扁平母斑とは?症状・原因・診断方法を知ろう!治療にはレーザー治療が必要?

自分の赤ちゃんが、先天性に生まれつき、薄い茶色のあざが見られることがありませんか?それは、単なるシミである可能性もありますが、「扁平母斑(へんぺいぼはん)(Nevus spilus)」という母斑症の一種である可能性があります。

シミは病気ではありませんが、扁平母斑は病気です。ただのシミだろうと放置せずに医者に診てもらうようにしましょう。

では、扁平母斑とはいったいどんな病気なのか、詳しく説明していきます。

扁平母斑の原因と診断

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扁平母斑の原因は、皮膚の内部でメラニンが大量に合成され、メラニン色素として沈着することです。これによって、薄茶色のあざが出現します。

このメラニンは、皮膚の表皮に存在するメラノサイトと言う色素細胞にて生成されます。これが増幅することで扁平母斑が出現していきます。

メラニンが大量合成されるのは?

扁平母斑の原因となる、メラニンの大量合成ですが、これが大量に合成される原因は2つあります。

1つは、メラニン色素と言う色素細胞の数が、皮膚表面浅層の表皮基底層で増加することで、茶あざが出現する点です。更にもう1つは、紫外線や蛍光灯などの刺激を受けることによって、メラニンを大量に合成します。

先天性と後天性の2種類がある

扁平母斑は、生まれつきあざのある先天性のものと、思春期以降に発症し、成長と共に出現する後天性のものがあります。

後天性の場合は、「遅発性扁平母斑」と言います。症例のほとんどが先天性です。

遺伝性の有無

先天性で生まれつき赤ちゃんの頃から発症するため、遺伝性ではないのかと思う人は多いですが、扁平母斑は遺伝性ではありません。

加齢に伴うものではない

茶あざ自体は、加齢に伴って大きさや形が変わる可能性もありますが、加齢に伴って皮膚表面に出現するシミやソバカスとは異なります。シミやソバカスは病気ではありませんが、茶あざは病気に分類されます。

扁平母斑の症状

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皮膚の一部の変色や変形したものは、「あざ」と言い、「母斑(ぼはん)」とも言われます。母斑症には様々な種類と、それらによって特徴が分かれ、鑑別が必要となります。

では、扁平母斑の特徴を説明していきます。

あざの形状

ほくろの様に皮膚から盛り上がるような症状はみられず、平らであることから扁平母斑と呼ばれます。境界は明瞭です。大きさは様々なものがあります。

あざの大きさや形、色調に変化は生じません。

あざの色

皮膚に発症するあざには、茶あざ以外にも黒あざ、白あざ、赤あざ、白あざなどがあります。これらを鑑別し、ミルクコーヒーの様な薄茶色~茶色のカフェオレ斑と判別した場合は、扁平母斑である可能性が高くなります。

また、茶色のあざの色素の中に、直径約1mmの小さな黒い点状のものが混在していることが特徴です。欧米の人種では、薄い茶色の斑の中に、更に濃い茶色の斑または、丘疹(きゅうしん)といった盛り上がった湿疹が見られることが特徴となっています。黒い点状のもの、または濃い茶色の斑は、濃い色をしている色素斑であり、母斑細胞(ホクロ細胞)からできているとされています。

好発部位

全身的に発症する可能性があります。母斑に毛が生える発毛性の扁平母斑の内、肩に発症するものはベッカー母斑と言います。

ベッカー母斑は、強い紫外線を受けた後に出現する可能性があります。紫外線よって、色素細胞が変質してしまうためです。

後天性の場合

思春期以降に発症する遅発性扁平母斑の場合は、扁平母斑と同時に毛が生えてくることが多いです。発毛性のものは、約半数の症例に見られます。

茶あざは、表面が少しザラザラとしており、境界はキザギザしていることが多いとされています。よく出現する部位は、肩甲骨~前胸部です。腹部や足、腕にも出現します。こちらも、通常は悪性腫瘍などの病気に悪性化することや合併症が引き起こされる危険性は低いです。

悪性化するか

扁平母斑は良性腫瘍です。時が経過しても通常、悪性化はしません。但し、自然に消失することはありません。

鑑別が必要な「あざ」

扁平母斑には類似したあざが見られることがあります。同じ薄い茶色~茶色(褐色)のカフェオレ斑が見られるもので、「神経線維腫症Ⅰ型」という病気があります。この茶あざは、別名レックリングハウゼン病とも言われます。Ⅱ型も存在しますが、Ⅰ型とは異なります。この疾患は扁平母斑よりも難治性の疾患です。

・神経線維腫症の皮膚病変

こちらは、先天性に、1.5cm以上の大きさで、6個以上の色素性病変(カフェオレ斑)が見られた場合に神経線維腫症と診断されます。扁平母斑とは異なり、遺伝病の病気の可能性も示唆されます。

・扁平母斑と類似する点

病気が先天性に発症するという点と、形状は異なりますが、皮膚病変として茶あざが見られることです。見られる場所も、同じで全身性です。

・神経線維腫症のその他の症状

神経線維腫も良性腫瘍ではありますが、悪性腫瘍へとなる危険性もあり、合併症を併発する可能性もあります。症状としては、カフェオレ斑といった皮膚症状以外に、眼や耳、神経といった器官の奥にも腫瘍を発症します。場所によっては痛みも伴います。

・どのように鑑別するのか

自分たちが眼で視るだけでは、茶あざを鑑別することは困難です。早期発見・早期治療も重要となり、専門医の判断を早急に仰ぐ必要があります。身体に茶あざを発見した場合は、直ぐに皮膚科医に診断してもらうようにしましょう。

扁平母斑の治療方法

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上記でも記したように、扁平上皮の良性腫瘍である扁平母斑はほとんど悪性化しません。そのため、医学的な意味での治療は特に必要がないとされています。

しかし、目立つ部位に発症するなど、自身の外観にあざが残ることに精神的ストレスを感じて美容目的にて治療を行う人もいます。つまり、基本的には、自身の外観を良くする治療が中心となっており、美容目的以外では治療を行わないということです。

では、どういった治療があるのかを説明していきます。

受診する科

美容目的の治療と述べているため、美容形成外科に行くと良いですが、他の原因も考えられます。他の疾患である場合、対処を間違えると大変なことになるため、まずは皮膚専門医がいる皮膚科、皮膚形成外科に行きましょう。場合によっては、外科に行く必要性も出ます。

テスト治療

テスト治療を最初に行い、半年間、経過観察をして治療の効果を確認します。治療効果が得られてあざが綺麗に消えることを確認することができた場合に、本格的治療が開始されます。

・どんなテスト治療か

テスト治療として行われる方法は、ドライアイス治療です。以前は、液体窒素も使用されていましたが、レーザーが導入されている現代では液体窒素は使用されていません。

ドライアイス治療によって、一時的な治療効果は得られますが、約半年間の経過を観察すると、茶あざが再発する症例が多く見られています。こういったことより、一度テスト治療を行って半年間の後に、効果が得られた対象者のみに本格的治療が施行されています。

・テスト治療で効果が得られなかった場合

扁平母斑にドライアイス治療を施したものの、半年間後に効果が得られなかった場合、手術が施行されています。

・テスト治療が施行されるタイミング

レーザー治療が進出する前は、最初にテスト治療が行われていましたが、レーザー治療がある現在は違います。現在は、最初にレーザー治療を1~2回実施し、それでも直ぐに扁平母斑が再発するケースに対して、ドライアイス治療といったテスト治療や冷却治療、皮膚表面を削る除去手術が検討されます。

レーザー治療

レーザー治療が導入されてからは、治療方法の過程は、最初に行われる方法がレーザー治療となっています。最初は、試しに部分的にレーザーを照射します。茶あざの全ての範囲には照射しません。このレーザー治療を実施し、治療効果が得られることが確認できた場合は、治癒されるまで全体的な治療を開始していきます。レーザー治療の光治療を利用することで、的確にメラニンのみを破壊することができます。

レーザー治療は、レーザー治療を利用した光療法で、JMEC社のQスイッチ・レーザーが有効とされています。このレーザーには、幾つか種類があります。このレーザーの効果や種類、保険が適応するのかなどについて説明をします。

・Qスイッチ・レーザーの治療効果

このレーザーは高い出力のエネルギーをナノ(n)秒単位の時間で照射します。レーザーの照射時間がナノ秒と極めて短いため、高い出力で照射を行っても皮膚へのダメージが抑制されます。且つ、茶あざにしっかり反応することが可能です。

・Qスイッチ付きルビーレーザー

波長694nm(ナノメートル)のレーザーで、特に、色の濃いものに反応がしやすいです。最も多用されているレーザーです。

・Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー

波長755nmのレーザーで、Qスイッチ付きルビーレーザーよりも波長は少し長いです。そのため、皮膚の深部にまで到達しやすいです。このレーザーを取り入れている病院は少ないです。

・Qスイッチ・YAGレーザー(ヤグレーザー)

波長が2つあり、基本波は1064nm、もう1つは半分の532nmがあります。基本波の波長は長いため、皮膚の奥深い深層にまで届き、深層に存在する色素性病変へ効果を出します。半分の波長は、波長が短い分、皮膚の浅層の色素性病変に効果が得られます。

・レーザー治療の治療効果

レーザーを照射した部位には瘢痕(はんこん)が残りにくいです。これは、レーザーの光が正常な皮膚や血管にはほとんど吸収されず、メラニン色素によく吸収されるという性質があるためです。よって、医師や症例もリスクが少なく施行することができます。

先天性の扁平母斑の症例で、成人では、レーザー治療による治療効果は得られにくく、治療成績は悪いです。再発の可能性も極めて高いです。

このように、治療効果は全ての症例に見られるわけではありませんが、遅発性扁平母斑では効果が得られやすいです。また、小児に実施するレーザー治療の場合は、治療効果が得られやすく、治療成績が良いです。こういったことより、レーザー治療は皮膚が薄い0歳児から治療開始する病院が増えています。このことより、先天性の茶あざを発見した場合は、自己判断で様子を見たり、大丈夫だろうと放置をせずに早期に皮膚科医に診てもらうようにしましょう。

・レーザー治療の注意点

治療は数カ月に1度受ける必要があり、何度も通院する必要があります。この治療回数は茶あざが消退する程度によって変わります。レーザー治療による治療では、必ずしも茶あざが完全に消退するとは限らず、効果が得られない場合もあります。更には、再発率が高く、レーザー治療によって茶あざが消退したとしても、茶あざが再度出現する可能性が高いです。

また、レーザーの出力を上げすぎたり、次回の治療までの期間を十分に空けていないと、皮膚の色が脱色してしまい、白くなることや瘢痕が残る可能性があります。逆に、レーザーの出力が弱すぎるとメラニン色素の破壊が不十分となり、茶あざが残存する場合があります。その他、レーザー治療後10日間~2週間後に、照射部位の周囲にわずかに炎症後の色素性沈着が生じることがあります。

・レーザー治療後の禁忌

レーザー治療後は、患部に刺激が加わらないようにすることが大切です。患部を濡らさないために、洗顔や入浴は控えましょう。身体に強いストレスが加わらないように、入浴時のシャワーは短時間で済ませ、サウナは避けましょう。

もちろん、激しい運動も禁忌です。汗をかくようなことは避けましょう。また、アルコールや喫煙も治癒を妨げる原因となるため、控える必要があります。

・レーザー治療後の創部の保護

レーザー治療を行うと軽度の火傷(やけど)を負います。火傷によって皮膚がびらん状態になりますが、これは放置せずに、軟膏を塗ってガーゼで保護をするといった対処が必要です。絆創膏は創部の湿度を高めてしまい、治癒が遅れるため、なるべく絆創膏を貼ることは避け、乾燥するようにしましょう。

びらんが治癒されていくと、血液凝固因子によってカサブタが形成されます。このカサブタを無理に剥がすと、出血を引き起こしたり、創部の瘢痕が残存しやすくなります。カサブタが自然に剥がれ落ちるまで、故意的に剥がさないようにしましょう。

・紫外線対策をする

茶あざを出現させないためにも、日頃から紫外線対策が必要です。もちろん、治療後に茶あざが消退したとしても、そういった対策を継続することが大切です。紫外線は、外の太陽からだけではなく、パソコンからの光や、蛍光灯などの電気機器類からも吸収されます。外の太陽からくる紫外線自体も、窓ガラスを通過して中に浸透してくるため、屋内にいても油断大敵です。

身体の肌だけではなく、眼からも紫外線を吸収し、体内に影響を及ぼします。日焼け止めを細目に塗るだけではなく、顔の肌にはUVカット機能付きのファンデーションを使用することや、眼にはUVカット付きのメガネやコンタクトレンズを使用するなどの工夫をすると良いでしょう。ちなみに、日焼け止めの効果は約2~3時間と言われています。2~3時間ごとに塗りなおすことをオススメします。

レーザー治療後に行う場合には、肌が敏感で弱くなっている状態なので、ノンケミカルの処方の物や紫外線吸収剤といった肌の乾燥を促したり、刺激となる成分を含んでいない物を使用するようにしましょう。

元々から肌が敏感な人は、皮膚科が出している日焼け止め乳液などがあります。悩んでいる人は皮膚科医に相談してみましょう。

・保険が適用されるのか

扁平母斑に対するレーザー治療は保険適用内なので、保険治療が可能です。Qスイッチが付いていると健康保険を利用することができ、3割負担の治療費となります。2回の治療まで保険が適用されます。3カ月の期間を空けると、次回のレーザー治療を受けることが可能です。

注意すべき点は、保険治療が可能なものと、保険治療ができないものがあることです。事前に、医師と相談するようにしましょう。

まとめ

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扁平母斑は、悪性化せず、早急に治療が必要なものではないため、外観が気になった場合に美容目的で治療を行うと良いということが、上記の内容からわかります。0歳児でのレーザー治療の治療効果が効果的であることが報告されているため、後々に治療を検討している場合は、早めに皮膚科医の診療を受けると良いでしょう。

また、扁平母斑ではなく、悪性化の危険性のある神経線維腫症(レックリングハウゼン病)の可能性や、その他の病気の可能性も考えられるため、発見した場合には放置するよりも診療を受けることをオススメします。先天性である場合や遺伝性である場合があるため、出生時に赤ちゃんの体を確認すると良いでしょう。

後天性で思春期以降も発症する可能性があるため、随時、皮膚の状態を視るようにしましょう。

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