手首は日常生活の中で、鍛えづらい部位だと言われています。その一番大きな理由としては、固定されてしまうことにあります。
物を持ち上げる時、運動部位の手や腕については動かすのですが、手首は痛めないために固定されてしまいます。そのため、運動部位より訓練度合いが劣ってしまい、筋肉もつきにくくなるのです。
手首を鍛えるとは?
手首を鍛えるための筋肉は、ボールを投げる時や、ラケットを振る時、ペンで字を書く時、物を持ち上げる時に使用する大切な筋肉です。これらの事を前腕筋群と呼びます。
手首の強さは手首の関節そのものの問題ではなく、肘から手首までの部分である前腕を鍛える事が大切なのです。前腕を鍛えることは、手首から先の握力を鍛える事にも繋がります。
以下に手首を鍛える代表的なトレーニングを御紹介いたしますので、参考にしていただければと思います。
手首のトレーニング方法
手首を鍛える方法について紹介します。
パワーボールを使用する
手軽に持ち歩くことが出来る、パワーボールという小さなボールがあります。一見おもちゃのように見えますが、プロの選手でも愛用する方がいるくらい、本格的な手首・肘を鍛えるトレーニング器具です。
球体のパワーボールには中にローターが入っています。このローターを遠心力によって動かすことによって、手首を支える筋肉に負荷をかけています。
初心者の方はまず、スターターコードと呼ばれるひもをローターに巻き付けてチャレンジします。スターターコードを勢いよく引っ張ると、ローターが回転を始めます。手首を振って、ローターの回転数を調節することが出来、回転数が増えるにつれて、手首に負荷がかかるようになります。
慣れてくると、スターターコードを使わずに、ローターを指で回してトレーニングをすることも出来るようになります。その場合、指でローターを回転させて、片手でトレーニングをする形になります。
ボールにはデジタルカウンターがついているものも多く、回転数を計測することが出来ます。回転数が増えたり減ったりする数値が、目に見えて分かるため、ご自身の成長が視覚的に確認できるのです。
1日の使用は約5分程度が目安ですので、テレビを見ながらや、就寝前など、ちょっとした時間の合間でトレーニングすることが出来るのです。体脂肪燃焼にも効果があると言われていますので、ぜひ使用してみてください。
ペットボトルを使用する
いきなりダンベルで鍛えるのは負荷が大きすぎて心配だ、という方におすすめのトレーニング法です。500mlのペットボトルに水をいっぱいに入れたものを、1本または2本用意してください。最初は片手から…慣れてきたら両手に持って、左右同じ動きをしてみてください。
- 手のひらを天井に向けた状態でペットボトルを握ります。親指以外の4本の指の向いている方向に手首をゆっくり動かし、戻す作業を繰り返します。手首だけを動かし、余計な腕や肩は動かさないことがポイントです。慣れないうちは、肘を机にのせてトレーニングをするとやりやすいです。また、ペットボトルは力を入れすぎず、リラックスして持つようにしましょう!
- 今度は手の甲を天井に向けた状態でペットボトルを握ります。親指以外の4本の指の向いている方向とは逆の方向に手首をゆっくり動かし、戻す作業を繰り返します。1同様、手首だけを動かすことがポイントです。
- ペットボトルを飲み口を下にして、立たせるように持ちます。立てたペットボトルを、自分とは逆の方向へ、手首だけで倒すようにゆっくり動かします。元に戻し、再び倒して…を繰り返すトレーニングです。
1から3はそれぞれ10回ずつ行うのが目安です。トレーニングを始める前に、手首をほぐしてあげてください。手をぶらぶらと振ったり、両手を組んで手首を回すように動かすだけで、良い準備運動になります。
腕立て伏せのやり方を工夫する
動きやすい格好で腕立て伏せをします。腕立て伏せは、手をパーにして、腕を曲げたり延ばしたりする筋トレとして知られていますが、手を握りこぶしにすると、手首も鍛えることが出来ます。腕を曲げた瞬間5秒程度キープして、延ばすようにするのがベストです。
通常、これを10回ずつ、1日3セットが目安です。しかし、普段腕立て伏せをやらない方や、腕の筋肉に自信がない方は1回の量を5回くらいにするのが望ましいです。少しずつ回数を増やしていくようにしましょう!
手でグーとパーを繰り返す
何も道具を必要としない、手でグーとパーを繰り返すだけのトレーニングです。
まず背筋を伸ばして真っ直ぐに立ち、両手を前に出し、心臓位の高さに保ちます。この時、手のひらが下に向くようにします。この姿勢で、グーとパーを繰り返すのです。
注意点としては、握るときはしっかり握り、開く時はしっかり開くことです。最初は回数を重ねるごとに疲れてきて、手首や腕が中側や上に上がってきますが、位置は変えないようにします。回数を重ねると、単純な動きですが腕がパンパンになってくるので、徐々に回数を増やしていきましょう。
ダンベルで鍛える
ある程度上記のトレーニングで慣れた方が、より筋力をつけるために行うトレーニングです。初めは1kgから2kgで始めますが、手首は痛めやすい箇所でもあるので、あまり負荷をかけられないのが難点です。
まずダンベルを持って椅子に座ります。腕をふとももにぴったり付け、手首は膝より先まで出します。この状態で、手首の力を使って指先までダンベルを下ろし、指先からゆっくりとダンベルを巻き込み…の繰り返しをおこないます。
トレーニングのポイントとしては、指先ギリギリまでダンベルを落とし、手首を限界まで反ってダンベルを持ち上げることです。また、腕はしっかり太ももにつけるようにしないと、二の腕の力を使って、ダンベルを持ちあげてしまうので注意が必要です。
水圧を利用したトレーニング
水の中では水圧が発生するため、通常トレーニングをするよりもより負荷がかかるようになります。お風呂に入っている時に出来る簡単なトレーニングです。
肘を垂直に曲げ、てのひらを天井に向けた状態で、鍛える方の手首を、反対側の手で軽く固定します。手のひらを天井に向けたままで、手首から先を上下に動かす運動を繰り返します。
水圧は深いところほど強く働くため、最初は水面近くの浅いところから始め、慣れてきたら深いところでトレーニングをするのがポイントです。また、手のひらにプラスチックの板などをのせる事によってより筋トレの効果が増します。
1回10回から20回を3セット行うのが目安です。トレーニングが終わったら必ず手首を休め、リラックスさせ、軽くマッサージするようにしてください。
リストローラーのようなトレーニング
身の周りにありそうな棒とひもを使って、リストローラーに似せた器具を作ることが出来ます。
棒は肩幅より少し長めくらいのものが適切です。棒の真ん中にひもを結び付け、もう一方の地面側にあるひもの先におもりを付けます。立った状態でその棒を両手で持ち、肘をしっかり伸ばして、ひもの先にあるおもりを、棒をぐるぐる回しながら持ち上げていくのです。
巻き上げる方向は上方向と下方向と、それぞれおこなうのが効果的です。リストローラーという器具もありますので、興味のある方は購入してみても良いかもしれません。
チューブを用いたトレーニング
ダンベルのように重さで負荷を加えるのではなく、引っ張るほど負荷が加わるのがチューブを用いたトレーニングです。伸縮性のある1本のゴムのようなものを用います。今から代表的なものを紹介していきます。
- 椅子に座り、チューブを両足で踏みます。手のひらを上に向けて、両手でチューブを持ちます。手首の力だけで、チューブを上に引っ張ります。
- 1と同様な姿勢で座りますが、手のひらは下に向けます。両手でチューブを持ち、手首の力だけで、チューブを上に引っ張ります。
- 肩幅の長さにチューブを張って、両手とも順手でチューブを持ちます。片方の手は動かさず、もう一方の手を外側に回転させます。
- 3と同様に、肩幅の長さにチューブを張って、片手は順手、もう一方は逆手で持ちます。順手の方はそのままで、逆手の方を中側に回転させます。
それぞれの作業を行なった後はゆっくり元の姿勢に戻すようにします。チューブを二重にしたり、短く持つことによって、更に負荷を加えることも出来ます。こちらも道具が必要ですが、興味のある方は道具を揃えて、トレーニングしてみてください。
手首を痛めてしまった時の対処法と対策
手首は細い筋肉の束から出来ている繊細な場所です。ピアノを弾いたり、パソコンを使いすぎたり、書類を沢山書いたりするだけで、手首が痛くなってしまう事も多々あるのです。上記のトレーニングを急激にやりすぎて筋肉痛になることもあるくらいです。
繊細が故に治りにくいため、少しでも異変を感じたら、安易に考えない事が大切です。まずは原因となる作業を控え、手首を固定・安静にしていることが大切です。
患部に血液が溜まり、腫れあがってしまうと回復が遅くなります。水や氷で冷やすことにより、血管を収縮させ、患部に血液が行くのをなるべく防ぐことが大切になってくるのです。
腱鞘炎になった手がなかなか治らない…なんて経験をした事がある方もいらっしゃると思います。手首の捻挫はくせになる事が多いのです。しっかり治らないうちに使用すると、以前より症状が重くなってしまう事もあります。
上記のように手首を痛めないためにも、普段から無理をしない程度に手首を鍛えておくことが大切です。自分に合ったトレーニングを選んで実践してみましょう!
手首の痛みについては、手首の痛みが起きる3つの原因と3つの対策を紹介!の記事を参考にしてください。
まとめ
ご自分にぴったりのトレーニング方法は見つかりましたでしょうか?手首は繊細なので無理をしてはいけない部位ではありますが、だからこそ、毎日継続的にトレーニングをおこない、捻挫などをしないように鍛えておく必要があります。
鍛えられる方法は、道具が何もなくても出来る簡単なものもたくさんありますので、これを機会にぜひ試して欲しいと思います。
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