人間の脳が右脳と左脳の二つに分かれていることは、ほとんどの人がご存知でしょう。そして、右脳が主に感情・直感・感性といった感覚的分野を司り、左脳が主に論理・計算・言語といった思考的分野を司る、とされています。また、右脳は左半身の運動を司り、左脳は右半身の運動を司る、ということも良く知られている事実です。
これらを踏まえつつ、世の中の人たちの大部分が右利きであって、しかも日本の教育システムが主に論理・計算・言語といった左脳分野を中心に据えていることも併せて考えると、日本人の多くは左脳分野が優位となっていると言えるでしょう。
しかし、今や論理・計算といった分野はコンピューターに置き換わり、一般的な人の能力では敵わなくなっています。それゆえ、近年はコンピューターに置き換えることのできない右脳分野の創造的な能力が求められつつあり、今後もその流れが加速するでしょう。つまり、右脳を鍛える必要性が高まっているのですね。
そこで今回は、右脳と左脳の働きを整理した上で、右脳を鍛える必要性とメリット、右脳を鍛える方法などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
右脳と左脳の働きについて
そもそも右脳と左脳は、どのような働きをしているのでしょうか?右脳を鍛えるメリット、右脳を鍛える方法などを理解するには、右脳と左脳の働きについて知っておく必要があるでしょう。
そこで、まずは右脳と左脳の働きについて、ご紹介したいと思います。
右脳の働き
右脳は、主に感情・直感・感性といった感覚的分野を司ると言われています。具体的には、主に次のような事柄や物事について右脳の働きが大きく影響していると考えられています。
- 喜怒哀楽などの感情
- 感性、感受性
- 閃き(ひらめき)、直感力
- イメージ記憶(映像記憶)
- 想像力
- 空間認識能力、図形の認知
- 創造性、創造力
- 芸術性、芸術的感覚
- 同時的情報処理
左脳の働き
左脳は、主に論理・計算・言語といった思考的分野を司ると言われています。具体的には、主に次のような事柄や物事について左脳の働きが大きく影響していると考えられています。
- 言語能力(話す・読む・書く・言葉の認識)
- 論理的思考力
- 分析的思考力
- 推測、推論
- 計算能力
- 数理的理解力
- 理性
右脳・左脳論における注意点
このように記述すると、あたかも言語や計算をしている時は左脳しか働かず、音楽などの芸術活動をしている時は右脳しか働いていない、と考えがちです。つまり、論理・計算・言語といった思考的分野は左脳だけが処理して、感情・直感・感性といった感覚的分野は右脳だけが処理している、と誤解してしまうのですね。
しかし、例えば芸術家が芸術活動をしている時、右脳だけが働いているかというとそうではなく左脳も働いています。つまり、人間の脳は右脳も左脳も一体となって、その能力が発揮されているわけです。
ですから、あくまでも思考的分野の中枢が左脳にあって感覚的分野の中枢が右脳にあるにすぎず、右脳と左脳の役割が明確に分かれているわけではない点には注意が必要です。
ちなみに、このような右脳と左脳を一体的に働かせるポイントになるのが、右脳と左脳をつなぐ神経線維の束である脳梁(のうりょう)です。
右脳を鍛える必要性とメリット
それでは、このような右脳と左脳の主な働きを踏まえて、右脳を鍛えることについて、どのような必要性があるのでしょうか?また、右脳を鍛えることに、どのようなメリットがあるのでしょうか?そこで、右脳を鍛える必要性とメリットについて、ご紹介したいと思います。
右脳を鍛える必要性
前述のように、右脳が主に感情・直感・感性といった感覚的分野を司り、左脳が主に論理・計算・言語といった思考的分野を司る、とされています。加えて、右脳は左半身の運動を司り、左脳は右半身の運動を司る、ということも良く知られている事実です。
そして、世の中の人たちの大部分が右利きであって、しかも日本の教育方法は主に論理・計算・言語といった左脳分野を中心に据えています。ということは、多くの人が左脳分野を主に使うことが習慣になっていると言えるでしょう。
しかしながら、今や論理・計算といった分野はコンピューターに置き換わり、その情報処理能力に一般的な人の頭脳では敵わなくなっています。実際に、今まで人間が担ってきた事務処理なども、コンピューターに任されるようになっています。
そのため、近年はコンピューターに置き換えることのできない右脳分野の創造的な能力が求められつつあり、今後もその流れが加速するでしょう。ですから、右脳を鍛える必要性があるのですね。
右脳を鍛えるメリット
前述のように、多くの人が左脳分野を主に使うことが習慣になっている左脳派ならば、多くの人にとって右脳には未だ潜在能力があると言えます。そして、右脳を鍛えることによって右脳と左脳をバランス良く活用できれば、新たな能力開発につながる可能性があるのです。
記憶能力が向上する
何かを記憶するときに、言葉や文字で順序立てて覚えるのが左脳記憶であるのに対し、絵やビジュアルによって瞬間的に覚えるのが右脳記憶です。誰しも経験があると思いますが、勉強・学習で知識を言葉や文字だけで覚えるよりも、補助的に挿絵や図表があったほうが覚えやすく記憶の定着も進みます。
このようなイメージで覚える右脳記憶のことを、イメージ記憶(映像記憶)と言います。そして、このイメージ記憶力(映像記憶力)は記憶の定着度や記憶容量などの点で非常に優れているのです。ですから、右脳を鍛えることによって、記憶力が向上する可能性があるのです。
判断能力が向上する
前述のような右脳分野を利用したイメージ記憶は、無意識的に沢山の情報を脳に蓄積しています。様々な経験や目から入る映像が、自分が意識しようとしまいと脳に蓄積されているのです。そのようにして蓄積された情報が、時として直感や閃きにつながり、判断力の正確性向上やスピードアップにつながるのです。
この点、左脳分野における論理的な判断は、自分の意識下にある情報しか用いることができません。意識下の情報に不足や偏りがあると判断ミスにつながりやすく、また順を追って考えるために判断スピードも鈍ります。
ですから、右脳を鍛えることによって、判断力が向上する可能性があるのです。
創造性や芸術性の向上
右脳は、主に感情・直感・感性といった感覚的分野を司ると言われています。右脳が活性化すれば、想像力が豊かになり、感性・感受性が磨かれ、前述のようなイメージ記憶の蓄積から閃きや直感も鋭くなります。そのため、発想力や創造性が向上して、クリエイティブな能力や芸術的感覚も向上します。
ですから、右脳を鍛えることによって、創造性や芸術性が向上する可能性があるのです。
右脳を鍛える方法
このように右脳を鍛えることによって右脳と左脳をバランス良く活用できれば、様々なメリットや効果が期待できるのです。それでは、右脳を鍛えるには、どのようにすれば良いのでしょうか?そこで、右脳を鍛える方法・右脳のトレーニング方法について、ご紹介したいと思います。
意識して左手を使う
右脳トレーニング法の一つとして有名なのが、日常生活において意識して左手を使うことでしょう。
世の中の人たちの大部分が右利きですから、基本的に何をするにも右手を使います。そこで、敢えて左手を使って日常生活をすることによって、右脳を刺激することができるのです。左手で箸を持ってみるなど、普段右手で実施していることを左手で挑戦してみると良いでしょう。
読書をする
右脳を鍛えるには、読書をすることも有効だとされています。
本を読むということは、ストーリーを頭の中で想像することが必要になります。それゆえ、読書には、右脳を働かせて想像力を豊かにする効果があるのです。子供の早期教育や幼児教育で、絵本の読み聞かせが推奨されているのも同じ理由からです。
算盤を使う
エクセルなどの表計算ソフトや電卓があるので目にする機会が減った算盤ですが、右脳を鍛えるには非常に効果的とされています。
算盤で計算をする際には、算盤のコマを手ではじくとともに、頭の中でイメージ処理・映像処理もなされています。そのため、算盤に熟練していくと暗算力が向上します。
本来、計算や数理処理は左脳分野が中心となるのですが、右脳を効果的に使うことによって、暗算のスピードが飛躍的に高まるのです。テレビ番組で、フラッシュカードを使ったフラッシュ暗算をしている場面を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
新しいことにチャレンジする
今までに経験したことのない新しい物事にチャレンジすることも、右脳を活性化させる方法の一つです。
すぐに何かの結果につながるわけではありませんが、様々なことにチャレンジして沢山の経験を積むことは、イメージ記憶の蓄積になり、閃きや直感あるいは発想力の源泉になります。色々なことに興味や関心を持って挑戦してみると良いでしょう。
その他の右脳を鍛える方法
これらの他にも右脳を鍛える方法は、いくらでもあります。
例えば、速読術は右脳分野のイメージ記憶(映像記憶)を利用することで有名です。速読の教材や速読術トレーニングソフトなども市販されていますので、興味のある方は購入して試してみるのも良いでしょう。
また、音楽を聴いたり、楽器を演奏することも右脳を活性化します。球技などのスポーツも空間認識力や瞬間の判断力が求められ、右脳を活性化させます。
まとめ
いかがでしたか?右脳と左脳の働きを整理した上で、右脳を鍛える必要性とメリット、右脳を鍛える方法などについて説明してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?
テクノロジーが高度に発達した現代にあっては、従来求められていた左脳分野に関わる仕事がコンピューターにとって代わられ、人間でなければできない右脳分野に関わる仕事が増えています。だからこそ、改めて右脳分野を鍛える必要性が生じていると言えるでしょう。
本記事でも、右脳を鍛える複数の方法を紹介しましたが、右脳を鍛える方法はそれらだけではありません。他にも様々な方法がありますから、色々と調べて、どんどんと挑戦してみましょう。
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