皮膚がんとほくろの見分け方は?症状や大きさの違いを紹介!

年々強くなる紫外線、シミやそばかすのほか、ほくろも作ってしまいます。

ところが、ほくろと思っていたその黒ずみは、もしかしたら皮膚がんの前兆かもしれません。シミやほくろは生きていくうちに増えたり減ったりするものですが、体にあるすべてを把握している人は少ないでしょう。

しかし、皮膚がんの場合は体の部位で症状が現れやすい部分が決まっています。突然現れたほくろが皮膚がんかどうか、簡単な見分け方と予防を紹介します。

ほくろとはどのようなものか

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ほくろは、医学的には色素性母斑と呼ばれており、メラノサイトという良性の細胞の集まりです。この細胞はメラニンを含んでいます。

メラニンは、肌や髪、目などに存在し、紫外線からその機能を守る役割をもっています。ほくろはメラニンの含有率により褐色から黒色になります。

ほくろは生まれた時からあるものと、成長途中に発生するものがあります。ほくろのなかでも特に平坦に色が付いている場合はシミとよばれます。大きさは5mm以下のものが殆どです。

ほくろは成長と共に移動したり、増えたりします。これは体が大きくなるにつれて皮膚細胞が増殖したり、紫外線に当たった皮膚に色素沈着が起こるためなので、健康上の問題はありません。

皮膚がんとはどのようなものか

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がん細胞とは、無限に増殖を繰り返す悪性の細胞の総称です。がん細胞が皮膚に現れた場合、皮膚がんと呼ばれます。

皮膚の構造は大きく分けて3層です。一番外側の体表面を覆っているものを「表皮」といいます。その下の「真皮」には汗腺や毛根、皮脂腺が存在します。さらにその下の「皮下組織」には毛細血管が通り、肌や毛に栄養を届けています。

皮膚がんとは、この3つの組織のどこかに悪性の細胞が生じ、増殖を繰り返して皮膚の機能を損なう状態を言います。

皮膚がんには以下のような種類があります。

基底細胞がん

表皮は4層からなっています。その一番下の層を基底層と言いますが、その部分に発生したがんを基底細胞がんと言います。日本人の皮膚がんの約半分を占めています。

このがんは60歳以上の高齢者の頭皮や顔面によく発生します。紫外線によって皮膚の細胞が傷つけられるのが原因と考えられています。

初期症状はほくろによく似ており、数年かけて大きくなっていきます。成長の過程で中心部分が陥没し、出血を伴う場合もあります。

このがんは転移がまれであり、皮膚を切除する手術で完治する可能性の高いがんです。

有棘細胞がん

有棘細胞がんとは、表皮の中ほどにある有棘層という部分に発生するがんのことです。こちらも60歳以上の高齢者に発症しやすく、紫外線の影響が大きな原因とされています。

期症状としては皮膚が赤く歪に盛り上がり、次第にメラニン色素を有して黒くなり始めます。成長するとカリフラワーのようになり、外部からの刺激で崩れたり出血したりします。

有棘細胞がんは周りの皮膚に転移しやすいため、切除の際は広範囲を切り取る必要があります。

メラノーマ

皮膚がんの中でも特に悪性が強く、初期症状がほくろに似たものをメラノーマといいます。これはメラノサイトが悪性に転化した腫瘍です。メラノーマの細胞内にメラニンが含まれているため、増殖と共に黒くなる範囲が増えていきます。

メラノーマは、日本人の発症率は低いものの、進行が速く致死率が非常に高い皮膚がんです。日本人の皮膚がん患者の中で、死亡の原因の約半分はこのメラノーマで、足の裏に発症することが多いと言われています。多くは白人が多く紫外線の強いオーストラリアで発生する皮膚がんです。

メラノーマは、以下の4つのタイプにわけられています。

末端黒子型

末端黒子型のメラノーマは、足の裏や手のひら、手足の爪に発症します。通常、これらの部位にはほくろは出来づらいと言われているため、これらの部分にほくろや黒いあざのようなものがあれば、メラノーマを疑う必要があります。日本人に良く見られるタイプです。

特に足の裏のメラノーマは発見が遅れがちですので、普段から足を洗うときなどに注意しておきましょう。

表在拡散型

胸やお腹、背中などの体の中心に近いところや、手足の付け根に発生するメラノーマは、表在拡散型と言われ、色の白い人や白人に多く見られるがんです。悪化するとほくろに比べて明らかに黒色の範囲が広くなります。

結節型

結節型のメラノーマは、体の部位に関係なく発生します。黒い塊が結節のように皮膚に発生します。時間が経つにつれて塊は大きくなり、皮膚が盛り上がるため色の濃淡はありません。このがんは進行が速く、リンパ節に転移する可能性もあるため、早期の発見、治療が大切です。

悪性黒子型

悪性黒子型のメラノーマは高齢者の顔面に発生しやすいがんです。最初はしみのように見えますが、じわじわと広がり、経過が進むと中心に黒い塊ができはじめます。色の濃淡があり、端の方は滲むように薄い褐色になります。

詳しくは、メラノーマの初期症状は?種類を知って適切な対処を!を読んでおきましょう。

ほくろと皮膚がんの違い

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皮膚がんの初期症状はほくろと間違うことが多く、素人では判断が難しい事が多いですが、進行が進むにつれて特徴が出てきます。皮膚がんとほくろのちがいを紹介します。

ほくろの形が左右対称でない

ほくろやしみは、直線を引くと左右対称になる場所があります。皮膚がんの場合は、細胞が異常増殖するため、規則性が無く、形がいびつで左右対称ではありません。形が不規則な場合は皮膚がんの可能性を疑いましょう。

ほくろの周囲がぎざぎざしている

ほくろは基本的に円形や楕円形です。周囲が滲んだりぎざぎざと不規則な形をしたものは皮膚がんの可能性があります。

ほくろの濃淡が激しい

ほくろやしみは均一な色になります。濃淡が激しい場合は注意が必要です。濃淡が見えるほどとなれば大きさの面でも皮膚がんの可能性が高くなります。

大きさが6mmを超える

皮膚がんはほくろに比べて、黒くなる部分が大きいのが特徴です。特に、最初は小さかったものがだんだん範囲を広げている場合は細胞ががん化して増殖している可能性が高いので、病院に相談に行きましょう。急速に範囲が拡大している場合はメラノーマの可能性があり、早急に診断が必要です。

中心部が陥没している

皮膚がんと思われるほくろは、中心部分が陥没し、出血しやすい状態になっています。ほくろからの出血や膿があれば、皮膚がんを疑う必要があります。

皮膚がんを予防する方法

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日本人の皮膚がんは60代を過ぎる高齢者の発症が多く見られますが、肌へのダメージは生まれた瞬間から蓄積されていきます。将来皮膚がんにならないために有効な予防法を紹介します。

紫外線対策

皮膚に最もダメージを与えるものの一つが紫外線です。紫外線は太陽の光が強いと多く降り注ぐイメージがありますが、近年は曇りや雨の日も肌にダメージを与えるには十分の量が降り注いでいるといわれています。紫外線の多くなる季節は春先から秋にかけてですが、外に出る日は曇りや雨の日でも紫外線対策を行うことが重要です。

紫外線の対策に最も効果があるのは帽子をかぶる事です。高齢になると髪の量や色素が薄くなるので、頭皮は思っている以上に紫外線の脅威にさらされています。

また、日焼け止めは頭皮以外の、顔や腕に効果があります。特に、肌が白く日焼けすると赤く腫れるような方は外出の際に日焼け止めを塗る事をお勧めします。日焼け止めは肌に均一に馴染む様に塗ることが大切です。

その他、サングラスを嵌めたり長袖を着るなど、日光から肌を守る衣服を選びましょう。

あまり思いつかない紫外線の脅威に、ネイルがあります。ジェルネイルをされている女性は、ジェルの硬化のために手や指に集中して紫外線を浴びることがあります。サロンに行く前などに、指の周りに日焼け止めを塗るなど、対策をしておきましょう。

外部からの刺激の軽減

皮膚は強い刺激などでも傷つきます。足の裏にがんが発生するのは、歩く際に強い刺激を受けているからだと考えられます。靴下やスリッパを履くなど、刺激を軽減する対策が効果的です。

また、皮膚がかゆいからと言ってむやみに掻くのもいけません。皮膚を傷つけるだけでなく、爪から細菌が入り込み炎症を起こす可能性があります。

定期的な皮膚科の受診

肌のトラブルは皮膚がん以外にも数多くあります。普段から皮膚科に行く習慣をつけることで皮膚がんの早期発見につながりますし、健康的な肌を保つこともできます。行きつけの病院を作ることで、肌の異変を相談しやすくなるのもメリットです。

皮膚がんの治療について

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皮膚がんはがんの中でも比較的完治が容易です。皮膚がんは進行度によってステージ分けされますが、初期のステージでは生存率はほぼ100%です。手術も肉眼で可能なので、範囲が狭い場合は日帰りでの手術も可能です。ただし、他臓器やリンパに転移した場合は治療が格段に難しくなるため、早期の発見、治療が大切です。

皮膚がんの検査には、ダーモスコピー検査という手法が使われます。これは患部を10~30倍まで拡大してその部分の特徴をより正確に確認する方法で、ほくろかがんか疑わしい場合に大きな効果を発揮します。この検査で疑わしいがはっきりと断定できない場合は皮膚の生検を行います。

皮膚のみの手術であれば命にかかわるような危険はありませんが、傷跡が大きくなる場合は整形手術も併用します。切除の範囲が広い場合は、術後に痛みが残ったり、出血などの可能性もあるため、予後の経過観察を定期的に行う必要があります。また、感染症などの心配もあるため、処方された薬を適切に使用し、術後の後遺症を抑える必要があります。

まとめ

昨今の紫外線量の増加から、日本の皮膚がん患者は増加傾向にあります。しかし、早期に発見された皮膚がんの死亡率は非常に低く、治療費もほかのがんに比べて低価格で済みます。がんの範囲が狭ければ治療は一日で終わり、費用も保険を適用して2万円以内で収まります。

皮膚がんとほくろの見分けは素人には難しいため、気になるほくろやしみが現れた場合は早めに専門医の検査を受けましょう。

  
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