キス病とは?症状と原因、治療する方法はなに?

「キス病」という名前だけで何だかいかがわしい印象がありますが、決してそうではありません。実はほんとんどの方が、何らかのきっかけで体内に持っているウイルスが原因のウイルス性感染症です。ほとんどが子供の頃に感染する感染力も高いのが特徴です。

先日、芸能界の有名人は発症して入院になるニュースがありましたが、彼も特に私生活が乱れて発症したわけではないのです。ちょっと気になる名前ですが、発症してから安静を保てないと重症化して大きな病気になります。

過労が引き金になって、なったら最後、徹底的に初期で治しきる必要があります。ここで、その必要性をご説明しましょう。

キス病の症状さまざま

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キス病という名前だから、という理由で唇に発疹が出たり、顔面に異常が出たりするわけではありません。症状は全身に及ぶものです。

名前からは想像できない様々な症状が現れます。正式名称は伝染性単核(球)症と言います。主にキスなどの唾液交換行為によって感染が行われるのでキス病という名前がついています。

風邪に似た初期症状

倦怠感が長く続くようになります。何かをして疲れた訳ではないので、発症初期と気づかず、安静にしようという考えにいたりません。しかし、この時期の対応が一番、重要になります。

キス病と知っている方も注意していただきたいのは、ここで問題なのが誰とキスをしたかということではないということです。

潜伏期間は30~50日と長いのですが、ほとんどの方は潜在的にウイルス抗体を持っています。過労で免疫力が低下しても出てきますので、あまりに疲労が続くようなら受診をお勧めします。この倦怠感、疲労感そのものは2~3ヵ月続き、どうもすっきりした感じがしません。

1週間後に発熱症状が出ます。38度を超える高熱ですから、この時点で受診される方が多いと思います。受診科は内科と耳鼻咽喉科に行ってください。

何故、耳鼻咽喉科を含むかというと、発熱とほぼ同時に頸部リンパ節の腫れと咽頭炎を発症するからです。この熱は1~2週間も続き、時に発疹を伴って明らかに症状が全身に及んだことを知らせます。

検査を詳しくしない場合、風邪や咽頭炎と診断されて3週間くらいで自然治癒するケースがほとんどです。自分が、実はキス病だと知らずに治るケースも多いということです。ただ、この自然治癒力は、あくまでも安静を守った場合になります。もし、無理をしてこじれた場合はどうなるのかご説明しましょう。

症状まとめ

現れる可能性のあるキス病の症状を紹介します。

  • 疲労感・倦怠感
  • 口内炎など口内ヘルペス
  • 発熱(38度以上)
  • 咽頭炎
  • リンパ節の腫れ
  • 扁桃炎
  • 発疹
  • 肝臓の腫れ

これら全ての症状が現れるわけではありませんが、この様な症状が現れるケースが多いです。この症状が風邪であれば1週間以内に治るものが、1週間以上続く場合にキス病の可能性が考えられます。

20代を超えてキス病にかかる場合は特にこの症状が強く長期間続くので覚えておきましょう。誰もが原因となる菌を持っている可能性があるので感染者の確認は難しいケースが多いでしょう。

肝臓・脾臓が腫れてくる

初期症状で安静を保てなかったり、無理をしてしまったり、あるいはウイルスが猛威をふるって体内で大暴れすると次のレベルに上がってしまいます。

肝臓と脾臓が腫れてくるのです。急性肝炎も併発して、ますます体力が低下していきます。疲労感に加えて、長引く高熱と咽頭炎で食べることが困難になり、水分補給もままなりません。

ここまで来ると、さすがに業務の継続は難しいと思われますが、それでも休めない方はいっそ入院してしまうのも良策かもしれません。後にあらためて詳しくご説明しますが、ここで安静が得られないようでしたら結局、遅かれ早かれ入院になるでしょう。

腫れ方も大きいものになります。腹部、特に肝臓や脾臓あたりに衝撃があると破裂すると言われています。衣類や脂肪、筋肉で守られているにも関わらず臓器破裂なんて恐ろしい限りです。

更に重症化すると

上記に症状が半年以上続くと、重症と判断されます。こんな症状が半年も続くことは相当な苦痛で、ただでさえ低下した免疫力なのに、更に低下することで症状の慢性化は続きます。

具体的には、高熱の長期化・全身状態が著しく不良状態に陥る・血球が減少して、血球貧食症候群の合併もきたす、これを「重症化」と鑑別します。

この状況が数か月続いて予後が悪い場合、「慢性活動性EBウイルス感染症」という別の病名が付きます。将来的に多臓器不全、悪性リンパ腫などに移行し、致死率は高くなります。

肝臓や脾臓が腫れた時点で、十分に重症だと思いますが、実はまだまだ奥の深い病気だということに他なりません。キス病がキス病で終わればいいのですが、稀にとはいえ悪化して別の病気に進行する可能性があるということを念頭に入れておけば、初期対応を適切に取れるでしょう。

キス病の特徴

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実は成人の90%が何らかの形で、キス病の原因となるものを保有しています。ただ、抗体を持っていて発症しにくいだけで、原因となる条件がそろえば発症しないわけではありません。

EBウイルスが原因

キス病は別名、伝染性単核球症ともいいます。ウイルスで伝染していく病気の一種です。何も性的な行為による感染ばかりではないのですが、ディープキスでの感染もあるのでSTO(性感染症・性病)に分類されます。

主に唾液を介した経口感染を原因とするので、箸やスプーンの共有、口移し、回し飲みでも感染はありえます。

このウイルスの名前を、エプスタイン・バール ウイルスといいます。俗にEBウイルスと呼ばれ、ヘルペスウイルスの仲間です。

EBウイルスが成人の90%が保有していると先に書きましたが、5歳になるまでに約70%が感染していると言われています。離乳食のしつけ時などにスプーンを共有したりして、唾液感染している場合が多いのです。主に食事など、大人と生活を共にすることで多くの幼児はEBウイルスに感染しています。しかし、この幼少期の初感染では抗体ができてしまって、発症せずに終わるケースがほとんどといって過言ではありません。

また、幼児が体力を大きく失った時にEBウイルスが暴れて発症しても、ただの風邪と見分けがつかないくらいに軽く済みます。自然治癒力で治ってしまいます。血液検査をすればEBウイルスと証明できる幼児に風邪も多いかもしれません。

幼児期が初感染であれば、生涯安全かと言えばそうでもありません。幼児期を過ぎて成人になってから、過労や免疫力が低下した時に発症してしまうこともあります。発症率は高くありませんが、成人になってから発症した場合は充分に注意してください。

幼少期に抗体を持った場合は、まだ安心ですが思春期を過ぎてから初感染してしまうと話は別になります。約50%が発症し、重症化する可能性も高くなります。幼児が生活の過程で感染したケースと異なり、感染源が恋人だったりすることが圧倒的に増えるので性感染病と言われるのです。

唾液感染が主な原因ではありますが、ごく稀に輸血による血液感染も認められています。輸血後の体調は経過観察が必要です。

予防不能

これは大きな特徴と言えるのではないでしょうか。感染を予防する有効な方法が、これと言ってないのです。幼児が成人の中で食事する限り、不用意な食器の共有はありえます。思春期以降、成人して死に至るまで性的な関わりを持たないというのであれば、感染はしないかもしれませんが人類は滅亡します。

それは不可能な選択というもので、これはもう、なるべくしてなる感染と言っていいでしょう。むしろ、幼少時に初感染しておいて、成人になって過労症だけでなく高熱その他のキス病症状が出たら安静にするのがベストです。

血液検査で診断することはできます。リンパ球が増加して、約90%に肝炎を示す数値が出るのが特徴です。成人後、疑わしい兆候が出た場合は積極的に安静に努めましょう。早期発見、早期対応、これが被害を最小にする唯一の方法です。

感染予防はできませんが、発症のリスクを減らすことはできます。そして重要なのは悪化を食い止めることです。この事実を知れば、侮って悪化することはありません。

感染経路

EBウィルスというを持った感染者を介して感染が広がっていきます。感染者の唾液の中に含まれているEBウィルスがキスやストローや回し飲みなどの行為でも感染していきます。

この感染者の15%〜20%の人がウィルスだけを持っていて症状を発症していない無自覚での感染者になるので知らない間に感染が広がります。

基本的にはディープキスくらいの濃厚な唾液の交換を行わなければEBウィルスが感染することがありません。若い世代の感染が多いことと、母親から幼児への感染が多く見られる傾向があります。

先程も言いましたが、子供の頃に感染した場合は症状が比較的軽いことが多いです。子供がキス病にかかっても風邪に近い症状で自然に2.3日で完治したりで、その後は抗体が出来てその後は感染することがありません。稀に抗体が薄まってきたり抵抗力が弱まっている場合に感染する可能性がある程度です。

しかし、思春期を向かえて以降にキス病に感染する場合は症状が悪化するケースが多くあります。特に大人になってからの感染は入院が必要なほど症状がひどく現れることがあります。

日本では、ほとんどが3歳になるまでの間に感染が確認され、およそ90%が20代までに既に感染しているとされています。稀に感染していない人が大人になってから感染し、重症化しているケースがあります。

キス病の治療方法

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予防できないだけならまだしも、治療法もこれといってありません。その時その時、その人その人に合わせて症状を抑えるだけという、対症療法がメインになります。

安静第一

思春期以降の初感染で発症すると悪化しやすいことは、既にご説明したとおりです。それは抗体にでき具合だけでなく、仕事や学業などで安静にできないというのも大きな原因です。寝ていればいい幼児とは、生活が全く違うので当然といえば当然ですが、発症初期に安静にする以外に方法がないのですから仕方ありません。

特に有効な治療薬がないのです。抗菌薬そのものが伝染性単核球症そのものに効かないからです。薬によっては逆効果なものも多いので、薬の服用に関しては市販薬についても医師、薬剤師に相談してみてください。

自然治癒力で治るのが基本の病気ですので、免疫力を高める工夫が有効です。本来なら血行を良くしたいところですが、高熱なので冷やすことが先決になります。食事で栄養をつけることも咽頭炎が邪魔してできません。免疫力を高める工夫がことごとく不可能な条件で、唯一できる対策は「安静にすること」なのです。

点滴が有効

あくまでも自主的に安静を保つことができれば、ですが、もう一つ有効な方法があります。咽頭炎と高熱が数週間、続くので飲食が困難になります。安静だけでは体力を維持できません、といって栄養も水分も補う必要があります。

栄養と水分を補給する方法として、点滴が最も現実的です。もちろん、口に水分を入れることは粘膜にとって大切なことではありますが、喉にしみても痛いのでうがいだけで構いません。体内に水分や栄養を送り込むのに口を使わなければ、本当に楽です。

できれば通院でなく拗れる前に数日でも入院して点滴治療を受けられれば、悪化して重篤に至ることは避けられます。

この点滴という方法があるからといって、通院で点滴しながら仕事を続けるというのは避けてください。あくまでも安静が第一、点滴は第二の良策です。

治療期間

症状が現れてから完治するまでの期間は、成人になってから感染した場合は2ヶ月〜3ヶ月近く倦怠感が続く場合もあります。もっとながければ6ヶ月もの長期間症状が治らない場合もあります。

発熱の症状は1週間ほどで回復するケースが多いでしょう。その後の倦怠感や喉の痛みなどの症状は長期間続くことが多いでしょう。

症状の初期では病院にかかっても風邪と診断されることが多く、症状が長期間になってきた時にキス病などの他の病気の可能性が危惧されます。

特に日本での伝染性単核球症の発症者の数が圧倒的に少ないため、この病気の検査が行われないこともすぐには発見されない原因です。しかし、早期に発見されても特効薬のような薬はないので、安静にするしか治療法が無いのが現状です。

肝機能に症状が現れているの場合はその症状が回復するまでは入院しなければならなくなります。2週間から1ヶ月程の期間の入院での治療が必要になるでしょう。

20代を越えてのキス病の治療の目安の期間は1ヶ月〜2ヶ月と考えておきましょう。

何科を受診すればいい?

キス病の感染が疑われた場合は内科か耳鼻咽喉科を受診しましょう。基本的には初期症状は風邪のような症状なので、内科を受診することが多いと思います。

普段から利用している掛かり付けの内科などを受診すれば問題ないでしょう。内科での治療で、症状がなかなか治らないときや、症状が悪化してきた場合はキス病の検査を行い治療を受けましょう。

もし、自己治療を1週間以上行っていて風邪の症状が治まらないときや、口内炎が出来てきたり体の怠さが増してきたり、自覚することは難しいですが肝臓障害の症状などが現れだしたら大きな病院での検査を受けて見ましょう。

恐らくは、行きつけの病院からの紹介状を書いて貰える場合がほとんどだと思います。病気の原因であるウィルスが自然に死滅するまでは症状が続くので、病気が判明したら安静にして治療を行いましょう。

まとめ

この病気は性感染症という分類のために、病名を明らかにして短期間でも安静を願うことが困難です。伝染性単核球症という名前にしても、伝染性、ということで奇異な眼にさらされてしまいます。

成人後、周囲の理解を得ないと安静に休める環境などありません。その第一関門で「キス病」「伝染性単核球症」という名前も「性感染症」という分類も、安静の協力を得るための大きな障害になるのです。安静しかない、予防法も治療法もないのに、安静の環境を整えるための説明じたいが大きな壁になるのは、本当に皮肉なものです。

しかし、何が原因であれ発症したからには軽く考えてはいけません。社会的な中傷を恐れて隠しているうちに重症化しなくていいように、あらゆる理由をつけて休むことを第一にしてください。

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