み方などは、個人差が非常に大きいことが知られています。

生理痛の原因はホルモンバランスの乱れだけではありませんが、生理痛が酷い場合にはホルモンバランスの乱れが最初に疑われます。

そして、生理痛が酷くて社会生活・日常生活が困難になるような場合は、月経困難症と呼ばれ治療対象となります。

不正出血

子宮内膜を厚く変化・維持するには、プロゲステロンが十分に分泌される必要があります。しかしながら、プロゲステロンの分泌量が減少すると子宮内膜の維持ができずに、子宮内膜の一部が剥がれ落ちてしまうことがあります。すると、生理でないにもかかわらず、出血が生じて不正出血となります。

不正出血は、子宮筋腫や子宮がんなどでも生じることがありますので、注意が必要です。

月経前症候群(PMS)

月経前症候群は、生理周期に伴う女性ホルモンのホルモンバランスの変化が原因となって現れる身体的症状や精神的症状のことです。例えば、生理前に眠気が生じたり、イライラするといった症状が現われます。

月経前症候群は、排卵後で生理日の10日~2週間程度前から症状が現われて、生理開始とともに症状が消失するのが特徴です。排卵後の女性の体内では、エストロゲンが減少しはじめ、プロゲステロンが多くなっているので、月経前症候群自体はホルモンバランスの変化がもたらす生理現象で病気ではありません。

ただし、ホルモンバランスが乱れると月経前症候群の各症状が重くなることがあり、社会生活・日常生活に支障がある場合は治療対象となります。

ホルモンバランスを乱す原因

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このように女性ホルモンのホルモンバランスが乱れると、女性の身体には様々な悪影響が現れてしまいます。

それでは、女性ホルモンのホルモンバランスは、なぜ乱れるのでしょうか?ホルモンバランスを乱す原因について、ご紹介したいと思います。

過剰なストレス

人はストレスを過剰に受けると自律神経が乱されてしまい、自律神経の支配する循環器や消化器などに不調が現れます。この自律神経の中枢は脳の視床下部にあるのですが、ホルモン分泌も視床下部にその中枢があるので、ストレスによって脳の視床下部の働きが乱れると、ホルモン分泌にも異常が現われてホルモンバランスが乱れる原因となります。

女性ホルモンは、脳の視床下部の指令が卵巣に伝わって卵巣より分泌されますが、ストレスで自律神経が乱れると、自律神経の司令塔である視床下部の働きが鈍り、正常なホルモン分泌ができなくなるのです。

乱れた生活習慣

乱れた生活習慣が続くと、ストレスの場合と同様に自律神経が乱されてしまいます。睡眠不足・運動不足・喫煙・過剰飲酒・偏った食生活・過度なダイエットなどは、自律神経を失調させる代表的な原因と考えられています。

したがって、このような自律神経を失調させるような生活習慣の乱れは、ホルモンバランスの乱れの原因にもなりうるのです。

血行不良

血行不良となり血流が滞ると、身体の各細胞に栄養や酸素が行き渡らず機能低下の原因となります。女性ホルモンを分泌する卵巣も例外ではなく、血行不良が続くと卵巣機能が低下してしまいます。結果として、卵巣から十分な女性ホルモンが分泌されずに、ホルモンバランスが乱れてしまいます。

ですから、血行不良を招く体温低下や身体の冷え、喫煙、自律神経の乱れなどは、ホルモンバランスの乱れの原因となるのです。

思春期と更年期

思春期の女性は未だ成長途上にありますので、女性ホルモンの分泌が不安定になりがちです。そのため、10歳代後半までは、ホルモンバランスが乱れてしまうことがあります。

一方で、40歳以上の女性は卵巣機能が加齢によって衰えてきますので、必然的に女性ホルモンの分泌量も減少し、ホルモンバランスに変化が見られます。このホルモンバランスの変化が更年期障害をもたらします。更年期の女性ホルモン減少は自然現象ですので、ホルモンバランスの乱れとまでは言えませんが、ホルモンバランスに変化をもたらす重要な要因の一つですから留意しておく必要があるでしょう。

卵巣の疾患

卵巣は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを分泌しますが、卵巣自体が何らかの病気・疾患になると、卵巣機能が正常に機能しなくなる場合もあります。

卵巣炎や卵巣腫瘍などの卵巣疾患が原因となって、ホルモンバランスの乱れが生じることもあるのです。

ホルモンバランスを整える方法

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それでは、乱れたホルモンバランスを改善するには、どうすればよいのでしょうか?

ここまで説明してきましたホルモンの基礎知識やホルモンバランスの乱れの原因などを踏まえて、ホルモンバランスを整える方法や乱れたホルモンバランスの改善方法について、ご紹介したいと思います。

自分のホルモンバランスの状態を知る

ホルモンバランスを整える最初の第一歩は、自分のホルモンバランスの状態を知ることです。そして、自分のホルモンバランスの状態を知るには、基礎体温を計測して自分の生理周期を認識し、日々のおりものの状態や生理の状態を観察して記録しておくと良いでしょう。

特に基礎体温は、生理直後から排卵日までの低温期と排卵日から生理直前までの高温期に分かれていればホルモンバランスは整っていると言えます。逆に、基礎体温のリズムが乱れている場合は、ホルモンバランスも乱れている徴候と言えるでしょう。

心身を休める

前述したように、ストレスは自律神経の乱れを通じてホルモンバランスにも大きな作用を及ぼします。

ですから、ホルモンバランスの乱れ対策としては、十分な休息をとることで心身ともにリラックスさせることが非常に重要となります。

生活習慣の改善

ホルモンバランスを整えるにあたり、大切なのは規則正しい生活を送ることです。乱れた生活をしている場合は、生活改善をする必要があります。

具体的には、質量ともに十分な睡眠をとり、有酸素運動など適度な運動をして、可能であれば喫煙や過剰飲酒は控えましょう。また、食事を抜くような過度なダイエットも控えましょう。

バランスの良い食生活

ファストフードや野菜不足で肉類中心の食事は避けて、バランスの良い食事をすることが生活改善につながり、ホルモンバランスを整えることにもつながります。

食事にあたっては、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンが含まれた豆腐や納豆などの食品を意識的に摂取すると良いでしょう。大豆製品は、良質なタンパク質も含みますので肉類を減らしても十分なタンパク質を確保することができます。

また、女性ホルモンの分泌に深い関係があるとされるビタミンB6をはじめとしたビタミンB群やビタミンEなどの栄養素を摂取することも必要です。さらに、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンD・ミネラルなどの栄養素も過不足なく摂取していく必要があるでしょう。

血行の改善

ホルモンバランスの乱れには血行不良も関わっていることから、血行の改善を図ることはホルモンバランスを整える効果が期待できます。

血管を収縮させるストレスや緊張を緩和するためにリラックスする一方で、血管収縮作用のある喫煙は避ける必要があるでしょう。また、運動をすることは血流を促すだけでなく、発熱作用のある筋肉を適度に増やすので、血行改善には最も適しています。さらに、東洋医学に基づくツボ押しも、血行改善策として有効とされています。

婦人科の受診

ホルモンバランスの乱れは、ここまで紹介したような自分でできる対策で改善を図ることができますが、中には卵巣疾患が原因となっていたり、自己改善では目に見える効果がない場合もあります。

そのような場合は、婦人科の病院を受診して専門家である先生に相談しましょう。ホルモンバランスを整える方法として、ホルモン剤などの薬を投与することも一つの方法と言えます。経口避妊薬として有名な低用量ピルはホルモン剤ですので、ホルモンバランスを整える働きもあることが認められています。

まとめ

いかがでしたか?ホルモンの基礎知識やホルモンバランスの乱れの原因などに遡ってから、ホルモンバランスを整える方法について説明してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?

生理不順や生理痛などの症状に悩む女性は少なくありませんが、その多くは日常生活に起因するホルモンバランスの乱れが原因であることが多いとされています。そして、生理不順や生理痛といった症状こそが、ホルモンバランスが乱れているサインでもあります。

ですから、生理不順や生理痛などの症状に悩んでいる方は、ぜひ日常生活を見直してホルモンバランスを整えるようにしてみてください。

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