大人の水疱瘡は重症化しやすく、最悪の場合は死に至ることもあります。一度も水疱瘡にかかったことがない人はワクチンなどの対処が必要です。特に妊婦は胎児に影響します。
また水疱瘡は一度かかれば二度とかからないと言われていますが、免疫力が下がると大人でも水疱瘡のヘルペスウイルスによる帯状疱疹を発症する場合があります。
加齢により免疫は低下し、ストレスで免疫低下に拍車がかかります。水疱瘡や帯状疱疹を治す抗ヘルペスウイルス薬はあるものの、保険を使っても高額です。治療より事前に水痘ワクチンを打つほうが楽です。
帯状疱疹は神経や角膜を侵される病で重症化すると神経痛、難聴、失明、脳卒中などを起こし、重い後遺症を残すリスクがあります。水疱瘡、帯状疱疹になったら仕事を休んですぐにでも病院にいくべきです。発疹に特徴がありますので見分け方もご紹介します。
大人もかかる水疱瘡について
水疱瘡とはヘルペスウイルスが原因によって起こる皮膚病です。
水疱瘡は通常子供のころに感染して自己免疫により抗体が生成されたり、ヘルペスウイルスに対する水痘ワクチンを接種することでウイルスに対する免疫があることがほとんどです。そのため大人が水疱瘡にかかることは稀です。
しかし感染したことがない人、ワクチンを受けたことがない人、ホジキンリンパ腫や白血病やガンなどで免疫に障害を起こす病気の人、過度のストレスで免疫力低下している人など、免疫を持っていない人は大人でも水疱瘡になってしまいます。
また帯状疱疹は水疱瘡とは区別されていますが、同じヘルペスウイルスが原因です。こちらは体内に残ったヘルペスウイルスが再発することで起こります。一度水疱瘡にかかっても、ストレス、加齢による免疫低下で発症します。水疱瘡と違い神経を侵されるのが特徴です。
水疱瘡について
通常10歳未満の子どもが感染することがほとんどです。
発熱があり、全身や口内に発疹がでて激しい痒みがおこり、1日くらいで水ぶくれになり、水ぶくれが破れてかさぶたになっていく独特の症状が見られます。この症状は3週間ぐらい続きます。
感染ルートは空気感染と接触感染です。ありふれたウイルスですが、感染者のそばにいると大量のウイルスを体内に取り込むため、最初に発症した人より後で感染した人のほうが重くなります。
また季節にも特徴があり、夏にかかりやすい病気です。インフルエンザの活性化が起こる季節は冬ですが、ヘルペスウイルスの活性化は夏に起こります。
感染したら医師の指示を仰いで学校や仕事を休み、特に小さいお子さんや妊婦さんには近寄らないようにしましょう。
妊婦が感染すると胎児に影響し後遺症、死亡のリスクが上がります。
水疱瘡の潜伏期間
水疱瘡の原因となる単純ヘルペスウィルスというのは身体に取り込まれてからすぐに症状が発症する訳ではありません。体内に侵入してから13〜17日程の期間の潜伏期間を経て症状が現れます。
潜伏中は全く症状が現れることはなく、ヘルペスウイルスはリンパ管で増殖し、その後肝臓などに広がりそれから皮膚の毛細血管にまでたどり着いた時に水疱瘡の特徴的なぶつぶつが出来るなどの症状が現れます。
水疱瘡の潜伏期間はおよそ2週間と覚えておきましょう。過去2週間の間に、水疱瘡の感染者と接触している場合は、水疱瘡の症状が現れるかどうか注意深く観察し、症状が現れた場合はすぐに病院に行きましょう。
大人の水疱瘡の症状
初期症状では皮膚に症状が現れる前に、身体のだるさや37〜38度程の発熱の症状が現れる事があります。この段階では風邪かとも考えられますが、水疱瘡の可能性があります。その後1日から2日後ほどに皮膚に痒みや発疹などの症状が現れ始めます。
特にこの皮膚症状は背中やお腹の付近に発症しやすい傾向があります。皮膚の症状の発症から3日目が特に症状のピークになります。その他に大人の場合は、口の中にも発疹が現れることがあります。
この発疹は次第に水ぶくれに変化し、1週間ほどでかさぶたになって治っていきます。
大人が水疱瘡にかかると死亡率が上がります
子どもより25倍も致死率が高いといわれています。死亡率は10万人に2人です。抗ウイルス薬、治療法があってこの数値ですから、危険性が高いと思ってください。
症状も子どもより重くなるといわれますが、医学的にはハッキリ判明していません。痒みのほかにも発熱と筋肉痛で動けないほどぐったりして寝込む羽目になり、口内が痛んで食事がつらくなります。合併症として脱水症状を起こすリスクがあります。
早めに抗ヘルペスウイルス薬を投薬されると症状が緩和されることが多いようです。
加齢や病気で免疫力が低い人の場合、破れた皮膚から他の細菌が入り込んで合併症を起こすリスクがあります。
口にできた発疹が喉にまで広がった場合呼吸困難になってしまい、命の危機に発展する場合もあります。
水疱瘡の治療法
原因となるヘルペスウイルスに効果のある、ファムビル、バルトレックス、アシクロビルや塩酸バラシクロビルなどの抗ヘルペスウイルス薬が存在します。ウイルスの繁殖を抑えるため治りが早くなり、合併症、後遺症を防いでくれます。
約2日で効果が表れるので、医師の指示通りに薬を飲みましょう。点滴用の薬品と内服薬に関しては医師から処方され、日本では市販はされていません。病院で処方してもらいましょう。
抗ヘルペスウイルス薬は保険がききますが、それでも高額といわれています。感染する前にワクチンを打つほうがおすすめです。
水疱瘡にかかってしまったら
死に至ることもあるので皮膚科にいって治療してください。免疫低下が問題だとしたら、規則正しい生活をし、ストレスを避けて安静にしましょう。
また感染症ですので医師の指示を受けて学業や仕事を休みましょう。小さいお子さんには感染しやすいので、子どもと接触するときは注意が必要です。
その他の皮膚病
大人がかかりやすいその他の皮膚病の帯状疱疹ついて紹介します。帯状疱疹は同じような原因で感染が起こり発症するので、水疱瘡ほど死に至るほどの症状は出ないですが、慢性化しやすく症状が長く残る可能性がある病気です。
帯状疱疹について
水疱瘡と同様のヘルペスウイルスによって発症します。
水疱瘡が治った人の神経節にはヘルペスウイルスが潜伏します。通常は発症せずおとなしくしているのですが、過労、過度のストレス、免疫低下を起こす病気などで免疫力が低下すると再発してしまいます。神経が走っている経路をたどって皮膚に症状を起こします。
皮膚症状がでる2、3日前から、発熱、下痢、吐き気、排尿障害、悪寒が現れることもあります。
神経を侵されるので水疱瘡と異なり神経痛を引き起こすことがあります。
特に環境が変わった時や仕事が忙しいときなどに発症するケースが良く見られます。自分ではストレスに感じていなくても、睡眠時間の減少や労働時間が増えたり、働く時間帯が変わることでも体はその変化にストレスを感じてしまうために、この様な病気にかかることがあります。
帯状疱疹の後遺症
若い方は神経痛の回復は早いですが、お年を召された方の場合治りが遅く、帯状疱疹が治療された後も神経痛が長きにわたって残ることがあります。悪化が酷い場合は10年以上の激痛にさいなまれ、仕事を辞めざるを得ないほどの痛みが続くことがあるようです。
適切な治療をすれば軽度で済みますが、まれに神経性の顔面麻痺、聴力障害、目や視神経、角膜が侵されると失明の恐れがあり、重い後遺症を残すリスクがあります。合併症として血管が詰まり、脳炎、脳卒中になるリスクも上昇します。糖尿病と併発すると約3倍のリスクがかかります。
後遺症は皮膚症状がでてから72時間以内に治療するとリスクが低下します。
帯状疱疹の疑いがあれば、仕事を休んででもすぐ皮膚科に行きましょう。
「仕事忙しいし、土日病院行けばいいや」なんて対応をすると取り返しがつかなくなりますよ。症状が悪化し、なかなか治らなくなるでけでなく、より酷い神経痛に発展する可能性が高くなります。
帯状疱疹とその他の発疹の見分け方
水疱瘡特有の症状以外には神経付近に発疹がでることが特徴です。
通常の発疹は赤みやかぶれがでている表面に痒みや痛みを感じますが、帯状疱疹の場合、神経のある皮膚の奥から痛みを感じます。痛みはヒリヒリ、ビリビリ、ピリピリ、チクチクした痛みを感じるようです。触れたときの感覚に若干の麻痺が見られ皮膚の感覚が鈍感になります。
脊髄の近くの胸や腹に発疹が現れやすいです。三叉神経節からのウイルスが再活性化した場合、頭に症状がでます。三叉神経節に沿った特徴的な発疹がでます。
また左右どちらかだけに発疹がでるという特徴があります。
また発疹以外にも、皮膚症状がでる2、3日前から、発熱、下痢、吐き気、排尿障害、悪寒を起こすこともあります。自覚症状がでない場合もありますので特徴的な発疹がでたら病院にいきましょう。
帯状疱疹の治療法
水疱瘡同様、抗ヘルペスウイルス薬を処方されます。顔に症状がでた場合、失明を防ぐために軟膏を出されることもあります。
水疱瘡と異なるのは神経痛へ対処する薬が処方されることです。同時に生活習慣を改善する指導が行われます。過度なストレスや労働を仕事で行っている人はその仕事から一旦離れてしっかり休養を取る必要があります。
可能な場合は、しばらく仕事を休んで治療に専念する方がいいでしょう。
帯状疱疹にかかってしまったら
後遺症が残るリスクがあり、合併症で死に至ることもあるので皮膚科にいって治療してください。
帯状発作は免疫低下が原因です。規則正しい生活をしてストレスを避けて安静にして治療し、お年寄りは発症する前にワクチンを受けて免疫を高めて予防しましょう。
他白血病などの病気による免疫低下の可能性があります。
また大人は殆どの人が免疫を持っているとはいえ、感染症ですので学業や仕事を休みましょう。小さいお子さんには感染しやすく水疱瘡を引き起こさせる可能性が上がります。
発症と感染では感染のほうが症状がひどくなることが多いです。子どもと接触するときは注意が必要です。
顔に水疱ができたときにウイルスのついた手で目をこすったりしないほうが良いです。
抗ヘルペスウイルス薬って高いの?
保険を効かせてジェネリックにしても一錠500円ほどが相場のようです。7日間処方されると7000円~10000円かかります。
しかし帯状疱疹が起こす後遺症のリスクを考えると素直に服用したほうが良いです。
水痘ワクチンが1万円で10年間免疫が回復します。後遺症のリスクや診察料や休暇分の損失をを考えると水痘ワクチンを打ったほうが良いですね。
大人の水疱瘡、帯状疱疹の予防
一度水疱瘡にかかっている人ワクチンを受けた人が発症する場合、原因は免疫力の低下です。
免疫低下の原因を知れば、予防が可能です。
免疫力を高める
免疫はストレスや過労、バランスの悪い食生活、運動不足、冷え性、睡眠不足、加齢によって低下します。
ビタミンを摂取し、体を温め、適度に運動し、適度に睡眠をとり、ストレスをためず、衛生に気を付ければ予防ができます。
またガンや白血病などの病気によって免疫力が低下することもあります。
特に病気などを患っていないのであれば、腸内環境を整える食事をしながら、運動、睡眠を適度に行っていれば免疫力を高めることが出来ます。
年齢による抗体の減少~水痘ワクチンのすすめ
水疱瘡は一度かかれば二度とかからないといわれますが、子どものころ水疱瘡にかかったという人も約20年ほどで水疱瘡に対する免疫力が低下します。ワクチンの場合はさらに短く10年で低下するようです。
免疫力は20歳が最も高く、その後右肩下がりに落ちていきます。高齢になればなるほど免疫力は低下します。
帯状疱疹は50歳から発症する確率が上がります。50歳になったらヘルペスウイルスに対抗する抗体を増やす「水痘ワクチン」を受けましょう。アメリカでも、国費で50歳以上の方に水痘ワクチンを受けさせているようです。受けさせているといっても、無料ではなく、医師と相談して推奨しているという意味です。ただし、アメリカの多くの州で、60歳以上の方が1度だけ無料で受けられる場合があります。
日本では保険は効きませんがが50歳になったら水痘ワクチン、と覚えておきましょう。費用は1万円ほどですが、後遺症のリスクを10年防げるなら安いものです。抗ヘルペスウイルス薬も高額ですしね。
手洗いうがい
水疱瘡の感染経路は主には、感染者からの接触感染と飛沫感染と空気感染により感染します。ほとんどがインフルエンザと同じ感染経路で感染すると認識して間違いないでしょう。
接触感染は感染者の触れたものから間接的に感染する場合と直接感染者と接触することで感染します。飛沫感染は感染者のくしゃみや咳などから空気中にウィルスが散布されそれを吸い込むことで感染します。空気感染はも飛沫感染と同様の理由で空気中に流布されたウィルスを吸い込むことで感染します。
さらにこの水疱瘡を引き起こす原因であるウィルスの感染率は非常に高く約9割に感染するデータがあります。それ故に免疫力のない子供はほとんどがこの皮膚病にかかるのです。
広い年代の混在する空間ではこの様な病気の感染する可能性があるのでマスクをすることや、手洗いうがいをするなどの予防策が重要になります。
もし自分が逆に感染者だった場合や、子供が感染してしまった場合はなるべく外出や人と接する機会は避け感染を拡大させないようにしましょう。
まとめ
大人が水疱瘡にかかる確率は少ないですが、発症経験がなくワクチンを受けたこともない場合、免疫の低下した場合、水疱瘡にかかることがあります。
大人が水疱瘡にかかると子どもの25倍に致死率が上がります。大人が水疱瘡になると適切な治療をしなければ危険です。
水疱瘡と同じウイルスのヘルペスウイルスが免疫低下によって活性化し帯状疱疹という病名で再発症する場合があります。この場合は子どものころに水疱瘡を発症していても免疫が低下すればだれでも発症する可能性があります。
帯状疱疹は神経がウイルスに侵されることが特徴で、神経性の後遺症のリスクがある点と発疹のでき方が水疱瘡と異なります。身体の左右どちらかに発疹が偏りますのでこの兆候があったら72時間以内に病院へ行きましょう。
起こりうる後遺症は、長期にわたる神経痛、顔面麻痺、聴力傷害、失明、脳卒中などがあり、しっかり治療しないと危険です。脳卒中は糖尿病と併発するとなお危険です。
ヘルペスウイルスによる病気は抗ヘルペスウイルス薬による治療が有効で、後遺症のリスクを減らし病状も和らげてくれます。
一度水疱瘡にかかっている人ワクチンを受けた人が発症する場合、原因は免疫低下です。ビタミンを摂取し、体を温め、適度に運動し、適度に睡眠をとり、ストレスをためず、衛生に気を付ければ予防ができます。
また50歳を超えると抗体価が低下してきます。50歳になったら水痘ワクチンを打ちましょう。
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