熱があればインフルエンザが疑われるので通勤、通学をせずに済みますが、熱がでないときは「風邪程度なら風邪薬を飲んで出勤しよう・・・」と思ってそのまま外に出てしまうこともありますよね。しかしインフルエンザにかかっても高熱がでない場合があります。
熱がでるのはインフルエンザを治すために働く身体の防衛活動です。インフルエンザなのにずっと解熱剤を飲み続けて仕事をする、という状態だとしたら安静にしていないうえ免疫力も下げてしまっている状態です。この場合は非常に危険で、髄膜炎、脳炎を起こす危険があります。
また発熱しないことで有名なインフルエンザB型の可能性があります。実は熱の出ないインフルエンザの種類は意外に多く、その半数が発熱を伴わない種類だといわれています。
症状を確認し、あやしいと思ったら出勤や通学を控えましょう。また親御さんや教員や事業主の皆さんも「熱がなくてもインフルエンザの可能性がある」ということを理解し、園児、児童、生徒や社員をムリに出席、出社させないように注意が必要です。
インフルエンザでも熱がでない状況があることを確認しましょう。
熱がでないインフルエンザB・C型に感染している場合
2月から春先に流行するインフルエンザB型が流行します。A型より症状が早く収まってしまうので「治った」と思って菌をばらまいてしまう恐れもあります。
治ったと思ってもすぐぶり返したり、風邪と違って全身に筋肉痛や倦怠感を感じる場合はインフルエンザを疑いましょう。
それではB型の詳しい症状を確認してみましょう。
インフルエンザB型の症状
- 熱がでなかったり微熱が続く
- 気管支が炎症を起こし、咳と痰がでて喉が痛み、喘息を起こす
- 扁桃腺(口内)が腫れる
- 肺炎を起こす
- くしゃみが出る
- 胃腸の調子が崩れ、胃の痛み、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、血便、食欲不振などを起こす
- 頭痛を起こす
- 力が入らずふらふらとめまいがする
- 鼻水がでる、鼻が詰まる
- 中耳炎など耳の痛みを起こす
- 目が充血して痛み、目やにがでる
- 筋肉痛、倦怠感をおこす
- 腰や背中、胸が痛む
- 寒気がする
- 体が震える
症状はA型より軽く、吐き気が強いことが多いようです。素人には風邪と見分けがつかないのが正直なところです。
しかし鼻や喉だけに症状がでる風邪と異なり、倦怠感や筋肉痛、頭痛など全身に症状がでる、という特徴があります。
また周囲の人にインフルエンザウイルスに感染した人がいたら高確率でインフルエンザがうつったと思ったほうが良いです。風邪に感じられるような弱い症状でも2、3週間たっても治らなかったりぶり返したりする場合はインフルエンザかも知れません。
一般にインフルエンザの流行期間は、11~4月で中でもB型インフルエンザの流行時期は2月~4,5月といわれています。この時期に風邪のような症状がでたらインフルエンザを疑ってもいいかも知れません。
インフルエンザC型の症状を確認
鼻水が大量にでるぐらいで、症状が小さく自然治癒することが多いインフルエンザです。大人はあまりかかることが少ない病気ですし、A型、B型に比べ症状がとても弱いので無視されがちです。
季節にかかわらず5歳以下の幼児にかかりやすい病気ですが、子どものころにかかっていない場合は成人にも発症します。
インフルエンザになってしまったら?
48時間以内なら抗インフルエンザ薬、オセルタミビルリン酸塩(タミフルのこと)ザナミビル水和物(リレンザのこと)ペラミビル水和物(ラピアクタのこと)ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(イナビルのこと)アマンタジン塩酸塩(シンメトレルのこと)などが有効です。
48時間以上たった場合は自然治癒するまで安静にします。48時間たった後も気管支炎や喘息や胃痛、下痢、便秘の症状を緩和する薬は処方してくれるはずです。
会社や役所や学校を公欠する場合は診断書が必要になるところもあります。診断書をもらうついでにマスクをつけて病院へ行きましょう。
インフルエンザの検査は簡単で鼻に綿棒を入れてウイルスの反応があるかどうかを調べ、15分程度で結果がでます。早い段階で検査すると反応がない場合もありますが症状が疑わしければ薬ももらえます。
水分が不足しがちなのでよく水分補給しましょう。またビタミンを摂取することで免疫力が上がります。食欲がない場合が多いと思いますが、食べやすい果物などを意識して摂取するのもよいでしょう。
インフルエンザの予防
非常に感染力が強いことで有名です。ウイルスのついたものを口にする以外に空気感染もします。対策としては、手洗い、うがい、インフルエンザ対策付きのマスク着用、など一般的な予防法のほかには、身に着けて空間を除菌ができるウイルスブロッカーなどが販売されています。
ウイルスはアルコールによって無毒化します。ウイルスは細胞を侵すためのとげを持っていますが、アルコールに触れるととげが落ちて細胞を侵す能力をなくします。
よく病院や飲食店に手にアルコール消毒薬がおいてあるのはこのためです。
またインフルエンザは暖気と湿気に弱いので加湿器を使うこともおすすめです。冬場寒い季節に発症が多いインフルエンザですが、暖房を使うと部屋が乾燥しがちなので湿度にも気を付けましょう。
温度は20℃~25℃ぐらい、湿度は60%以上がインフルエンザの活動が弱まる環境です。
自分がインフルエンザになった場合は家族がいる場合は家でもマスクをつけ、くしゃみをするときは手で受け止めるのではなく、ハンカチか、手に比べれば公共のものに触れることが少ない腕で防御するとよいです。手で受け止めた場合は、何かを触る前にアルコールが含まれたティッシュでふき取るか、手を洗いましょう。
くしゃみを手ではなく腕で抑えることは日本では一般的ではないですが、「手で防ぐとそのあと手を洗わずに何かを触るので、腕にくしゃみをしたほうがまだマシ」とのことでアメリカでは推奨されているようです。
それ以外の可能性
インフルエンザB型などもともと熱がでない病気の場合以外では、解熱剤の入っている総合風邪薬を飲んでいて気が付かないケース、加齢で発熱自体ができないケース、予防接種をしていて熱がでないケースが考えられます。
発熱はウイルスに対抗するための防衛機能なので、熱が上がらない場合は危険な状態になることがあります。
風邪薬に解熱剤が入っている場合
風邪かな?と思って風邪薬を飲んだ時に解熱剤が入っていると熱が下がってしまいます。
インフルエンザに侵されたときに熱がでるのはウイルスに対抗するための活動です。そのためインフルエンザの時に解熱剤を飲んでしまうと体の免疫活動に不利に働き、身体が異様にだるくなります。
「風邪薬を飲んだら鼻水ものどの痛みも消えたけど、なんかだるさが消えないな~むしろ悪化した」という場合は風邪ではなくインフルエンザかも知れません。それが2~3週間にわたって継続した場合、インフルエンザを疑いましょう。
発熱により、インフルエンザから体を守るための白血球の増加を促しています。白血球がでないといつまでもインフルエンザが抑制されず、悪化してしまいます。
自己免疫を下げてしまうと、神経を保護する髄膜や脳まで炎症を起こすことがあります。髄膜炎、脳炎を起こすと、頭痛と吐き気に襲われ、痙攣したり意識を失い、神経性の後遺症(運動障害、知覚障害、言語障害など)を残すリスクを負います
インフルエンザなのにずっと解熱剤を飲み続けて仕事をする、というケースもあると思いますが、安静にしていないうえ免疫力も下げてしまうので、この場合は非常に危険です。
インフルエンザは薬がなくても治る?
48時間以内に抗インフルエンザ剤を飲まなかった場合は医者でも患者を自然治癒させます。抗インフルエンザ薬が登場したのがこの数年のことで、ちょっと前までは「インフルエンザを治す薬はない。症状を緩和させるだけだ。」といわれ、自然治癒でインフルエンザを治していましたので、免疫力のある健康な若い人なら安静にすれば殆ど治ります。
(とはいえ子どもが40℃以上の高熱をだす場合白血病のリスクもでるので医師が解熱剤を処方する場合もあります。解熱剤が常に悪い!というわけではないので注意が必要です。なお、。)
症状はつらいですが、どの痛みを楽にするうがい薬、気管支の炎症や腫れで気道がふさがってしまうことを抑える薬(吸入)、胃腸の炎症を和らげる胃腸の粘膜を保護するような胃腸薬、身体を温めるような漢方薬やビタミン剤などを飲んで、
医師の判断なしに解熱剤の含まれた風邪薬を飲むことは避けましょう。
加齢で発熱できない
歳をとると発熱を起こす力が弱まってしまいます。
お年寄りがインフルエンザにかかると熱が出せず、インフルエンザに対抗できなくなってしまいます。非常に危険な状態で、最悪の場合なくなってしまうこともあります。
インフルエンザを自然治癒で治せないまま放置すると髄膜炎や脳炎を引き起こし、麻痺や認知症の原因となり要介護、あるいは死亡する場合もあります。
肝炎でも熱がでずに病気が見つからなかった例があります。お年寄りの場合は熱がでなくても不調があれば病院にいきましょう。
予防接種(ワクチン)をしている場合
インフルエンザは内部の遺伝子が変化しやすいので、予防接種をしていても遺伝子が違うインフルエンザにかかることがあります。A型、B型、C型の区分は有名ですが、A型とB型は変異が激しいのでワクチンが効かないこともあります。
この場合なぜか熱が出にくいという症状が起こります。免疫がよく働いて発熱の必要がないという場合はよいのですが、しかし症状が軽くてもウイルスを振りまく危険もあるのでやはり診断を受けることをおすすめします。
まとめ
インフルエンザでも熱がでない場合はB・C型インフルエンザにかかっている場合があります。
インフルエンザと風邪との見分け方は、
- 秋~冬から春にかけての季節に発症したか
- 全身倦怠感、筋肉痛、頭痛があるか
- 近くに感染の疑いがある人がいたか
という見分け方が可能です。
ほかには症状の重いA型でも、
- 解熱剤を飲んでいる
- 加齢によって発熱できない
- 予防接種を打っている
という場合は発熱しないことがあります。
解熱剤を飲んだ場合、加齢によって発熱できない場合は、インフルエンザにかかっているのに免疫力が下がっているという非常に危険な状態です。脳神経が侵される危険があります。
インフルエンザにかかった場合は周りに感染させてしまわないように飛沫に配慮しましょう。
また予防ができればそれが一番です。手洗いうがい、自己免疫を下げないような健康的な食生活、部屋を暖かく保ち、乾燥を防ぐことです。
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