奇形腫とは?症状や原因や治療法を知ろう!手術の方法や検査方法はなに?

世の中には珍しい病気というものが存在します。症状は他のものと変わらないものの、詳しく検査をしてみると、とんでもない病気だったなんてことがあります。

奇形腫もそんな病気の1つでしょう。病名を聞いたことがあるという人も多いかもしれませんね。その名の通り、体内に奇形とも言える異物が生じます。

では、奇形腫とはどのような病気なのか。その原因や症状、治療法。そして、注意点について詳しくみていきましょう。

奇形腫ってどんな病気?

腹痛

奇形腫は胚細胞性腫瘍と最近では呼ばれるようになっています。胚細胞とは卵巣や精子のことです。これら胚細胞に腫瘍が生じ、増殖してしまった病態が奇形腫を起こします。

女児の卵巣、そして男児の精巣に発病しやすく、共に生殖器の発達に伴い、奇形腫を発生させます。症状は幼少期に違和感を感じることもあれば、大人になるまで気付かないことがあります。

また、奇形腫は大人でも発症することがあります。検診で卵巣の腫れが確認され、具体的に検査したら奇形腫だったということがよくあります。

奇形腫が進行する中で、髪の毛や歯、皮膚の一部といったものが形成されることがあります。これらはボール状の組織に包まれ、体内に存在します。

もちろん、奇形腫の種類によってはこのような体の一部ではなく、良性の腫瘍として形成されることがあります。体に悪さをすることは少ないですが、下腹部のしこりや便秘を招くことがあります。

奇形腫の原因とは?

ストレス

奇形腫はそのメカニズムは分かっているものの、その原因についてはよくわかっていないのが現状です。一説には母親の妊娠中のストレスが奇形腫の原因とも言われています。

妊娠期の女性にストレスがかかると、体には様々な影響を与えます。奇形腫だけではなく、それ以外の病気の原因にもなるので、注意が必要でしょう。

大人の場合の奇形腫でも同様のことがいえるでしょう。日常的に過度なストレスを受けている場合、病気が作られやすい環境ができてしまいます。

原因は不確かな部分が多いものの、ストレスには気をつけるに越したことはありません。

奇形腫の症状とは

症状

奇形腫の症状として以下のことがあげられます

腰痛や腹痛

奇形腫が進行し、腫瘍そのものが大きくなると、周辺を圧迫するようになります。原因不明の腰痛や腹痛を感じるようになります。

運動や腰に負担のかかるようなこと、もしくは腹痛の原因になるようなことをしていないのに、長期間症状が続くようであれば、検査をすることをおすすめします。

便秘

腰痛・腹痛と同様に、腫瘍が大きくなると腸を圧迫し始めます。これに伴い、便秘症状を起こします。また、お腹の強い張りがみられるようであれば注意が必要でしょう。

通常、便秘は腸内細菌の減少や食生活の乱れ等によって引き起こされます。きちんとした食事を取っているにもかかわらず、便秘が続くのであれば、疑ってみてください。

頻尿

膀胱が圧迫され、頻尿を起こします。水分をそれほど取っていないにもかかわらず、トイレによく行く。このようなことに心当たりがあれば用心してください。

症状が悪化すると…

奇形腫は卵巣内に好発します。そして、病巣が進行し、大きくなるほど、その症状もまた大きなものになります。そして、時として命の危険すらあります。

奇形腫では卵巣の破裂、卵巣嚢腫茎捻転といった症状を招きます。これら症状を発症してしまうと、激しい腹痛、強い吐き気を催します。

病気自体はあまり初期症状もなく、進行してもそれを奇形腫と判断するのは難しいです。それゆえ、放置されることが多く、大事に至ってしまうこともしばしばあります。

・病巣の特徴

奇形腫の特徴として卵巣に好発します。また、10〜20%の確率で両側の卵巣に病巣を作ります。小児も発病しますが、10代〜30代の女性も発病します。

奇形腫の治療とは?

手術

基本的な治療として、手術を行います。早期に発見されれば、予後も良好です。奇形腫の治療の最大のポイントは、この早期発見にあるといえるでしょう。

奇形腫の早期発見に関しては、それほど難しくはありません。検査をすれば十分病巣を発見することができ、すぐに治療を開始できます。

病巣を摘出した後は、経過を観察していきます。深刻な症状を招くことは少ないですから、それほど心配する必要はないでしょう。

一方で腫瘍が大きかったり、摘出しにくい部位にできた場合は、抗がん剤を投与し、腫瘍の縮小を待ち、適宜治療をしていくこともあります。

奇形腫の手術とは?

卵巣周辺に病巣が確認されれば、手術を行います。具体的には以下の2つの手術法があります。

1:腹腔鏡手術

お腹の数カ所に穴を開け、そこから専用の医療器具を挿入し、病巣を摘出する方法が腹腔鏡手術です。開腹手術より体への負担が少なく、入院期間が短いことがメリットです。

2:開腹手術

病巣が大きかったり、他の臓器との癒着がみられるなど、通常の腹腔鏡手術では処置が難しい場合は、開腹手術を行うことがあります。

検査方法にはどのようなものがある?

ct

奇形腫は卵巣の肥大化に伴って、発見されることがあります。これは妊娠やその他検診がきっかけとなることが多く、無症状で進行する奇形腫を発見する重要なポイントです。

卵巣の肥大がわかった時、それが奇形腫だと判断するためには、以下の検査を行っていきます。

超音波検査

その名の通り、音波を使い、その反射から体内を検査する方法です。レントゲン撮影とは違い、被曝のリスクがない安全な検査が行えます。

奇形腫では骨や脂肪分などが生成されることがあります。これらが超音波検査によりはっきりとわかるので、病気診断の重要な検査法といえるでしょう。

CT検査

X線を用いて、体をスライス状に撮影していく検査法です。超音波検査同様、奇形腫内には脂肪や歯などの成分があるとき、これを捉えることができるので、診断の材料になります。

MRI検査

強力な時期と電磁波を用いて、体の内部を検査する方法です。奇形腫の場合、他の検査同様、脂肪分が確認でき、判断材料になります。

奇形腫と妊娠について

妊娠

奇形腫は卵巣を主として病巣を作ります。病気にかかった時、最も気になるのは妊娠のことではないでしょうか。

結論から言ってしまえば、病状によって妊娠の可能性は大きく左右されます。それは卵巣が左右2つあることに関係しています。

奇形腫が卵巣の片方のみに病巣を作った場合。これは仮に病巣が卵巣を侵し、手術で卵巣を取らなければならなかったとしても、もう一つの卵巣機能を維持できますから、妊娠は可能です。

一方で両方の卵巣に病巣が見つかった時。かつ、卵巣を摘出しなければならないと判断された時、今後の妊娠を諦めることを迫られることがあるかもしれません。

もちろん、病巣が卵巣周囲に出来ていたとしても、すべての手術において卵巣を摘出するわけではありません。病気の進行、発見の早さ。これらが今後の妊娠を決定づけるものでしょう。

妊娠を安全なものにするために

妊娠検査

女性にとって妊娠はとても大きな意味を持ちます。奇形腫は症状がわかりにくく、気が付いたら進行していることがある注意が必要な病気です。

それゆえ、放置すればするほど、症状が進行し、妊娠をしにくい体にしてしまうこともあるでしょう。これは十分、気をつける必要があります。

先に述べた原因不明の腹痛や腰痛。またその他の検査で卵巣の肥大といった症状があるようであれば、早期により詳しい検査を受けるようにしましょう。

些細なことですが、このような小さな体への気配りが、妊娠をより安全なものにしてくれるはずです。

子供の奇形腫について

子供

奇形腫は10代〜30代の広い年齢層で発症します。しかし、一方で幼児や小児でも奇形腫を発症することがあります。具体的に以下の特徴があります。

症状について

下腹部のしこり、触った時の違和感があります。また、本人も頻尿や便秘症状を訴え、時として腹痛を感じることもあります。

ただ、幼児や小児に関しては、しこりが普通だと考えてしまうこともあるので、親がきちんと体の違和感を感じた時、病院へ連れて行ってあげることが大事です。

治療について

大人の奇形腫治療同様、手術によって病巣を摘出します。悪性の場合、転移していることは少なく、予後も良好です。良性の場合も同様です。

触れ合いを大切にする

子供の病気は親が気付いてあげる必要があります。子供は泣いたり、痛がったりすることしかできないですし、具体的な症状を言うのは難しいからです。

特に奇形腫は自覚症状も少なく、その症状に自ら気づきにくいという特徴があります。親が子供との触れ合う中で、違和感に気付くしかないでしょう。

子供との触れ合いは単なるコミュニケーションだけではなく、体に異常がないかどうかを見つけるという目的もあるのです。

まとめ

生殖器という子供を産むために重要な器官に病巣を作ってしまう奇形腫。その病態は様々あるものの、放置することはせず、きちんと治療を行う必要があります。

一方で、病気の難しいところはなかなか自分では発見しにくいというところでしょう。初期症状・自覚症状がわかりにくい、というのが発見を遅らせることがあります。

例えば長い間便秘が続いていたとしても、それが奇形腫と考えることはなかなかありませんよね。症状が大きくなって初めて病気だと気づくことがほとんどでしょう。

早期発見のためにできることは、定期的に検診に行くこと。特に妊娠を意識し始めたのであれば、体の状態をきちんと把握しておくことは重要です。

早期発見・早期治療ができれば、この病気はそれほど重篤な症状を招くことはありません。妊娠・出産することもできますから、安心してください。

反対に症状が出ているにもかかわらず、病院へいかない、というのは最もやってはいけないことでしょう。将来において後遺症を残すリスクもあるからです。

体の違和感、異変を感じた時は素直に病院へ行くようにしましょう。それは自分のためだけではなく、パートナーや将来生まれてくる子供のためにも大切なことなのです。

  
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