しゃっくりが止まらない時の対処法とは?種類や原因を知っておこう!

突然「ヒック、ヒック、ヒック」という音とともに、身体がひきつけを起こしたかのような動きを一定間隔で繰り返す「しゃっくり(吃逆)」は、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

食事の後、お酒を飲んでいる途中といった場合ならまだしも、大事な仕事の会議中や静かさが求められる図書館などで突然「しゃっくり」が始まると、なんとも言えない気恥ずかしさと申し訳なさという複雑な感情がわき起こってきますよね。また、勉強中や車の運転中に「しゃっくり」が始まると、集中力が乱されてしまいます。

そんなしゃっくりは、しばらく時間が経つといつの間にか止まっていることがほとんどですが、場合によっては長く継続して何らかの病気を示唆している可能性があるのです。

そこで今回は、「しゃっくり」に関する基礎知識を再確認した上で、しゃっくりを止める方法や、しゃっくりが止まらない場合に示唆される病気などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。

しゃっくりに関する基礎知識

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しゃっくりを止める方法や、しゃっくりが止まらない場合に示唆される病気などについて深く理解するためには、しゃっくりに関する基礎的な事項を知っておく必要があります。

そこで、まずはしゃっくりに関する基礎知識を再確認しておこうと思います。

「しゃっくり」とは?

しゃっくりとは、横隔膜が痙攣(けいれん)することによって、声帯の筋肉が収縮して閉じることで「ヒック」という音が一定の間隔で生じる現象のことを言います。

横隔膜は、肺のすぐ下に存在していて、胸腔と腹腔の境界に存在する筋肉です。横隔膜が伸縮することにより、胸郭が拡大・縮小して肺胞を収縮させることで人は呼吸を行っています。この横隔膜が痙攣することにより、声帯にも影響が及んで声帯筋肉が収縮し、閉じた声帯を無理に呼吸の空気が通るために「ヒック」という音が生じると考えられています。

しゃっくりの症状

しゃっくりは、横隔膜が痙攣することによって、ひきつけを起こしたかのような動きをする異常呼吸とも言えます。

しかしながら、しゃっくりは多くの場合で、しばらくの時間が経過することで自然と止まり、特に身体への悪影響があるわけではありません。また、健康な人にも、特別な要因なくして発症します。

ただし、長い時間続くようなしゃっくりや、頻繁に現れるしゃっくりは、集中力の低下・睡眠障害・食欲の低下など日常生活に弊害をもたらすこともあります。

しゃっくりが長く続く場合

このようにしゃっくりは通常2~3時間程度で自然治癒するのですが、長く続く場合は何らかの病気のサインかもしれません。

2日間(48時間)以上もしゃっくりが続く場合、それは「慢性しゃっくり」・「持続性しゃっくり」と呼ばれます。また、1ヶ月を超えて続くしゃっくりは「難治性しゃっくり」と呼ばれます。

いずれも、脳や肺に器質的な疾患があったり、精神疾患を有している可能性が考えられるので、病院で検査をしてもらう必要性があると言えます。

ちなみに、2日以内で収束する通常のしゃっくりを「吃逆発作(しゃっくり発作)」と呼びます。

しゃっくりの原因と種類

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このようにしゃっくりは、横隔膜が痙攣することによって、声帯の筋肉が収縮して閉じることで独特な音が一定間隔で生じる現象のことを言います。

それでは、しゃっくりを発生させる横隔膜の痙攣は、どういう理由で痙攣するのでしょうか?そこで、しゃっくりの原因について、ご紹介したいと思います。

しゃっくりの原因と分類

しゃっくりは、横隔膜の痙攣によって発生します。しかしながら、実はしゃっくりが発生する原因やメカニズムは完全に解明されているわけではありません。

それでも判明していることから医学的には、しゃっくりを発生させる横隔膜の痙攣は神経系・横隔膜・消化器系などが何らかの刺激を受けることで始まる、と考えられています。それらの刺激の種類によって、便宜上しゃっくりは次のように分類することができます。

  • 中枢性しゃっくり
  • 末梢性しゃっくり
  • 横隔膜刺激性しゃっくり
  • 消化器刺激性しゃっくり
  • 薬剤性しゃっくり
  • 心因性しゃっくり

ただし、このようなしゃっくりの分類は、あくまでも便宜上のため医学的に統一的で明確な分類ではありません。文献によっても分類の仕方は異なる場合もありますので、その点は注意・留意しておく必要があります。

中枢性しゃっくり

中枢性しゃっくりとは、脳や脊髄で構成される中枢神経系が刺激されることによって生じるしゃっくりのことです。

この中枢性しゃっくりは、人間の根幹である脳や脊髄などの中枢神経系への刺激が原因となっていますので、特徴として非常に止まりにくい持続性の性質を持っています。

脳血管障害

例えば、脳卒中と総称される脳梗塞や脳出血などの脳血管障害は、多くの場合で脳神経や脊髄神経などの中枢神経系にも影響を及ぼし、麻痺など身体障害をもたらすことがあります。

このような脳血管障害による中枢神経系への刺激が、しゃっくりを発生させることがあるのです。つまり、脳梗塞や脳出血を患うと、その一症状としてしゃっくりが現れることがあるのです。

アルコール依存症・アルコール中毒

例えば、アルコール依存症・アルコール中毒と呼ばれる状態でも、中枢神経系に影響を及ぼして、しゃっくりを発生させることがあります。

そもそもアルコールによって酔うということは、アルコールの血中濃度が上昇することによって、中枢神経系の働きが抑制されるということです。アルコールによって中枢神経系が鈍くなるので、酔うと次第に身体の制御ができなくなり、急性アルコール中毒になると瞳孔拡大や呼吸停止に陥り死に至るわけです。

アルコール依存症やアルコール中毒の人が、飲酒を停止してから数時間程度経過すると、アルコールの血中濃度が急激に低下します。すると、それが中枢神経系への刺激となって、手指が震えたり、異常な発汗をしたり、神経過敏となったり、しゃっくりが生じたりするのです。

つまり、アルコール依存症やアルコール中毒の状態から、アルコールの血中濃度が低下する過程で、いわゆる離脱症状の一つとしてしゃっくりが現れることがあるのです。

ちなみに、アルコール依存症の人は、このような離脱症状が現れるので、さらにアルコールを摂取することで離脱症状を封じ込めようとして、次第に深みにはまっていくわけです。

末梢性しゃっくり

末梢性しゃっくりとは、中枢神経系から分岐して身体の隅々まで走行している末梢神経が刺激されることによって生じるしゃっくりのことで、どちらかいうと持続性のしゃっくりです。特に横隔膜の動きを支配する横隔神経が刺激を受けることにより、末梢性しゃっくりが生じると考えられています。

横隔神経は、主に顔や首の辺りを支配する頚神経から分岐している末梢神経です。そして、頚神経も脊髄神経から分岐している末梢神経です。

例えば、横隔神経が走行する胸部の肺など呼吸器系に炎症が生じた場合などは、横隔神経が刺激されることになります。具体的には、肺炎・胸膜炎・気管支喘息といった呼吸器疾患などの一症状として、しゃっくりが現れることがあります。

横隔膜刺激性しゃっくり

横隔膜刺激性しゃっくりとは、主に横隔膜の周辺臓器に疾患が発生することにより、横隔膜が直接的に刺激されるために発生するしゃっくりのことで、どちらかというと持続性のしゃっくりです。

例えば、横隔膜の直下にある胃や胃に至る食道などの上部消化器官(上部消化管)に何らかの疾患が生じた場合などは、横隔膜が直接的に刺激される場合があります。具体的には、胃がん・食道がんなどの消化管腫瘍や胃炎・逆流性食道炎などの消化管炎症の一症状として、しゃっくりが現れることがあります。

消化器刺激性しゃっくり

消化器刺激性しゃっくりとは、胃や食道などの上部消化管に何らかのストレスがかかることにより、消化管の筋肉への刺激が横隔膜の筋肉に連動して伝わり発生するしゃっくりのことです。

消化器刺激性しゃっくりは基本的に一過性のしゃっくりで、私達が日常生活の中で経験する「しゃっくり」の多くが消化器刺激性しゃっくりです。

暴飲暴食

例えば、暴飲暴食早食い・大食い・アルコールの飲み過ぎ・刺激物の摂取などによって、しゃっくりが発生することがあります。これは、暴飲暴食・早食い・大食い・アルコールの飲み過ぎによる胃拡張や、刺激物の摂取によって生じる身体的ストレスや胃炎などによって、消化管の筋肉が刺激されて近くに存在する横隔膜の筋肉にも連動するためだと考えられています。

ちなみに、刺激物とはアルコール・カフェイン・香辛料などを含む食べ物が挙げられます。

薬剤性しゃっくり

薬剤性しゃっくりは、薬剤や化学物質の副作用として発生するしゃくりのことです。

例えば、様々ながんの治療に用いられる抗がん剤や精神疾患や睡眠障害の治療に用いられる睡眠薬などの副作用の一つとして、しゃっくりが現れる場合があります。

喫煙

例えば、喫煙者によく見られる傾向として、タバコを吸い始めるとしゃっくりが発生することがあります。

喫煙の場合については原因が完全に解明されているわけではありませんが、そもそもタバコの煙には非常に多くの化学物質が含まれていて、その中には発がん性物質などの有害物質が多いことが知られており、これらの化学物質が影響していることは否定できません。

その上で、タバコの煙が呼吸器系の筋肉を刺激して横隔膜に連動するという見解や、タバコの煙とともに吸入する冷たい外気が呼吸器系の筋肉を刺激して横隔膜に連動するという見解なども存在します。

心因性しゃっくり

心因性しゃっくりは、精神的ストレスが原因となって発生するしゃっくりのことです。

精神的ストレスからしゃっくりが発生するメカニズムについて明確に解明されているわけではありませんが、日常的に強いストレスに晒されていたり、精神疾患を有していると、しゃっくりが発生する可能性があるとされています。

しゃっくりの止め方・対処方法

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このようにしゃっくりの原因は未だ全容が解明されたわけではありませんが、概ね中枢神経や末梢神経などの神経系、横隔膜、消化器系が何らかの刺激を受けることにより、しゃっくりが発生すると考えられています。

それでは、しゃっくりが発生した場合には、どのようにすれば止めることができるのでしょうか?そこで、しゃっくりの止め方や対処法について、ご紹介したいと思います。

持続性しゃっくり・難治性しゃっくり

前述のように2日以上しゃっくりが続く場合を慢性しゃっくり・持続性しゃっくりと呼び、1ヶ月を超えて続くしゃっくりを難治性しゃっくりと呼びます。

このようなしゃっくりの場合は、まずは病院を受診して医師・先生の診断を仰ぎ、その治療に従うことが大切となります。

原因疾患の治療

このような持続性しゃっくりや難治性しゃっくりの場合には、基本的に器質性疾患あるいは精神疾患を疑うべきだと考えられています。つまり、持続性しゃっくりや難治性しゃっくりの場合は、中枢神経性しゃっくり・末梢神経性しゃっくり・横隔膜刺激性しゃっくり・心因性しゃっくりの可能性があると言えるのです。

このような場合に、しゃっくりを根本的に止めるには、脳血管障害・呼吸器疾患・消化器疾患などの器質性疾患の治療や精神疾患の治療が必要になります。

受診すべき診療科

持続性しゃっくりや難治性しゃっくりの場合には、まずは内科や神経内科を受診して原因を探ることからになるでしょう。そして、問診や検査を経て原因を把握し、必要があれば専門領域の診療科を紹介してもらうことになります。

もちろん、アルコール依存症の人ならば精神科に、呼吸器疾患が見られるのであれば呼吸器科や呼吸器内科に、消化器疾患が見られるのであれば消化器科や消化器内科などに、最初から相談しても良いでしょう。

薬物療法

持続性しゃっくりや難治性しゃっくりを、ひとまず停止させるという意味では薬物療法が検討されることがあります。処方される薬剤は原因疾患によって異なりますが、次のような薬剤が処方される可能性があります。

  • メトクロプラミド:主に消化管機能を改善する内服薬です。
  • ハロペリドール:抗精神病薬で難治性しゃっくりに有効性があるという報告があります。
  • クロルプロマジン:抗精神病薬の内服薬です。
  • クロナゼパム:抗てんかん薬・抗けいれん剤です。
  • ガバペンチン:抗てんかん薬で中枢性しゃっくりに有効性があるという報告があります。
  • 芍薬甘草湯:漢方薬で、こむらがえり・筋肉のけいれんに効果があるとされます。

吃逆発作(しゃっくり発作)

前述のように2日以内(48時間以内)に収束するしゃっくりを吃逆発作(しゃっくり発作)と呼びますが、吃逆発作の多くが消化器刺激性しゃっくりで一過性のしゃっくりだとされています。

このような通常のしゃっくりは、自然に放置していても2~3時間も経過すれば自然と止まっていることが多いです。しかしながら、早く止めたい場合もあるかと思いますので、止め方・治療法をいくつか紹介します。

民間療法

しゃっくりの止め方として様々な媒体で紹介されている方法のほとんどが、検証された医学的根拠があるものではなく、民間療法とされているものです。それゆえ、その効果には個人差があるので、その点には留意が必要です。具体的には、次のような止め方が挙げられます。

  • コップ一杯程度の水を一気に飲む。
  • 酢を少し飲む。
  • 空気を大きく吸い込んで息を止める。
  • 他人にお願いして自分を驚かせてもらう。
  • ガーゼなどを使って舌を手でつかみ、引っ張る。

医学的根拠がある止め方

しゃっくりの止め方で医学的根拠があるとされる方法が、左右両耳の穴に人差し指を入れて耳に栓をするような形で30秒程度やや強めに押さえる、という方法です。

耳の奥のあたりに、別名で迷走神経と呼ばれる第10脳神経が存在するのですが、この第10脳神経は脳神経でありつつ腹部まで通じています。この第10脳神経・迷走神経を耳に栓をして抑えることで刺激することにより、しゃくりが止まるとされています。

赤ちゃんのしゃっくりについて

赤ちゃん・新生児は、大人よりも頻繁にしゃっくりをします。赤ちゃん・新生児のしゃっくりについては、原因がほとんどわかっていません。授乳による胃・食道の活性化という見解や、オムツが濡れて冷えることによる体温低下で横隔膜が刺激されるといった見解があるようです。

赤ちゃん・新生児のしゃっくりについては、特に異常と思われる変わった様子がなければ、心配がいらないと言われています。しばらく様子を見ていれば自然と治まります。

それでも気になる場合は、授乳したり、授乳後にゲップをさせたり、オムツの交換をしたり、身体を温めることなどによって、治まりやすくなるとされています。

まとめ

いかがでしたか?「しゃっくり」に関する基礎知識、しゃっくりを止める方法や止まらない場合に示唆される病気などについて、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、しゃっくりは集中力を乱されたり、発生した場所によっては気恥ずかし思いをしたりするなど、どちらかというと面倒な存在です。しかしながら、あまりにも長く続くしゃっくりは、何らかの病気を示唆している可能性もあります。

ですから、本記事で紹介したような通常のしゃっくりの止め方などを試しても、しゃっくりがなかなか止まらず2日以上続く場合は、病院を受診して検査・診断を受けるようにしてしましょう。

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