高エネルギー外傷の定義って?判断基準やJPTECなどの専門用語を知ろう!

高エネルギーとは一体なんなのか? 一見聞き憶えのない言葉ではありますが、救急現場において最も重要視される言葉の一つでもあります。

今回はこの「高エネルギー外傷」について深く触れていきたいと思います。

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高エネルギー外傷とは?

心臓弁膜症

ではまず高エネルギー外傷とは何かをご説明します。

強いエネルギーが加わって起こった外傷

一般的に事故など日々色々な場面で怪我をしている人がいます。しかしその怪我はひとえに外傷と括れるものではありません。実はこの外傷には特別な意味を持つ外傷が存在します。それが、「高エネルギー外傷」です。

文字通り、高いエネルギーによって受けた外傷のことを指します。詳細に述べるのであれば、スピードがかなり早い状態で起こった事故や、高い場所からの落下事故、飛行機や空中を飛ぶものが落下した事故など様々なものが挙げられます。これには一つ注意点があります。

目立った外傷などが見当たらない場合でも、内部、つまり体内の組織が著しく破壊されている場合などもここに含まれます。強いエネルギーの打撲など、一見打ち身程度でも、その内部で臓器や組織が破壊されている可能性があると判断された場合などもこの高エネルギー外傷に該当します。これの定義としては目に見える外傷や徴候が確認できなかったとしても生命活動において危険を及ぼす可能性がかなり高いものである、ということです。

主だった外傷だけではなく、内部組織や臓器の破壊がある可能性も含まれるということです。

この高エネルギー外傷については救急現場において、傷病者の適切な処置や搬送を決める重要な役割を担っています。救命率の向上でもあり、また搬送途中の処置における標準化が不可欠であることも言えます。これは観察法とも言われており、その処置について、JPTECで標準化されています。これにより、高エネルギー外傷に相当すると判断された場合、すべてロードアンドゴーが適応されます。

高エネルギー外傷の判断基準について

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ではどのようなものが判断基準とされているのかをご説明します。

救急隊員や医師はどのような基準でその傷病者を高エネルギー外傷と判断するのか、それには色々な判断基準が設けられているからです。

例えば、最も多い高エネルギー外傷の例の一つとして交通事故が挙げられます。その交通事故の際、現場に到着し、まず救急隊員が確認するのは傷病者が車内にいるのか、もしくは車外に放出されているのか、という点です。典型的とも言えるかもしれませんし、そんなことは知識がなくともわかると言いたいかもしれませんが、これは一応基準として設けられているものなので順を追って説明させて頂きます。

傷病者が車外へと放り出されている場合に関しては明らかに高エネルギー外傷と認定されるでしょう。傷病者へかかる衝撃の度合いは目に見えるほど明らかです。かなりの速度で事故が起きたと推測され、その時の運動エネルギーはかなりのものだともいえるでしょう。生身でそのエネルギーを受けたとしたのであれば、もう想像を遥かに超えるものであるのがわかります。

そして、その次に同乗者に関してです。もし同乗者がいた場合、その同乗者の社会死により判断が下されます。社会死とは誰が見ても死んでいると判断できる状況のことを言います。人が死ぬほどの衝撃、エネルギーを傷病者が受けているであろうという推測が可能であるということですね。これにより高エネルギー外傷と判断されます。

あと、救出に20分以上の時間がかかる場合にも高エネルギー外傷と認定される場合が多いです。これは傷病者が事故が原因で何かに挟まれている場合や、受傷してから治療されるまでの時間を考えての20分です。なぜこれが高エネルギー外傷と認定されるのかといことについてなのですが、事故の際の治療は時間が命と考えられています。時間がかかればかかるほど、容体悪化の危険性が強く見られます。そのため重要化の可能性を踏まえて高エネルギー外傷と判断されることが多いということになります。

また、事故が起こった際の速度、速度変化も高エネルギー外傷認定の対象となります。速度65km/h以上であること、そして速度変化が32km/h以上である場合は高エネルギー外傷と認定されます。これは基準として設けられています。65km/h以上の速度で事故を起こした場合の運動エネルギーがその基準となっていて、また速度変化もそうなっています。速度変化へ衝撃の柔らぎが追随できないほどであると考えられるからです。

バイク事故について

上記では車の事故について述べましたが、次はバイク事故の際の高エネルギー外傷についてご説明します。

バイクは車とは違い生身が外に出ている分、高エネルギー外傷と認定されやすい点があります。当然厳しいチェックが行われるのですが、主に速度32km/h以上の場合は高エネルギー外傷と認定されます。32km/h程度?と思われるかもしれませんが、運動エネルギーというのは凄まじいもので実際に想像しているようりも数倍は凄いものであると認識して頂けるわかりやすいかもしれません。それだけの運動エネルギーが体に直接加わったとなれば当然外傷だけでなく内部の正体も凄まじいものであると言えます。

速度だけではなく、実際事故を起こしたバイクと傷病者の距離も密接に関係してきます。どれだけの速度でどれだけの衝撃があったのかがこれで判断ができるからです。

バイクの車体部分の変形でも高エネルギー外傷の判断基準になります、主な基準としては、変形が50cmを超える場合、コクピット(フロントボディ)が30cmを超える変形が見られる場合は高エネルギー外傷と判断されるでしょう。変形があったということはそれだけの衝撃、高エネルギーが加わったと考えられるからです。そして、それは傷病者、つまり運転者にも及んでいる可能性が高いと判断されるからです。

落下事故について

上記以外にも転落や落下事故についての高エネルギー外傷が確認される場合があります。高い場所からの落下、転落です。

主に身長の三倍以上ある高さからの落下、転落、の場合、高エネルギー外傷となることが殆どです。これは重力加速度というものが基準に含まれてきます。人の体重と重力による加速の総合エネルギー量が基準になっており、その高さ、つまり平均でいうなら人の男性身長平均は170ほどですのでこれの三倍、つまり5メートルほどの高さから落ちた場合にどうなるのか、ということです。5メートルとは相当の高さです。ビルであれば三階や部分に相当します。考えてみれば恐ろしいことです。詳しく計算してみると5〜6メートルから落ちた場合の重力加速度の衝撃は時速40km/h弱の車と衝突したことと同じだけの衝撃が加えられると思ってください。それは凄まじい衝撃であることがわかります。

案外軽視されやすいこの運動エネルギーに関してなのですが、皆さんが想像している数倍を超えるほどの衝撃であることをがわかるとおもいます。これが高エネルギー外傷の判断基準となっており、現場に到着した救急隊員や医師はその状況をすぐに把握し適切な対応が求められるということになります。

これは傷病者が一刻を争うことに繋がりますし、その対応や搬送途上での適切な処置にも影響してくることなので正しい知識と対処法、そして観察力が求められます。

この観察方法や基準をJPTECで標準化されいます。今の救急隊員や医師はこの講習を必ず受けています。

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高エネルギー外傷についての専門用語などの詳細

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では、実際高エネルギー外傷に関して必要な知識を得るJPTECなどの専門用語について解説したいと思います。

JPTEC

JPTEC(ジェイピーテック・Japan Prehospital Trauma Evaluation and Care)というのは、救急救命士、救急隊員などが受ける講習で、プレホスピタルでの外傷を目的とした育成プログラムを指します。別名は外傷病院前救護ガイドラインと言います。外傷死亡を未然に防ぐためのプログラムで、それの撲滅を目指しています。主に医療システムの設備と外傷初療標準化を目的とし、それの浸透化を図っています。

これに関して深く掘り下げるのであれば、高エネルギー外傷の受傷から手術を開始するまでの時間が一時間以内である、というのが傷病者の生死に関わる時間であると言われています。この一時間のことを専門用語でGolden Hourゴールデンアワーと言います。もっと突っ込んで言うのであれば、それよりも短い最初の最初、傷病者の受傷から10分間をプラチナタイムと言います。どれだけ早く適切な判断を下すのか、どれだけ早く処置から搬送途上の治療に繋げられるのか、ということが傷病者の生命を救う一番の重要項目となっているのです。

ローアンドゴー

ローアンドゴーとは救急現場で使われる言葉です。詳しく説明すると、高エネルギー外傷の確認が取れた傷病者や重症度が高く命が助けられる可能性のある傷病者に対して、応急処置をしたのちに、五分以内に救急車へ収容し、迅速に搬送することを言い表す言葉です。

つまり、この言葉が発動された場合は迅速な対応が求められ、観察と救命を施さなければならないということです。

ローアンドゴーが宣言された傷病者に対して、頭部が最も重要視される部分です。その次に体幹になり、生命の危険性のある損傷箇所を優先的に処置し、予後の影響を最低限低くする処置を施します。これの対処や優先順位などについては上記のJPTECで標準化されています。

ローアンドゴー宣言というのは一刻を争うという意味でも使われています。プラチナタイムに適切な観察処置、救命、応急処置を行い速やかに救急車で病院へと搬送することを第一とした号令宣言です。救急の現場ではこうした適切な観察力と行動力が人々の命を救っているのですね。

JCS

JCSとはジャパンコーマスケールの頭文字をとったもので、日本では今現在普及している中で最も意識障害の評価に適した評価方法なのです。(Japan Coma Scale)。別名3-3-9度方式とも言います。

具体的には刺激を与えた際に、どの程度の反応をするのか、どの程度覚醒するのかを調べる方法となっています。上記の刺激を行い開眼状態で1〜3の3段階に分類されます。さらにそれを3段階ずつ細分化します。これによ計9段階の評価を設け、段階が上であるほど重度の意識障害であると判断されます。

細かく分けるとこうなります。

1・刺激しない状態でも反応や覚醒が見られる状態である。

  • 1点:意識は清明であるが、今ひとつはっきりしていない。
  • 2点:見当織障害が見られる。見当識障害とは、自分の居場所、ここはどこであるのかということ、つまり状況が理解できない状態であることを指します。
  • 3点:自分の氏名、年齢(生年月日)や性別などがはっきりと言えない状態である。

2・刺激すると反応や覚醒が見られるが、刺激を取りやめると意識が消失、または寝てしまう状態である。

  • 10点:通常の呼びかけで開眼する状態である。
  • 20点:大きな声で呼びかける、または身体を揺することによって開眼する状態である。
  • 30点:痛みや刺激などを与えて呼びかけると開眼する、またはかろうじて開眼が確認できる状態である。

3・刺激を加えても反応しない状態である。

  • 100点:痛みや刺激に対して、払い退けるような動作が見られる状態である。
  • 200点:痛みや刺激に対して若干の手足の動きが見られる状態である。
  • 300点:痛みや刺激に対して一切の反応を示さない状態である。

と、なっています。

これがJCSについての詳細となっています。意識があるかどうかを確認する上で最も重要な評価方法といえるでしょう。現場の救急救命士の日頃の苦労がわかりますね。

JATEC

JATECとは、Japan Advanoed Trauma Evaluation and Core、ジェイエイテックと言って、外傷診断に必要な救急医療と処置を学ぶ育成プログラムのことを指します。

これは主に医師が受講します。高エネルギー外傷による傷病者がプレホスピタル、つまり病院前、病院に来るまでの間に行う処置をJPTECと言いその後をJATECと言います。この相互連携が重要であり、整合性を図ることが重要でもあり、病院前の処置から病院に着いてからの処置がスムーズに行われ、そして一貫した思想で外傷治療を行うことに意味があり、できる限りの処置を施し、死亡の撲滅を目指すことが第一の目標とされています。

現場での救急救命士や医師の判断と、病院到着後の医師の処置の流れが一貫してスムーズに行われるようにこのシステムは導入されました。

これは元々、アメリカの救急医療現場のものを元にしたものでした。ですがアメリカのものは日本とは違い、アメリカで行われているものを元にして日本が独自に改良し、行っているシステムともいえるでしょう。

この講習は今現在、救急救命士と医師のみが受講するものとなっていますが、今後もっと幅広いところで活躍が望めるものと判断され、それ以外のものでも受けられるように話し合いが進められています。

私たち一般の人間でも救急救命の知識を持っていれば、いざという時に誰かの命を救える可能性があるかもしれません。救急車が到着するまでの間、傷病者に何もできずに、後もう少し早ければ救えたかもしれないという苦い経験をされた方も少なくはないと思います。

そういった意味や面でも今後こう言ったシステムを幅広く広げていき、人命救助、特に高エネルギー外傷に関しての傷病者を救うという意味で重要な意味を持ってくるというのは言うまでもないかもしれません。

私たちが日常で活動している上で事故やそういった場面を目撃するのは少ないでしょうし、もし目撃したとしても正しい知識がなければ何もできないのと同じです。救急車を呼ぶくらいしかできないでしょう。

ですが、このシステムが導入され幅広い知識を持つ人たちが増えれば、救える命が増えるのも間違いはないでしょう。

現場の救急救命士

そういった意味を含めた上で、やはり現場の救急隊員の皆さんは凄いと言わざるを得ません。毎日、二十四時間、いつでも対応できるように待ち構えている緊張感と、現場の騒然とした雰囲気に負けず、冷静な判断と観察力で多くの命を救ってきているのは確かなことです。彼らの尽力なしに救える命などない、と言っても間違いではないかもしれまんせん。

正しい知識と観察力、そしてスムーズな連携があるからこそ日本の医療現場は素晴らしいものであるのが現状です。

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まとめ

では総括に入ります。

高エネルギー外傷では現場の観察力とスムーズな連携が必要不可欠

first-aid-955339_960_720現在の医療現場で最も重視されていること、それが高エネルギー外傷の傷病者に対してスムーズな連携、そして現場の救急隊員の迅速な判断と対応が何よりも重要であるということがわかります。

今後はこう言ったシステムが幅広く人がって行き、少しでも救える命が増える社会になればと思います。

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