血小板が少ないのは病気?症状や対処方法について

血小板が少ないと、血が止まりにくくなって、日常生活に支障をきたす様々な症状があらわれます。血小板は人の身体になくてはならないものですが、多すぎても少なすぎても体調に悪影響があります。

血小板には血液凝固因子が含まれていて、この因子が出血してしまった際に血液を固める働きを担っています。なので正常な数値に血小板を保つことが重要になります。

具体的に血小板が少なくなっている状態を把握するためには血液検査を行う必要がありますが、症状などからも血小板が少なくなっている状態を知ることは出来るのでしょうか?

血小板が少なくなってしまう原因や症状、関連する病気や日常生活での注意点などを見ていきましょう。また血小板を正常な数値に戻すために有効な対策方法についても合わせて紹介していきたいと思います。

最後までご覧になって是非参考にしてみてください。

血小板とは

血液 赤血球

まずは血小板についての基本的な情報について紹介していきたいと思います。

血小板の発生している場所やその基準値について知っていきましょう。また血小板の働きについても紹介していきます。

血小板について

血小板(けっしょうばん)は血液に含まれる細胞のひとつで、赤血球、白血球などと一緒に血液を構成しています。大きさは約2μmで、骨髄で作られ、8~12日ほどで寿命を迎えます。血を固める役割を担い、出血したときは血小板が集まってきて血栓を作り、血管が切れたところを塞ぎます。

それで血が止まらない大きな傷には、皮膚の表面にかさぶたを作って止血します。血管の内側の細胞(血管内皮細胞)を正常に保つための物質を持っていて、血管を元通りに修復するまでが大きな仕事です。また、炎症や免疫の反応、感染を防御するなどの身体の機能を支えています。がん細胞を活性・増殖させたり、転移に関わるという指摘もあります。

血小板の働きは主に、血液の凝固、血栓の形成、損傷してしまった血管の収縮の3つの働きを担っています。

血小板数の基準値

血小板の数は、血液1μlあたり15万~35万個がおおよその基準値です。8万~10万個まで減少すると血小板減少症といわれ、血が止まりにくくなって、軽い打撲でも出血斑(あざ)ができます。5万個以下になると皮下出血が始まり、自然と鼻血が出たり、ぶつけていなくてもあざのような斑点が現れます。

3万個以下になると消化管から出血して血便や血尿などが見られます。2~1万個を下回ると傷がないのに皮膚から血がにじんたり、脳内出血の可能性もでてくる危険な状態です。反対に、40万個以上になると血小板増加症といって、血がドロドロになって血流が悪くなり、のぼせやめまい、高血圧などが心配されます。

もし鼻血などが急に出てしまう事や止まりにくい場合は血小板が減少している事も関係しているかもしれません。鼻の粘膜が弱ることでも鼻血が出ることはあるので一概にこの症状だけで判断することは出来ませんが、打撲やあざが出来やすい症状も抱えている人は特に注意しましょう。

血小板が少ない原因

白血球 少ない

血小板が少なくなる原因は主に2つあります。骨髄で血小板が十分に作られないことと、血小板が破壊されすぎて減少してしまうことです。先天的に血小板が少ないことや、血液以外の場所(脾臓や骨髄など)に血小板を貯めこんでしまう血小板分布の異常などもあります。

血小板の産生が減少する病気

骨髄が血小板を十分に作れなくなる病気があります。血小板だけが作れなくなる先天性の血小板減少症と、赤血球や白血球など血液そのものが作れなくなる症状があります。

その他再生不良性貧血などの病気も関係してくることもあります。

リンパも造血機能を担ってる重要な器官ですのでこの器官に病気が発生した場合も問題になります。悪性の貧血や白血病、悪性リンパ腫など「血液のがん」といわれるものです。2010年の白血病による死亡者数は約8,000人、悪性リンパ腫で約10,000人です。

血小板の破壊や消費による病気

免疫の異常などによって、血小板が破壊されたり、消費が活発になることがあります。

・血小板が破壊される病気

血小板に対して抗体ができてしまう自己免疫疾患のひとつで、血小板が作られるよりも、破壊されるペースのほうが早いので、どんどん減少してしまいます。不足分を補うためにも増産されますが、それでも間に合いません。

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、全身性エリテマトーデス(SLE)などがあります。

・血小板を大量に消費する病気

たくさんの血小板を消費して、全身の血管に血栓を作ってしまう病気です。血栓を作るには大量の血小板を必要とするので、そのために急速に血小板が減少してしまいます。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、播種性血管内凝固症候群(DIC)などがあります。

血小板分布の異常

脾臓はもともと血小板を貯めていますが、機能が活発になると、血小板をさらに必要として、血液中から奪っていきます。

脾臓の機能が活発になる原因は、肝硬変や慢性骨髄性白血病、ゴーシェ病などがあります。

生まれつきの問題

先天性の病気で、産まれ持って血小板が少ない状態になってしまう病気にかかっている場合も考えられます。具体的な原因などを判明させることは難しく、詳しい検査が必要です。

脳や内臓、動脈などの重要な器官に問題を引き起こしやすい先天性の病気に血栓性血小板減少性紫斑病や再生不良貧血や先天性無巨核球性血小板減少症などの病気があります。

血小板の数が3万以下の数値で少なくなっている状態では、体のあらゆる場所での出血による紫斑などが確認され、死亡率は通常の人の4倍以上に膨らんでしまいます。

治癒もしづらく、発熱や腎臓障害などを発生させやすく、治療も困難なので慢性的に症状が継続してしまう事が予測されます。長く病気と付き合っていくために、しっかりと注意点などを知って対策しながら経過を観察することが重要です。

ピロリ菌感染によるもの

特発性血小板減少性紫斑病などの病気にかかってしまっている患者の多くにピロリ菌感染の兆候が見られています。ピロリ菌の影響による胃粘膜での出血などの症状による血小板が少なくなってしまっている状態があることが関連として考えられます。

逆に特発性血小板減少性紫斑病の患者がピロリ菌に感染している場合は原因がはっきりしているので逆に治療が行いやすい事もあります。

その他

大量の輸血が、血小板の濃度を薄める場合があります。また出血などで大量に血液を失ってしまうと、血小板も減少します。抗生物質や抗炎症薬など薬の副作用で血小板が減ることがあります。

しかし脊髄や血小板を生成する器官がしっかり働いていれば、元の状態に戻ることが予測されますのでそこまで神経質になる必要はありません。高齢者の場合は運動の制限が必要になる場合もありますが、基本的には経過を観察する方向で問題無いとされています。

血小板が少ない場合に発生する症状

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血小板が少ないと、現れる症状には次のようなものがあります。全ての問題が引き起こるわけではありませんが、いくつかの症状が複合的に現れやすくなる事があります。

血小板が少なくなっている場合にはこれらの症状に繋がらないように注意していきましょう。またこれらの症状が強く現れた場合は血小板が少なくなっている可能性がありますので病院などでの検査を受けることをおすすめします。

日常的な症状

あざや内出血が増えて、顔や手足の皮膚が赤っぽくなったり、ひどい場合はパンパンに腫れ上がります。歯茎から血が出たり、口内炎が出来やすくなります。怪我をすると血が止まりにくくなったり、鼻血が出やすくなります。女性の場合は生理の量が多くなることがあります。

出血が止まらないときは、血小板輸血を行います。日常生活が困難であれば、入院することもあります。

合併症(脳内出血など危険性の高い症状)

脳出血や腎不全が進行することがあります。脳で血栓ができたり、出血してしまうと、頭痛やけいれん、意識障害などを引き起こします。血小板の減少が治ったとしても、腎不全が重症化してしまうと、人工透析などが必要になります。

視力が低下したり、ダメージを受けた場所によって様々な症状が残る可能性があります。

胃腸、頭蓋骨内、消化器官での出血などの症状は危険信号になります。重症で発生確率はそれほど高くない稀な症状になりますが、生命に危険の及ぶ危険な症状になります。すぐさま病院での検査が必要になります。

血流が悪くなることでの冷えや様々な症状

血流が悪くなる、手足が冷えるなどの症状があらわれます。血小板増加症といい、血液そのものを固めやすくなってドロドロの血液になります。

血管が詰まりやすくなる血栓症や、骨髄増殖性疾患などの血液のがんを発症します。エコノミー症候群、多血症、慢性骨髄性白血病、血小板増加症などがあります。

発熱

ウイルスへの感染がきっかけになって血小板が少なくなってしまう場合があります。特に問題となりやすい血栓性血小板減少性紫斑病や特発性血小板減少症などの慢性的な病気が原因の場合には発熱の症状は出ませんが、ウイルスなどの影響で少なくなっている場合は発熱の症状が出てしまうことがあります。

薬などでの投薬治療では更に血小板が少なくなってしまう副作用が懸念される場合は安静に点滴などを打って病院で休みながらの治療経過の観察などが行われる場合もあります。

血小板が少ない時に行われる治療法について

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血小板の数が少なくなってしまう病気である特発性血小板減少性紫斑病などの病気にかかってしまっている場合に行われる治療方法について紹介していきます。

どの様な治療が具体的に行われることがあるのかを知って行きましょう。

ピロリ菌の駆除

血小板が少なくなってしまっている原因の一つとして考えられるピロリ菌を駆除することで血小板の増加を目指すことが出来ます。実際に血小板が少なくなっている人にピロリ菌の感染が確認された場合に駆除をおおなうことで50%の患者で血小板の増加が確認され、有効性が高かいものとして認識されています。

もし、ピロリ菌に感染している事実がある場合は、駆除の治療を行ったほうが良いでしょう。

ピロリ菌を除去する場合は薬を服用しての除菌療法を行います。主に3種類の薬を服用し治療していきます。1日2回の服用を1週間行い、菌を駆除し、その後の経過を観察しながらピロリ菌がまだ胃の中に存在していないか再検査します。

副腎皮質ステロイド療法

ピロリ菌に感染していなかった場合、もしくはピロリ菌の駆除をしても効果が得られなかった場合は副腎皮質ステロイドを使った治療を行っていきます。

ステロイド剤を注入することによって免疫作用を抑制し体内に抗体が出来てしまうことや、脾臓の中に血小板が溜まってしまう問題などを解消します。血小板の変化や、内出血の症状の傾向などを観察しながら投与を行っていきます。

経口投与と注射での投与があり、投与しなければいけないステロイド剤の量によって方法が決められます。

脾臓摘出術

上記の治療方法での改善が見られず継続しての治療での効果が薄いと判断される場合や、治療の継続が困難な場合には脾臓摘出手術が行われます。

血小板を破壊してしまうマクロファージを無くしてしまうことで血小板の増加を目指すことを目的としています。腹部に小さな穴を開け、内視鏡と手術器具を中に入れて手術を行っていきます。腹腔鏡手術などの方法でも手術は行われます。

この治療でも血小板が正常値に回復しない場合は別の投薬などの治療が行われます。

難病指定されている特定疾患

特発性血小板減少性紫斑病の病気は厚労省から特定疾患として難病指定されている病気なので、自己負担分の医療費に関しては更に、医療費の補助を受けることが出来ます。

指定難病と診断された場合はその病気の重症度合い、進行度合いによって一定以上の進行が確認された場合に医療費助成の申告手続きを行うことが出来ます。

お住いの住居地を管轄している保健所に連絡し、詳しく話を聞いてみましょう。

詳しい情報についてはこちらを参考にしてみてください。

血小板が少ない時の対処法・注意すべき行動

食事

通院や治療は長期的なものになります。病気とうまく付き合っていくようにしましょう。

出血をしないようにする

怪我をしたり、打撲に気をつけましょう。歯茎から出血しやすいので、歯みがきにも注意します。鼻血も出やすいので鼻をいじらないようにしましょう。

症状があるときは安静にする

身体のだるさや疲労感、痛みなどもあります。貧血で座っていてもめまいがする、微熱が続く、息苦しいなど体調不良の症状を伴う人もいます。無理せず安静にして過ごしましょう。

風邪を引かないようにする

うがい手洗いを徹底しましょう。体力が落ちて風邪をひきやすくなっているかもしれません。風邪が重症化して入院が必要になると、体力を消耗してしまいます。

規則正しい生活

睡眠不足やストレスは身体の抵抗力をうばい、疲れが溜まってしまいます。治療を優先するためにも、栄養のバランスが良い食事、早寝早起き、適度な運動を意識して、健康的で規則正しい生活を送ることが大切です。

医師とよく相談しましょう

定期的に検査を受けて、血小板の数値と自分の体調をよく把握しておきましょう。他の病気で病院を受診するときは、必ず症状を伝え、治療中であれば飲んでいる薬の種類なども正確に話しましょう。歯医者などでの治療時など、持病の報告をしっかりして、感染症などのリスクを抑えていきましょう。

受診するべき科としては、基本的に自覚症状としては発熱やリンパの腫れ、発疹、関節の痛みなどの症状があると思いますので、基本的には内科などの病院に行くと思います。

もし病変している症状などが確認されたら血液関係の専門医を紹介してもらい検査を受けるようにしましょう。女性の場合は産婦人科、子供の場合は小児科などでも大丈夫です。

まとめ

血小板が少ない症状について、最後にまとめておきます。

血小板は血液を構成する成分のうちのひとつで、骨髄で作られます。
血小板の主な仕事は血を止めて、血管を修復することです。
血小板が減少すると、血が止まりにくくなり、重症の場合は傷がなくても出血します。
皮膚の表面に血がにじんだり、消化器や脳などでも出血することがあります。
きちんと病院に行き、適切な治療を受けることが大切です。

免疫の異常や遺伝的な原因で、体質的に血小板が少ないとなると、薬を飲めば治るというようなものではなく、治療には時間がかかります。なかなか思い通りにならないこともありますが、イライラしてストレスを溜めないように気持ちを切り替えることも大切です。夜更かしやカロリーの高い偏った食事などを食べていれば、健康な人でも体調を崩し、生活習慣病を引き起こします。日常生活を見直し、健康的で楽しい1日を過ごすことを心がけてください。

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