何故だかわからないけれど頭が働かない。毎日気分がすっきりとしない。思うように仕事ができない。近頃やけ食いをしてしまう。など、そんな日々をみなさんは過ごしていらっしゃいませんか?
それはもしかしたら、あなたの脳が疲れから悲鳴をあげているからかもしれません。
脳が、さまざまなストレス要因により正常に機能しなくなり、脳内の伝達動作が低下していくことを脳疲労と言います。
まずは、脳疲労の症状とその原因、そして解消法について紹介します。どうして頭が働かないのか、その原因を知って対策に繋げていきましょう。
脳疲労について
脳疲労が起きている原因や症状などについて診ていきましょう。当てはまる原因が無いかどうか確認してみてください。
脳疲労は些細な事が原因となってしまうので、見落としがちです。まずは症状の原因を明らかにすることが重要ですのでセルフチェックしてみましょう。
脳疲労の症状と言っても生活習慣の違いや抱える問題により人それぞれですが、脳の働きが鈍り、物事に対する理解力、注意力、思考力、集中力、記憶力、気力、判断力などの低下が生じてきます。
脳疲労の原因
原因には様々な要因があげられます。
電子機器の長時間の使用
まずは、多くの情報で溢れかえった世界で生活する私達にとって、パソコンやスマートフォンなどの電子機器の使用などにより、電磁波の影響で脳が疲労するリスクがより高くなってきているということです。
電磁波だけではありません、多くの情報を処理し考察するという作業は、脳をフル活動させるということです。そのためには、酸素や栄養を脳へと送り込まねばなりません。頭に血液が多く送り込まれると脳内の温度が上がり、正常な脳の働きを妨げることになるのです。
さらに日常パソコンなどのスクリーンを長時間見る事により、皆さんは目だけを酷使していると勘違いされているかもしれませんが、実は目で見たものは網膜に写されてはいるものの、それを映像として認識する場所は、「脳」なのです。ですから、一日中コンピューターの前で仕事をするということは、目だけではなく、脳も酷使しているということなのです。
人間関係
また、職場、家庭での悩み事、心配事などが度々重なると、脳にストレスが溜まり、脳の働きが鈍くなっていきます。
簡単に言うと、脳を使いすぎることにより、脳の回復が追いついていってない状態に落ち入るのです。例えば、痩せたいからダイエットしないといけない、でも美味しいケーキも食べたい、そう言った欲求を我慢することも脳疲労の原因になります。
様々なストレスがもたらす精神的影響、生活習慣の乱れなども原因の一つです。
睡眠不足
人間の脳は睡眠している間に脳に詰め込んだ情報を整理しています。
人間は日中活動している時には膨大の量の情報を脳に送っています。必要な物から不必要なものまですべてを記憶し、無意識に脳に詰め込んでいる状態です。
この情報を脳神経が睡眠している間に整理して必要なものはしまって、不必要なものは削除したりして容量が一杯にならないようにしています。また、記憶神経ではなく運動神経などに移動させることで無意識にその情報を引き出せるようにするなどして、情報がスムーズに反映されるようにするという働きをしています。
睡眠によって記憶力の向上や、パフォーマンスの向上が実際に研究で確認されています。
睡眠不足によって感じるストレスが増加することも確認されているので、より脳疲労が引く席しやすくなる原因になります。
脳の栄養不足(エネルギー不足)
脳のエネルギーになっておるのはアミノ酸です。
赤身のお肉などに多く含まれている動物性タンパク質から取れるアミノ酸が必要になります。
アミノ酸は脳だけのエネルギー源ではありません。筋肉や細胞を作る上では欠かせない存在になります。ですが、脳へのアミノ酸の供給が優先的に行われ、そのかわり身体は疲れやすくなります。
それでも脳へのアミノ酸の供給が低下すると、脳が活動を省エネモードに自動的に切り替えて運転するようになります。
そうなると、脳のパフォーマンスは一気に低下し、脳が働かなくなります。これによって疲労感や倦怠感を感じやすくなります。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れることで脳の働きは低下します。ホルモンは脳の神経伝達部室でもあります。ドーパミンや、アドレナリンやノルアドレナリンなどはホルモンの分泌によって発生する物質になります。
ホルモンはストレスなどの影響を受けて分泌されたり、減ったりします。
ストレスがかかると増えるホルモンは副腎皮質ホルモン、アドレナリンがあります。逆にストレスによって分泌量が低下するホルモンは、インスリンや性ホルモン。
これによって交感神経や副交感神経の乱れに繋がり、脳の働きに影響を及ぼしたり、不整脈、糖尿病などの生活習慣病にもつながる身体の異変が発生するようになります。
セロトニン不足
幸福ホルモンとも呼ばれるセロトニンが不足していることで、鬱になりやすい落ち込みやすいなどの心因的なトラブルが発生していることが明らかになっています。
脳内物質のセロトニンはドーパミンなど他の脳内物質の興奮作用や衝動作用などを適度に抑えたり、体内時計を保ったり、痛覚の抑制、記憶力や学習能力や運動能力の向上、呼吸の安定など多くの働きをしている物質になります。
このセロトニンが不足すると、切れやすくなったり、鬱や躁の症状になりやすくなります。
不眠症、集中力の低下、鬱などの症状にはセロトニンの分泌量が大きく関わっています。日本人は欧米の人間に比べて脳内のセロトニンの分泌量が元から少ないという傾向を示しており、不安を感じやすく、楽しいと感じることが少ないという遺伝子傾向があります。
セロトニンが不足することで片頭痛が発生しやすくなる事も確認されています。
脳疲労の症状は?
例えば
- 何かをやっていてもなぜか考えがまとまらない
- よくミスをする
- 約束を忘れる
- 絶えず疲労感を感じる
- やる気がない
- コミュニケーション能力の低下
- 夜中に頻繁に目が覚め不眠気味
- 食欲の異常な減退又は増進
- 感情に乏しい
- 目の疲れを感じる、見えづらい
- うつ病
などの症状が出ます。
これらの症状が発生している場合は、上記の原因のいずれかが関係している可能性があります。問題が長期的に発生してしまえば、生活習慣病や精神疾患などの問題に発展しかねない症状になります。
甘く見ないようにしっかり対策して、脳疲労で脳が働かない問題を解消して行きましょう。
脳疲労の解消法
ストレスの溜まった脳を回復させるには、まず脳をリラックスさせる事を考えなければいけません。ここでは、いくつかの回復方法をご紹介します。
原因によって最も有効な手段を選択して、対処していきましょう。
即効性のある疑似回復
これは、疲労した脳を即効性を持って回復させる方法です。疲労を和らげたり、一時的に気力の回復を得られますが、脳疲労そのものの回復ではありません。
・安静にする
それでは、あなたの目の前の世界を少しの間だけでも遮断することにより、忙しく働きづめのあなたの脳の活動をまず減らしてみましょう。少しの間でいいのです、目を瞑って、まず大きく深呼吸をしてみましょう。大きく息を吸い込み酸素を脳に送り込むのです。もう少し時間がある方は、アロマの香りや、心が落ち着く静かな音楽などを鑑賞してみてください。
・コーヒーを飲む
コーヒーの香りには脳をリラックスさせ、脳疲労の回復を促し活性化させる効果があります。全てのコーヒー豆ではなく、人間がリラックスしている時に放出する脳波「アルファ波」が多く出たのは、グァテマラとブルーマウンテンです。
缶コーヒーを飲むのではなく、ひと手間かけることにより心の余裕を楽しみながら、抽出された香しいコーヒーの香りと味を楽しんで見て下さい。ゆっくりとコーヒータイムを楽しめない方、またコーヒーが嫌いな方には、その他のカフェインの入った飲み物、疲労回復飲料でも効果があります。
・首を冷やす
冷やした濡れタオルを首の頸動脈に当てると、脳に流れ込む血液を冷やし、脳内の温度が上昇するのを抑える事ができます。頭の中がすっきりとします。短時間のストレッチ、体操などの軽めの運動や散歩や、立ち作業でも効果があります。
・自然にとけ込む
疲れきった脳の緊張をほぐすには、自分自身を緑豊かな自然の中にとけ込ませ、その風景を眺め楽しむことも有効です。お昼休みには思いきってオフィスを抜け出し、近くの公園でお弁当を食べるのも、脳をリフレッシュさせる良い方法です。
・寝る
簡単なようで難しい回復方法ですが、一番の方法です。もちろん仕事中は無理でしょうが、少しの間でも、外の世界を遮断して脳に休息を与えて下さい。予想以上に効果的です。脳がリッラクスできれば、見えづらかった視界もはっきりとしてきます。
脳の疲れを取るために最も有効な睡眠は22時〜深夜2時の間での良質な睡眠です。この時間帯には最も成長ホルモンなどの脳の働きや身体の細胞の修復に必要なホルモンが分泌される時間帯です。
この時間帯にしっかり休んで副交感神経を働けせておく必要があります。なるべくこの時間帯に睡眠を取れるように生活のペース配分を決めて活動が出来ると、身体も脳もパフォーマンスが向上するでしょう。
飲食による回復
飲食により、脳疲労を回復させる方法です。
・飲む
一番手っ取り早いのは、水や温かい飲み物を飲む事です。私たちは忙しい日常生活で水分補給をついついおそろかにしがちです。脱水症状になると、脳に流れる血流が悪化します。特に温かい飲み物は、血液の循環をスムーズにさせたり、気分をリラックスさせる働きがあります。
・食べる
脳のエネルギーとなるのはブドウ糖です。ですから、疲労を感じた時には糖分を取ると良いといいますが、疲れを取るには、糖分だけでは効果がありません。脳が必要とする糖を食物から取出し、体内で使用できる形に変えて蓄え、必要に応じてエネルギーの元として血液に乗せて脳へと送り出す仕事は、肝臓の大事な役割の一つです。
ですから、甘いものだけではなく、肝臓の働きを手助けする食べ物や疲労回復に有効な栄養素を摂取することを考えなければなりません。
*疲労回復に効果のある栄養素
- ビタミンC …..赤ピーマン、ゆず(果皮)、焼きのりなど
- ビタミンB1…..豚ヒレ肉、豚もも肉、ボンレスハムなど
- ビタミン、ミネラル …..野菜、果物、海草類
- タンパク質 …..かつおぶし、するめ、焼き海苔など
- カルシウム …..干しえび、桜えび、プロセスチーズなど
- マグネシウム …..干しえび、あおのり(乾)、納豆など
- クエン酸 …..レモン、グレープフルーツ、いちごなど
- パントテン酸 …..鶏レバー(肝臓)、豚レバー(肝臓)など
*肝臓に良い栄養素
- ビタミンA …..レバー、うなぎなど
- ビタミンC …..ブロッコリー、かぼちゃなど
- ビタミンE …..ごま、うなぎなど
- ミネラル、ビタミン …..牡蠣、うなぎ、レバーなど
- たんぱく質 …. 大豆加工品、卵、乳製品など
- 食物繊維 …..きくらげ(乾)、ひじき(乾)、干しいたけなど
*必須アミノ酸の摂取
脳のや身体のエネルギーとして、人間の活動に欠かせないのに、自分の身体の中では生成できず食事によって摂取しなくてはいけないのが必須アミノ酸です。必須アミノ酸は全部で9種類存在します。
これを摂取するのに適している食材は以下の通りです。
- トリプトファン・・チーズ、バナナ、牛乳、大豆
- フェニルアラニン・・肉類、魚介類、卵、大豆食品、チーズ、アーモンド、ナッツ
- メチオニン・・牛乳、牛肉、羊肉、レバー、全粉小麦
- リシン(リジン)・・魚介類、肉類、レバー、卵、牛乳、大豆食品
- ロイシン・・牛肉、レバー、ハム、牛乳、プロセスチーズ
- イソロイシン・・子牛肉、鶏肉、サケ、牛乳、プロセスチーズ
- バリン・・子牛肉、レバー、プロセスチーズ
- トレオニン(スレオニン)・・卵、鶏肉、牛乳
- ヒスチジン・・豚肉、鶏肉、牛肉、チーズ(チェダー)
瞑想で回復
1日5分間〜30分間程度の瞑想をすることが睡眠の次に脳を休ませてパフォーマンスを向上させるために有効な対処法になります。
科学的根拠から期待できる効果は、寿命の長期化、記憶力の上昇、睡眠の質の上昇、ストレス解消、性格のポジティブ化があるとされています。
効果的な瞑想の方法は以下の通りです。
- 目を閉じてゆっくりと、深く長い呼吸で呼吸を行います。
- 座った状態で出来るだけ姿勢を整えて身体の力を脱力します。リラックスした状態で行うことが重要です。
- 目安は15分前後、最初のうちは5分程度の時間でも構いません。
- タイミングとしては、睡眠前の時間や仕事などで煮詰まった時間などに行うと効果的です。
瞑想の目的は何も考えないように考えすぎないようにすることです。あれこれ考えている状態はエネルギーを無駄に消費してしまうので、それによって集中力などが削がれてしまいます。
まずは呼吸や姿勢だけに集中することを目指しましょう。
これを毎日行うことで2ヶ月程から集中力の向上を実感できるようになるとのデータがあります。
まとめ
私達が日常の健康維持を考える上で、脳について心配することはめったにありません。目に見えたり、痛みを感じれば、それらへの対処も早くできますが、脳疲労の場合、そう深刻に考えない間に、症状が深刻化して行く場合があります。脳が正常に働いていれば、解決できる物事が脳疲労のためにそれが出来なくなっていることもあるのです。
何かおかしい、いつもと違うと感じたのなら、あなたの体が何らかのサインを出しているのでしょう。脳疲労とは、深刻化していくと心身のバランスの調整が取れなくなる怖い症状です。決して少し疲れているだけだと侮らず、心身をリラックスさせて、あなたにあった脳疲労の回復方法を探してみるか、医師に相談して、快適な生活を送って下さい。
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