皆さんバージャー病と言う名前の、病気を聞いたことありますか?バージャン病は働き盛りの30代から40代の男性に多く、とくに喫煙者に多い病気です。
バージャー病は手足の末梢の血管が閉塞して、歩く事がスムーズにできなくなる病気です。放置していると足を切断しなければ、ならなくなる事もあります。
バージャー病の病気について詳しく調べて見ましたので、一緒に見てみませんか?きっと何かの役に立つと思います。
バージャー病とは
バージャー病の名前の由来
バージャー病とはLeo Buergerの研究発表により、発表されたのでこの人の名前をとって、バージャー病と名前が付けられました。
閉塞性血栓血管ともいって、手足などの末梢動脈の末梢血管の内幕に炎症が起こり、全体に細くなり動脈の血液の流れが悪くなって、血流障害を起こしたり、血栓ができたりして、十分な血液が血管の末端まで流れなくなる病気です。
バージャー病の患者数
全国では1万人ほどの患者がいて、男性が9に対し女性は1と男性特有の病気と言っても過言ではない様です。また年齢層では30~40代の働き盛りの男性の、喫煙者に多く現在の患者年齢は45歳から55歳と、患者の高齢化が進んでいます。
これと同じような動脈硬化が原因で起こる、閉塞性動脈硬化症と言う病気があります。これも下肢の動脈が詰まる、同じような症状を示しますが、これは高齢者に多く、40歳以下の若年男性には余り見られません。
人口10万人当たり4~5名が発祥している様ですが、現在は減少傾向にあります。タバコが害だと世の中で、タバコの害が認識されつつあるためでしょうか?
バージャー病の過去の治療の仕方
特発性脱疽と言う手足を切断する治療が、過去のバージャー病では取られていました。
しかし現在では禁煙を厳守して、様々な治療方法を試みる事で、手足を切断する事が少なくなり、早期診断と適切な治療を行えば、重傷化を防ぐことができる様になりました。
バージャー病の原因
根本のバージャー病の原因は不明ですが、遺伝的要素に加わり、タバコとの関係、歯周病との関係が、あるのではないかと言われています。その中でもとりわけタバコとの関係を、断ち切るとこの病気が、改善する事が分かってきています。
今原因として考えられているのは、遺伝的素因に何らかの刺激が加わる事で、バージャー病が発祥するのではないかと言われています。疫学調査によると93%が喫煙によるもので、間接的な喫煙を含めると、100%タバコによる原因が、明らかになってきています。
バージャー病の症状
バージャー病の症状は動脈の血管の内側から、タバコのニコチンによる刺激で、血管が炎症を起こして、血液が固まってできた血液で血管が細くなり、細くなった先の血液が流れにくい状態になります。
末端まで血液が栄養と酸素を供給できなくなると、低酸素状態となって血液が運ばれない虚血症状が起こります。そうすると細胞が壊死してしまいそれを放置すると、壊疽がおこってきます。これは主に下肢に多く発生する症状です。
自覚症状には長い距離歩くと、痛くて歩けなくなりますが、休むとまた痛みが和らいで、歩行できるようになるのが特徴です。
その他の症状としては、手足のしびれや蒼白化、足趾指趾(そくししし)の冷感や、手足の静脈の炎症、皮膚の粘膜が一部充血して赤くなったり、痛み等の静脈の炎症があちこちにできる、遊走性静脈炎の症状が出てきます。
初期の症状
バージャー病の初期の症状としては、間欠性跛行(かんけつせいはこう)という、長い距離歩くとしびれや痛みが増して、歩く事が困難となり、少し休むとまた歩行できる、バージャー病の特徴の症状が、初期の段階で出てきます。
その他に足の指の冷えや、しびれなどの感覚障害が起こり、手足の皮膚の色の変化もでてきます。
進行している症状
バージャー病が進行してくると、安静時でも刺すような痛みがでて、眠りを妨げる痛みが続きます。最重症の症状としては、手足の末端部分の爪の周囲等の、組織の壊死や潰瘍が起こり、壊疽を最終的に引き起こします。
壊死(えし)とは身体の中の細胞の、組織の一部が死滅することです。壊疽(えそ)は壊死によって細胞の組織が壊れて、壊された腐敗菌の感染が進行し、黒く変色して悪臭を放つようになります。壊死をそのままにしておいたら、必ず壊疽になってきます。
この様な重症な症状が、進行してから診察に訪れる患者が、バージャー病の初診の段階で、大半を占めています。バージャー病の70%が、経過中に急激に血液不足が起こり、末梢部に血液が流れなくなり、壊死を経験すると言われています。
バージャー病の診断
診断基準
難病のバージャー病の診断基準は以下の通りです。バージャー病と認定されれば、難病申請を行うと治療費などの負担があります。
- 50歳未満の発症である事
- 喫煙歴があるかどうかは、診断基準でもっとも大きな判断基準です。
- 膝窩動脈(しつかどうみゃく)以下の閉塞があるか?膝窩動脈とは大腿動脈からの連続の動脈で、膝の後ろにある動脈の事です。それ以下の下肢から足首にかけての動脈の閉塞です。
- 動脈閉塞がある、遊走性静脈炎の既往性がある場合です。
- 高血圧症、高脂血症、糖尿病を合併していない事です。
等の5項目の診断が検査などによってクリアーされて、膠原病の検査所見が陰性の場合に、バージャー病と診断されるのです。女性の場合は喫煙者でない場合、鑑別診断を詳細に行われるそうです。
触知
バージャー病の触診の診断は、手足の動脈に血液が流れなくなると、虚血状態として冷感やしびれ感や、また少し歩いてはしびれや痛みが起こり、休むと又歩ける間欠性跛行や、安静時に疼痛になって潰瘍ができ、壊死する閉塞した動脈には脈は打たないので、触知はできなくなります。
足関節の血圧測定
バージャー病の診断には、ドライバー血流計を使って、足関節の血圧測定と上肢の血圧を測定して、上肢と下肢の血圧の比をみて、虚血の程度をみます。
手指や上肢は下肢の病状に比べて軽度です。ドライバー血流計は皮膚の上から血圧測定をできるものです。臨床症状や理学的初見から診断を行います。
血管造影による診断
確実なバージャー病の診断をする為には造影検査が、絶対に必要となってきます。閉塞部位や閉塞パターンの確認、閉塞性動脈硬化との鑑別を行うには、造影撮影を行って、確実に血液の流れをチェックし、血管の様子を見る事がなければ、確実に診断はできません。血液検査ではこれがバージャー病と確定する、検査まで見る事ができません。
バージャー病の検査
バージャー病の検査方法を紹介します。
血液検査
バージャー病の血液検査は動脈硬化の有無を調べる為、血液に含まれる化学物質を調べます。そして糖尿病や高脂血症、腎臓病などが合併していないか等を調べ、少しの痛みを伴いますが短時間で終わります。
血管造影検査
バージャー病の血管造影検査は、動脈硬化による血液の流れを見る為に、とても大切な検査です。
MRAよりもさらに精密な血管の状態を知る為、腕や足の付け根の動脈から、カテーテルをいれて、血管の内腔に造影剤を流し込み、下肢の血管のどこの場所に、どの程度のつまりがあるのか、詳細に血管の状態を知る事ができます。最終的にバイパス手術や、カテーテル治療を行うのに、必要な検査となります。
小さな血栓の場合はこの造影検査で、カテーテルから薬剤を投入して、血栓を溶かす事もでき、小さな血栓では検査の段階で治療が行えます。
早期発見ができればそれも可能となります。
ABI検査
バージャー病のABI検査は、動脈の狭くなっている状態や、動脈が塞がれている状態を調べ、足首と上腕の血圧を測定して、その比率を算出します。
バージャー病では主に下肢の動脈の血管の、塞がれている状態がみられ、ABI検査ではどの程度、動脈の血管が狭くすぼんでいるのか、どの程度血液の流れが悪いのかなどを推測します。検査は簡単に行われて、痛みは殆どありません。しかし痛風や下肢閉塞性動脈硬化症の、病気を抱えている人は、測定時に痛みが伴う事があります。
触診
バージャー病の触診の場合は、患部に触れて症状を確かめます。動脈の血液が流れない状態の場合は、動脈では波を打たないので、触知する事は出来ないので、触診するとバージャー病だと診断できます。これは問診と基本的な検査と共に行われます。
バージャー病の治療
バージャー病の治療の禁煙
バージャン病の治療はまず禁煙から始まります。この病気とタバコの煙の因果関係は密接な物があり、喫煙を続ければどの様な治療をしても無駄になります。
タバコのニコチンは血管を、収縮させる働きがあります。ニコチンは血液の中の、中性脂肪を増加させ、高血圧や、動脈硬化の原因を作り、毒性の強い発がん性物質なのです。ですから傷ができている場合など、その回復を延ばしてしまいます。
手足の保温保護
また手足を清潔に保って、手足を保護し保温に注意して、靴擦れ等を起こさず、傷をつけない様下肢の手入れをすることが大切です。
薬・手術による治療
バージャー病の治療には、抗血小板薬や、血流改善薬、抗凝固薬などを投与しますが、これは血液の循環を良くして、血栓が出来るのを防ぐ為の薬の投与です。
重傷な虚血症状のある血流の減少が酷い人には、これに加えて高圧酸素療法を行って、高濃度な酸素を供給したりします。麻酔薬を注射して交感神経の働きを、ブロックする交感神経節ブロックや、交感神経を切る手術等が行われ、皮膚の血流を増加させます。
血液の流れの少い虚血症状の人に、最も効果的な治療は血行再建手術ですが、これは保存療法で改善がみられない患者に行われます。
バージャー病の特徴として、末梢血管に行くほど症状が酷い為、血行再建手術が可能な症例は、全体の20%以下ととても少ないです。
カテーテル治療や外科的バイパス手術が、困難な場合が多いですが、壊死が進行して各種の治療も無効な場合、指趾や足趾の手足の切断もやむ追えなくなる事もありますが、現在では遺伝子治療や、骨髄細胞移植療法など、血管を新しく生まれ変わらせるための、治療も行われ始めています。
外科的治療
外科的治療には血管内の血栓を、カテーテルを使用して取り除く方法の、経皮的血管形成術と言う治療があります。これは血管の再建をはかるものです。またバイパスとなる血管を移植して血行を良くする、バイパス手術なども行われます。
また外科的手術には血管の拡張を図るため、腹部、胸部の血管を収縮させる交感神経の切除なども行われます。
また最近では血管の再生を行うため、患者自身の骨髄液を採取して、細胞を移植する方法なども試みられています。
最後には壊死が酷くて、このままでは命に関わる場合など、他の細胞へのダメージを防ぐために壊死の部分の切除、切断が行われますが、現在は以前に比べて、減少傾向にあります。手や足を切断する事は、患者にとっても大きな負担となる為、やはり早期発見して、切除、切断までに行かない様に心がける人が、多くなっているのでしょうね。
内科的療法
内科的療法には血管を拡げる薬や点滴を使用して、血管を拡げる血管拡張剤等の療法があり、血栓を作りにくくする為の、内服液や点滴を使用して、血液の凝固を防ぐ抗凝固剤や抗血小板による、血栓ができなくする治療もあります。
またバージャー病の痛みに対して、上肢では星上神経ブロックや、下肢では腰部交感神経節ブロック等が行われます。
バージャー病の予防
最後に、バージャー病を予防する方法を紹介します。
日常生活における試み
禁煙
タバコはバージャー病において、一番の原因となっています。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる働きがあります。またニコチンは血液中の中性脂肪を増加させて、高血圧や動脈硬化と言った生活習慣病の原因を作っています。また毒性の強い発がん性物質であることも分かってきていて、バージャー病だけではなく、癌などの病気にも悪いです。
手足を清潔に保って温かく
手足の血管は寒冷刺激により収縮して、血液の流れが悪くなるため、靴下や足袋等をいつもはいて足の保温に注意をします。直接的なあんかや湯たんぽ等は、低温の火傷を起こしやすいのでこれは使わない方がよいです。
また傷や皮膚病ができると正常な時より、傷が治りにくくなるので潰瘍になりやすい為、手足をいつも清潔にして、傷や皮膚病が出来ない様にします。
四季を通じて素足は傷を作ったり、足を冷やしたりしますので、いつも靴下や足袋などを活用して足を温かくして、足を保護する事が大切です。深爪をしないで、靴も足に合った靴をはいて足先のきつい靴は履かない様、足はいつも清潔にして、水虫等の皮膚病に掛からない様にします。
適度な運動
毎日適度な運動に歩く事を取り入れる事は、安全性に優れ、身体に負担もなく、中高年の健康作りには一番良い方法です。
主な動脈が詰まったりして細く成り、歩く事でそれ以外の血液の流れを増やして、血行を改善させる側副血行路の発達を活用して、足の痛みの出る一歩手前で休みながら、繰り返し歩く様にして、少しずつ距離を延ばすと良いです。痛みが出るまで歩くのは逆効果になります。
脱水症状を起こさせない
バージャー病の予防には血液の流れが、悪く成る事を防がないといけません。そのため水分が足りなくなると血液が濃くなりますので、血液の流れも当然悪くなります。
血液の流れが悪くなると血管も詰まりやすくなり、水分補給が十分でないと脱水症状になりやすいので、水分はこまめに身体に補給する事が大切です。
夏場や運動の後の水分は多めにして摂って、1日800ml~1000ml以上は最低でも飲む様に心がける事が大切です。
食事について
食事は規則正しくバランスの良い、食生活を心がける事が大切です。全ての栄養素をバランスよく摂る事が大切で、栄養素には身体の調子を整えるもの、身体を作る物、エネルギーになるものと3つに分けられます。
身体の調子を整える
身体の調子を整えるものとして、ビタミンとミネラルが必要です。これらの栄養素は、神経の働きに関わったり、体温調節をしたり、体内で必要な物質を作る為に必要な栄養素です。
これらの栄養素は体を一定に保つ働きがあり、ビタミンの一部を除いては、身体の中で作る事が不可能なので、食べ物から欠かさず毎日摂取する事が大切です。
身体を作る
身体を作る栄養素として、筋肉や爪や髪等を作るたんぱく質や、骨や歯を作るミネラル、それに細胞膜を作る脂質の3つは大事な栄養素となります。
中でもたんぱく質は身体の全ての細胞に関係していますので、とても大切な栄養素となります。
エネルギー
エネルギーとなる炭水化物(糖質)脂質ですが、糖質の摂取量が足りなくなると、たんぱく質が分解されてエネルギー源となります。安静にしていても、生命を維持するだけのエネルギーが必要となります。
また活動量より糖質や脂質を多く摂りすぎると、身体の中に蓄積されます。あまり糖質、脂質が多くなると動脈硬化の原因にもなりますので、摂りすぎには注意が必要となります。
これらの3つの栄養素を必要な分だけ取り入れる事が、バランスの良い食事となります。
まとめ
如何でしたでしょうか?バージャー病について少しはご理解頂けたでしょうか?バージャー病はタバコが原因の事が93%解ってきています。タバコを禁煙する事で、バージャー病を発症させない事になりますので、できればタバコは即辞められる事が、自分の健康に五体満足な身体で過ごせることに繋がります。
傷害はいつ起こるか解りませんので、この様な事は言えないですが、障害者には誰しもなりたくないと思います。自らタバコをやめると言う事で、障害者にならないで済むなら、禁煙に今すぐ取り掛かる気持ちに、なるのではないでしょうか?