人には様々な能力があり、ビジネスに生かせるものもあれば、生かせないものもあります。仕事場やプライベートなど人間関係を良好にする能力の1つに洞察力があります。この洞察力は見えない部分の状況や場の雰囲気を読む力のことですが、日常生活で少し意識を変えるだけで習得することができます。
ここでは、洞察力とは何か、また洞察力に興味がある方に習得方法について詳しくご紹介します。
洞察力について
洞察力とよく比較されるのは「観察力」で、この2つの言葉は似ているようで異なる意味があります。
ここでは洞察力と観察力の違いは何か、また洞察力を鍛えることでのメリットについてお話したいと思います。
洞察力とは?
洞察力とは物事を深く鋭く観察できる能力で、物事の本質を見極めたり推察することができます。情報の本質を見抜ける力こそが、課題を解決へと導き出すために必要となるのです。その為、この能力があるとビジネスにおいても優位に進めていくことができます。
洞察力とよく比較される言葉は「観察力」です。観察力は服装や髪型、顔色などの見える部分を細かくみる力の為、髪を切った事や服装が昨日と同じな事に気づく事が出来ます。
洞察力は観察力の能力も含んでいますが、目に見える部分ではないところまで見え、内面的なものを深く見ることができる事が大きな違いです。
洞察力の使い方例文
- 彼女は人の心理に対する深い洞察力を持っている。
- 彼は洞察力に優れている。
- 彼女には、人の行動を見抜くことができる素晴らしい洞察力がある。
洞察力が優れる事のメリット
洞察力が磨かれると人間関係を上手く構築することが出来るため、仕事でもプライベートでもその能力を発揮することが出来ます。相手がどんな事を考えているのか理解できるようになる為、相手よりも先回りして行動することができ、人に気を使えるようになります。
例えば、部下を持った時に部下が悩んでいることを察することができたり、上司が必要としているなど人の内面部分を読むことができるので、トラブルが起こる前に回避することができます。また、実際に問題が起こったとしても、本質を捉える力があるので、しっかりと答えを導き出して問題解決をすることもできます。
相手がどのような人間なのか見抜くことが出来、適切な対応が取れるのは上に立つ人間の能力として必須です。この能力を磨くことで相手の少しの変化にも気づくことができ円滑な人間関係を築くことができます。出世できる可能性も高くなり、人生が優位に回りだします。そして、この能力があると面接や自己PRでも長所として活用できます。
深い洞察力を持つ人の特徴
あなたの周りに洞察力が優れている人はいますか?洞察力をこれから磨いていくのであれば、既に洞察力が優れている人の言動を見ながら学ぶことができます。
しかし、洞察力が鋭い人と聞いてもピンッとこない人も多いと思うので、ここでは深い洞察力を持つ人の特徴をご紹介します。
色んな経験をしている
洞察力の磨き方は様々な方法がありますが、豊富な経験をしている事も要素の1つです。目では見えない事をみる事ができる能力というのは、色んな経験をしたり様々な価値観を持つ人と触れ合うことで磨かれていきます。
その経験が生かされて洞察力に磨きがかかってきます。例えば、子供の頃から親の転勤が多くて海外を渡り歩いていた場合、どのようにこの土地に慣れていくか、人間関係を一から構築していくかは周りを見ながら考えていかないといけません。
他にも幼少期の頃は、すぐにイライラする母親に怯えて生活していた場合、相手がどのような事で怒るのかを考え、母親を怒らせない為にはどうするべきか行動に移して生活をします。このように大変な目にあったり、豊富な経験をしている人というのは上手に生きていくために自然と能力が研ぎ澄まされていきます。
周りの空気を読むことができる
洞察力の優れいている人は、相手が話す言葉に敏感に反応して言葉に隠されたものを読み解くことができます。例えば、上司を含めたグループでご飯を食べに行った時に「お前はもう帰っていい」と言われたとしても、その時の状況や相手の状態や表情などに応じて異なった意味を考えることができます。
「もっと喋りたい」「もう一軒飲みに行きたい」と心では思っているのに、相手の事を気遣って「帰れ」という事もあります。この場合は、心の中では本当は帰って欲しくないと思っているのです。このように、人は天邪鬼の部分があり、本当に思っている事とは異なる言葉を口に出すときがあります。
しかし、洞察力が鋭い人はこのような状況でも言葉の裏を読み解くことができ、帰らずに「まだまだ、もう一軒いきましょう」と残ります。このように空気を読んだ対応をすることで相手に好かれるようになってきます。
他人に頼らない
なるべく周りに頼らないのも洞察力が優れている人の特徴です。全く頼らないわけではないですが、一般の人と比べるとその数は少ないです。洞察力の優れいている人は他人に教えてもらったり、考えてもらうのではなく自分で観察して考えて行動に移すことができます。
その為、洞察力が優れている人と言うのは、観察力が優れているとも言えます。仕事であれば、周りがどのように動いているのか、効率よく働いているのかを観察して、それを取り入れることが出来るのです。
過去の経験や失敗を生かせる
洞察力が優れいてる人は、過去の失敗や経験を活用させます。例えば、仕事で失敗してしまった時、なぜ失敗したかを考えることができ、次回はその失敗を活かした新たな戦略が思い浮かびます。
物事の因果関係が分かるようになると、新たな戦略に対する意思決定も楽に出来るようになり、論理的に物事を説明できる為に、周りも説得させやすくなります。
過去の経験を基に色んなパターンを考えて慎重に計画して、常にベストな方法を導き出し、前回と同じ過ちを避けるようにするのです。
物事の本質を考える癖がある
洞察力が優れた人は、物事の本質を考える癖がついています。物事の始まり、原因、目的など根本を知ることで、意味を感じ取るようにしています。それは物事だけでなく人物でも同様のことを考える癖があります。
例えば、誰かが何日も会社を休んでしまった場合に「なぜあの人このような行動をしたのか」と考え始めます。電話では「体調不良だ」と言っていたけれど、ここ数日の仕事場で起きた内容を考えると「彼女はクライアントに断られたことでショックを受けているのに違いない」などと相手の隠された心理や本音を探り出そうとします。
他にも、怒り狂っている人を見て「この人おかしい」や「怖いな」と思うのではなく「本当はただ寂しいだけなのに、誰も気持ちに気づいてくれないから怒っているんだよね」という、発生した原因にたどり着くことができます。
口下手で消極的
洞察力が磨かれる人の特徴は口下手で消極的な人が多いです。自分の思っている事を上手く表現する事ができない為、人の行動や思いを察して動くことが出来るようになります。何を自分に望んでいるのかを考えて行動できるので、口数が少なくても相手の期待に応えることが可能です。
例えば、誰かから手伝って欲しいという雰囲気を感じていた場合、手伝える内容であれば頼まれなくても手助けに入ります。しかし、自分が手伝えない内容や手伝えない時であると、その場から去るなどと行動で現します。
このように消極的な人ほど人の動作や態度、様子に敏感になり行動していくようになるので、口数も減ります。自分の意志を行動で示すため、特に会話をしなくても「あの人はとても気が利くわね」という印象をもたれています。また、口下手ではありますが、人の話を聞くのは得意です。
警戒心が強い
現状を深く見ている為、これから自分に起こるであろうことを予測したり、自分がデメリットになることを感じ取り警戒します。その為、洞察力が鋭い人は、警戒心が強い人とも言えるのです。
警戒心を持っている為、初めて会った人とはすぐに仲良くならず、信用はしません。ある程度壁のあるような付き合い方をして、自分の身を守る傾向にあります。警戒して洞察力が優れていると、人からだまされることがなく、トラブルに巻き込まれる心配もありません。
しかし、人と深く仲良くなったり、深い信頼関係を作り上げていくのには時間がかかります。浅い付き合いの人の方が多いので、時には孤独を感じる事もあります。
直感が優れている
洞察力がある人は、同時に直感が優れているとも言えます。直感とは理性を働かせることなく、感覚的に捉える力のことで、物事の判断を瞬時に行うことができます。
直感が優れると、初めてあった会社でも「ここの会社と付き合えばメリットがありそうだな」と思ったり、家を購入する際にも「この家は自分にあってそうだな」と直感があることで決断を早めてくれます。直感を信じて悪い方向に向かうことはほとんどなく、直感を信じていい方向に進むことが多いです。
洞察力を鍛える方法
洞察力は、セミナーなどの特別なレッスンを受けなくても、日常生活のある部分を変えるだけで自然と磨かれていきます。
ここでは、普段の生活から何事も深く考える思考を身につけ、洞察力を鍛えていくトレーニング方法についてご紹介します。
いつもの風景を注意して観察する
洞察力を磨くには、まずはいつも見ている日常の風景や物事に目を向けて注意深く観察するようにしましょう。例えば、毎日過ごしている家の中に目を向けてみましょう。本棚に目をやった時に、きちんと収納されているものもあれば、中には本棚に納まりきらずに棚の横に置かされてはいませんか?
例えば、この本棚に入りきらない本は、いつもは特に気にならないでいたと思いますが、何がベストな状態かを考えて見ましょう。今回の場合だと、本棚を増やしたり、いらない本を処分したら、配置を工夫したら全部キレイに生理整頓できるのではないかなどと、色んなアイディアがあります。
何度も過ごしている風景や街並みは目が慣れてしまい、新鮮さにかけて気づけないことが多くなっていきます。その為、自分で目を向けるようにして、注意深く観察する癖をつけましょう。
行動パターンを変える
毎日している行動はワンパターン化してしまいがちで、そうなると何も考えずに行動するので深く物事を考えることができません。今ワンパターンな行動をしている事があれば、順番を変えてみましょう。
例えば、いつも帰宅したらお風呂に入ってから、夕飯を食べるという習慣がある人は、その逆で帰宅したら夕飯を食べてからお風呂に入ってみましょう。
また、他にも仕事においても同様のことが言えます。ルーティンワークになっている仕事も目的や会社にとっての利益について深く考えて見ましょう。ルーティンワークになっている業務こそ効率よく仕事できるように考えられる事が多く、また中には不必要な業務もでてくるでしょう。
例えば、ファッションサイトを運営していた場合に、週2回の特集記事を組むことがルーティンワークだったとします。しかし、この週2回特集を組むことは会社にとってどの程度の利益になっているのか、どうして週2回やる必要があるのか目的や価値を考えてみましょう。
これらを考えることで、いらない業務を捨てることができ、新しいチャレンジに目を向けたり、また効率よく仕事できることで、別の仕事に割く時間も増えてきます。
分析する習慣を身につける
もし仕事で何か失敗してしまった時は、ただショックを受けるだけでなく、どうしてそうなってしまったのか、何がいけなかったのか原因を考えてみて下さい。「失敗は成功のもと」ということわざもあるように、失敗から掴める成功のチャンスがたくさんあります。
失敗してしまった事は変えられない事実ですが、それが次回の成功に繋がれば、失敗した甲斐もあります。このように、いつでも「なぜ?」という気持ちを持ち続け、物事をいい方向へもっていけるように分析することで、洞察力を鍛えることが出来ます。
様々な角度から分析して色んなアイディアを出すようにしましょう。そしてその中から最善となるものを考えることで仕事もいい方向へと進めていくことができます。
読書をする
小説や漫画などの文章を読むことも洞察力を鍛えることに繋がります。小説や漫画には作者の価値観や心理が入っており、登場人物の見る角度によっても世界観が異なります。その為、色んな人の価値観や考え方を吸収することができ、それにより洞察力が磨かれていきます。
また、小説や漫画は読み進めないと最終的にどうなっていくのかが分からず、謎がたくさん隠されています。その為、彼らの作品に込められたメッセージを推測しながら読み進めると洞察力も上がっていきます。特に推理小説やミステリー漫画などがオススメです。ただ読むのではなく、先を考えながら読む事が重要です。
視野を広げる
洞察力を鍛えるのには視野を広げる事も重要です。物事はたくさんの方向から見ることが出来ます。人とたくさん喋ったり、本を読んで学ぶことで様々な人の価値観を学ぶことができ、それを受け入れていくことで視野も広がっていきます。
また、色々な考えを吸収していくだけでなく、相手の立場になって考えて視野を広げるとレーニングをすることも重要です。例えば、商品を作る仕事をしていた場合、会社の売上ばかりに捉われがちになりますが、重要な事は消費者の目線に立って考えることです。消費者が商品を購入しなければ会社の売上にもなりません。自分から見える視点以外からも考える事が重要なのです。
消費者にアンケートを取ったり、実際の声を聞き彼らの要望を取り入れながらも商品化していくことで、会社に利益をもたらすことができるようになります。また、消費者だけでなく商品を作る上で関係のある取引先企業に対しても同様のことがいえ、お互いがいい取引ができるように相手の視点に立って考えられるようになることが重要です。競合などと思って取引をすると最終的に自分の会社にメリットをもたらすことも出来ません。
エドワード・デ・ボノ氏が提唱した「シックスハット法」と呼ばれる物事を多方面から見る思考方法があります。これは、客観的・直感的・肯定的・否定的・革新的・俯瞰的の6つの視点に立って物事について考える方法で、このようにして意識的に視点を変えて考えてみることで視野を広げることができるようになります。
ニュースを見る
現在ではTVやラジオ、新聞、雑誌、インターネットなどを通じて毎日のニュースを簡単に得ることができます。このニュースを見る事も洞察力を鍛える方法の1つです。
ニュースは速報で伝えられている事が多いため、情報が不足していたり、誤報もたくさんあります。このような莫大な情報量が流れる中で、正しい情報を掴み騙されないようにしていくには洞察力が必要になるのです。
ニュースで伝えられている情報をただ鵜呑みにするのではなく、そのテーマに対してなぜなのかという疑問を持ち自分で考えることが重要です。このように見極められる力が出てくると自然と洞察力も上がり、嘘の情報にも騙されなくなります。
おわりに
洞察力は、目に見える物事から深く観察できる能力で、目に見えない物事の本質を見極めることができる力です。
この力があると人間関係を円滑に進めることができ、問題解決能力もある為、人生の様々な場面で優位に物事を進ませることができます。
今回ご紹介した洞察力の鍛え方を基に、身近な物事から深く考えてみる癖を付けていきましょう。
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