レックリングハウゼン病とは?症状や原因、治療方法を紹介!

”レックリングハウゼン病”と聞いても「何それ?」と思う人が多く、聞きなれない病名だと思います。難病の1つで日本でも多くの人が発病しています。

もとは神経線維腫という病気で皮膚神経線維腫や叢状神経線維腫ともよばれます。

生まれつき茶褐色班が数個以上ある場合、この病気の可能性が高いと言われています。今回は”レックリングハウゼン病”について詳しく見ていきましょう。

レックリングハウゼン病とは?

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あまり聞き慣れない病名であるレックリングハウゼン病とは、もともとは神経線維腫症と呼ばれていたものが、その症状によって病名を分け1型と2型にわけられたことによりその内の1型のことをレックリングハウゼン病と呼ぶようになりました。

そんなレックリングハウゼン病にをまずは紹介していきます。

レックリングハウゼン病とは?

神経線維腫症1型とも呼ばれていて、脳神経系に腫瘍が出来る遺伝子疾患です。この病気を発見したドイツの学者レックリングハウゼンに由来してレックリングハウゼン病と呼ばれるようになりました。

神経線維腫症には1型と2型があり、1型は主に皮膚に症状が強く出て2型は脳腫瘍などが出るタイプになります。3,000人に1人の割合で発症し、患者さんの50%が遺伝での発病となっています。その他50%は突然変異等が原因です。日本では約40,000人が発病していると推定されています。

この病気の原因はいまだに明確には解明されていません。1つは染色体の変異が原因という事です。17番染色体の欠損によって生じるという事はわかっています。

また遺伝性疾患であることもわかっていて、出生した赤ちゃんの3000人に1人程の確率で生まれてくると言われています。

レックリングハウゼン病の症状

レックリングハウゼン病で特徴的なのが皮膚にできるカフェオレ班です。カフェオレ班とは茶褐色の班で楕円形の凹凸のない班です。出生してからすぐに乳幼児期に掛けて現れ、自動機から思春期にかけて体のあちこちに皮下腫瘤が出てきます。産まれてからカフェオレ班が1,2個だけであれば特に心配する事はありませんが、6個以上見られる場合この病気を疑わなければいけません。

この皮下腫瘤は柔らかいのが特徴で小さいものでは数ミリですが大きくなると皮膚から垂れ下がるような状態になる数十センチになるものもあります。皮下腫瘤(神経線維腫)は悪性のものになる場合もあり、その場合は危険値があがります。

他には「脊椎の側弯」「脳腫瘍」「脊椎神経の維腫」「知能障害」「呼吸器の病変」「消化管の病変」「循環器の病変」「色素班」「そばかす」など内蔵にもその症状が現れます。

この中でも脳腫瘍に関しては1型にはその発症は少なく、2型で多く見られる症状になります。

治療方法について

この病気はカフェオレ班と神経線維腫が診断基準なので、診断は簡単に行えます。しかし、治療方法は症状によって行えるものと行えないものがあり、確立されていないのが現実です。根本的に治療する方法はありまえんが、症状1つ1つに対して治療を行う事が出来ます。

皮膚系に病変が見られる場合は整形外科に受診します。色素班などは個人差がありますが、基本的にそこまで目立つ事がありませんが、気になる場合はレーザー治療で取り除く方法を取ります。しかし、取り除いたとしても何度も再発してしまう事がほとんどで、最初よりも色が濃くなってしまう場合もあるので難しいところです。

神経線維腫については発生している数が少なければ局所麻酔で手術を行います。数が多い場合は全身麻酔で対応します。

この病気は命に関わるというわけでは無く、必ず治療を行わなければいけないというわけではありません。ただ、見た目・美容的に気になるので治療を受けるという人が多いようです。

レックリングハウゼン病は予防出来ないのか?

残念ながら原因が全て解明されていないので根本的な治療法が無く、予防する方法もわかっていません。現在は予防するというよりも、治療に専念するという形です。

何科に行けば良いのか

レックリングハウゼン病の症状が見られた場合どこの専門病院に行けば良いのでしょうか?それは治したい症状や気になる箇所や年令によっても変わってきます。

まずは子供の症状や発達への影響が気になる場合は小児科を受診しましょう。次に皮膚への色素斑や神経線維腫などの症状が気になる場合は皮膚科か形成外科がいいでしょう。その他の神経の病変が危惧される場合は脳神経外科や神経内科を受診するといいでしょう。

医師によって症状や経過の観察が異なるため、それぞれの専門の医師による診断が重要になります。

レックリングハウゼン病の重症度

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どの程度が軽症で重症なのかは、「皮膚」「神経」「骨」の症状がどの程度現れているからによってステージが変わってきます。

皮膚症状

  • D1:色素班と少しの神経線維腫がある
  • D2:色素班と少し多めの神経線維腫がある
  • D3:顔面や全身に多くの神経線維腫がある
  • D4:びまん性神経線維腫にて機能障害や苦痛がある又は悪性末梢神経鞘腫瘍が併発している

神経症状

  • N0:症状なし
  • N1:体に麻痺や痛みなどの神経症状や異常がある
  • N2:進行性の神経症状や異常がある

骨症状

  • B0:症状なし
  • B1:軽るい脊柱の変形や四肢骨の変形がある
  • B2:中度脊柱の変形がある
  • B3:重度の病変がある(四肢骨・骨折・頭蓋骨欠損・顔面骨欠損など)

ステージ

上記のどの症状に当てはまっているかでステージが決まります。

  • ステージ1:D1でN0とB0又はB1である場合。日常活動にほぼ問題が無い
  • ステージ2:D1又はD2でN2及びB3を含まない場合。日常生活に軽度の問題がある
  • ステージ3:D3でN0でB0の場合。日常生活には問題が無く社会生活で問題が大きい
  • ステージ4:D3でN1又はB1、2のどれかを含む場合。日常生活に軽度の問題があり社会生活で大きな問題がある
  • ステージ5:D4,N2,B3のいずれかを含む場合。日常生活に大きな問題がある

レックリングハウゼン病の合併症

レックリングハウゼン病ではその病気自体軽い症状でも合併症を引き起こしやすいので、合併した病気に対して悩む人もいます。

そして今までレックリングハウゼン病だと知らずに成長して、合併症の治療で病院に行った時に初めて知るという人もいるようです。

高血圧症

レックリングハウゼン病の人で成人になると、大半の人が高血圧症を併発しています。高血圧症とは、安静状態での血圧が慢性的に高い事を言います。

高血圧は血管に大きな負担をかけているので動脈硬化になりやすく、色々な病気を引き起こしやすくなります。

特に高血圧になりやすい原因は味の濃い食事や脂っこいものなどのとり過ぎによるものや睡眠不足や運動不足や味覚障害でも引き起こるケースが多いです。

予防法としては肥満の解消や朝食を取り入れるなど、タバコやお酒を控えることも重要です。さらに気づかないうちに高血圧になって気づいた時は症状が出た時ということにならないように日頃から血圧を測っておくことも重要です。

高血圧の状態が長期間続くと心筋梗塞、狭心症、心室性不整脈などの症状が動脈硬化によって引き起こされます。高血圧は日本の死因第二位である心疾患や第四位の脳疾患を引き起こす原因となる病気です。静かなる殺し屋とも呼ばれているので、注意しましょう。

側弯症

脊椎と呼ばれる頭から腰まで連なっているいわゆる背骨と言われている脊柱は頚椎7、胸椎12、腰椎5に分けられていて前から見ると直線状、横から見るとゆるやかなカーブになっています。

側弯症は前から見て脊椎が10度以上曲がる状態の事を言います。さらにそこにねじれが加わる場合もあります。成長期の子供の頃に発症しますが、自学症状がないので気付かない人がほとんどです。特に小学生から中学生の子供に多いとされています。さらに男性より女性に発症の確立が高く、男性の5倍ほどの確立で発症します。

予防法が確立されていないため、症状の早期発見が重要になります。進行してしまうと骨の歪みにより腰や背に痛みが出たり、肺を圧迫して肺機能が低下する可能性があります。

左右の方の高さの違いや肩甲骨が前に出ていたり胸郭の変形や腰の高さに異常が見られた場合は注意しましょう。

程度が軽い場合は運動療法などによって経過が見られますが状態がひどい場合は手術により骨の矯正が必要になります。

四肢麻痺

両手両足の事を四肢と呼びその部分が同時に麻痺症状を起こしている状態を四肢麻痺と呼びます。脊髄神経部分に神経繊維腫が出来た場合によく合併します。

この病気は四肢の神経に麻痺が生じるだけでなく、内臓の消化機能や排泄機能や発汗体温症性機能にまで影響を及ぼします。また横隔膜が痙攣を起こすこともあり、その場合呼吸が出来なくなることもあるので人工呼吸器を必要とする場合もあります。

神経伝達機能の障害や外傷や頸椎の損傷など様々なことが原因として考えられるので予防や治療にはかなりの専門性が必要になります。

さらにこの病気は場合によっては生命に関わる障害をさらに引き起こす可能性が非常に高いです。

萎縮性甲状腺炎

甲状腺に起こる病気はほとんどが甲状腺に腫れが見られますが、腫れが無い甲状腺炎があります。それが萎縮性甲状腺炎です。下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンに対して働きをブロックするブロッキング抗体という物が発生します。

すると甲状腺の機能が抑制され続けて甲状腺が小さく萎縮してしまう状態の事を言います。

甲状腺の異常が引き起こった場合、その機能を復旧させようとヨードを過剰に摂取しようとするかもしれませんがこれは逆効果です。日本で特に食べられている食材が海藻類です。非常に手に入れやすく頻繁に口にすることで過剰に摂取してしまう場合があります。

甲状腺の機能を取り戻そうと海藻などからヨードを摂り過ぎると返って甲状腺の機能を下げる事に繋がってしまいます。ヨードは甲状腺ホルモンを作る素になっているので、活躍するかと思いがちですが必要量異常を取る必要は無いのです。

骨軟化症

骨の軟骨に出来た腫瘍などが原因になって骨軟化症になるケースがあります。

骨や軟骨の石灰化障害によって石灰化していない骨器質が増加する病気で成人に発症するものと骨軟化症、子供に発症するものをくる病と呼びます。

腰背部痛、股関節や膝関節に痛みが出たり、骨盤などの骨が出ている部分は痛などを感じます。進行すると歩行障害など引き起こします。

主な原因はビタミンDの欠乏によるものです。最近では摂取によるビタミンDの吸収不足により引き起こされる場合がほとんどです。ビタミンDの受容体が以上を起こすことで吸収障害が起こることが原因です。

日光浴によってもビタミンDは体内に吸収することが出来るため日光浴やビタミン剤やリン製剤を処方することで経過を観察します。成人を越えての変形などが確認される場合は骨矯正術や骨延長術などの手術によって治療が行われます。

カフェオレ班の治療方法

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カフェオレ斑の治療方法について紹介します。

漢方で消す

東洋医学では全身のシミを少しでも薄くして、体調を整える為に「桂枝茯苓丸加意苡仁(けいしぶくりょくがんかよくいにん)」を使用しているそうです。

「ニキビ」「シミ」「ソバカス」などの皮膚病に対して効果が期待できるそうで、レックリングハウゼン病のカフェオレ班にも効果があると治療として使用する人もいます。

  • 桂枝・・・精神安定作用の効果
  • 茯苓・・・水分代謝を調整する効果
  • 牡丹・・・血液循環を促進させ炎症を抑える効果
  • 意苡仁・・・皮膚の荒れを回復させる効果

これらの成分を主に使用しています。手術などでカフェオレ班を消すのも1つの手ですが、またカフェオレ班が出てくる場合が多いので何度も手術をするというのは大変になりますよね。漢方であれば手軽に服用して治療する事が出来るので、こちらもオススメです。

レーザー治療で消す

カフェオレ班のような茶色のアザには「Qスイッチ・レーザー」が有効です。

●Qスイッチ・ルビーレーザー

波長694nmのレーザーで色の濃いものに反応します。色素性病変に対して最も使用されているレーザーです。

●Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー

波長755nmのレーザーで、ルビーレーザーよりも少し波長が長いので皮膚の奥深くまで届きます。ルビーレーザーよりも導入している病院が少ないので、治療できる場所が少ないのが難点です。

Qスイッチ・YAGレーザー

波長1064nmと532nmの2つの波長で治療するレーザーです。2つの波長を同時に使用する事によって浅い部分と深い部分どちらにも対応出来ます。

これらのレーザー治療は数ヶ月に1度行い、回数は班によって変わってきます。一番最初のレーザー治療は班の状態を確認するという意味もあり、部分的に照射して様子を見ます。レーザー治療を行う時はとても根気がいりますし、レックリングハウゼン病の場合は何度もカフェオレ班を再発してしまうので理解した上で行わなければいけません。

レックリングハウゼン病の場合治療を行う際は保険診療手続きや事前に血液検査などが必要になるので当日手術などは出来ない場合が多いので、受診する病院に事前に確認してから行きましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。レックリングハウゼン病は根本的な治療法が無く、特徴的な症状のカフェオレ班や合併症に対しての治療を徹底するしかありません。カフェオレ班は人によって濃さや数などバラバラですが、美容的に見たらあまり良いものではありませんね。そこで治療していきたいと思ったら

  • レーザー治療
  • 漢方治療
  • 外科手術

などの方法があります。しかし一度治療したとしても再発率が高いので、そこは覚悟をしなければいけません。レックリングハウゼン病のもう1つの特徴的な症状「神経線維腫」も出来る数や場所は人によって違いますが、皮膚表面に出る物は見た目でわかりますが神経や内臓に出来ると自分ではわからない場合が多いです。

皮膚に出来る分にはあまり問題ありませんが、神経や内臓に出来た場合は合併症を引き起こす種になりますので危険になります。ただ、良性のものであればほとんどが心配する事の無い物ですが、悪性のものは注意しましょう。

難病に指定されており、根本的な治療法が無いからと言って下向きな気持ちにならずに頑張って治療していきましょう。

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