熱が下がらない病気って?原因を知って対処しよう!

風邪で熱が出てしまう事は良くありますが、子供の頃よりも大人になってからの方が発熱をつらく感じられるのではないでしょうか。

学校や仕事で忙しい中で熱が出てしまうと日常生活に支障が出るので、なんとかして早く下げようと思ってしまいますが、発熱は体の免疫反応なので、無理矢理下げない方が良い場合もあるようです。

とはいえ他の重い病気の可能性もあり、こちらの場合はできるだけ早めの医療機関受診が必須です。どのような場合にどんな病気が疑われるかについて、発熱が続く病気についてまとめました。

熱が出る仕組み

太陽

人間の体温は、化学反応が効率よく行えるように一定に保たれています。

体温とは

人の体の熱は、脳や肝臓、筋肉で発生し、血液にのって循環して体表まで伝わっています。体の中では代謝などの化学反応が絶えず起こっていますが、化学反応は基本的に温度が高い方が活発になるものです。

とはいってもあまり高すぎると酵素が壊れてしまいます。心臓の動きが阻害されるのが20度程度、酵素系の障害が起こるのが47度程度という事で、ちょうどいい所を取ったのが「平熱」となっているのです。

人は体温をキープするために栄養の多く(摂取量の7割ともいわれています)を使っており、寒くなったら震えを起こして体温を上げ、熱くなったら汗を出して体温を下げています。この体温調節の指令を出しているのは自律神経の中枢である視床下部です。

なぜ熱が出るか

人の平熱の平均値は、脇の下で測って36.9度程度です。体質によって平熱は異なりますが、赤ちゃんの場合は高めの傾向があります。これよりも熱が上がってしまっているのが「発熱している状態」です。

発熱の原因となる病気は、風邪のような身近な病気から重い病気まで様々ですが、ウイルスや細菌に体する防衛反応として熱がでるという仕組み自体は同じです。

まずウイルスや細菌が体内に侵入すると、白血球・マクロファージといった免疫活性細胞が迎え撃ち、これを取り込みます。ウイルスと戦っている間、免疫活性細胞は「サイトカイン」という物質を生成し、これが血液にのって脳に運ばれます。サイトカインは蛋白質の一種で、細胞の増殖や傷の治癒に関わっています。

しかし、サイトカインは脳に直接入り込む事はできないため戦いが起きている事を脳に知らせる事ができません。そこで、情報を伝える「メディエイタ」という物質を生み出します。メディエイタが脳に入り込んで情報を運ぶ事で、身体の熱を上げるようにという指令が脳から出され、体温が上がるのです。

やがて免疫機能が細菌やウイルスに打ち勝つと、白血球からの発熱物質の放出が止まり、脳は体温を下げてもよいと判断します。この指令によって皮膚の血管が拡張し、発汗する事で身体をさまして通常の体温に戻るようになります。

脳が発熱するよう指令を出すのは、身体が暖まる事によって病原菌の増殖が抑制され、白血球の機能が活発になるためで、その方が免疫機能に有利であるためです。しかし、発熱によって体力を消耗してしまう場合や、心臓に負担がかかる場合もあるので、あまり長引くのも良くありません。

熱が下がらない病気

子供病気

通常、風邪で発熱している場合であれば3日程度で熱が収まるのがほとんどで、診察の目安として「発熱の4日ルール(4日以上の熱では検査が必要とするルール)」というものがあります。

なかなか熱が下がらない場合、体が弱っていて免疫機能が正常に働いていない可能性があります。

インフルエンザ

冬に大流行する病気で、インフルエンザウイルスによる感染症です。とにかく感染力が高い事はおなじみかと思います。39~40度以上の高熱が突然出るという点が異なります。また、関節の痛みや呼吸器の症状が出る場合があります。

風邪との違いは、全身の症状が強く出る点で、全身がだるい、食欲がないなどの症状がある場合はインフルエンザが疑われます。

健康な人であればそのうちに治りますが、肺炎や脳炎が合併症としてあるため、油断は禁物です。

また、予防接種を行っていてもインフルエンザA型、B型、C型と種類があるので、流行中のインフルエンザ以外の型に感染する可能性もあります。また予防接種の効果の期間は2週間から5ヶ月と個人差があるため、必ずしも防げるわけではありません。

完治までの期間は1週間でこの間は感染の予防のために外出は最低限しか行なえません。熱が下がったとしても感染可能なウィルスが潜伏しているので解熱から2日間は安静にしておきましょう。

インフルエンザに関する詳しい情報は

インフルエンザで陰性の結果!でも症状は似ている!それはなぜ?

インフルエンザの休み期間はどのくらい?日数や、その際の給料について!

インフルエンザは夏の間でもかかる?症状や原因について!

こちらを御覧ください。

肺炎

肺胞が炎症を起こす病気です。症状が風邪に似ているので間違えやすいですが、呼吸に関する症状が出るのが特徴です。肺炎の症状には個人差が大きいため、すぐに治ってしまう人がいれば1ヶ月程度かかってしまう人もいます。

38度以上の高熱が続き、息が浅くなる、呼吸がしづらい、息切れなどの症状が起こります。これらの症状が3~4日続いたら要注意とされています。

その他にも肺炎の内20%程の患者に確認される病気にマイコプラズマ感染症があります。潜伏期間は2〜3週間ほどで、発熱の初期症状から始まり、咳や痰、頭痛、吐き気、倦怠感、咽頭痛などの症状が徐々に強く現れます。

症状の発症からすぐには、マイコプラズマ感染症とは確認されませんが4〜7日後ほどで検査により確認できます。自然治癒には3週間ほどの期間が必要になるので、流行している地域では感染に十分注意しましょう。

肺炎に関する詳しい情報は

マイコプラズマ肺炎について!症状や治療法を紹介!他の肺炎の種類は?

クラミジア肺炎とは?種類や症状、原因を知ろう!治療法や予防法は?

肺炎の症状が子供に現れると?予防方法を知っておこう!

肺炎の死亡率が高いのはなぜ?種類や症状を把握しておこう!

これらの記事を読んでみてください。

腎盂腎炎

腎臓が細菌感染して炎症が起こるものです。敗血症などの原因となる点が非常に恐ろしい点です。

突然の40度前後の高熱が起こり、尿の混濁や血尿、腰痛などがある場合に疑われます。

特に男性に比べて女性に発症が多く確認され30倍以上の確立で女性への発症が認められています。早期での発見による治療が行われれば3〜5日程度で症状は落ち着いていく病気です。放置し、症状の悪化が確認される場合は入院での治療を行う場合もあります。

主な初期症状は風邪に近いもので微熱、だるさ、食欲不振、吐き気などの症状があります。症状が進行した場合に最初に説明した症状が徐々に酷く現れます。

この症状で、発熱があれば腎盂腎炎ですが、発熱がない場合は膀胱炎と診断されます。

原因は腎臓への菌の侵入が主な原因となり、その感染経路は尿道を通って感染する場合、リンパ腺から感染する場合、他の器官での菌の感染が血管を通って腎臓に感染する場合があります。この中で特に多いのが尿道が狭くなることで、菌が逆流し腎臓に菌が侵入するケースです。

尿結石があったり、妊娠中の人によく確認されるため当てはまる人は注意が必要です。

EBウイルス感染症

ヘルペスウイルスの一種による感染症です。ほとんどが軽い風邪のような症状で、一度罹ったら免疫ができる病気なので、知らないうちに免疫が出来ている人がほとんどです。

38度以上の高熱が1~2週間続き、リンパの腫れが見られる事があります。重症化して肝臓や脾臓の腫れがある場合は医療機関での治療が必要ですが、基本的には水分補給を心がけ、安静にしていれば問題はありません。

キス病とも呼ばれる病気で伝染性単核球症とも言います。このウイルス性の病気はほとんどの場合が20代までの子供の期間に感染し、子供のうちに感染した場合は、ひどい症状が現れることは無く、軽い風邪のような症状で自然に完治します。その後は抗体ができるため、一度子供の頃に感染した人は二度感染しません。

殆どの感染は親から子へ感染が起こるケースがほとんどで90%は20代までの期間に感染しているケースが多いのが特徴です。しかし稀に20代を超えてこのウィルスへの抗体を持っていない場合、重度の症状を引き起こすこの病気にかかってしまう可能性があります。

大人になってから症状を発症した場合は、38度以上の発熱、嘔吐、口内炎、頭痛、喉の痛み、リンパの腫れ、肝臓や脾臓の異常、湿疹などの症状が長期間現れます。

風邪薬のような特効薬がないため、治療のほとんどは自己免疫を高めることでの自然治療になります。

EBウィルスの病気に関する詳しい記述は

キス病とは?症状と原因、治療する方法はなに?

伝染性単核球症とは?症状や原因となるウイルス、治療方法を紹介!再発を防ぐにはどうする?

を御覧ください。

亜急性壊死性リンパ節炎

原因不明の発熱と病原体がリンパ節の腫れを起こす病気で、異常免疫反応によるものではと想定されているもののはっきりとした原因が分かっていない病気です。

首のリンパ節、脇のリンパ節が腫れ、38度以上の高熱が1週間〜1ヶ月続く事があります。ほとんどの場合1~3ヶ月程度で自然治癒しますが、再発する事があるので注意が必要です。

悪性リンパ腫

リンパ球が異常増殖する病気です。無秩序に増えてしまうので、リンパ節を破壊してしまう重い病気です。38度以上で長引く発熱に加え、リンパ節が腫れたり体重の減少がある、大量の寝汗をかく場合は注意が必要です。

一般的にはいわゆるがんよりも治療の成績が良いと言われており、早めに治療する事が大切です。

うつ病

うつ病によって、心因性の発熱が起こる場合があります。心因性の発熱は、何か起こった時に球に発熱が起こるタイプと、慢性的なストレスにより発熱が起こるタイプに分かれます。

うつ病に先立って自律神経の乱れが起こる場合がありますが、この乱れにより体温調整が上手くいかなくなり発熱が起きてしまうのです。うつ病による発熱の場合は、37度〜程度の微熱が続く事が多く見られます。

ストレスの多い環境にある場合などで、他に原因が見当たらない場合はうつ病の可能性があります。

マラリア

蚊を媒介として感染する原虫(単細胞の微生物)感染症です。日本から出ない場合はほぼ心配する必要のない病気ですが、海外渡航により感染する事があります。脳に感染すると昏睡状態に陥る事のある恐ろしい病気です。

発熱のサイクルがあるのが特徴で、2~4日毎に4~5時間の発熱、頭痛などが起こります。

細菌性髄膜炎・無菌性髄膜炎

細菌性髄膜炎は細菌によって起こる髄膜炎です。乳幼児に多く起こる症状で、大腸菌やインフルエンザ菌などが原因で引き起こされます。大人がかかる場合と子供では原因となる菌が異なることが特徴です。

無菌性髄膜炎は髄膜炎の中でも菌が原因でない髄膜炎のことです。ウイルス性の髄膜炎がほぼ大半を占めていて、そのうちエンテロウイルスが特に原因となっているケースが80%以上を占めています。

このウイルスは手足口病や夏風邪の原因にもなるウイルスです。

無菌性の髄膜炎は細菌性の髄膜炎に比べて後遺症を引き起こすケースが少ない代わりに症状が重症化し易い傾向があります。

症状は主に夏風邪のような症状があり、発熱、嘔吐、発疹、頭痛、筋肉痛などの症状が現れます。人によっては自覚症状が少ない人も居ます。

治療期間は無菌性の場合で1〜2週間。細菌性の場合は2〜3週間となります。

髄膜炎に関する詳しい情報は

髄膜炎の後遺症について!大人と子供で違うの?

髄膜炎に大人がかかるとどんな症状?治療方法は?

こちらを御覧ください。

熱が出た場合の対処方法

寝る

熱が出てつらい場合、冷やせばよいのか温めたらよいのか分かりづらい場合があります。状況によって対応が異なるので、確認しておきましょう。

寒くなったら体を温める

寒いと感じた時が熱の出始めと言われています。脳が熱を上げる指令を出すと、毛細血管が熱を逃がさないようにするために縮みます。これを寒いと感じるのです。

このような場合は体を冷やさないようにして、着込んで暖かくしておく事が大切です。

高熱が出たら冷やす

前述とは逆になりますが、熱が高くなったら冷やしても構いません。脳は熱を上げるよう指令を出し続けますが、ちょうどいい所で止めてはくれないので、体力を消耗したり意識を失ってしまわないように、過度に熱が高くなるのを防ぐ役割があります。

目安としては「顔が赤くなっていて、手足が熱くなっている」程度まで熱があれば冷やした方がよいといえます。

体温が高くなっている状態という事は体の芯の方が熱くなっている状態なので、血液の通る所を冷やすのが効果的です。首の周り、そけい部、脇の下などリンパ節のあるあたりを冷やすようにしましょう。

原因となる病気の治療

最も安全な方法は、単純ですが病院で原因となっている病気を治す事です。

どこかが炎症を起こして発熱している場合、炎症が治まるまでは発熱が続いてしまうので、自然治癒を待つよりもきちんとした治療を受けた方がよいでしょう。

免疫力を高める

免疫機能として発熱しているので、早くウイルスに勝つ事ができれば熱は納まります。免疫力を回復させるため、安静にして睡眠をとり、消化のよいものを食べて休むようにしましょう。

  • ネギ:殺菌効果
  • はちみつ:殺菌効果があり、喉が痛い時はそちらにも効果がある
  • シナモン:抗菌効果

などがおすすめの食材です。

解熱剤は出来れば飲まない

解熱剤は18~19世紀頃に開発され、その当時は「熱はできるだけ速くさました方がよい」という考え方に基づいて使用されていました。

しかし近年では、むやみに解熱剤を使う事は良くないという考え方があります。解熱剤は、脳の「体温を上げるように」という指令を強制的に出さなくしてしまう働きを持っているため、免疫力の活性化が上手くできず、ウイルスや細菌に負けてしまう事があるのです。統計的にも、解熱剤を早く飲み過ぎて風邪が長引いてしまう事があるという結果がでています。

体力の消耗が激しい場合は、目安としては38.5度以上の熱があり、水分を採るのに支障がある場合や、眠れないといった症状がある場合は解熱剤を使っても問題はありませんが、解熱剤は病気そのものを治す薬ではないので、必要でなければ飲まないようにするというのが病気を早く治すためには効果的です。

まとめ

発熱自体は体の正常な反応なので、無理に下げる事が逆に良くない場合もありますが、長引く発熱は体力を消耗させてしまいます。

一般的に、3日以上発熱が続いた場合は風邪ではない可能性があり検査をすべきとされているので、4日になったら医療機関で診断を受けましょう。また、明らかに他の病気らしき症状が出ている場合は、なるべく早めに治療した方が良いので、3日をまたずに病院に行って下さい。病院に行く際は、いつごろから熱があるのか、他にどのような症状があるかを伝えるようにしましょう。

発熱は免疫機能に関連しているので、普段から免疫力を高めておく事が非常に重要です。規則正しい食生活や睡眠など、基本的な事で免疫力を高める事は可能なので、いざという時に備えて、普段から気を配っておいた方がよさそうです。

関連記事として、

インフルエンザで熱が出ない!原因や対処法を紹介!

高熱が起きる原因を紹介!下がらないの場合はどんな病気?

微熱が続く原因って?だるい時は病気の可能性も!

これらの記事も合わせてお読みください!

  
/* */
  
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする