醜形恐怖症とはどんな病気?症状や原因、リスクについて知ろう!チェック方法は?

あなたは自分の容姿に自信がありますか?改めて聞かれると、なかなかイエスと答えられる人は少ないかも知れませんね。

人間誰しも、少なからず欠点やコンプレックスを持っているものです。「鼻がもっと高かったら」「足がもっと長かったら」など、人と比較して他人をうらやんだり、ないものねだりをしてしまうものですよね。これ自体は、とても自然なことです。

しかし、自分の容姿を気にしすぎるあまり、外へ出ることができないのなら、それは醜形恐怖症かも知れません。

醜形恐怖症とは

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醜形恐怖症とは、自分は人より見た目が劣っている、自分の容姿のせいで周りに迷惑をかけている、と思い込む病気です。

病気でなくても、容姿に自信を持てない人はいますよね。むしろ、自分の容姿に100%満足している人の方が少ないでしょう。しかし、醜形恐怖症の人とそうでない人では、明らかな違いがあるのです。では、その見分け方とはどのようなものなのでしょうか。

自分の顔に点数をつける

満点を100点として、自分の顔が一体何点だと思うかを答えてもらう方法です。点数の内訳は以下のようになります。

  • 100点:誰もがうらやむ美男美女
  • 50点:平均的な顔
  • 0点:平均以下の醜い顔

さて、注目すべきは、その答え方です。通常であれば、最低点を0点、最高点を100点として、その範囲内で答えますよね?

ところが、醜形恐怖症の人は、この範囲に収まりません。「マイナス50点」など、指定された範囲を超えてマイナスの評価をつけてしまうのです。それほど自分の顔を過小評価している、ということが伺えますね。異常なまでに自分は醜いのだと思い込むのが、この病気の特徴です。

醜形恐怖症の原因

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醜形恐怖症は、近年になって増加傾向にあると言われています。それはなぜなのか?原因として挙げられるのが、SNSへの自撮り写真の投稿です。今や、誰でも簡単に自撮りを投稿できる時代ですよね。気軽にできるため、瞬く間に広がり、当たり前の習慣として行っている人も多いでしょう。

しかし、この自撮り投稿によって、自分と他人の比較が容易にできるようになりました。いつでもどこでも、他人と自分を比較してしまう機会が増えたというわけですね。

強迫観念

これは、ロンドンで行われた研究により分かってきたことなのですが、醜形恐怖症を患う人のうち3人に2人が、SNSへの自撮り写真の投稿に対して、強い義務感を持っていたようです。

「SNSに自撮り写真を投稿しなければ」という強い衝動、つまり強迫観念があると考えられます。SNSが一因となって醜形恐怖症になったにもかかわらず、それでもなお投稿への強い使命感があるために、さらに症状が悪化するという負のサイクルに入ってしまう人は多いようです。

今や、SNSに自撮り写真を投稿することが当たり前の時代だからこそ、こうした強い思いに苛まれる人が多いのは致し方ないことなのかも知れません。ある意味、現代ならではの病気とも言えそうですね。

セロトニン機能の異常

上記のような精神面での問題以外に、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」が正しく機能していないことも、醜形恐怖症の原因だと言われています。

特に自分の身体について人から刺激されたり、自分で醜いと感じてしまうような要因がない場合は、セロトニンの異常を疑うことができます。

対人恐怖症との違い

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対人恐怖症の症状にも醜形恐怖症があるようですが、対人恐怖症のそれとは明らかに違うようです。

対人恐怖症の場合は、自分の身体の醜さに対する恐怖より、人と対面することへの恐怖ですが、純粋に醜形恐怖症の人は、自分が醜いと思っているパーツが気になるだけであって、対面自体に恐怖はありません。もちろん、醜さを気にするあまり人と対面できなくなる、ということはありますが。

また、対人恐怖症から併発する醜形恐怖症の場合は、自宅などで過ごしていて、人と合わない時には、醜さへのこだわりは薄れるようです。そのため、ほかのことに集中することができますが、純粋な醜形恐怖症の場合、1人でいても醜さへのこだわりが消えることはありません。決して人の目を気にしているわけではない、というのが、対人恐怖症との違いです。

醜形恐怖症の人は、誰も見ていなくても、1日中鏡を眺めては気になるパーツに意識を集中し続けてしまうのです。

醜形恐怖症の症状

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では実際、醜形恐怖症にはどのような症状があるのでしょうか?醜形恐怖症は、他人からするとおよそ理解できないレベルで、自分の身体への劣等感がある病気です。詳しく症例を見ていきましょう。

自分の欠点を徹底的に隠す

たとえば写真を撮る時、誰しも多少はきれいに見えるように気を付けますよね?

しかし、醜形恐怖症の人はこだわりが尋常ではないため、自分の欠点が映らないよう、角度や見え方を異常に気にかけ、何時間も撮り直し続けるのです。これでは、本人も周りも疲れてしまいますよね。

サングラスなしで外出できない

目に強いこだわりがある場合、自分の目を隠せるサングラスがないと外出をすることができません。いつでもどこでも、目を隠して生活することになるのです。

気にするあまり手術をしてしまう

たとえば、髪の生え際にこだわりがある場合、あまりにも生え際が醜くて外出できない、という理由で手術してしまうケースもあると言います。「生え際くらいで手術なんて・・・」と驚かれるかも知れませんが、本人は必死なのです。

もし、あなたの周りに、執拗に外見にこだわる人がいたら、醜形恐怖症かも知れません。常識で理解できる範囲を超えているのが、大きな特徴です。

醜形恐怖症に多い3つのパーツ

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醜形恐怖症は、ある特定の身体のパーツに対して強いこだわりを持つものですが、その代表的なパーツについてご紹介しましょう。

髪の毛

毛髪はそのスタイルや生え際などで印象がガラっと違ってしまいますから、やはり気になる方は多いようです。

髪の毛というのは帽子などでもまるっきり隠すのは難しいですから、悩みを抱える人にとっては辛い問題ですよね。

鼻の形・肌

次に多いのが、鼻の形や肌です。やはり顔に気になるパーツが集中していますね。顔は隠しにくいですし、人と会う時、1番に目が行く場所ですから、どうしてもこだわりが強くなってしまう人は多いようです。

また、鼻の場合はマスクで隠すことができますが、肌となると顔以外にも腕や首、足など様々な部位がありますから、すべて隠すのは至難の業です。

醜形恐怖症のリスク

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これは、突然起こることもあると言います。昨日まで何とも思わなかった身体のパーツが、ある時突然、猛烈に気になって頭から離れなくなる・・・それが醜形恐怖症です。

1度気になり出したらほかのことに集中できなくなってしまうため、日常生活や学校、職場などの社会生活にも支障を来しかねない、厄介な病気です。

症状が進むと、学校や職場での様々な出来事にも支障を来しますから、人間関係もスムーズにいかなくなるでしょうし、何より本人が辛くて外出できなくなります。そうして、社会生活からフェイドアウトしてしまうだけでなく、最悪の場合、自殺をしてしまうリスクさえあるのです。

もしもあなた自身や、周りに醜形恐怖症を疑われる人がいたら、放置せず、早めに専門機関で診てもらうことをオススメします。

醜形恐怖症のチェック方法

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しかし、醜形恐怖症には簡単なチェック方法があります。気になる方はチェックしてみましょう。方法は非常に簡単です。

  1. 有名人の顔写真を用意する
  2. それを逆さまから見て、誰だか答える

たったこれだけで、醜形恐怖症かどうか判断することができると言います。しかし、これは目安ですから、判断はきちんと医師の診断を受けてからにしましょう。

さて、これで一体何が分かるのか?というと、逆さまから見て誰だかすぐに分かった人は、醜形恐怖症の可能性が高いと言えます。

人は通常、他人の顔を理解する時、全体の構造を掴んでから判断することが多いためです。全体の構造というのは上下逆さまにすると非常に掴みにくくなりますよね?一方、醜形恐怖症の人は顔全体というより固有のパーツにこだわりがあるため、パーツを見て個人を判断するのです。パーツは上下逆さまにしてもそれほど特徴が変わらないので、反対向きにした顔でも、誰だかすぐに判別がつく、というわけです。

もちろん、これは1つの判断基準ですから、これだけで醜形恐怖症だと断定されるわけではありません。しかし、そういう傾向がある、ということは理解しておくとよいでしょう。

醜形恐怖症になりやすい人の特徴

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さて、ここまで醜形恐怖症の症状や特徴、判別方法などについてお話ししてきました。ここでは醜形恐怖症になりやすい人の特徴についてお話ししていきましょう。

多感な年頃

年齢で言うと、15~19才くらいが多いようです。この年頃は中学生~高校生にかけて、最も多感になる時期ですから、周りの目も気になりますよね。

ファッションやメイクなど、きれいになることに興味を強く持ち始める年齢でもあります。その分、他人と比較して落ち込んだり、コンプレックスを感じたりして、醜形恐怖症のリスクが高くなるようです。

30代の男性

男性の場合は、薄毛や体形などが気になり始める年齢に多いようです。頭髪は人目につきやすいですし、ケアしても効果が現われるまでは辛いですよね。

また、20代の頃と比べると贅肉がつきやすくなる年齢なので、メタボなどが気になり始める人も多いでしょう。だからこそ、醜形恐怖症のリスクが高くなると考えられているのです。

美貌に恵まれている人

いわゆる顔面偏差値の高い人です。誰が見てもうらやむような美男や美女など、平均以上に整った顔立ちの人は、醜形恐怖症になりやすいと言われています。

整った顔立ちをしているのに不思議に感じるかもしれませんが、平均以上の顔立ちの人は、自意識も強いことが多いですし、周りの注目も集めやすいですよね。もともと評価が高いため、少しでも衰えるとマイナス評価を下されてしまい、現状維持だけでも大変そうです。

きれいな人にはきれいなりの悩みがあるのですね。

見た目レベルと自殺の関係

実は、見た目レベルの高い、いわゆる美人には自殺のリスクが高いと言われています。具体貞には、顔レベルを10段階に分けた場合、7~8レベルの人が最も自殺のリスクが高いと言われています。

また、レベル10の人や、レベル1の人の自殺リスクは少ないようですね。完璧な美を持つ人は、やはり幸せ、ということでしょうか。また、レベル10に遠い人の場合は、かえって自由に人生を楽しめるのかも知れません。あと少し理想の美を手に入れられる、レベル7~8くらいの人の方が様々な苦悶があるのでしょう。美しいというのも悩み多きものなのですね。

醜形恐怖症との向き合い方

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すでに挙げたように、醜形恐怖症になりやすい人は美へのこだわりが強く、コンプレックスや悩みを抱えていることが多いようです。さらに悪いことに、醜形恐怖症になりやすい人の多くは、自分が大きなストレスを抱えていることに気付いていません。その見えないストレスが顔や身体への不満に変わり、醜形恐怖症を引き起こしてしまうのです。

また、自己肯定感の低さも発症のリスクになります。幼少期、親との関係が上手くいっていなかったり、愛情不足だったりした人は、自分の評価を必要以上に下げてしまうことで、外見に自信がなくなり、醜形恐怖症になってしまいやすいようです。

自己肯定感を得るためには、自分に守れるものなど、「何かしてあげなければ」と強く感じることのできる存在が必要なようです。自分の存在意義を見いだせることが、とても大切なのですね。

醜形恐怖症の治療法

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では、醜形恐怖症を治療するためには、どのような方法があるのでしょうか?

薬による治療

薬による治療では、主にSSRIを使用します。これはセロトニン再取り込み阻害薬のことで、醜形恐怖症の原因の1つにセロトニンの機能異常があるためです。
薬の種類としては、

  • ルボックス(デプロメール)
  • パキシル
  • ジェイゾロフト
  • レクサプロ

などが日本で認可を受けています。
場合によっては、SRI(セロトニン阻害薬)としてアナフラニールという薬が使用されることもあり、こちらも効果があるとされます。

薬物治療では効果が出ない人も中にはいますが、60~70%の人がSSRIで効果が出ているようです。

認知行動療法

方法としては、完璧主義者や自己否定の強い人に対して、少しずつ柔軟な考えをできるように働きかけるというものがあります。醜形恐怖症は心の問題が主ですから、考え方を変えることで、症状を改善してゆくという方法です。

また、曝露反応妨害という方法もあります。これは、患者本人が避けてきたこと(隠したいこと)に少しずつ触れていくことで、その刺激に慣れさせるという治療法です。「不安階層表」というもので患者の不安の階層を作り、段階的に不安や不快に感じることを体験してゆくのです。

たとえば、人目につかないように隠していた身体の部位を露出させて外出するなどがそれに当たります。

整形手術

これは直接、気になる部分を整形することで解決を図る方法ですね。実際、整形手術を受けることで強迫観念が減り、症状が改善されたというデータもあるようです。

ただし、醜形恐怖症は心の問題ですから、たとえ整形で気になるところを直したとしても、また別の部分が気になり始め、整形を繰り返すことになる可能性もあります。整形手術が醜形恐怖症の根本的な解決法ではない、ということを、十分に理解しておきましょう。

カウンセリング

醜形恐怖症は、自分の醜さや悩みを、周囲に理解してもらえずに苦しむことが多いです。だからこそ、カウンセリングで話を聞いてもらうことで、独りで抱えている悩みから少しでも開放されるように図る方法です。

人に話を聞いてもらい理解を示してもらうことで、気持ち的にかなり楽になるでしょう。

ペットを飼う

既に述べたように、醜形恐怖症の人は自己評価が著しく低いため、自分を認めることができません。ですから、ペットのように、自分が世話をしてあげなければいけない存在と共に過ごすことで、自己評価の改善を図る方法です。

自撮り写真を撮る

SNSへの自撮り写真の投稿が醜形恐怖症の原因の1つであることは、すでにご紹介しましたね。ですから、自撮り写真を撮るのは逆効果のように思われるかも知れませんが、「自分は醜くない」「大丈夫だ」と繰り返し確認することで、症状を改善しようという考え方もできるのです。

ただし、行う前にきちんと医師に相談しましょう。治療方針をきちんと決めて、無理なく進めていくことが大切です。

まとめ

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醜形恐怖症の人は、最低でも1日1時間、平均的には3~8時間ほどの間、自分の症状と向き合っているそうです。長時間、気になる部位を眺めたり、少しでもきれいに見える角度を探したり…鏡を気にして、人の目を気にして、自分の外見ばかりに気を取られているのはとてもしんどいことですよね。

また、人に話しても「そんなことないよ」「かわいいよ」など言われるばかりで認めてもらえなければ、ますます苦しくなってしまいます。最終的には自ら命を絶ってしまう危険すらある醜形恐怖症は、独りで抱えていても何も解決しません。

追い詰められてしまう前に、早めに医師の診断を仰ぎましょう。あなたが1日も早く、前向きで幸せな日々を送れることを願っています。

  
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