ギャンブル依存症に注意!原因や症状、治療する方法を紹介!

ギャンブル依存症と聞くとまっさきに思い浮かぶのがパチンコや競馬にお金をつぎこんで家族を顧みなくなり、身を滅ぼしてしまう姿ではないでしょうか。依存症と聞くと、怖いイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、依存症には必ず原因があります。単なるわがままなどではなく、病気のひとつなのです。

そして、時間はかかっても、回復できる可能性の高い病気なのです。ただ、そこから脱却するには、周りの人の理解と協力もかかせません。依存症を克服したい方も、依存症に悩む家族をかかえている方にも知っていただきたいことです。依存症には、ギャンブル依存症以外にも、たくさんの依存症があります。

ギャンブル依存症とは

ギャンブル

ギャンブル依存症とは、一言でいうと自分の意思ではギャンブルを止められなくなってしまう病気です。だれもが、はじめは楽しんでゲームをしています。ところが、何かのきっかけでコントロールができなくなり、依存症となります。

競馬やパチンコなどギャンブルをしたとき、熱くなってやめられなくなってしまったことはありませんか。たいていの人はある程度時間がたつと熱が冷めてやめるものですが、ギャンブルをするプロセスに覚えた興奮を求めて、何度も手を出すうちにはまってしまい、自分ではコントロール不可能なまでになってしまう人もいます。

これが、俗に言うギャンブル依存症、病名は「病的賭博」です。

依存症の種類

依存症は大きくわけて、3つにわかれます。①物質に依存してしまう物質依存、②行為や経緯に依存してしまうプロセス依存、③人や関係に依存する関係依存です。ギャンブル依存症はこのうちの②、プロセス依存にあたります。

①物質依存

特定の物質を飲む、あるいは注射して摂取することに快楽や刺激を得ることで、その物資に執着して、依存するようになります。

  • アルコール
  • たばこ
  • 薬物(違法薬物や脱法ハーブだけでなく、処方される薬も)

②プロセス依存

ある行為をする過程で得られた興奮や刺激を再度求めて、その行為自体に執着して、依存してしまいます。

  • ギャンブル
  • パチンコ
  • 買い物
  • 盗み(万引きなども)
  • インターネット
  • 性や浮気

③関係依存

特定の人との人間関係に依存してしまいます。また、歪んだ人間関係に執着することで人とのつながりを求めようとする場合も、これに含まれます。

  • 女性依存
  • 男性依存
  • DV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)
  • ストーカー

これらの3つのうち、場合によっては2つ以上の依存を同時に持つ場合があります。このような場合を、クロスアディクションといい、依存している1つのことを抑制したために、新たな別のものに依存し始める場合もあります。パチンコに依存していた人が、克服しようとパチンコをやみくもに禁止したら、アルコールに依存するようになってしまった、などというようなケースです。

軽い依存なら、女性は経験があるかも知れません。ダイエット中だからと甘いものをがまんしていたら、買い物しすぎてしまった・・依存症とまではいかなくとも、人間は欲望を抑えなければならない場合、代替行為や対象を求めることが多いのです。

ギャンブル依存症の特徴

自分ではコントロールが出来なくなってしまうため、お金を使うギャンブルの場合には、持っているお金が底をついてもギャンブルを止められず、消費者金融やサラ金や果てはヤミ金と呼ばれる金利の高い違法な融資をうけ借金を重ねてしまいます。また、職を失う、家族がうまくゆかなくなる、離婚する、うつ病になるなどの弊害を伴うことも多いのです。

はたから見て、ギャンブル依存症ではと思われる特徴があります。

  • 借金を繰り返すため、メールや請求書などがやたら多い
  • 競馬に依存した人は携帯から券を購入できるため、携帯電話を放さない
  • ギャンブルの攻略本を買い込む
  • 朝からパチンコ店に出かけて開店前から列にならぶようになった

どんな人がなりやすいのか

依存症は、病気です。脳の働きの一部が、おかしくなった状態なのです。障害とも言えます。実際にお金を使うギャンブルだけでなく、お金を使わなくても賭けごとの真似ごとのできるゲームも、ギャンブル依存症のきっかけとなっている場合もあるかもしれません。

ギャンブル依存症の8割は、一般の主婦や平凡なサラリーマンだったり、公務員だったりします。大学生や年金生活者もいます。残りの2割ほどに、ややうつ病気味の人がいます。

依存症の原因は

脳

何度もくりかえします。依存症は、好みやこだわり、わがままではなく、病気なのです。

本人はやめたい、いけない、またやってしまったと反省します。しかし、ギャンブルのプロセスに覚えた興奮を、欲求として脳が求めてしまうのです。これがもし、俗に言う性依存症(正確には、性依存症ではなく、性嗜好障害といいます)であったなら、犯罪になってしまうでしょう。

また同じプロセス依存である買い物依存症の場合でも、買った後に後悔するものの、買うときに覚えた興奮を求めているのであって、買うことそのものが目的となってしまい、借金をするまでになってしまうこともあります。

依存症はわがままではなく、脳の病気です

依存症や脳に原因のある障害に理解がなかったり知識が少なかったりする人から見れば、ギャンブル依存症は、勝った時の興奮を求めて何度も繰り返しているのだと思うことでしょう。だから、負け続けたらやめられそうなものなのに、あるいは1度大勝ちしたら、満足してやめられそうなのに、と思うかもしれません。

違うのです。勝ったことで興奮を覚えるのも確かですが、刺激や興奮をおこしたのはそこだけではないのです。人によって興奮した場面は違い、その度合いも違うのです。

依存症は、脳の病気なのです。賭けごとのプロセスにおいて、その時に脳の中で興奮作用を引き起こすドーパミンが過剰に分泌されてしまい、その時に感じた快楽(ドーパミンが出ると人間は快楽を感じます)が、脳に記憶されてしまうことから、依存症ははじまります。

依存症になるきっかけは誰にでもある

誰もが、楽しいことをしていると気分が高揚しますよね。好きなことをしていると楽しいです。この時、脳内ではドーパミンが分泌されているわけです。人間なら皆誰もがそういう状態を持っています。ただ、通常はドーパミンの分泌量はおおかた決まっていますし、ある程度の抑制が効くので、実生活にまで影響することはまずありません。

ドーパミンの分泌は人間としてあたりまえのことで、この脳内物質は、大脳の命令を身体のいろんな部位に伝える大切な役目を持っています。主に、運動機能と積極性を助けるのに使われ、手足を動かすなどの運動機能の他、やる気を出すなど興奮や高揚に関係しているのです。

しかし、ストレスなどをかかえていて、脳内のバランスが崩れている時にドーパミンの分泌量が必要量以上に出ていると、脳が勘違いしてしまうのです。

普通なら、楽しかった、で終わるものが、ものすごく面白い、こんな楽しいことはない!という認識を間違ってしてしまうのです。これが、依存症のきっかけになります。そしてこの状態が進行すると、この面白さを常に脳が求めるようになり、同じ行為を何度も繰り返すことになるのです。ですから、ギャンブルだけでなく、ゲームでも、その他、わたしたちが楽しいと思えることならなんでも、依存症の対象になる可能性があり、誰もが依存症になる可能性を持っているのです。

脳内物質のバランスが崩れると

わたしたちの脳内にはいくつかの脳内物質があり、特に神経伝達の役目を負うのに欠かせないのが、ドーパミンとセロトニンです。セロトニンはドーパミンとは対象的な役割をする脳内物質です。

精神の安定や落ち着き、鎮痛などに関わっていて、また睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌を促して安眠を提供してくれる助けをする大事な物質です。セロトニンもドーパミンも、脳の中で作られないと、神経物質として働いてくれません。

ドーパミンが不足すると

この物質不足が原因の典型的な病気に、パーキンソン病があります。ドーパミンが減ってしまうため、身体が思うように動かなくなったり、やるきがなくなったりします。パーキンソン病でなくとも、ドーパミンが不足すると、運動機能が低下したり、元気がなくなったりします。

セロトニンが不足すると(メラトニン不足も)

セロトニンは脳内で作られてはじめて、神経伝達物質としての役割を果たすことができます。ドーパミンとの微妙なバランスをとることができるのです。ただ、セロトニンのほとんどは脳内以外の場所で作られてしまうために、不足しがちな傾向にあります。

セロトニンが不足すると、精神的な安定を保つことが出来なくなります。うつ病の原因でもあります。また、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンはセロトニンの機能と連動しているため、メラトニンも不足しがちとなり、不眠になったり、体調不良を起こしたりする原因のひとつとなります。

やめようとして逆効果になってしまう自己判断

問題をかかえる

夢中になって、なかなかやめられなくても、またやってしまった、やめたいと思っている人がほとんどです。しかし、コントロールが効かないのです。なぜコントロールが効かないのかは、先に述べたように、脳内物質のアンバランスからくるのです。

自分ひとりで抱え込まないで

やめようと思ったときに、まず最初にするのが、「我慢する」ことではないでしょうか。しかし、依存症になってしまっている状態の脳みそは、通常どおりに神経伝達が出来ない状態です。既に、依存症になっている状態では、脳内仕組みが通常とは違う状態になっている、つまり変化してしまっています。それを、通常の何かを我慢する行為で抑制することは、不可能です。

1つの欲求(依存)を抑制することで、別の欲求(依存)を生みだしてしまうことはよくあります。ひとりで抱え込まず、家族に相談しても理解は得られない場合も多いですから、まずは専門医に相談することが、回復の近道なのです。

ギャンブル依存症の問題点

手錠

依存症の家族をもつ人は、直面している問題かも知れません。依存症でも、まわりに迷惑のかからないものなら、問題はないのです。依存そのものは悪いことではありません。たとえば、夫婦がお互いに主体性をもち、相手を尊重しながら支え合い、助け合う関係は、良い依存状態です。

しかし、夫婦関係でも、自分の安心や満足のためだけに相手にしがみつたり、逆に相手を支配、束縛を使用とする依存は、悪い依存で、いろいろな問題に進展します。DVなどが顕著な例です。では、ギャンブル依存症の問題はどこにあるのでしょうか。

ギャンブルそのものは娯楽のひとつ

ギャンブルそのものは、娯楽のひとつとして社会に認められています。違法なものでないかぎり、競馬、パチンコ、ゲーム、宝くじなどです。ですから、ギャンブルをすること自体は、悪いこととは言えません。しかし、依存症となると話は別です。

依存症になるとコントロールできない

依存症になると、自分でコントロールするのは不可能な状態です。ですから、さまざまな問題を生みだします。具体例をあげてみますと、

  • コントロールできないため、生活費もギャンブルに使ってしまい生活できなくなる
  • お金がなくなっても抑制が効かないため借金を重ねてしまう
  • ゲームに熱中しすぎて会社にゆかなくなり職を失う
  • 朝からパチンコへ並び閉店までいるので育児を放棄してしまう

ほかにも、まだまだあるかも知れません。そして、依存症であること自体よりも、それを本人や家族だけで抱え込んでしまうことで、別の問題を生みだしているケースも少なくないのです。

家族だけで抱え込まないで

本人だけで抱え込まないで、と書きました。家族の方も同様です。家族の方にしてみれば、場合によっては「自分は被害者である」「迷惑をかけられている」と感じている人もいるかも知れません。夫が、妻が、両親が、子供がギャンブル依存症で自分に迷惑をかける、いくら言ってもそのときばかりで聞いてくれない、知らないうちに家財を売られてしまった、、問題はつきないと思います。

依存症はきっかけがあり、そこからはじまり、軽度な状態から欲求を何度も繰り返すことで重傷になります。軽度な状態なら、治るのも早いのです。しかし重度の依存症となってしまうと、治療には時間と根気がいります。でもなにより、本人と家族が、依存症は病気であり、適切な治療をすれば治るのだ、ということをきちんと認識すること、認識できたなら、専門医に相談にゆこうという気になります。それが回復へのスタート地点なのです。

やめるために病院へ

医者

依存症は、先に述べたように現代では原因がはっきりわかっています。

脳内物質のバランスがくずれ、脳の仕組みがくずれてしまったから、依存症になっているのです。この状態で依存症の症状を抑えるには、依存している対象をなくす、抑制するしかありません。

しかし、単純に我慢する、抑制するだけでは、別の問題を引き起こす可能性も高く、取り返しのつかないことなってしまうかも知れないのです。治療には、依存しなくていい、依存しなくても大丈夫で居られる状態、通常の状態の脳に戻す必要があるのですが、そのための薬というのはありません。

やめる、我慢する をやめて病院へ

一人で抱え込まない、家族で抱え込まないでください。家族で協力し合うことは必要です。でもその協力は、我慢させたりさせられたりするものではなく、また、お金を貸し続けたりすることでもありません。

専門家に診てもらい、相談し、指導にそって根気よく治療をつづけることが、家族の協力なのです。

どんな治療をするのか

脳内物質のバランスがくずれ、脳のしくみが変わってしまうのが原因であるなら、脳内物質のバランスを戻せばいいじゃないか、と思われるでしょう。しかし、神経伝達物質のドーパミンもセロトニンも、その人の脳で作られなければ役目を果たしてくれません。ということは、服薬治療はできないのです。また、特効薬というのもないのが現状です。

つまり、結局は対象となるものを断つしかないのです。

依存している対象のものを断つと、禁断症状とよばれる(離脱)という症状が出てきます。それを乗り越えてはじめて、依存症を克服することができるのです。禁断症状が出なくなった時点で、脳は通常の状態に戻ったことを示します。しかし、一度依存症になると、ストレスがきっかけでまた同じものに依存してしまうこともあります。

この長い道のりを乗り越えるには、本人の意思も強くなければなりませんが、脳の仕組みが変わってしまっている状態と闘うのは並大抵のことではありません。周りの支えがあってはじめて、乗り越えられることだと思います。

禁断症状を軽くするために

治療の中で一番辛いのが、禁断症状だと思います。禁断症状を少しでも軽減するのに、悪影響を及ぼさない趣味を見つけて打ち込んでみたり、他の人と励まし合うということが、効果的だとわかっています。

依存症を克服した人の話を聞いて参考にするのも、克服方法の有効な手立ての一つと言われています。

思い切って一歩を踏み出しましょう

ギャンブル依存症の専門外来をもつ病院もありますし、診療に関しては病院には守秘義務がありますから、保険証を使っても、誰がどの病気であるということが会社にばれたりすることはありません。心配な場合、病院にそのことを確認するとよいでしょう。

医師に相談することで、依存症から離脱しようとするときのイライラや付随する精神不安定などに関しても診察してもらい薬を処方してもらうなど出来、個人や家族で抱えてしまって苦しむよりずっと効果的に回復への道を歩めることでしょう。

まとめ

愛

ギャンブル依存症だけでなく、脳の仕組みになんらかの異変がおこり障害となる病気は沢山あります。しかし、そのほとんどが原因がわかっていません。脳神経内科、精神神経科の分野では、日本はが後れをとっているのも事実かもしれませんが、脳の中のことはまだまだ、分からないことだらけなのです。そんな中でも、依存症については、はっきりと原因がわかっています。これは、幸運なことだと思います。

依存症になったのは、心が弱いからでも、わがままだからでもありません。ストレスがきっかけで、脳内物質のバランスがくずれただけです。どうぞ、一人で悩まず、また、家族の方も一緒に、病院へ行くその一歩が、回復への一歩となりますように。

  
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