「送る」の敬語表現を知ろう!尊敬語・丁寧語・謙譲語の使い分けを理解!

社会人には必要不可欠なビジネスマナーですが、そのビジネスマナーの中でも重要なものの一つが敬語です。敬語は聞き手や動作の相手に敬意を示すための言葉使い(言葉遣い)であって、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類に分類されるのが一般的です。

ビジネスシーンにおいては、会社の上司や取引相手など敬語を使う場面が多く、しかも尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けに悩まされることも少なくありません。加えて、「送る」という言葉については、メールや手紙・荷物・人など何を「送る」のかによっても言葉使いが変わってくる可能性があり、敬語の使い分けがより複雑になります。

そこで今回は、敬語の基本事項を改めて振り返った上で、「送る」の尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。

敬語の基本事項について

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誰しも敬語については、その種類や表現方法を学校で勉強しているはずです。にもかかわらず、多くの人が社会に出る際に、敬語の使い方について戸惑いを感じます。これは、学生生活の間は友達や家族との会話が多く、敬語を使うべき必要性が少ないからです。そこで、まずは敬語の基本事項について、改めて振り返ってみたいと思います。

敬語の種類

敬語の種類は、一般的に尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類とされます。

ただし、より詳細に5種類に分類する考え方もあります。その5種類とは、尊敬語・謙譲語・丁重語・丁寧語・美化語です。

本記事では、一般的な考え方にしたがって3分類を前提として説明しますので、その点には留意ください。

尊敬語

尊敬語(尊敬表現)とは、動作・行為の主体となる相手側を高めることにより、話し手の自分が相手側に敬意を示す言語表現です。

尊敬語で意識すべきポイントは、次の2点になります。

・尊敬語は、相手を持ち上げる・相手を立てる。

・尊敬語は、動作・行為の主体が相手側である。

つまり、尊敬語(尊敬表現)は、目上の人など敬意を示すべき人が動作・行為の主体である場面で用いられ、話し手が目上の人など「相手を立てる」ための表現方法なのです。

語形変化

尊敬語(尊敬表現)は、主に動詞・助動詞・形容詞が語形変化することによって成立します。また、名詞も尊敬語に変化することがあります。尊敬語の基本的な語形変化は、下記の通りです。

・動詞の語彙そのものが変化する (動詞「する」⇔尊敬語「なさる・される」)

・「お/ご … になる」 (動詞「待つ」⇔尊敬語「お待ちになる」)

・「お/ご … なさる」 (動詞「掛ける」⇔尊敬語「お掛けなさる」)

・尊敬の助動詞「れる、られる」がつく (動詞「待つ」⇔尊敬語「待たれる」)

・形容詞や形容動詞に接頭語「お・ご」がつく (形容詞「忙しい」⇔尊敬語「お忙しい」)

・名詞に接頭語「お・ご・御・貴・尊」などがつく (「お車」・「ご亭主」・「貴社」など)

謙譲語

謙譲語(謙譲表現)とは、動作・行為の主体で話し手でもある自分側を低めることにより、結果として聞き手や動作・行為の相手側を上位の存在として敬意を示す言語表現です。

謙譲語で意識すべきポイントは、次の2点にになります。

・謙譲語は、自分がへりくだる・自分を下位の存在とする。

・謙譲語は、自分側が動作・行為の主体である。

つまり、謙譲語(謙譲表現)は、自分側が動作・行為の主体である場面で用いられ、自分側がへりくだることによって、結果として相手を上位の存在として敬う表現方法なのです。

語形変化

謙譲語(謙譲表現)は、主に動詞が語形変化することによって成立します。また、名詞も謙譲語に変化することがあります。謙譲語の基本的な語形変化は、下記の通りです。

・動詞の語彙そのものが変化 (動詞「する」⇔謙譲語「いたす」)

・「お/ご … する」 (動詞「待つ」⇔謙譲語「お待ちする」)

・「お/ご … いたす」 (動詞「連絡する」⇔謙譲語「ご連絡いたす」)

・「お/ご … いただく」 (動詞「掛ける」⇔謙譲語「お掛けいただく」)

・名詞に接頭語「粗・愚・拙・弊」などがつく (「粗茶」・「愚妻」・「弊社」など)

丁寧語

丁寧語とは、話し手が聞き手に対して敬意を示し、物事を丁寧に伝えるための意味合いも含む言語表現です。

丁寧語は、基本的に文末や語尾に「です」・「ます」・「ございます」をつけることにより、丁寧語となります。

「送る」の尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分け

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それでは、このような敬語の基本事項を踏まえた上で、どのように「送る」という言葉の敬語を使い分けるのでしょうか?そこで、「送る」の尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けについて、ご紹介したいと思います。

「送る」の意味

「送る」という言葉の意味について、いくつかの国語辞典を調べてみると、概ね次のような意味があることがわかります。

・(物・情報などを)他の地点に移動させる。届ける。

・(気持ち・考え方を)相手に伝える。

・(人を)ある場所に行かせる。派遣する。

・去り行く人に途中または目的地までついていく。去り行く人を見送る。

・時を過ごす。

このように「送る」という言葉には、多岐にわたる意味がありますので、敬語の使い分けがより複雑になり注意が必要です。

「送る」の尊敬語

「送る」の尊敬語は、前述した尊敬語の語形変化を踏まえると、次のような2種類になります。

・「お送りになる」 (「お/ご … になる」)

・「送られる」 (尊敬の助動詞「れる、られる」がつく)

具体的な例文

例えば、「課長、先方へ請求書をお送りになりましたか?」という場合、話し手である自分が上司である課長に対して質問をしています。この点、取引先へ請求書を「送る」動作の主体は課長であり、話し手である自分は課長に敬意を示しつつ質問をする必要があります。そのため、尊敬語の「お送りになる」を用いているのです。もちろん、「課長、先方へ請求書を送られましたか?」でも問題ありません。

尊敬語で注意すべき二重敬語

このような「送る」の尊敬語(尊敬表現)では、二重敬語に注意しなければなりません。

二重敬語は同じ種類の敬語を重ねて使うことを言い、日本語の使い方としては間違いとなります。そして、二重敬語は特に尊敬表現で発生しやすいとされます。

例えば、前述の具体例で「課長、先方への請求書をお送りになられましたか?」と言ってしまうと、二重敬語になって間違いです。間違いの理由は、「お送りになる」という尊敬語と尊敬の助動詞「れる・られる」を重ねているからです。

たしかに、二重敬語の例のほうが丁寧な文章表現に見えます。しかし、二重敬語は間違った用法であって、時として慇懃無礼な印象を与えかねませんの避ける必要があるでしょう。

「送る」の尊敬語の言い換え

前述のように「送る」という言葉には、多岐にわたる意味があります。そのため、敬語の使い分けがより複雑になり注意が必要です。そこで、「送る」という言葉を、より一義的な言葉に言い換えて尊敬語にする方法もあります。

たとえば、荷物を「送る」のであれば、「郵便物として発送なさってください」あるいは「郵送なさってください」と言い換えると分かりやすいでしょう。また、人を目的地まで「送る」場合は、「〇〇まで、お連れします」と言い換えてみても良いかもしれません。

「送る」の謙譲語

「送る」の謙譲語は、前述した謙譲語の語形変化を踏まえると、次のような2種類になります。

・「お送りする」 (「お/ご … する」)

・「お送りいたす」 (「お/ご … いたす」)

具体的な例文

例えば、「先ほど、見積もり書類と資料一式をメールの添付ファイルにてお送りいたしました」という場合、話し手である自分が上司に報告しています。この点、メール・添付ファイルを「送る」動作の主体は自分であり、動作の相手で聞き手の上司に敬意を示しつつ報告をする必要があります。そのため、自分がへりくだる謙譲語「お送りいたす」を用いているのです。

「送る」の謙譲語の言い換え

尊敬語の場合と同じように、「送る」という言葉を一義的な言葉に言い換えて謙譲語にすると、無用な誤解を生じる可能性を減らせます。

例えば、荷物やビジネスメールなどを「送る」のであれば、「送付する」と言い換えて謙譲語「送付いたす」を用いると分かりやすいです。

謙譲語でも二重敬語には注意

謙譲語(謙譲表現)でも、二重敬語には注意する必要があります。

謙譲表現として「…させていただく」という表現があります。この謙譲表現自体に様々な論点が存在しますが、ここで詳細に触れることはしません。

ただし、「お送りさせていただく」と言う場合は、二重敬語になりますので日本語の用法としては間違いとなります。「お送りする」と「…させていただく」という謙譲表現が重なっているからです。

たしかに、二重敬語の表現は一見すると丁寧に感じられます。しかし、二重敬語は間違った使い方であり、時として慇懃無礼な印象を相手に与える可能性があるのは尊敬語の場合と同じです。

「送る」の丁寧語

「送る」の丁寧語は、文末に「です」・「ます」・「ございます」をつけますので、「送ります」です。

実際には、「お送りになります」のように尊敬語に丁寧語を組み合わせたり、「お送りいたします」のように謙譲語に丁寧語を組み合わせることで、より丁寧な表現とするために用いられます。

まとめ

いかがでしたか?敬語の基本事項を改めて振り返った上で、「送る」の尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けについて説明してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?

「送る」という言葉のように、一つの言葉で多義的な意味を有する場合は、文脈から意味を判断せざるを得ず、時には誤解を生じる要因となります。そして、その言葉を敬語にすると、誤解を生む可能性が余計に高まります。

敬語の使い分けには、敬語の基本事項を押さえることが重要です。そして、ビジネスシーンにおいては、お互いに誤解を生じないような言葉を選ぶことが大切であり、「送る」のような多義的な言葉は分かりやすい言葉に言い換えると良いでしょう。本記事が、みなさんの参考となれば幸いです。

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