近年は、携帯電話の普及により、どこにいても電話で連絡が取れるようになりましたが、電話がかかってきて怖いと思ったことはあるでしょうか。
通勤や通学途中でスマホを片手に会話している人も、よく見かけますが電話が鳴った時に、緊張が走ったり、怖くて出ることができなかったりすると「電話恐怖症」という病気になっている可能性が出てきます。
今日は、自分や周囲の人がなっているかもしれない「電話恐怖症」について調べて来ましたので一緒に見ていきましょう。
電話恐怖症とは
人によって不安の感じ方は違いますが、電話恐怖症は、対人恐怖症の一つと考えられています。そして対人恐怖症というのは、日本が一番多いとされています。
例えば、叱られるときに「恥を知れ!」という言葉があるように、恥をかくことは「いけないこと」または「情けないこと」=「自分はダメな人間」としてきた、古くからの日本にある顕著な文化依存症候群でもあるのです。
そのことを表している様子として、海外では「taijinkyofusyo」とアルファベットをそのままにして呼ばれていることがあげられます。
そして、この対人恐怖症というのは、電話恐怖症を始はじめ、たくさんの種類があるのです。
その電話恐怖症を乗り越えるためにの必要なことは、自分が「どんなときに不安と恐怖を感じるか」という根っこの問題を知るということにあります。
電話恐怖症の症状は
電話恐怖症の症状や状態としては、自分の携帯電話に電話がかかってくることに恐怖を感じてしまうものといえます。
そのため電話恐怖症は、電話に出るという行為が出来ないわけではないのですが、あらかじめ留守番電話でメッセージを聞き「相手が誰なのか」を確認したり、自分の対応や心の準備をしなければ通話ができないという人もいるのです。
この場合には特に、営業系の職種に多く「上司や先輩からの電話で気持ちが追い詰められてしまう」ことから、うつ病、動悸、頭痛、嘔吐などの身体的な不調に陥り、電話恐怖症を発症することがあるため心配ですね。
着信恐怖症
「電話に出たくない」という電話恐怖症とは逆に、「電話を取り逃したくない」と一生懸命になりすぎて、行動が病的になったり、身体に問題が出る等のことを着信恐怖症といいます。
行動としては、ずっと携帯を片手に歩く人や、トイレの中でも上司の電話に応対しようとする部下もいるようです。
症状がひどくなってくると上司からの電話に気づけなかった時のことを怖がってポケットの中の自分の携帯が、着信してもいないのに振動していると錯覚するようになります。
そのような病気の域に達する状態を幻想振動症候群といいます。
では、原因についても見ていきますね。
恐怖症を起こす原因
ひとくちに恐怖症といっても、もともと人間の中には「必要な恐怖感情」というものがあるのですが少しご説明いたしますね。
例えば、小さかった頃にママから「行っちゃだめよ」と言われたのに行ってしまって、大きな犬がいたので怖かったとか、似たような経験は誰にでもあると思います。
この場合には、「次はママの言う通りにして行かないようにしよう」という危険回避を学習したことになりますね。
このように恐怖感情とは、生きていくためには必要な感情でもあります。ただ、電話恐怖症などの恐怖は、極度の心的ストレスを生じるので、いろんな形で悪影響を与えてしまう原因となります。
では、なぜ病気の域にまで恐怖感情が生まれてしまったのでしょうか。いろんな見方があるようなので、少しあげてみましょう。
- ゲーム機の普及により、ゲームに熱中しすぎるあまり、コミュニケーション能力を養えないまま大人になってしまっている
- 周囲が自分をどう思っているのか心配という気持ち
- 競争社会で育ったために、負けたらいけないなどの強迫観念
など、全体的に不安が大きいと電話恐怖症になっていくことが分かります。また、このような電話恐怖症を含めた対人恐怖症のことを社会不安障害(SAD)とも呼びます。カッコ内を英語で直訳すると、悲しい…なんて、全くその通りだと思います。
そして、一番の問題は電話恐怖症そのものよりも、そのことで起こってしまう「自分はダメな人間なんだ」との自己嫌悪からくる自己否定なのです。その良くない恐怖感情が更なる恐怖を呼んでしまう恐れもあるのです。
そのため人生に影響を与えてしまうほどの自信喪失は、周囲の理解と配慮も大変に重要になってきます。電話恐怖症には、こうして恐怖感情が重なって併発していることも多いので少し触れておきますね。
いろんな恐怖症
併発している可能性のある恐怖症を種類ごとに、分かりやすく具体例を添えてお伝えいたします。
赤面恐怖症(せきめん)
人に会うと、緊張して自分の顔が赤くなっているんじゃないかと不安を過剰に感じてしまうことです。
表情恐怖症(ひょうじょう)
いつも自分の表情が気になってしまい、不安感を抱えたまま毎日を過ごしてしまうことです。
視線恐怖症(しせん)
会話している相手が自分のどこを見ているのかと視線が気になってしまい、話に集中できなくなったり、人混みの中にいると、みんなに見られているような恐怖を感じてしまうことです。
詳しくは、視線恐怖症の症状をチェック!治療するには薬が必要?克服方法や原因についてを知ろう!を参考にしてください!
醜形恐怖症(しゅうけい)
自分の容姿に大きなコンプレックスを持っていて、他人と仲良くすることが難しくなってしまうことです。
詳しくは、醜形恐怖症とはどんな病気?症状や原因、リスクについて知ろう!チェック方法は?を読んでおきましょう。
吃音症(きつおん)
会話をしようと思っていても、うまく話すことが出来ずに、どもってしまい自己嫌悪に陥るため余計に話せなくなることです。
自臭症(じしゅうしょう)
自分の口臭や体臭が臭いような気がして、気付かれたくない思いから相手と距離をとってしまうことです。
多汗症(たかん)
緊張から汗を異常にかいてしまうので、気になってしまうので、視線恐怖症や自臭症と重なって現れることが多いようです。
詳しくは、多汗症の治療方法は?原因や症状を紹介!を読んでおきましょう。
男性・女性恐怖症(だんせい・じょせい)
このような異性恐怖症の場合には、トラウマの原因となった相手と同じ性別だというだけで、異常な恐怖を感じてしまうので人間関係を築くことが難しくなります。
雑談恐怖症(ざつだん)
自分は会話が下手だと思い込み、不安なあまり友達の輪に入ることが出来にくくなることです。
会食恐怖症(かいしょく)
自分が食事をしているところを周囲の人に見られているような気がして食事をすることに抵抗を感じたり、難しくなってしまうことをいいます。
嫌疑恐怖症
お買い物に行ったときに、万引きをしていると疑われているんじゃないかと、周囲の視線が気になってたまらず過剰に不安になり選ぶこともできないことをいいます。
書痙症(しょけい)
冠婚葬祭や契約の時など、人前で自分の名前を書かなければいけない時に、緊張してしまって普段通りに書くことができなくなることをいいます。
詳しくは、書痙の治療方法や克服方法は?原因や症状も知ろう!なりやすい人はどんな人なの?を参考にしてください!
腹鳴恐怖症(ふくめい)
勤務中や試験日など、人前でお腹がなってしまったらどうしようかと過剰に不安になって集中出来ないことをいいます。
おなら恐怖症
腹鳴にも似ていますが、大切な人とのデート中などに、おならが出てしまうと困ってしまう不安が過剰になって楽しめなかったり、集中できないこと等をいいます。
このように対人恐怖症の種類は、たくさんありますが、多くの人に共通するのが単体ではなく幾つかを持っているということです。
誰でも経験がありそうな恐怖症が多いようですが、過剰に不安を抱え心身ともに不調を起こさないようにするには、「自分がどういった対人恐怖症なのか知り、どんな恐怖症を持っているのか」ということを見つけることが、大切な解決の糸口にもなっていきますね。
これをきっかけに、じっくりと自分や周囲の人の症状を考えてみましょう。電話恐怖症などを放っておくとどうなるのでしょう。次は、そのあたりにも迫っていきますね。
放っておくと心配な病気
眠りにつく時にも、上手くいかない出来事や気持ちがフラッシュバックしてきて、睡眠不足になってしまう人もいる電話恐怖症ですが、この症状を放っておいたり、気付かないでいると大変な病気に移行していくこともあります。
では、どのようになってしまう可能性があるのかご説明いたしますね。
うつ病の併発
電話恐怖症からの対人恐怖症は、他人との関わりを極端に避けるようになっていきます。
それが重度のひきこもり状態に繋がってしまう場合もあるのです。
ここまで進行してしまうと、閉鎖的空間を一番安心できる場所としてしまいますので、自分の殻に閉じこもることから抜け出せないまま、うつ病になってしまう可能性があるのです。
統合失調症の併発
電話による不安障害を改善せずに放置していると、極度の不安感や恐怖感に陥って、「自分が周囲から嫌われているんじゃないか」と思ったり、良くない指示を出そうとする「声」が幻聴として聞こえてくる場合もあります。
このように過剰に自分を責めてしまう妄想がパニック障害や強迫性障害を起こしてしまうことさえあるのです。
分裂病の併発
周囲に対する妄想ストレスから逃げようとして、知らず知らずのうちにもう一人の人格を作ってしまう恐ろしい病気の一つです。
このようになってしまうと自分の意志で治療することは極めて難しいので、精神科など専門家による長期的な治療を受けることが必要になります。
早急に、対人恐怖症を克服するためにはどのような方法があるのでしょうか?
では、解決方法を見ていきますね。
電話恐怖症の解決方法
電話恐怖症などの対人恐怖症には、自律神経の訓練やカウンセリングが有効となるのですが、家族や周囲の協力や理解が必要になってきます。
ここでは、自分でも出来ることを中心にお話いたしますね。
緊張の緩和を促す
不安恐怖症など、良くない感情に支配されているときには、心身共に緊張状態になっているので、肩や目などが疲れている場合が多くあります。
そこで、緊張をほぐすために必要となってくるのが脳内セロトニンの分泌を促す作用のあるもの(出来事)を積極的に増やしてあげましょう。
リラックス効果を上げる
セロトニンは、別名幸福ホルモンとして知られていますが、精神状態を穏やかにしてくれる働きがあります。
- ペットと触れ合う
- 好きな人と手をつなぐ
- バスタブにゆったりつかる
などがあります。
人間は、肌がふれると「セロトニンが増える」ことがあります。これは、生まれてから人肌に守られて育つ人間が持っている安心感ですね。スキンシップの代わりに、アロママッサージの施術を受ける等も同じような働きを促します。
鏡を使う
作り笑いでも、セロトニンが増えたり、リラックスなど良い効果が得られることが分かっていますので、鏡をみて自分で笑顔を見ることも大切です。
どうしても笑顔が難しい時には、動画を見てみるとか、今までで一番うれしかった時のことを思い出してみたりすると良いでしょう。
笑顔には、上手いとか下手なんてないのです。
自信を付ける
悩みは、「何かが起こってしまったから起こる」のですが、何かが起こってしまったのは「自分が何か行動したから」なのです。
つまり、起こらないように、その自分の行動を変えることは、少しづつなら出来ますね。
例えば、お話のプロであるアナウンサーの真似をして何度もしゃべってみる、臭いが気になるなら食事を工夫してみるなど、生活習慣を変えると緩和される可能性が出てきます。
こうして努力がくれる自信は、いちばん信頼できますね。
あまり型に自分を押し込めないで、決めつけないでいることも大切です。
わりと自分で考えるほど、周囲の人は自分を悪く見たりしていないものですので、少しづつで良いから、そういうことを知ることが緊張を解いてくれるのではないでしょうか。
まとめ
では、今日のまとめです。
- 電話恐怖症は、対人恐怖症の一つと考えられている
- 「どんなときに不安と恐怖を感じるか」という根っこの問題を知る
- 身体的な不調に陥ってから、電話恐怖症を発症することがある
- 電話恐怖症は、数種類の対人恐怖症と併発している可能性がある
- あまり型に自分を押し込めないで、決めつけないでいることも大切
自分に対する自信が持てないことから、対人恐怖症に陥る可能性は誰にでもあることですね。自信が無いのは、みんな同じと思いますので、少しづつ不安を減らせるよう努力していきましょう。